機動戦士ガンダム鉄血のオルフェンズ外伝 鉄屑の彼岸 作:ミニトレール
この世界は――クソだ。
生まれた時から、ずっとそう思っていた。
人間扱いもされず、名前すら奪われ、“
使われて、使いもんにならなければ捨てられて、それで終わり。
そんな世界――クソくらえだ。
《ぎゃああああッ!!助け――!》
《敵が……来るッ!やめて、殺さ……っ》
《あ……ぁ……腕が……やだ……嫌だ……!》
通信の向こうでは、仲間達の悲鳴が次々と潰れ、途切れていった。
寝床を一緒にした奴も、飯を分け合った奴も……
全員、悲鳴を上げ消えていった。
死ぬのが当たり前で、死んでも誰も気に留めない。
そんな未来しか用意されていない世界。
「……俺も、ここで死ぬのか?」
モニターに映るのは火花だらけの残骸。
機体はすでに半壊。
息は荒い。視界は赤く滲む。
――違う
胸の奥から、熱いものがこみ上げてくる。
「終わらねぇ……終わってたまるかよッ!こんなところで死んでたまるか!!」
レバーを握る力が強くなる。
裂けた内部ケーブルが青白く火花を散らす。
焼き焦げたスラスターが悲鳴を上げる。
モニターはノイズだらけ。
それでも男は叫んだ。
「俺は!生きるッ!!生きて……“人間”になるんだァ!!」
その瞬間――
ドンッ!!
スパロディ全体を巨大な衝撃が襲う。
警報音が跳ね上がり、フレームが悲鳴を上げた。
「う、そ……だろ……?こんな……クソみてぇな場所で……?」
背後から迫っていた小惑星に機体を叩きつけられ、男の意識は急速に暗闇に沈んでいった。
――まだ終われねぇ
その想いだけを残して。
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機体の警報音が鳴り続ける。
エヴォル・ヴァレンティは、揺れる意識の中でゆっくり目を開いた。
エヴォル「……っせぇな……頭に響くっての……もう少しマシな目覚ましがほしいもんだな…」
冗談めかして呟きながらも、額から血が垂れている。
右腕と右脚フレームは欠損。
背部スラスターは黒焦げ。
まともに動いているのが奇跡のような状態だった。
「おいエヴォル!返事しろ!!生きてんだろ!?」
通信越しの声。
仲間のナルド・ヴェインの叫びであった。
エヴォルはかすれ声で応じた。
エヴォル「……ナルド……お前の声の方がうるせぇんだよ。帰ったら俺の飯半分やるから少し落ち着けよ……」
「帰れれば、な……」
低い声が割り込む。
セドリック・フェザーズだ。
セドリック「エヴォル。状況は最悪だ。お前の機体以外のリアクター反応はゼロ。母艦からの信号も途絶。……恐らく俺達以外は全滅だ」
沈黙が、三人の間に重く落ちた。
エヴォルは息を呑み――
そして喉の奥で笑いがこみあげた。
エヴォル「……ハッ。……ハハハッ……!マジかよ!全部かよ……!」
ナルド「ついに壊れちったか……?」
セドリック「無理もないさ。帰る場所も失ったんだ」
エヴォル「帰る場所……?あそこがか?」
エヴォルの笑いはふっと消えた。
エヴォル「あそこは地獄だぞ。生きてるのが奇跡の場所だ。“帰る”なんて言葉、似合うかよ」
ナルドもセドリックも何も言えなかった。
ナルド「でもよぉこんな状態でどうすりゃいいってんだよ」
ナルドが消えそうな声で言葉を発する。
三人が乗るスパロディは全機満身創痍。
エヴォル機は腕と脚が吹き飛び、背面スラスターを損傷。
ナルド機は左腕を失い。
セドリック機は脚部スラスターが死んでいる。
どれも動いているのが奇跡のような状態だった。
ナルド「……このままじゃ、漂流して……餓死か窒息死だな」
セドリック「拾われたとしても……またヒューマンデブリとして売られるのがオチだろうな」
二人の言葉は残酷で現実的だ。
だがエヴォルは――
エヴォル「……はぁ」
溜息を吐き、強い声で言い放った。
エヴォル「お前らなんでそんなに悲観的なんだよ!」
ナルド「逆に聞くけどよ!なんでお前はそんなに割り切れんだ!?」
エヴォル「決まってんだろ……!」
エヴォルは握りしめた拳を震わせながら叫んだ。
エヴォル「生きたいからだよ!!生きてぇから、こんなとこで終われねぇから……だから足掻くんだよッ!!」
通信の向こうで、ふたりが息を呑む気配がした。
ナルド「エヴォル……」
エヴォル「生きてんなら……足掻けんだろ!!掴めるもん全部掴むんだよ!!自由も未来も……このクソみてぇな世界に一発殴り返すためによぉ!!」
沈黙。
やがて――ナルドが震える声で笑った。
ナルド「……ったく。お前ってヤツは……。まぁ、死にたくねぇのは俺らも同じだ」
セドリック「……同意だ。諦めるよりはマシだ」
宇宙は静かだ。
まるで世界が三人の存在を拒むように冷たかった。
だが――その冷たい闇の中で、エヴォルの声だけは何より熱を帯びていた。
エヴォルは深く息を吐いた。
エヴォル「よし……生き延びてやるぞ。ヒューマンデブリとしてじゃねぇ……“人間”としてな」
壊れかけのスパロディ3機は、ゆっくりとデブリ帯の闇へと滑り込んでいった。
漂流する宇宙の中、
ここから――動き出す。
こんな感じでいいんだよな?至らないところがございましたら是非ご指摘お願いします!
msやキャラクターの設定はここに順次載せていこうと思います!