機動戦士ガンダム鉄血のオルフェンズ外伝 鉄屑の彼岸   作:ミニトレール

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私静岡に住んでいるのですが今日人生で初めて雪を見て大興奮してました。
あれが毎年振るのって大変ですね・・・それでは本編どうぞ!


第十七話:翼は、まだ重い

ブリッジ

 

壁際や計器の影にまでみんなが集まっていた。

 

ざわざわ

 

小声

 

期待と不安が混じった空気。

 

ルカは操舵席の横に立ち腕を組んでいる。

 

表情はいつも通りだが、ほんの少しだけ“間”を取った。

 

ルカ「……静かに」

 

一言で、空気が締まる。

 

ルカ「昨日の船名案、全部目は通した」

 

ルカ「正直――」

 

エヴォル「正直?」

 

ナルド「嫌な言い方すんなぁ」

 

ルカ「八割は見た瞬間不採用だった。」

 

ブーイング

 

ノア「ええー!」

 

ダニエ「そんなぁ……」

 

ルカ「だから静かにしろって」

 

一拍

 

ルカは端末を操作しメインスクリーンに文字を映す。

 

《船名登録:承認》

 

その下に、ひとつの名前。

 

《フリーゲル》

 

一瞬、静まり返る。

 

ユノが、ぽつりと呟いた。

 

ユノ「……翼、だ」

 

ルカ「旧言語で“飛ぶためのもの”って意味だ」

 

ルカ「逃げるためでも、縛られるためでもない」

 

視線を巡らせる。

 

ルカ「ここにいる全員が選んだ名前だ。俺が決めたわけじゃない」

 

エヴォルは、ゆっくりと口角を上げた。

 

エヴォル「いいじゃねぇか」

 

ナルド「まともだな」

 

ルカ「褒めてんだよな?」

 

ミアがそっと胸に手を当てる。

 

ミア「……“フリーゲル”」

 

その音を、確かめるように。

 

誰かが拍手をした。

 

次々と音が広がる。

 

大きな歓声ではない。

 

だが、確かな肯定だった。

 

エヴォル「よし」

 

軽く手を叩く。

 

エヴォル「この船は今日から《フリーゲル》だ。覚えとけよ。船に落書きとかすんじゃねぇぞ」

 

フェル「もう遅い」

 

エヴォル「おい!」

 

笑いが起きる。

 

その空気のまま――

 

エヴォルは少しだけ声色を変えた。

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

格納庫に五基のスパロディとマルファスが並んでいた。

 

シュミレーター訓練。

 

座席・視界・操作感覚・阿頼耶識への負荷――

 

全て実戦に近い数値で再現されている。

 

十三人の前に立ったエヴォルは、腕を組んだまま言った。

 

エヴォル「じゃあ、訓練内容を言う」

 

空気が、自然と引き締まる。

 

エヴォル「1対5だ」

 

小さなどよめき。

 

ケッチ「……MSで、か?」

 

エヴォル「ああ」

 

指で、黒いコックピットを示す。

 

エヴォル「1は俺のマルファス。5はお前らスパロディ」

 

ノア「……スパロディ五機で?」

 

ナルド「安心しろ。シミュレーターでやる」

 

セドリックが補足する。

 

セドリック「だが、体感は本物だ阿頼耶識も、接続する」

 

一瞬、空気が重くなる。

 

全員、MSに乗った経験はある。

 

だが――

 

“実戦に近い状態で、ガンダムを相手にする”経験は、別だ。

 

エヴォル「想定はこうだ」

 

一歩、前へ。

 

エヴォル「俺が敵。船を襲いに来る」

 

ミア「……撃墜、目標?」

 

エヴォル「違う」

 

即答。

 

エヴォル「五人の任務は、船の護衛だ。俺を止めろ。近づけるな」

 

ウルス「倒せなくても?」

 

エヴォル「倒せなくていい」

 

一拍。

 

エヴォル「時間を稼げば、成功だ」

 

ナルド「逆に言えば――」

 

肩をすくめる。

 

ナルド「エヴォルが船に触れた時点で、全滅判定な」

 

ダニエ「……容赦ない……」

 

エヴォル「現実は、もっと容赦ねぇ」

 

だが、声は荒くない。

 

エヴォル「全員、MSには乗った事がある。だから今日は“慣らし”じゃねぇ」

 

視線を巡らせる。

 

エヴォル「判断、連携、引き際」

 

エヴォル「それを見る」

 

ガルが静かに口を開く。

 

ガル「……本気で来るのか」

 

エヴォルは、ほんの少しだけ笑った。

 

エヴォル「当たり前だろ?俺が手を抜いたら、意味がねぇ」

 

その言葉で、全員が理解した。

 

これは――

 

強さを競う訓練じゃない。

 

“守れるかどうか”を試す訓練だ。

 

セドリック「選抜はランダムだ」

 

セドリック「一回目は五人」

 

エヴォル「じゃあ――」

 

マルファスのコックピットのハッチを見上げその後彼らの方へ振り向く。

 

エヴォル「最初に“船を護る側”になるのは、誰だ?」

 

リアクターが低く起動音を立てた。

 

薄暗い照明の下、五機のスパロディが起動待機状態に入っている。

 

セドリックが端末を操作しながら、淡々と言った。

 

セドリック「最初の五人を選ぶ」

 

一瞬、空気が張りつめる。

 

これは“評価”ではない。

 

だが――

 

最初に選ばれる、という事実が重い。

 

セドリック「完全ランダムだ」

 

端末の表示が走る。

 

数秒後、五つの名前が浮かび上がった。

 

【第一組・護衛側】

 

ガル・ハインツ(17)

カイ・ケッチャー(ケッチ)(17)

フェル・マルティノ(18)

ロウ・アーデン(17)

ミア・レインフォード(16)

 

ミア「……わ、私?」

 

エヴォル「落ち着け。全員、乗った事はあるんだろ」

 

ミアは小さく頷くが、指先がわずかに震えている。

 

ガルは無言で前に出た。

 

表情は硬いが、逃げている様子はない。

 

ケッチ「チッ……盾役とか、そういう地味なのはガル。てめぇに任せるわ。」

 

ケッチ「俺は前に出て。近づいてきたら、ぶん殴って止めてやんよ」

 

ロウ「おい……突っ込むなよ。止めるのと、突っ込むのは違う」

 

ケッチ「分かってるっての。分かってるけど――」

 

ケッチ「目の前に来たら、体が先に動くんだよ」

 

フェル「……やれやれ」

 

ミア「……後方、補助と索敵やります」

 

自然と役割が決まっていく。

 

エヴォルはそれを黙って見ていた。

 

コックピット内

 

五人がそれぞれスパロディのコックピットへ入る。

 

ハッチが閉じる。

 

――静寂。

 

次の瞬間、阿頼耶識接続シーケンスが始まった。

 

《NEURAL LINK… STANDBY》

 

ミア(……重い)

 

脳の奥を誰かに掴まれたような感覚。

 

ガルは歯を噛みしめる。

 

ガル(……慣れてるはずなのに)

 

ケッチ「……っ!くそ」

 

ケッチ「これ、やっぱ苦手だわ……直接背骨殴られてるみてぇだ」

 

フェル「……それは、言い得て妙だな」

 

ロウ「集中しろお前ら。始まるぞ」

 

《LINK COMPLETE》

 

視界が切り替わる。

 

――宇宙

 

目の前には護衛対象の船(シミュレーター上)

 

そして――

 

遠方に黒い影が一つ。

 

エヴォル(マルファス)視点

 

静かだ。

 

シミュレーター特有の、「戦場が作られる前の静けさ」

 

エヴォルは、マルファスのコックピットで軽く首を回した。

 

エヴォル(……五人ねぇ)

 

スパロディ五機が船の周囲に散開している。

 

配置は悪くない。

 

前衛 二、左右に二、後方 一。

 

エヴォル(一応基本通りだな)

 

だが――

 

それが弱点でもある。

 

エヴォル(“守る”ってのはな……)

 

操縦桿をほんのわずかに傾ける。

 

マルファスが音もなく動いた。

 

推進を抑え、存在感を消す。

 

エヴォル(全員、同じ“画面”を見てる)

 

エヴォル(だから――)

 

一気に加速。

 

戦闘開始

 

ロウ「来るぞ!正面――いや、消えた!?」

 

フェル「速っ……!」

 

次の瞬間。

 

マルファスが側面から現れる。

 

ケッチ「来た!」

 

即座に前へ出る。

 

エヴォル(俺を見るな)

 

エヴォル(“船”を見ろ)

 

ケッチはマルファスの進路に割り込むように突っ込む。

 

ケッチ「止まれぇっ!!」

 

射線を張るが――

 

遅い。

 

マルファスは、ケッチを“押しのけるように”突破する。

 

ケッチ「……っ、くそっ!」

 

ガル「……止める!」

 

マルファスに対し射線を張る。

 

しかしエヴォルはそれを一瞥したがスラスターをさらに吹かし強引に突破する。

 

《TARGET APPROACH》

 

警告

 

ミア「え……!?もう!?」

 

ロウ「船に近すぎる!!」

 

エヴォル(判断が一拍遅い)

 

マルファスが船の仮想装甲に“触れた”。

 

《MISSION FAILED》

 

無慈悲な文字。

 

沈黙

 

コックピット内。

 

五人とも言葉が出ない。

 

ガル「……もう?」

 

フェル「冗談だろ……」

 

ケッチ「……俺、突っ込んだだけだな」

 

床を見つめ拳を握る。

 

ケッチ「止めたつもりで……何も止めてねぇ」

 

ミア「……」

 

ミア「……ごめんなさい……」

 

シミュレーターが解除される。

 

ハッチが開く。

 

エヴォルは腕を頭の後ろに組んだまま言った。

 

エヴォル「完敗だったな」

 

容赦はない。

 

だが、声は冷静だった。

 

エヴォル「でもな――」

 

一人ずつ見る。

 

エヴォル「悪くはなかったぜ?」

 

ミアが顔を上げる。

 

エヴォル「配置は正解だし役割分担もできてた」

 

ロウ「……じゃあ、何がダメだった」

 

エヴォル「“俺を見るな”」

 

一拍

 

エヴォル「船を見ろ」

 

エヴォル「敵を倒す訓練じゃねぇ“近づけさせない”訓練だ」

 

ナルドが横から口を挟む。

 

ナルド「お前ら、全員。エヴォルを“倒す目”してた」

 

セドリック「それは悪くない。だが今回は目的が違う」

 

エヴォル「ガル」

 

ガル「……はい」

 

エヴォル「お前は良かった。一瞬、止められた」

 

ガルはわずかに目を見開く。

 

エヴォル「あとケッチ」

 

ケッチ「……おう」

 

エヴォル「お前の“前に出る癖”悪くねぇ」

 

ケッチがわずかに顔を上げる。

 

エヴォル「誰かが前に出なきゃ守りは始まらねぇ」

 

一拍

 

エヴォル「でもな――」

 

エヴォル「お前一人で、止めに行くな」

 

ケッチ「……」

 

エヴォル「突っ込むなら、合図を出せ」

 

エヴォル「ガルとかフェルを“連れて行け”」

 

エヴォル「お前は“先頭”になれ。“単独”になるな」

 

ケッチは奥歯を噛みしめる。

 

ケッチ「……仲間を盾にするんじゃなくて」

 

ケッチ「一緒に壁になるってことか」

 

エヴォル「そうだ」

 

静かな一言

 

だが、全員がそれを噛みしめた。

 

エヴォル「もう一回やる。次は、少し配置を変える」

 

エヴォル「――学べ。生き残るためにな」

 

マルファスが、再び低く唸る。

 

訓練は、まだ始まったばかりだった。

 

シミュレーターが、再び静かに立ち上がる。

 

五基のスパロディ。

 

そして、遠方に浮かぶ黒い機影――マルファス。

 

先ほどとは違うのは、配置だった。

 

ロウ「変更案、行くぞ」

 

短く、しかしはっきりした声。

 

【【第二構成・護衛配置】

 

前面遊撃・迎撃役:ケッチ

左右制圧:ガル/フェル

後方近接警戒:ミア

全体指揮・再配置判断:ロウ

 

守る対象は同じ。

 

だが「守り方」が違う。

 

コックピット内

 

ミアは深く息を吸ってから阿頼耶識に意識を合わせた。

 

ミア(……見る、見るだけ)

 

さっきは「感じすぎた」。

 

今度は距離を保つ。

 

ガルはわずかに肩を落とす。

 

ガル(……一人で止めない)

 

それだけを頭に刻む。

 

ケッチは正面で機体を安定させている。

 

ケッチ「俺は“壁”になる…倒すな…近づけるな…」

 

フェル「OK。嫌な役だがな」

 

ロウ「来るぞ。全員、“船”を見るな、空間を見ろ」

 

その言葉と同時に――

 

エヴォル(マルファス)視点

 

エヴォルはわずかに目を細めた。

 

エヴォル(……変えたな)

 

さっきより、視線が散っている。

 

エヴォル(いいね)

 

マルファスが消える。

 

フェル「来る……右、いや――」

 

ガル「左だ!」

 

ケッチ「……正面、来んぞ!」

 

誰よりも早く、前に出る。

 

だが――

 

ケッチは止まらない。

 

止まりすぎない。

 

半歩だけ、前。

 

ガルとフェルがその“背中”に射線を重ねる。

 

エヴォル(……いいねいいね)

 

マルファスがケッチの横を抜けようとする。

 

ケッチ「行かせるかってんだ!」

 

深追いはしない。

 

ただ、進路を塞ぐ。

 

ミア「……後方、接近!」

 

ロウ「全員、半歩下がれ!」

 

ケッチは一瞬だけ歯を食いしばり――

 

引く

 

ガルと並ぶ。

 

フェルが射線を置く。

 

結果――

 

マルファスの動きがほんの一瞬、止まる。

 

エヴォル(……止められたな)

 

ほんの一瞬。

 

だが一回目にはなかった瞬間。

 

ロウ「今だ、距離を作れ!」

 

ミア「了解!」

 

五機が一斉に後退。

 

船との距離が保たれる。

 

エヴォル(いい判断だ)

 

だが――

 

破綻

 

エヴォルは、ここであえて無茶をする。

 

推力全開。

 

直線。

 

ガル「……来る!」

 

撃つ。

 

当たらない。

 

しかし当てる必要はない。

 

エヴォル(それでいい)

 

だが、推力差が違う。

 

マルファスが強引にねじ込む。

 

ケッチ「……っ!クソがぁ!!」

 

間に合わない。

 

《TARGET APPROACH》

 

ミア「船!近い――!」

 

ロウ「全機、遮断――」

 

だが、間に合わなかった。

 

《MISSION FAILED》

 

終了

 

しかし

 

沈黙の質が違った。

 

フェル「……今の、壁っぽかったな」

 

ガル「……ケッチがちゃんと引いた」

 

ケッチ「……」

 

ケッチ「……引く方がめんどくせぇな」

 

ミア「……でも、ちゃんと“守れてました”」

 

ケッチは少しだけ鼻で笑う。

 

ケッチ「……悪くねぇな、案外」

 

フィードバック

 

エヴォルはポケットに手を突っ込んだまま言った。

 

エヴォル「今のは、今回の及第点一歩手前だ」

 

全員が顔を上げる。

 

エヴォル「一回目と違う点は三つ」

 

指を一本立てる。

 

エヴォル「一、俺を見すぎなかった」

 

二本目

 

エヴォル「二、役割を守った」

 

三本目

 

エヴォル「三、引く判断ができた」

 

ナルド「つまり?」

 

エヴォル「“守る”ってのが少し分かってきたってことだな。」

 

ガルは拳を握る。

 

ガル「……次は」

 

エヴォル「次は――」

 

一瞬、笑う。

 

エヴォル「俺ももっと本気で行く」

 

誰も下を向かなかった。

 

恐怖はある。

 

だが――

 

できるかもしれないという感覚が、確かに芽生えていた。

 

シミュレーターが再び待機状態に入る。

 

訓練は続く。

 

そしてこの船は、**“盾を作れる集団”**へと、確実に近づいていた。

 

数時間後。

 

シミュレーターが、ようやく停止した。

 

格納庫にいる十三人は、誰一人として真っ直ぐ立っていなかった。

 

座り込む者

 

壁にもたれる者

 

コックピットから降りた瞬間、その場で膝をつく者。

 

息が荒い

 

額には汗

 

視線は自然と一つの方向へ集まっていた。

 

――マルファス

 

そして、そのパイロット。

 

エヴォルはヘルメットを回転させながら軽く首を回す。

 

エヴォル「お疲れ~い」

 

その一言が、やけに遠く聞こえた。

 

誰も返事をしない。

 

ガルはコックピットの縁に腰を下ろしたまま、俯いている。

 

ケッチは拳を握りしめ、床を見つめていた。

 

ミアは呼吸を整えながら、震える指を押さえている。

 

ロウ「……」

 

言葉が出てこない。

 

一度も成功できなかった。

 

それが、全員に重くのしかかっていた。

 

セドリックが整備台の横で口を開く。

 

セドリック「今回の訓練で、エヴォルは――」

 

一拍

 

セドリック「“船に触れるだけ”で終わらせた」

 

視線が上がる。

 

セドリック「武器は使っていない。最低限の防御行動だけだ」

 

事実だった。

 

マルファスは撃たなかった。

 

斬らなかった。

 

ただ、近づいただけ。

 

セドリック「だが、実戦では――そうはいかない」

 

静かだが逃げ場のない言葉。

 

セドリック「撃つ。斬る。壊す」

 

その想像だけで、数人が肩を落とす。

 

ウルス「……あれで、まだ“手加減”かよ」

 

ダニエは床に寝転がったまま天井を見ている。

 

ダニエ「……夢に出る」

 

エヴォルは、頭を掻いた。

 

エヴォル「まぁ……」

 

一瞬、言葉を選ぶ。

 

エヴォル「命令じゃなくていきなり自分で考えながら行動しろって言われても、上手くいくわけないわな」

 

エヴォル「最初はこんなもんだ」

 

顔を上げ全員を見る。

 

エヴォル「でもな。いつ、どんな事態が起こるか分かんねぇ」

 

少し、声が低くなる。

 

エヴォル「だから――早めに、クリアしてほしい」

 

“期待”でも“命令”でもない。

 

願いだった。

 

沈黙。

 

その空気を破ったのは、ナルドだった。

 

ナルドは拳を握り、軽く鳴らす。

 

ナルド「じゃあさ」

 

にやっと笑う。

 

ナルド「次は――俺を相手にしてもらおうかな?」

 

一瞬、空気が和らぐ。

 

エヴォル「お前じゃ、十秒ももたねぇんじゃねぇか?」

 

そう言いながら、もう一度コックピットへ向かう。

 

ナルド「言ってろ!」

 

エヴォルの背中に向かって叫ぶ。

 

ナルド「今日こそ勝つぜ!」

 

ナルドも、勢いよくスパロディへ向かう。

 

その様子を見て――

 

ミア「……あの」

 

小さな声。

 

ミア「わ、私も……もう一回、参加していいですか」

 

ケッチ「俺もやる……このまま辞められるかってんだ……!」

 

ウルス「俺もだ」

 

フェル「次は、もう少しマシにやってやる……!」

 

ガルは、少し迷ってから、顔を上げる。

 

ガル「……俺も」

 

一人、また一人。

 

「俺も」

 

「私も」

 

声が重なっていく。

 

セドリックはその光景を見て、深く息を吐いた。

 

セドリック「……やれやれ」

 

だが、口元はわずかに緩んでいる。

 

セドリック「懲りない連中だ」

 

その言葉は呆れではなく、確かな肯定だった。

 

格納庫に再び起動準備の音が響き始める。

 

疲労は限界。

 

成果はゼロ。

 

それでも――

 

誰一人引こうとはしていなかった。

 

この船はまだ弱い。

 

だが確実に強くなろうとしていた。

 

 




この時代の阿頼耶識は鉄血本編よりも性能はいいですが(大体鉄血本編の1.3倍程度)一定数の人には使用時に背骨が痛む。脳みそを掴まれるといった感覚が起こる。精神に異常が起こるなどと言った副作用のリスクが本編に比べ高いといった設定で考えております。また適合できなかった場合は本編同様全身不随となります。

それでは次回もお楽しみに!!
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