第二十話
sideアーク
「…zzz」
「……起きろー!!お兄ちゃん!!」
「…んぁ?…舞か、、。今何時?」
「…もう8時だよ」
「……やっべ。今日走ってねぇ!」
「はあ、このバカお兄は、、。自分で決めたことなんだからちゃんとやりなよ」
「おい!舞、何でもっと早く起こさなかったの!?」
「私は何度も起こしたけど起きないお兄ちゃんが悪い!」
「まじかよー!」
SAOがクリアされて早2ヶ月。俺は少しずつ普通の生活へ戻っていた。…最初の方はKoBの会議に遅れる!!みたいな事になりそうになったり、無意識に右手を振ってメニューを開こうとしたり、、、とにかく仮想世界での習慣や癖が抜けなかった。
世間じゃ俺たちSAOプレイヤーの事を『SAOサバイバー』と言っているらしい。俺たちがSAOのラスボスであるヒースクリフを倒し、SAOはクリアされ全プレイヤーがログアウトできた、、、。はずだった。…まだ、300人ほどのプレイヤーが目を覚していない。
…そしてその中にはアスナもいる。何で俺がこんな事を知っているかというと、俺たちが目を覚まして2週間ほどして、俺の元に総務省の仮想課という部署に所属していると名乗る『菊岡誠二郎』がやってきて、そいつにSAO内部での事を聞かれたので、対価として、キリトやアスナの安否やどこの病院にいるのかを尋ね、その際にアスナがまだ意識を取り戻していないことを聞いた。
すでにアスナの所へは何度かお見舞いに行き、そこでキリトと再開して携帯のアドレスを交換したりしていた。そんな冬のある日、、。
【悪いが今からここに来れるか?」
そんなメッセージとそのメッセージに添付されたマップと画像がキリトから送られてきた。画像を開いて見てみると、そこには
鳥籠に囚われているアスナがいた。
俺はそれを見てすぐに出かける準備をし、いつも使っている自転車に跨った。出る直前、舞にどこに行くのか聞かれたが、少し走ってくるとしか言っていない。マップに表示されていたのはある『ダイシー•カフェ』というカフェだった。メールの文面的にここに来いとのことだろう。…ここならチャリでも20分くらいか、、。俺は全力でペダルを漕いだ。
自転車を漕ぎそのカフェに着いた。自転車を置き、店に入ったらそこには、キリトと、、エギルが居た。
「エギル!?」
「よっ、アーク。早かったな」
「久しぶりだな。アーク」
「おう、久しぶり、、、。…改めて自己紹介でもするか?」
「…そうだな。俺の名前はアンドリュー•ギルバード•ミルズ。今まで通りエギルで良い。……ちなみにここは俺の店だ。ご贔屓に頼むぜ」
「はっ。またアコギな商売でもするつもりか?……俺は九条彩人。呼び方は…どっちでもいいぜ」
「これからもよろしくな、アーク」
「おう、こっちこそよろしく、エギル」
俺とエギルはガッチリと握手を交わした。
「そういや、キリト。あの写真は何だ?」
「ああ、あれはエギルが送ってくれたんだよ」
「エギルが?」
「ああ、俺もあの写真についてエギルに聞きに来た。…それで、エギル。あの写真は何なんだ?」
「ああそのつもりだ。だが、その為にはこれの説明からだな」
エギルは一本のゲームソフトのパッケージを置いた。そしてパッケージの右上には《AmuSphere》という文字が印刷されていた。
「アミュ、スフィア?何だこれ?」
「《アミュスフィア》。オレたちが向こう側にいる間に発売されたんだ。ナーヴギアの後継機だよ、ソイツは」
「なるほどな、、。…でこっちのやつは、、アルフヘイム・オンラインって言うのか?」
「アルヴヘイム、と発音するらしい。妖精の国、っていう意味だとさ」
俺はエギルが持っているゲームのパッケージを見た。そこには、妖精の姿をした男女が仲良く飛んでいる様子が描かれている。
「妖精?まったり系か?」
「いや、これが違うくてな。どスキル制。プレイヤースキル重視。PK推奨」
「どスキル制?」
「いわゆるレベルは存在しないらしい。各種スキルが反復使用で上昇するだけで、戦闘はプレイヤーの運動能力に依存する」
「そりゃ、ハードだな」
「まぁ、いうならソードスキルなし、魔法ありのSAO…っていう感じか」
「ああ。…そいつが人気な理由はな、飛べるからだそうだ」
「「飛べる?」」
「ああ。なんでもフライト・エンジンとやらを搭載してて、慣れると自由に飛びまわれるそうだ」
「それで、アスナとこのゲームに何の関係が?」
俺はもう一度、送られてきた写真で改めて確認をする。間違いなく写真に写る人物はアスナだった。
「お前らも薄々勘付いていると思うが、この写真が撮られたのは、このアルヴヘイム・オンラインの中でだ」
「………」
「やっぱりそうか……」
「これを見てくれ」
エギルはキリトの手からパッケージを取ると、裏返して置いた。 そこにはゲームの内容や画面写真が細かく配置されており、その中央には世界の俯瞰図と思われるイラストがあった。
そしてエギルさんは、その俯瞰図の中心にあるものを指差した。
「これは世界樹と言って、プレイヤーは9つの種族に別れて、この樹の上にある城に到着する事を目標にしているらしい」
「それはまだ達成されてないんだよな。今どんくらいまで行ってるんだ?」
「一番下の枝にすら辿り着けていないらしい」
「それで?この写真はどう撮ったんだ?」
「複数のプレイヤー達がロケット式で飛んで飛んでを繰り返して、上まで行こうとしたみたいだ。ぎりぎり到着できなかったみたいだが、一人のプレイヤーが証拠にと、何枚かの写真を撮った。その一枚に奇妙な物が写り込んでたらしい。枝にぶら下がる巨大な鳥籠がな」
「鳥籠……」
「そいつをぎりぎりまで引き伸ばしたのが、その写真ってわけだ」
俺はアスナの写る写真に目をやった。確かに格子の様なものが、アスナを取り囲む形で並んでいた。
「これが鳥籠なのか……。じゃあ、アスナはこの鳥籠に閉じ込められているのか?」
「そこまでは解らない。だが確実に言えるのは、アスナがアルヴヘイムオンラインにいるって事だ」
「そうか…」
「それでお前ら、やる事は決まってんだろ?」
「勿論だ。この世界に行って全てを確かめる」
「ああ、捕まってるお姫様を助けに」
俺たちは、アスナを助ける。絶対に。
「なあ、エギルこれ貰っていいか?」
「…キリトがそれ持っていったら俺の分無くなるぞ」
「…お前がそういうと思って、ほれ」
「……は?お前2個も買っててくれたのか?」
「ああ。後、そのゲームはナーヴギアでも動くぞ。アミュスフィアはナーヴギアのセキュリティ強化版でしかないからな」
「その情報はでかい!」
「ああ、これでハードを買う手間が省けた!」
「…これを解決しねぇと俺たちのSAO事件は終わらねえ。頼むぞ2人とも」
「ああ、アスナを連れて帰って、ここでオフをやろう」
「だな」
俺とキリト、そしてエギルの3人で拳を合わせると店を後にした。
…そういや最近、舞がたまに「ちょっとゲームしてくるー」っていうことが増えたけど、、まさかアルブヘイムオンラインやってんのかな、、。…そういや、俺がSAOに入る前にも遊び終わったら貸せって言ってきてたし、、、やってる可能性はあんのか、。とりま、これは後で帰ってから舞に聞こう。
「ただいまー」
「おかえりー。お兄ちゃん。どこ行ってたの?すっごい急いでたみたいだけど」
「ちょっと友達のところに。…なぁ舞」
「…?どうしたのお兄ちゃん」
「お前、アルブヘイムオンラインってゲームやってるか?」
「…え。なんでそれ知ってるの。……まさか、私の部屋に侵入した!?きもっ!最低!」
「おい!勝手に被害妄想膨らませんなや!…少し、事情があって、、もう一回あの世界に入る必要が出てきたんだよ」
「…あんな事があったのに、、?」
舞は心配そうな表情で聞いてきた。…まぁそりゃそうか。身内がしかも2年間もVRの世界で死と隣り合わせのデスゲームをしてたのに、またやりたいとか言ったら心配するよな。……でも、俺はあの世界に魅了された。それに、今回ばかりはあれこれ言ってる暇もない。
「安心しろ、舞。俺は別に大丈夫だし、もしあんなことになってももう一回生き延びてやらぁ」
「そっか、、。……じゃあ、私が最初のレクチャーしてあげようか?」
「…え?マジ?」
「うん。ALO…アルブヘイムオンラインの略称なんだけどね、ALOじゃ初心者狩りとか多いし、飛行は慣れるまで難しいからね」
「…お願いします!舞先生!」
「うん!私に任せなさい!…じゃあ、お兄ちゃんはどの種族にするの?私はシルフってやつだけど」
「あー、種族か、、。どうしよかな、、、」
「ちなみに、私の選んでるシルフは、飛行速度が速いっていう感じの特徴があるよ。ALOのそれぞれの種族にはこんな感じでそれぞれ特徴があるから、お兄ちゃんが1番しっくりきたやつでいいんじゃない?」
「なるほど、、、」
ALOは飛行可能なんだろ。だったら空中戦とかもあるだろう。その時、飛行速度が速いってのは空中戦においてアドバンテージがとれる。…それに、わざわざ他の種族の領地に行かなくてもシルフにしたら直ぐに会えて、世界樹へ向かえる。なら、ここは、、、
「じゃあ、俺もシルフにしよかな」
「えー。お兄ちゃんならインプとかにすると思ってたのに」
「…まぁ、何だ。ALOの空中戦とかで飛行速度のアドバンテージはでかいと思っただけだ」
「ふーん。そっか、、」
「んだよ。その生暖かい目は」
「いやー、別にー」
何だよほんとに。……まぁ、これで1番難関の飛行についても何とかなりそうだし、後は世界樹への行き方だけか、、。
「なぁ舞」
「どうしたの?」
「世界樹へはどうやって行ったらいいんだ?」
「…何で世界樹に?確かにプレイヤーはあそこを目指してるけど、、」
「……そこに用があるから」
「…私には言えないことなんだね、、」
「……悪いな」
「いいよ。お兄ちゃんも黙りたくて黙ってるって感じはしないし。…ただ、全部終わったら私にも教えてね」
「…ああ、絶対」
「うん!さあ行こっか!ALOに!」
「…おう」
…ほんと、あいつには迷惑かけてばっかだな、、、。また今度なんか買ってやろう。…それよりも今はアスナだ。俺たちで絶対に助ける。
俺は自室に戻り、俺をあのデスゲームへと連れて行った、2年前は画期的な機械と呼ばれ、今では悪魔の機械と呼ばれているナーヴギアを手にとった。ALOのカセットをセットし、俺をあの世界に連れて行ったあの言葉をもう一度2年越しに唱えた。
「リンク•スタート!」
俺の意識はナーヴギアによって仮想世界へ移された。
今回はここまでです。…やばい、書きたいのは出てくるけどなんか文章に落とし込めなくなってきてる、、。
今、こっちの筆があまり進んでいないので少し気分転換がてら暗殺教室と呪術廻戦のクロスオーバー小説を書いているのでそっちもぜひ見てください。