sideキリト
俺が黒猫団に入って約1ヶ月、皆んなは最前線より5個下くらいなら安定して戦えるようになっていた。サチも少しずつだけど前衛に立って戦うことに慣れてきている。この分じゃもう少し経験を積んで、レベル上げすれば攻略組に入れるかもしれない。
「はーい!今日の狩りで目標にしてた40万colが貯まりました〜!」
「おお!これでギルドホームが買えるな!」
「ここともお別れかー」
「なんだか少し寂しいね」
「そうだな!」
「…………」
俺たちはしばらくの間ギルドホームを買うための資金集めをやってた。そして今日その目標を達成できた。いや、この1ヶ月しんどかったな。昼は黒猫団と資金集めとかクエストをこなしたり、夜は最前線の迷宮区に潜ってレベリングをしたり、アークの奴には「最近最前線で見かけへんけど何してんの?」とか聞かれたりもした。
それで俺がギルドに入ったことを伝えたら【……嘘はつかんでええんやで】とか言い出すし、あいつ、、。しかもそんなこと言ってるアークも血盟騎士団に入団してアスナの次に偉い役職についたらしい。……あいつも人の事言えないだろ。正直アークがギルドに入るとは思ってなかった。あいつは俺以上にマイペースだし。まぁそこは心境の変化でもあったのか。
そうこう考えてる内にケイタが明日の予定を話していた。
「それで明日なんだけどさ、早速1層に行ってホームの交渉をしに行こうと思う。まぁ俺1人で行くからなんか希望あるなら今のうちにに言っとけよ!」
ササマルやダッカー、テツオが自分達の希望を言い合ったり、俺やサチ、ケイタがそれは無理なんじゃないかとか嗜めたり、そうしてその夜は過ぎていった。
【キリト大変だ!サチが宿屋からいなくなった!俺たちは迷宮区の方を探すからキリトは主街区の方を探してくれ!】
夜遅くケイタからそんなメッセージが届いた。俺は急いで索敵スキルの機能の一個である<追跡>を使った。
サチが居たのは主街区の端の方にある橋の下だった。サチはそこで最近手に入れた隠蔽効果付きのマントを被りながら座っていた。
「サチ!」
「キリト……」
「何でこんなところにいるんだ?、、皆んなも心配してるし宿にもどろ「ねぇキリト」………どうしたサチ?」
「一緒にさ逃げない?この街から。
モンスターから。
この世界から」
「……それは、心中ってことか?」
「それもいいかもね。
、、、ううん死んでもいいならこんな所にいないよね」
「ねぇキリト。最近さ私死ぬのが怖くて寝れないの。
どうしてこうなっちゃったんだろう。
何でゲームの中で死んじゃったら現実でも死ななきゃいけないの?
こんなことしてさ、何の意味があるの?」
サチは泣きそうになりながらそう言った。、、、俺はどう言葉を掛けたらいいかわからなかった。、、、でもこれだけは分かる。
「多分意味なんて無いんだと思う。……俺たちに出来るのはただ必死にこの世界で生き延びようとすることなんだと思う」
俺はそのままサチに言葉を掛けた。
「…サチ。君は死なない。…俺が死なせない。絶対に守ってみせる」
「キリト……」
「サチ!探したんだぞ!いきなりいなくなってびっくりしたんだからな!」
「ごめんね。みんな。でももう大丈夫だから」
サチはそう言ってるけどまだ少し怯えてる。、、、まぁ本人が大丈夫だって言ってるから他人の俺がとやかく言える事でもないな。…アークとかならここで気の利いた言葉の一言くらい言えるんだろうけど。そんなトラブルもありながら俺たちは今度こそ各々の寝室に戻った。
「ねぇ、キリトまだ起きてる?」
皆んなと別れてから少ししてサチが俺の部屋を訪ねてきた。
「どうした?サチ?」
「その、、やっぱりまだ怖くって1人で寝れないから一緒に寝てもいい?」
、、、いいんだけど流石に女の子と添い寝できるほど俺のメンタルはできてない。まぁここはサチにベットを譲って、俺はソファーで寝るか。
「ああ、いいぞサチ。じゃあサチがベットを使ってくれ。俺はソファーで寝るから」
「あ、、ありがとう。………おやすみキリト」
「ああ、おやすみサチ」
サチは寝たか、、、?
よしステータスの管理と武器の軽いメンテとかするか。
俺はまだ皆んなに俺がビーターだという事を伝えてない。伝えても皆んななら受け入れてくれるかもしれない。でも、受け入れられなかったら?……そう考えると伝えようと思っても伝えられなかった。
ふぁぁぁ、眠いな。…もう切りもいいしそろそろ寝るか。
翌日、ケイタは昨日言った通りギルドホームの交渉に第1層へ。それで俺たちは留守番になったわけだが、、、ダッカーがこんな提案をしてきた。
「なぁちょっと上のとこに潜って家具代稼がないか?それでさケイタの奴を驚かせてやろうぜ!」
「ちょっと上って具体的には?」
「んー、今の俺たちなら27層くらいならいけるだろ」
「確かにそこなら早く稼げそうだな!」
「俺はダッカーの意見に賛成!、キリトとサチは?」
「…私は皆んながそこでいいならいいよ」
27層と言えばトラップが多い層だったはず。確かに今の黒猫団のレベルならいけない事もないが、、、基本的に既に攻略されてある層の情報はアルゴのガイドブックにまとめられている。
でもそれは分かっている限りの情報だ。
もしかしたら俺たちが見つけていないトラップ部屋なんかもあるかもしれない。そんな時皆んなは大丈夫なのか?
「なぁ、皆んないつもの狩場でもいいんじゃないか?」
「えー、でもよキリト。上の方が手っ取り早く稼げるし、それにケイタが帰ってくるまでには帰るつもりだし」
「そうだぜ。それに俺らも強くなってるからちょっとやそっとなら行けるっての」
「………分かった」
col集めは順調に進み、今は帰ろうとしている所だ。、、良かったトラップに引っかかる事もなく行けた。後は帰ってケイタを驚かせるだけ、
「あ!あんなとこに隠し扉あるぜ!」
そうダッカーやテツオがその扉に向かっていった。
あんなとこに隠し扉なんかあったか?何か嫌な予感がする、、、
「おい2人ともちょっと待て「何でだよ!RPGじゃこういう隠し部屋にはお宝があるってのが常識だろ!」
その部屋の中にあったのは1つの宝箱だった。ダッカーは俺の制止を聞かずにそれを開けた。そこから出て来たのはお宝なんかではなく、モンスターの大群だった。
「な⁉︎」
「!?…全員転移結晶で転移しろ!」
「キリト!何度も使おうとしてるけど使えない!」
!?まさか<結晶無効化エリア>か!?ダンジョンのボス部屋とかならまだしもこんな狭いモンスターハウスにこんなギミック、、初見殺しがすぎるだろ!!
俺は上位ソードスキルを使いまくって敵を蹴散らした。でもいかんせん数が多すぎる。そんな時だった、、
「うわー!?」
そう言いながらダッカーがモンスターにやられた。
「なっー!?」
ササマルも。
「サチ!下がれ!」
テツオはサチを守って死んだ。
サチの後ろにモンスターが迫ってる。
「サチ‼︎‼︎」
あ り が と う。
声には出てなかったが、サチの口はそう動いていたと思う。
そして
サチも死んだ。
そこからの記憶はあまり無い。ただ、サチ達が殺されたということを感じながら、モンスター共を倒しまくった。
大体30分くらい経った頃だろうか。その部屋に残ったのはサチ達が持っていた武器と大量のモンスターのドロップだけだった。
俺は1人で11層の宿屋に戻っていた。そこにタイミングがいいのか悪いのかケイタが帰ってきた。ケイタは俺が1人だったのに疑問を持ち俺に聞いて来た。そして、俺は話した。今日ケイタを驚かせるためにいつもの狩場ではなく上の27層の迷宮区に行ったこと。そこで俺たちがトラップに引っ掛かり転移結晶で離脱も出来ず俺以外のメンバーが死んだこと。
そして、俺が『ビーター』だということ。
そんな俺の話を聞いてケイタは激昂した。
「お前のせいで、、!お前のせいで!サチが!ダッカーが!ササマルが!テツオが!死んだんだぞ!その責任取れよ!それにお前ビーターならそんな状況でもやれるんじゃ無いのかよ!——」
ケイタは激昂しながら俺の胸ぐらを掴みその後、アインクラッドの外周の手すりに向かって歩き出した。そして、、、
「ビーターのお前なんかが俺たちと関わったのがいけなかったんだ‼︎」
「ケイタ‼︎」
そう俺に向かって言い、ケイタは外周から飛び降りた。
この日、中層ギルド『月夜の黒猫団』は1人のギルドメンバーを残し他は全員死亡した。
俺が関わったからなのか?俺があいつらを助けなかったらよかったのか?それとも最初からビーターだと伝えればよかったのか?俺がダッカーが隠し部屋に入ろうとした時本気で止めれば良かったのか?そもそも27層の迷宮区じゃなくて、いつもの狩場でやらせたら良かったのか?それとも、俺が黒猫団に入らなかったら良かったのか?
あの日以来そんな思考がぐるぐると頭の中を廻っている。もうずっと最前線には出ていない。アークから心配のメッセージも届くが、それに返信する気力も湧かない。
そして、その年のクリスマスのボスは『蘇生アイテム』を落とすと聞いて俺は償いを果たそうと、1人でそのボスを倒す決意をした。
黒猫団の回でした。黒猫団を生存させるかは結構悩んだんですけど、結局生存はさせない方向でいきました。理由としては四話あたりからキリトが壊れてるっていうフラグを出した手前それを引っ込めるわけにもいかなかったんで。それにキャラが増えたらセリフとか考えるのが面倒くさいので。
次は主人公視点でお送りしたいと思います。
んま、次も結構シリアスにするつもりです。その後はまた番外編を一個挟んでオリジナルストーリーのノーチラス救済ルートを行きたいなって思ってます。
じゃあここまで読んでくれたかたできれば感想とか残してってください!まじで励みになるんで。おなしゃす!!