ハイスクールO×O ~目指せ!おっぱいドラゴン!~ 作:貴司崎
「……さて、最後に聞くけど抵抗を辞めて大人しく捕縛される気はあるかしら?」
「舐めるな聖剣使い! 撃て!」
両手の聖剣を弄びながら余裕の表情で最後通告をする駒王町の管理者『土御門花蓮』に対し、不愉快な人間への殺気を漲らせた大王派暗部の悪魔達が取った行動は廃工場広間を埋め尽くす程の範囲に放たれた凡ゆる属性の魔力による一斉砲撃であった。
無論コレは闇雲に取った行動ではなく相手が高位の聖剣使いであるなら近接戦闘はこちらが滅ぼされる可能性がある事を前提として、近接武器である聖剣は接近しなければ真価を発揮しない事、そして扱うのが脆い人間であると言う弱点を突く為の遠距離広範囲攻撃である。
(絡繰は分からんが我らの中で最も剣に長けた『
更にリーダー悪魔は範囲攻撃だけでなく一部の部下には遠距離オーラ攻撃対策の障壁魔力を準備させ、別の部下には高速移動対策と接近されない様に人間が踏むと発動する罠となる術式を地面に仕込み、自分自身は悪魔の翼を広げて飛翔して飛行が難しい人間に優位に戦える体勢を取った。
大王派暗部のリーダーは長い時をバアル家の先兵として生きた上級悪魔故に教会の聖剣使いと戦った経験もあり、故に凄腕の聖剣使いの恐ろしさと弱点を熟知した上での戦術を構築していた。
「範囲攻撃に障壁に飛行に罠と……聖剣使い対策は出来てるって事ね。じゃあちょっとだけ本気で行きましょうか。
……だが、それは相手が“並みの聖剣使いであれば”有効な戦術でしかなく、彼らの目の前にいるのはO×Oの幹部、並みの領域は既に突破しているインフレ激しい
「直撃! やったか!」
「幾ら聖剣使いと言えどあれだけの攻撃を喰らえば……!」
「所詮は人間、人溜まりもあるまい」
「……待て、
魔力攻撃が直撃して廃工場の広間が粉砕された光景に悪魔達は喝采を挙げるが、唯一リーダー悪魔だけは直前に花蓮が発した言葉を聞き逃しておらず、その意味を理解していたが故に驚愕していた。
そんなリーダー悪魔の発言を聞いて驚いて着弾地点を見た他の悪魔達の前で土煙が晴れると、花蓮がいた筈の場所には“聖なるオーラを発する盾”が球状に見える程に多数重ね合わせる形で存在しており、直後にそれらの盾が独自に動いて球状を解き中に居た花蓮に周囲に整列する。
「私の
創造系神器は習熟すれば作った物の形状を後から変化させるなどの応用が可能であり、更に花蓮の先祖である『坂上田村麻呂』や『鈴鹿御前』は剣を鳥や炎に変化させる神通力の遣い手だったとも言われており、その末裔たる『坂上家』にも刀剣を変化させる術が伝わっている。
そして鈴鹿御前に由来する“天魔”の血を濃く受け継ぐ彼女は刀剣変化の神通力も得意としており、この『千変万化の神通剣』は己の神通力と神が生み出した“神器”を組み合わせて至らせた創造と変化に特化した禁手。
「……その禁手で聖剣を盾に変えて我らの攻撃を防いだという訳か」
「そういう事。まあ魔力に対する抵抗力を付与した聖剣を作ってそれを変形、更にそれらを数十枚重ねて結界を作って防いだ訳だけど。……じゃあ次はこちらから行くわよ」
そう言って片手を振るった花蓮に応える様に数十枚の盾が一瞬で剣に変化、それらが空中で独りでに動いて悪魔達に切先を向けて一斉に空を駆けて襲いかかった。
尚、変形に関しては神器の力だが聖剣を動かしているのは彼女自身の神通力、息子の蒼月が使っている念動と同型の術ではあるがその練度は桁違いであり数十本の聖剣それぞれがまるで独自の意思を持ったかの様に自在に宙を駆けていた。
「チィ! 撃ち落とせ!」
「ダメだ!? 当たらない!」
「この聖剣共魔力を弾いて……!?」
「障壁を張れ!」
悪魔達も迫り来る聖剣群を撃ち落とそうと魔力による弾幕を放って行くが、全て花蓮によるマニュアル操作で飛翔する聖剣達は放たれた魔力攻撃を普通に回避して、或いは魔力抵抗に長けた特性を活かして魔力を斬り払って迫り来る。
それを障壁で防ごうとする悪魔もいたが魔力に耐性がある聖剣故に魔力で出来た障壁にも特効となり、咄嗟に張った障壁はあっさりと貫かれて聖剣に串刺しにされ、更に刺さった聖剣の特性を“対悪魔用麻痺毒発生”に切り替えられて昏倒した。
「変身の応用で聖剣の特性を作った後でも自由に変えられるのよね。ついでにうちの実家の家伝の術も見せてあげましょう」
「なっ!? 聖剣が鳥に変わって……グアッ!?」
「舐めるな! 斬り払って……聖剣が炎に!? ギャァァァァァッ!?」
更に別の悪魔が魔力による暴風によって聖剣を吹き飛ばそうとしたらその聖剣が鳥に変わって風を避ける様に飛翔、見た目こそ鳥ではあるが聖剣としての聖なるオーラも有する“聖鳥”の突撃を喰らい悪魔は悶絶する。
また魔力で出来た剣で聖剣を斬り払おうとした悪魔の目の前でその聖剣が炎に変わって剣をすり抜け、そのまま聖剣としての特性を持った“聖なる炎”に包み込まれて焼き尽くされた。
「チィ! 鬱陶しいわ!」
「……へぇ、消滅魔力なら私の聖剣がどんな形に変化しても消滅させられると。一応魔力抵抗に長けた特性にした筈なんだけど、消滅魔力は耐性とかも突破出来るって話は本当みたいね。……まあ消滅させられたなら新しく作るだけなんだけど」
しかし、悪魔達が縦横無尽に動き回る聖剣群に翻弄される中でリーダー格の悪魔だけは実力が頭一つ抜けているのか消滅魔力を駆使して聖剣を次々と消滅させて行くが、それを見ても花蓮は涼しい顔をしながら再度聖剣を作り出して嗾ける。
それを見て上級クラスの悪魔達を翻弄している変幻自在の聖剣ですら彼女に取っては多数作成出来る数打ちの代物でしかないと悟ったリーダー悪魔は、このままでは本当に不味いと判断して賭けに出る事にした。
「お前達、本体であるあの女に攻撃を集中しろ! ヤツを止めねば聖剣は幾らでも湧いてくる!」
「しかし聖剣による攻撃が激しく……!?」
「ヤツを攻撃すれば聖剣の動きも鈍くなる! それに此処までしてターゲットをし損じれば我等の居場所はなくなるぞ!」
『りょ、了解!』
大王派の“裏”を担う彼等であるが故に失敗すれば自分達も切り捨てられる側になると理解しており、それを改めてリーダー悪魔に突き付けられた悪魔達は聖剣の防御を最低限の障壁に任せて再び花蓮への魔力攻撃を行った。
最初の一斉攻撃よりも弾幕の密度が少ないからなのか彼女は余裕を持って攻撃を見切り回避したが、その攻撃で聖剣が何本か破壊された隙にリーダー悪魔は翼を広げて全速力で距離を詰める。
「捉えたぞ!」
「あら、思ったよりやるわね。でもまだ聖剣は作れるわよ」
そうして花蓮に近付いたリーダー悪魔は多数の滅びの球体を形成して射出するが、花蓮の方も素早い動きで滅びの球体を避けつつ更なる聖剣を創り上げて鳥へと変化させた上で悪魔へと向かわせる。
だが、回避した滅びの球体がリーダー悪魔による遠隔操作によって追尾してきたので、かのじょは再び対魔力の盾を作りだして防ぐが数発滅びの球体を受けた辺りで消滅して残りの球体が殺到したので素早く手に持った聖剣を振るって斬り払う。
「……へぇ、数打ちの聖剣だと数回切っただけで消滅するのか。触れた物を消す消滅魔力って実際に戦ってみると思った以上に厄介ね」
「私が磨き上げた“滅び”の力をただ大王の椅子に座っているだけの連中のそれと同じだと思うな!」
しかし数回斬り払っただけで聖剣が削れたので花蓮は即座に変化の応用で刀身を変形させて修復させた……『凡ゆる物を消滅させる』と言う“滅び”の力はシンプル故に強力であり、単純に出力や強度で上回らなければ問答無用で消滅してしまう。
加えて消滅魔力を何度も食らえば耐えられる出力や強度であっても削られるので、消滅魔力を防ぐ実力があっても普通なら装備やオーラをどんどん削られて消耗を強いられる。
「私の場合は修復も再生産も出来るからまだマシかしらね。或いは消滅魔力でも問題ない程の武器でもあれば楽だけど、人間なら生身に喰らうのは不味いと」
「余裕ぶっていられるのも今の内だ。……行け、滅びの剣群!」
冷静に消滅魔力の性質について考察しながら戦う花蓮に対してリーダー悪魔は準備していた魔力を一気に解放、不吉な気配すら漂わせる濃厚な“滅び”のオーラを放出・圧縮して多数の短剣の様な形状に変化させた。
先程までの球体とは秘められた消滅魔力の質量が桁違いである事を察した花蓮は距離を取りつつ聖剣を生成して発射するが、同じ様に発射された滅びの短剣とぶつかって一方的に消滅させられてしまう。
「圧縮して消滅魔力を一点突破型に貫通力に特化、更に誘導性も完備とは中々いい技だと思うわよ。こんな裏仕事してるには勿体無いと思うぐらいには研鑽を積んでいるのね」
「挑発に乗るつもりはない、我が滅びによって此処でただ死ぬが良い」
「別に挑発してるつもりはないのだけど」
追尾してくる多数の滅びの短剣を躱しつつ距離を一旦取った花蓮は新たな聖剣を作りながらそれらを盾や鳥や炎、或いは氷や雷や鎖など多種多様な姿へと変えて滅びの短剣を防ごうとする。
だが、対象が物質だろうが生物だろうが現象だろうが消滅させる滅びの短剣はそれらを全て食い破って花蓮に迫る……そしてそれを工場の端の方で結界に守られながら見ていたクレーリア達は焦り出していた。
「このままじゃ花蓮さんが倒されちゃう!? 私達も援護に……!」
「いや貴女達が行っても足手纏いになるだけだから結界で大人しくしてて」
「それならば青蘭だけでも援護に行った方が良いのではないですか? この結界の維持だけなら我々だけでも……」
「その必要もないわ。この場での私の役割は貴女達を守る事だし」
リーダー悪魔の消滅魔力に押されている様に見える花蓮を見てクレーリアとその眷属達は焦りを浮かべているが、それに対して『櫛橋青蘭』は平然とした表情で結界の維持と万が一クレーリア眷属を襲う者がいないか周囲の警戒のみを続けていた。
一見薄情にも見えるその態度だが、青蘭としてはO×Oの幹部があの程度の悪魔相手に苦戦するなんてあり得ない、特に自分では歯が立たなかった何処ぞのロリコン聖騎士……とタイマンで戦って降している土御門花蓮であればと言う事実に基づいた判断だったのだが。
「つまり、アレはどう考えても目的があって手加減しながら戦いを長引かせてるだけだから。そもそも花蓮さんがその気なら現れた時点で
「いやでも消滅魔力相手に苦戦してるのかも……」
「単純な攻撃の属性とかは彼女に取ってはそこまで脅威にはならないわよ。……それにそろそろ仕掛けるみたいだし」
そんな彼女達の視線の先では滅びの短剣を躱し続けていた花蓮が作った聖剣を消されて徐々に数を増やす短剣に追い詰められて、そのまま回避しきれなくなり工場の壁際まで追い詰められた状況になっていた。
彼女を追い込んだと見たリーダー悪魔は残された魔力の大半を使って更に滅びの短剣を形成、逃げ場がない程に周囲を埋め尽くした上で一斉に射出した。
「この狭い工場ではこれ以上逃げられん! 終わりだ!」
「……大体わかったわ。形成・
だが、そんな状況でも花蓮は平静なままで一本の黒い刀身を持つ聖剣を作り、飛来してくる無数の滅びの短剣を神速の太刀筋で斬り裂き続けて逆に消し飛ばしていく。
その聖剣は幾度滅びの短剣を斬り裂いても刀身が消滅するどころか曇り一つ無く、そもそも全てを消滅させる筈の消滅魔力を斬っただけで逆に消し飛ばして行くという余りにも異常な光景を創り出していた。
「……な、一体何なんだその聖剣はァ! 我ら大王の滅びの力を逆に消し飛ばすなぞあり得ん!」
「ただの消滅魔力を相殺できる特性の聖剣を創っただけだけど? 何度も聖剣を消滅させられて滅びの力の波長は覚えたから、その波長に対して対消滅する聖なるオーラを発する聖剣って感じかしらね。消滅魔力そのものを聖剣で作るのは相性が悪いみたいで無理だったけど」
自らが誇りとしていた滅びの力をあっさり消滅させる聖剣を見て動揺するリーダー悪魔を尻目に、花蓮はオーラで対消滅させる聖剣だから消滅魔力を相殺する度に使い手のオーラが減って燃費悪いしもう少し改善出来ないかなと考えていた。
「そもそも消滅魔力は全てを消滅させるが故に逆に全てのモノに干渉される代物で、だからシンプルに膨大なオーラや耐久性で消滅魔力の力を上回れば防げる。この聖剣はそれを効率よく実行出来るだけの物だから作るのは難しくなかったのよ」
「そんなふざけた理屈が認められるかァ!!!」
消滅魔力への対処をごく普通の事の様に語る花蓮に激昂したリーダー悪魔は残された魔力を振り絞って特大の滅びの球体を形成、更に圧縮を重ねて杭の様に形成して全力で写出した。
対消滅させると言うならそれを許さぬ程の魔力を込めれば良い、もし躱そうとしたなら圧縮された魔力を解放して周辺一帯を吹き飛ばしてやると言った考えによる攻撃であったが、それに対して花蓮は聖剣のオーラを迸らせながら上段に構える。
「さて、私はかの
そうして迸るオーラは瞬時に聖剣を包み込む眩い輝きとなる様に圧縮され、花蓮はその濃密な聖なるオーラを漂わせる聖剣を一閃して凄まじい轟音と閃光の元に滅びの杭を消し去ってしまった。
……天魔の血を濃く受け継ぎ神器を禁手に至らせている彼女のオーラは普通の人間とは比べ物にならないぐらいには多く、聖剣を操る技と合わせれば今の様な力押しの剣技も出来なくはないのだ。
「やっぱこの剣燃費悪いわね。魔王クラスの消滅魔力の使い手と戦うならもう少し改良が必要か」
「な……なぁ……!?」
彼女としては今の剣技も魔王級相手に主力として使えるレベルじゃないので大した事はしていないと考えているが、自らの全力を正面から斬り伏せられたリーダー悪魔はようやく目の前の女が自分よりも遥かに格上の存在であると気付いてしまった。
それでもまだ部下達含めて集団で仕掛ければ勝ち目があるとリーダー悪魔は後ろを向いた……が、そこにあったのは全員が聖剣で貫かれて地面に縫い止められる、或いは聖剣が変化した鳥獣に叩き伏せられる、または聖剣を持った鎧武者に斬り伏せられる部下達の姿だった。
「ああ、そっちの悪魔達は全員制圧したわよ。さっき斬ったヤツと同じ対悪魔用の制圧聖剣で斬ったから暫くは動けないんじゃない」
「な……貴様、まさかこれまでの私との戦いは全て“片手間”だったとでも……!?」
神器『聖剣創造』の本来の禁手は聖剣を持った甲冑騎士を創り出す『
リーダー悪魔が自分に向かって来た時点で彼女は最初に射出した聖剣を触媒として鎧武者などを創造、自らリーダー悪魔の相手をしつつ聖剣と鳥獣と鎧武者の遠隔操作で悪魔を制圧するというマルチタスクをこなして見せたのである。
『外の悪魔の制圧と結界の“準備”は終わったぞ』
「あらそう。……なら、これ以上戦いを引き延ばす必要はないかしらね」
「何だと……我らが敷いた結界が上書きされている!? 今までの戦いは結界を書き換えて我々を逃さない様にする為の時間稼ぎだったのか……!?」
そこで旦那からの連絡によって悪魔達を逃がさない結界の設置、及び各種事後処理の為の準備が終わったと判断した花蓮はさっさとこの戦いを終わらせようと纏う雰囲気を冷たいモノに変えてリーダー悪魔に向けて歩みを進める。
ようやくこれまでの戦いで目の前の女は全く本気を出していなかったと理解してしまったリーダー悪魔は思わず後退るが、結界に阻まれて転移で逃げる事も出来ず、そもそも先に自分が言った通り逃げた所で此処までの失態を犯せば大王派に自分の居場所はないと知っているが故に最後の手段を決断した。
「……ならば! 最後に任務だけは達成する!!!」
「へぇ?」
そう言ったリーダー悪魔はその身に刻まれた『生命力を魔力に変換する』禁術を行使して寿命を削り魔力を確保し、それを全身に異常な出力の滅びの魔力として纏わせながら翼を全力で羽ばたかせて転身、結界で身を守っていたクレーリア眷属の元へと飛翔した。
「おおおおおおおおおっ!!! 我らが太祖に栄光あれぇぇぇぇっ!!!」
「ちょ!? こっちに来るよ!?」
「全員結界を強化!」
「面倒な事を! イズチ!」
なんか上級悪魔達を一方的にボコボコにしてる花蓮を見て混乱しつつもコレなら大丈夫だと思っていた矢先の特攻に一瞬慌てるクレーリア眷属だったが、日頃の訓練で電撃を受け続けて磨かれた魔力障壁の即時展開技術を駆使してリーダー悪魔の特攻を防ごうとする。
更に青蘭も念の為にイズチを再び巨大化させて迎撃の構えを取るが、自分の身体が徐々に消滅する程の消滅魔力によっての自爆しようとするリーダー悪魔はそんな程度の防御は無意味と言わんばかりに更に飛翔速度を上げ……。
「……まあ職務に忠実なのは褒めてあげるけど」
「な……ガハァッ!!?」
……ようと翼を振るおうとした時いつの間にか結界のすぐ近くで剣を振り終わっている体勢の花蓮が現れ、次の瞬間リーダー悪魔はその両翼を含めて消滅魔力を纏っていた筈の全身を斬り刻まれて飛行を制御出来なくなり、そのまま錐揉み回転して地面を削りながら結界の横を通り抜けて墜落してしまった。
凄まじい形相で目の前まで迫っていた悪魔が一瞬で斬り刻まれる光景にクレーリア眷属は目を白黒させるが、その中で花蓮の能力を知っている青蘭だけは『彼女が私達の目にも映らぬ神速でリーダー悪魔を先回りして斬り刻んだ』のだろうと推測した。
「……相変わらず見事な『神速通』ですね、見えてませんけど。やっぱ私要らなかったのでは?」
「青蘭ちゃんは良くやってるわよ。後は壁を二、三枚越えれば私ぐらいには強くなれるわ」
「二、三十枚の間違いでは?」
彼女が修めている『神通力』とはこの『ハイスクールD×D』世界では仏教や修験道に於いて修行の果てに神仏の力を人間が限定的に扱える様にする異能であり、その力はただ物を浮かせる程度ではなく極めれば限定的にだが神仏の『権能』を扱う事すら可能となる。
そして今使用されたのは神通力の奥義『六神通』の一つ、自由に自分の思う所に即座に移動出来る様になる『神速通』の限定的な時空間操作能力であり、自らの固有時間を加速させての超神速で接近した上で消滅魔力を突破出来る聖剣で斬り裂いたという訳である。
「私と貴女にそこまで才能の差はないと思うわよ? 後は鍛錬と経験と年期でどうにかなるぐらいだしね」
「一つ修めるのに才ある人間が数十年は厳しい修行を積まねばならない六神通を、その歳で三つも習得した貴女に言われてもイマイチ説得力に欠けますね」
「私のは大分戦闘特化にアレンジしてるけどね。本来の六神通は悟りとか解脱とかの為の技法だから私のは大分邪道寄りよ」
「それで“O×O最速”になってるんですけどね」
それ故に彼女は瞬間的な速度に於いてO×Oでも最速──“仙術と武術を極めた魔人”や“神速の神器を持つ悪魔剣士”や“龍の鎧を纏う堕天使”を速度に於いては上回る存在であり、少なくともその速度に対応出来なければ魔王級でさえ斬り捨てる。
なので彼女がその気ならば最初に現れた時点で悪魔達を全て斬り捨てて終わらせる事も出来たのだが、今回は全員生け取りにする為に旦那が諸々の準備を終えるまでの足止めをしていたに過ぎない。
「さてと、楽な戦闘は終わったし此処からが面倒な本番なのよねぇ。とりあえずこの単なるはぐれ悪魔とは思えない連中をしょっ引いて背後関係を吐かせないとね」
「……まあ“調査”は必要ですよね。じゃあとりあえずクレーリアに「……ククク……!」ん?」
悪魔達が全員聖なるオーラと対悪魔用拘束術式と麻痺毒で昏倒しているのを確認した青蘭はクレーリアに何か心当たりがないか、実際には原作知識で大体分かってるが裏取りの為の聞き込みをしようとした所でリーダー悪魔にまだ意識がある事に気付いた。
さっきまでは気絶していた筈なのに随分とタフだなと思いつつ死なない程度の電撃で意識を落とそうとする彼女だったが、その悪魔の全身から死にかけとは思えない程の異常な魔力が吹き上がるのを見て手を止めた。
「なんでいきなり……これは魔力が暴走してるの?」
「ククク、我らの肉体には万が一敵に敗北した時に証拠を残さぬ様、自らの魔力を暴走させて自爆する禁術が施されている。我ら全員の魔力を暴走させての自爆ならば街一つは容易く消し飛ばせる。貴様ら諸共なぁ!!!」
そう叫ぶリーダー悪魔に呼応してか意識を失った筈の他の悪魔達の身体からも膨大な魔力は吹き荒れ始め、まさに自爆の秒読み段階の様な不安定な魔力が廃工場を揺らし壁や床にヒビを入れて破壊していく。
「ハハハハハ! これで我らに歯向かう愚か者達を「まあ対策済みなんだけどね」何……グアァ!?」
そうしてリーダー悪魔がヤケになった様に自爆しようとした次の瞬間、工場内に無数の呪文が描かれた魔法陣が形成され、その呪文が悪魔達の身体に纏わり付き暴走寸前だった筈の魔力を一瞬で押さえ込み封印していった。
その正体は工場の外にいた悪魔を処理していた駒王町のもう一人の管理者『土御門月下』が自らの神器の禁手を使って展開していた結界によるものであり、これは単なる逃走防止効果だけでなく結界内部の敵対悪魔の魔力を封印して能力を一般人レベルまで落とす拘束結界ってしての機能もあったのだ。
「お前達の様な裏稼業やってる連中の最後の手段ぐらいは読んでるわよ。ウチの忍者もそのぐらい破壊準備してるし。その為に時間稼ぎながら態々ウチの旦那に面倒な構成の結界を張らせてたのよ。そもそも月下なら結界の乗っ取りと逃走防止結界の展開ぐらいなら一瞬で終わるしね。……ってもう意識がないか」
魔力を封印された影響で今度こそ完全に気絶したリーダー悪魔を見た花蓮は徐に聖剣を何本か生成、更にそれらを鎧武者へと変化させて倒れている悪魔を旦那が準備した特注の牢屋行き転移魔法陣に運んで行った。
「さてと、今度こそ片付いたかしらね。……とりあえずクレーリアちゃん達も一旦ウチの方に来て貰えないかしら? コイツら単なる悪魔じゃない事は分かりきってるし、それについて色々と管理者として事情を聞かないと行けないからね」
「引き続きクレーリア達が狙われる可能性があるから警備が厳重なO×Oの支部に居た方が良いと思うわよ。花蓮さん達も居るし。……大丈夫、少なくともこれ以上悪い事にはならないわ」
「……分かりました。眷属達の保護もお願いできますか?」
自分よりも眷属の安全を優先する『
──────◇◇◇──────
478:☆聖剣巫女
そういう感じで私の管轄で舐めた真似してくれたカスにはきっちり落とし前を付けておいたわ
クレーリアちゃん達は駒王支部のVIPルームで今保護して話を聞いてる
例の『王の駒』についても某魔王様の人間界の拠点で資料の一部を見たんだってさ
479:☆結界師神主
廃工場の隠蔽処理と敵拠点にいた後詰の悪魔の制圧も完了した
悪魔は全て捕獲して証拠品も押収した上で欺瞞情報を流して大王派への発覚を遅らせてる
それと生捕りにした悪魔達は支部にある亜空間監獄結界で治療を施した上で拘束中
480:☆お狐占い師
悪魔達の治療は終わったけど使った自爆術式の反動からダメージが深いなぁ
目を覚ますまでには暫く時間が掛かりそうやから尋問はそれからやね
刻まれた自害用の術式が思ったよりタチ悪いヤツやから年明けまでは掛かるわ
481:★管理人
ご苦労様でした
とりあえず対処が楽な方は片付きましたね
それと年末は忙しいので悪魔達はそのまま回復させる感じで
482:名無しの神器使い
久しぶりのレーティングゲームで忙しいもんね管理人
483:名無しの神器使い
でもクレーリア事件は阻止できたって事でめでたしめでたし
484:名無しの神器使い
……にはまだならないんだよなぁ
大元の大王派の方をどうにかしないと
485:☆聖剣巫女
とりあえずクレーリアちゃん達はウチで保護するから物理的に危害が加わる事は阻止出来る
だけど私らが冥界のお政治の話に関わるのは無理だからね
駒王町にいる間は守ってあげられるけどそれ以降は手出しは出来ない
486:名無しの神器使い
管理人が大王派と交渉するんじゃないの?
487:名無しの神器使い
無敵のO×O幹部パワーでどうにかして下さいよ〜
488:☆お狐占い師
戦闘力と政治力は別もんやからなぁ
襲撃して来た連中を血祭りに上げる事は出来ても政治の場で勝つのは難しいやろ
幹部やからって何でも出来る訳とちゃうからなぁ
489:名無しの神器使い
戦闘なら何とかなるがお政治は分からぬ
490:★管理人
まあクレーリア・ベリアルを狙われなくするぐらいならなんとかならない事はない
要は彼女を狙うより放置する方がマシだと思わせればいいんだからな
491:名無しの神器使い
それで具体的には?
492:★管理人
今回の一件を裏事情含めてディハウザー・ベリアルにチクる
ついでにサーゼクスとアジュカにもチクる
493:名無しの神器使い
まさかの全ブッパで草
494:名無しの神器使い
大丈夫なんそれ?
495:☆結界師神主
例の駒について知ったクレーリアを大王派が狙ったのは皇帝に知られるのが怖かったからだろうしな
なら先に伝えてしまえば態々狙う理由がなくなるし皇帝自身が従姉妹を守ろうと動くだろうね
留学中の若手悪魔を襲うなんて違法行為をした証拠も確保出来たし
496:☆聖剣巫女
こんな事件が起きたんだから駒王町の運営に関わってるグレモリーに話をする必要はあるしね
あそこが人格者の集まりなのは分かってるから尋問で得た情報含めて教えれば大王派も迂闊には動けなくなるって事
497:☆お狐占い師
尋問に関しては読心の神器持ちと真実を話させる神器持ちを用意しとるしな
498:名無しの神器使い
クレーリア・ベリアルを殺すメリットよりデメリットを増やせば良いと
499:★管理人
この一件をキッカケに魔王連中と皇帝を巻き込んでの大王派との話し合いに持っていけば勝算はある
アジュカに関してはテメーの情報管理の杜撰さが招いた事態だから文句を言う権利ぐらいあるだろ
500:名無しの神器使い
あの超越者に連絡取れるの?
501:★管理人
アジュカも人間界の日本で活動してるから連絡が取れん事はない
まあお互いのスタンスが違うから完全な味方でもないし敵対する事もあるけど
俺らとは堕天使勢力よりはやや味方寄りの中立ぐらいの関係
502:名無しの神器使い
そうだったんか
503:名無しの神器使い
まあ兎に角、直接の襲撃はどうにかして証拠も確保したから後はお政治の時間か
504:名無しの神器使い
もう管理人がんばえーするしか一般転生者に出来る事はなさそうか
505:☆お狐占い師
忙しくなっとる駒王町の人員が足りんくなるから助力は欲しいんやけどなぁ
事情知っとる転生者なら動かしやすいから尚更
506:名無しの神器使い
聖天使ネキとロリコン聖騎士も居なかったっけ?
507:☆聖剣巫女
あの二人は名目上は休暇扱いだからねぇ
いざという時の救急箱を頼んではあるけど
508:☆マスター仙人
うーむ、近場の支部から暇してる転生者は一時派遣するぐらいは出来るか
どうせ尋問用の人員は派遣しなければならんし
509:☆半天使
今はお休み中の救急箱だけどちょっと良い?
クリスマスイベントの事で相談があるんだけど
510:名無しの神器使い
あ、天使ちゃんだ
511:名無しの神器使い
クリスマスイベント? なんかやるの?
512:名無しの神器使い
縄張りにしてる領地の異能関係者を慰撫すり為にプレゼントを配るイベントだな
地域住民との健全な付き合いの為に行事を利用して年に何回かやってるイベントの一つ
513:☆聖剣巫女
信徒メンバーも関わってる催しだから私が忙しい間だけちょっと聖天使ネキにまとめ役を頼んだのよね
せっかくの休暇中に悪かったわね
駒王町支部で準備してた筈だけど何かあったの?
514:☆半天使
半天使です……まあ面倒見てる信徒も関わってるので少しぐらいなら構いませんけど
それでクリスマスイベントの準備にミニスカサンタ魔法少女コスのミルたんさんが参加してるんですけど
515:名無しの神器使い
え、ミルたん居るの!?
516:名無しの神器使い
まあ駒王町なら居てもおかしくないけど!?
517:名無しの神器使い
ハイスクールD×Dの名物キャラである漢の子魔法少女さんだな
いやまあ短編的ギャグイベントなら居てもおかしくないけど俺らO× Oの活動に関わっても良いのか?
518:☆結界師神主
ミルたんはこの世界ではO×Oに所属しているから問題ない
……除霊中に遭遇して『ミルたんを魔法少女にして下さいにょ!』って言われてな
記憶消去も当然の様にレジストするからウチに加入させる事になった
519:☆お狐占い師
まあ原作でも魔法使いの組織に最終的に入るから別にええんやないって
今は魔法使いとしての訓練と魔法少女魔法の研究と駒王町内の自警団的な活動をして貰っとる
丸太に乗って飛翔しながら悪霊や悪い妖怪や異能者をミルキー☆しとるわ
520:☆聖剣巫女
実際『魔法少女として街の平和を守るにょ!』と本人のやる気も十分だから結構助かってるわ
ミルたんにミルキー☆された連中は『もう2度とアレと戦いたくねぇ!』って再犯率も低いし
教会と悪魔側のゴタゴタで色々と大変だった時も街の治安維持要員として世話になったよ
521:名無しの神器使い
スゴイ活躍しとる
522:名無しの神器使い
これが原作キャラの力……描写がギャグ回になるけど
523:名無しの神器使い
魔法使いグループから最近は腕力を魔法力に変換する術式の開発が順調って聞いたけどそれって……?
524:☆マスター仙人
まあ異能者として周りに迷惑掛けないなら漢の子魔法少女だろうが受け入れるのがウチの方針だからな
ミルたんの同士達も色んな町で真面目に魔法少女やってるからむしろ助かってるまである
525:名無しの神器使い
同士って増えたの?
526:名無しの神器使い
残念ながら原作でも漢の子魔法少女が複数いる描写があるので原作通りです
O×Oに加わったミルたんから話が及んで『自分も魔法少女になりたいミニョ!』って漢達がウチの門戸を叩いたので
527:☆半天使
そんなミルたんなんだけどクリスマスの手伝いには少し遅れるって話だったのよね
何でも駒王町で魔法少女ミルキーのクリスマス特別イベントがあるからって
限定グッズが出るとか
528:名無しの神器使い
限定イベントがあるなら仕事や試験をブッチしても仕方ないですからね!
529:名無しの神器使い
いやブッチはダメだからせめて事前に連絡は入れとけよ
出来れば予定日に有休を取れ
530:☆聖剣巫女
まあO×Oのクリスマス企画はほぼボランティアだから参加は義務じゃないしね
それでミルキークリスマスイベントでミルたんが何かやらかしたの?
ミルたんその手のイベントではキチンとマナーを守るタイプだった筈だけど
531:名無しの神器使い
イベントでのマナー遵守はファンの基本だからな
532:☆半天使
ミルたんは限定ミルキーイベント自体で問題は起こさなかったわ
ただそこで同じミルキーファンと友人になって連れて来ちゃったのよね
そんでその友人が人間じゃなくて悪魔なのよ
533:名無しの神器使い
うーん、一般人をO×Oに連れて来るなら問題だけど悪魔なら大丈夫じゃないか?
危険な悪魔って訳じゃないんだろう?
534:☆半天使
まあ話は分かるから危険とは言い切れないわね
現四大魔王の一人セラフォルー・レヴィアタンさんは
535:★管理人
確かにセラフォルーは話が分かる方……フォァ!?
536:☆結界師神主
何やってるんだ魔王少女
537:☆お狐占い師
まあミルキーファンだからイベントに来ていてもおかしくないかなぁ
……せめてアポは欲しいんやけど
538:☆半天使
そしてミルたんと意気投合した魔王少女さんはO×Oのクリスマスイベントを手伝いたいって言ってきて
今はなんかミルたんと一緒にいた蒼月君及びイッセーくんとイリナちゃんと一緒にプレゼント包装してるわ
539:☆聖剣巫女
……息子よ、一体何故そんな状況になっとるんじゃい
あとがき・各種設定解説
土御門花蓮:O×O幹部の中でも上位勢
・『千変万化の神通剣』は創造系神器としての万能性と創造性に特化する形で強化された禁手であるが、神の力を有する神器が強化された事で神の力を限定的に振るう術である神通力も強化される副次効果がある。
・変化させられる範囲は非常に幅広く余程質量が巨大でないなら大抵の物には形を変えられて、更に変化の応用で通常の『聖剣創造』では不可能な複雑な特性を付与した聖剣を作る事も出来るのです高い万能性を持つ。
・今回見せた以外にも様々な応用技がある上、そもそも今回はコスパ重視の“数打ち”の聖剣しか作っていなかったのだが、そこに本人の能力を加えた戦闘能力は数百年生きてきた古参勢に匹敵する程でそれ故に駒王町の管理者に抜擢された。
・神通力に関しては物体の変化や念動による物体操作を極めており、更に秘奥である六神通の中で神速通・天眼通・天耳通を独自に修めていて拡張された視覚・聴覚で周囲を把握しながら超神速で超一流の剣術も使って戦闘する。
・悪魔達を捕まえた後はクレーリア眷属を保護して話を聞いていたのでクリスマス企画の準備は別の人に任せており、息子が妙な事になったのは掲示板で初めて知って頭を抱えつつどうすべきか思案している。
クレーリア眷属:無事保護
・クレーリアに関しては保護された後でアジュカ・ベルゼブブの拠点に忍び込んで『王の駒』についての資料を見てしまった事を白状しており、魔王様の拠点に忍び込むなんてした事を『女王』含めた眷属にめっちゃ怒られた。
・とりあえず万が一にも引き続き襲撃された場合の為に学校は一時休学して領主の仕事も休みにさせて、今後の事を話し合いつつ謎の悪魔達の身辺調査が終わるまでO×Oのマンションで保護される事を提案されて眷属の安全の為にクレーリアは承諾した。
読了ありがとうございました。
O×Oの幹部じゃない転生者の自己評価が微妙に低めなのは幹部クラスの実力が異常に高いからでもある。そして次回はギャグ短編的なクリスマスの話を予定。