ハイスクールO×O ~目指せ!おっぱいドラゴン!~   作:貴司崎

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【戦いも】皇帝VS管理人応援実況スレ【佳境】

1:☆マスター仙人

 このスレは『皇帝ベリアル10番勝負』最終戦の『皇帝VS管理人』の試合を実況しながら応援するスレです

 O×Oの会員制動画サイトでレーティングゲームのリアルタイム視聴が可能なのでそちらを見て下さい

 年末のイベントなので適当に応援しながら緩い感じで応援書き込みしましょう

 

 

 

 ──────◇◇◇──────

 

 

1221:名無しの神器使い

 うわああああ! 放火戦車ニキが敵のカウンターを喰らって落ちたぁ!

 

1222:☆元吸血鬼

 火力特化の一芸型だから対応出来るカウンターに弱いのがあの人の欠点だからなぁ

 まあ並みのカウンター使いなら余裕で蒸発させられるんだが

 

1223:名無しの神器使い

 皇帝眷属が並みな訳がなく……

 

1224:名無しの神器使い

 ただカウンター使いが放火戦車ニキを落とした隙を突いて剛腕戦車ニキが突っ込んだな

 あのカウンター連続使用出来ないのか必殺の拳で相手も落ちた

 

1225:名無しの神器使い

 忍者ニキはカウンターし難い相手だから厄介な結界使いの僧侶と相打ちになったし

 此処に来て一気に試合が動き始めたな

 

1226:名無しの神器使い

 残ってるのは姫騎士ネキと剛腕戦車ニキか

 皇帝チームは3人残ってるし流石に不利か?

 

1227:☆聖剣巫女

 ダメージ量は向こうの方が多いからどうかしらね

 治療師ネキが禁手に至って拡張された回復のオーラを定期的にあっちに飛ばしてたし

 

1228:名無しの神器使い

 回復のオーラを纏めた球体をキロ単位で遠距離に飛ばしてそこに味方が触れたら回復効果発動とかズルくね?

 敵が触れても効果は一切発揮されない識別機能付きとか

 

1229:☆半天使

 アレなら直接狙って回復オーラを当てられずとも近くまで撃ち出せれば味方の支援になるしね

 私でもあそこまで回復の力を自在にコントロールする事は出来ないし

 

1230:名無しの神器使い

 まあそれに気付いたベリアル側が全力で治療師ネキを妨害しているから流石にもう出来んだろうが

 

1231:☆元戦乙女

 治療師ネキを狙う敵の目的を逆手に取って敢えて彼女を囮にしてその隙を突くとかやってるけどね管理人

 鍛治師ニキが落ちた戦力不足を上手く埋めている

 

1232:名無しの神器使い

 魔剣を使って派手に戦ってはいたんだが相手の女王に魔剣を補充する隙を突かれてあっさり落ちてたな

 

1233:自称有識者

 鍛治師ニキの本職は生産で戦闘能力は眷属最下位だからしゃーない

 それでも並みの上級悪魔以上の実力はあるんだが相手の女王が強過ぎた

 

1234:名無しの神器使い

 回復する間もない超大火力で急所をぶち抜かれてリタイアしたからなぁ

 鍛治師ニキ大丈夫かな

 

1235:☆半堕天使

 アレはレーティングゲームのルールが許すギリギリの威力で確実に一撃で落とすやり方っぽかった

 リタイアシステムは発動してたから問題はないと思うけど

 

1236:雷鳥使い

 ゲームのルール範囲内で回復を許さず確実に落とす一撃を的確に放てる辺り流石は王者の『女王』って事か

 レーティングゲーム内の戦闘なら皇帝に分があるってのはこういう事なのね

 

1237:名無しの神器使い

 相手の能力とかを即座に見極めてゲームにおける最適な一撃を放てるってのはやっぱ経験値の差かな

 

1238:名無しの神器使い

 長期戦になると実戦とゲームの違いが出てくる感じに思える

 

1239:☆マスター仙人

 だから管理人としてもボロが出る前に正面戦闘かつ短期決戦に持ち込みたかったんだろうがな

 福音女王ネキが皇帝に抑え込まれてるのも大きいか

 

1240:名無しの神器使い

 女王ネキの方も皇帝相手に結構苦戦してるし

 ……いや魔王クラスの皇帝とタイマンで戦って苦戦に止まってるのはヤバいな

 

1241:名無しの神器使い

 女王ネキが弱いんじゃなくて皇帝が強過ぎるんだよなぁ

 今も音波攻撃を魔力障壁で捌きながら接近戦に持ち込んで……あ、むしろ女王ネキの方から殴り掛かった

 

1242:名無しの神器使い

 あの人遠距離広域殲滅が本領じゃなかったっけ?

 

1243:☆お狐占い師

 女王ネキ体術も超一流やから近接やと拳に超振動纏わせて殴り掛かってくるんで普通に強いで

 音波振動打撃に加えて不可視ノーモーション超音速の近接用低威力衝撃波をジャブ感覚で連打してくるから

 

1244:☆結界師神主

 ただし低威力と言っても女王ネキ基準だから並みの上級悪魔なら一撃でノックアウト出来るレベルだが

 強いて欠点を挙げるなら音波振動が強過ぎて下手な武器を使うと余波で壊してしまうぐらいはないか

 戦闘用の衣服であるあのドレスにも対音波用の防御術式が過剰に施されてるぐらいだし

 

1245:名無しの神器使い

 装備品の特性が敵の攻撃を防ぐんじゃなくて自分の攻撃で壊れない様にする為なのか

 

1246:名無しの神器使い

 それでも近接戦だと皇帝の方が有利っぽいのが

 不可視の衝撃波にも反能して躱すか防ぐかしてるし

 

1247:名無しの神器使い

 ベリアルの無価値の力って神器使いみたいな異能者には天敵だと思う

 

1248:☆聖剣巫女

 クレーリアちゃんを見るに無価値の特性もなんでも無効化出来るものって訳でもなさそうだけどね

 あくまで価値があるものを無にする感じで特殊な異能や悪魔の特性とかは無効化出来ても

 魔力そのものや運動エネルギーとかの普遍的なエネルギーまでは無効化出来ないみたいだし

 

1249:名無しの神器使い

 原作でも赤龍帝の倍加は無効化しても単純な殴る蹴るは普通に捌いていたか

 

1250:名無しの神器使い

 つまりただの魔力とか肉弾戦で魔王クラスの実力を持つ皇帝を倒せばいいんだな!

 ………………出来るか!!!

 

1251:☆ロリコン聖騎士

 皇帝は無価値の特性を持ってるから強いのではなく

 魔王クラスに強い者が相手の異能を無効化する無価値の力を持ってるって事ですからね

 音という普遍的なエネルギーを扱う女王ネキなら相性は良さそうですが

 

1252:☆マスター仙人

 神器の音も異能判定だからか無価値には出来ているがやり難くはあるのか

 それとも出力の問題なのか完全には無効化は出来ていない様だがな

 まあ無価値に加えて魔王級の魔力による障壁を併用して防いでいるが

 

1253:名無しの神器使い

 近接での殴り合いだと身体能力差で皇帝の方が有利なのか?

 

1254:自称有識者

 女王ネキは体術のセンスは一級品だけど身体能力が異常に高い訳でもないしな

 転生悪魔の『女王』だから身体性能が低い訳でもないが純粋なパワー型には大きく劣る

 それを補う為の短距離衝撃波なんだが躱されるか障壁で防がれてるし

 

1255:名無しの神器使い

 高速発生する不可視の衝撃波をどうやって防いでいるのか

 

1256:☆半堕天使

 僅かな予兆とか殺気とかを感じ取る勘と経験則で対応出来ない事はないでしょう

 私も近接の間合いなら似た様な事が出来るし

 

1257:名無しの神器使い

 転生者最強クラスの一角の戦闘技術を基準にされても……

 

1258:名無しの神器使い

 管理人が狙われてる以上は女王ネキとしてもそっちを気に掛けない訳にもいかんしな

 目の前の王を倒せば試合はこっちの勝ちな訳だから全力で倒しに行ってるが倒せず焦ってるか

 

1259:名無しの神器使い

 あの人表情変わらんから焦ってるかどうかは分からん

 

1260:名無しの神器使い

 鍛治師ニキが落ちて管理人達も押されてるからこのままだと負けるか?

 治療師ネキの回復のお陰で持ち堪えてはいるが……

 

1261:☆半吸血鬼

 ベリアルチームも何人か落ちてるから言う程には不利でもないんだが

 それに管理人と治療師ネキも奥の手を切るみたいだし

 

1262:名無しの神器使い

 え、治療師ネキはもう禁手使ってるし……ってアレは魔法陣?

 

1263:名無しの神器使い

 あの形式は召喚系の魔法陣みたいだけど治療師ネキ召喚も出来たのか?

 

1264:名無しの神器使い

 って、それを見た管理人が剣を手に取って前衛に上がった!?

 治療師ネキの護衛を投げ捨てたのか!?

 

1265:名無しの神器使い

 いや治療師ネキの魔法陣から巨大な人形……頭が牛だからミノタウロスか!

 

1266:名無しの神器使い

 成る程、使い魔を召喚して自分の身を守ると言う某パンツシスターも使った手段

 ……あの、なんでネキも何処からか銃を取り出してるんですかね?

 

1267:名無しの神器使い

 治療師ネキ召喚したミノタウロスを敵に突っ込ませて自分も銃で戦い始めたんすけど

 

1268:名無しの神器使い

 状況が一気に動き過ぎぃ!

 誰か解説して!?

 

1269:☆半天使

 回復役だって自分の身を守る自衛手段は必須だから治療師ネキは魔法銃による銃撃スキルを修めているのさ

 それと召喚したのは使い魔のギリシャ系ミノタウロスの『アステリオス』君だね

 

1270:☆結界師神主

 昔死に掛けていた所を助けた事がキッカケで使い魔として契約する事になったらしいな

 日本に帰化した田島さん達と違ってギリシャ神話に語られる大元のミノタウロスの血を濃く引いてるらしく

 田島さんみたいな通常のミノタウロスと比べると能力が圧倒的に高いそうだ

 

1271:名無しの神器使い

 いや田島さんって何?

 

1272:☆聖剣巫女

 最近は魔物の世界もグローバル化が著しいからより良い住処を探して別の国に帰化する人?も増えてるのよ

 田島さんは日本に帰化して悪魔用の運転免許講習場とかで働いてるわ

 

1273:名無しの神器使い

 尚ミノタウロスの田島さんは原作キャラ

 

1274:☆お狐占い師

 魔物であるアステリオス君を助けたから治癒師ネキは教会から追放されたって過去もあるが

 それ故にアステリオス君はネキに対して絶対の忠誠を誓ってるからな

 ゲームのルールに引っかかるレベルの魔物やから呼び出せる時間制限はあるけど

 

1275:名無しの神器使い

 逆に言えばそれだけ強い魔物を呼び出している間は護衛は必要ないか

 後ネキ普通に銃の腕も凄いな

 

1276:名無しの神器使い

 それだけじゃなくて管理人も剣術で敵女王と互角以上に斬り合ってるし

 

1277:☆マスター仙人

 管理人の本来の戦闘スタイルは剣術・魔法・幻術を駆使した万能型の魔法戦士だからな

 集団戦闘だと念話と幻術を使ったサポートに徹する事が多いが個人で戦うならそうなる

 魔女である母親が北欧の戦士の家系に連なる家の出だったから剣術も護身程度に習っていたそうだからな

 

1278:☆半堕天使

 後私ら古参勢はほぼ全員仙人ニキに体術の指導を受けてるからね

 お互いの技術を教え合って鍛える今のO×Oの在り方は此処から始まってる

 今の訓練メニューとかもこの時の経験から作られたモノだし

 

1279:名無しの神器使い

 だから戦闘訓練が古参幹部基準で超絶スパルタなんだなorz

 

1280:名無しの神器使い

 訓練自体が実際に効果はあるから文句は言えんが

 

1281:☆元戦乙女

 それは兎も角して北欧系魔女の家系に連なるからか管理人の魔法の腕はかなりのモノだぞ

 北欧系魔法は独学の要素も多かったが本職の私でもかなりのモノと言えるぐらいには使いこなしている

 今は私が北欧系魔法を教えたお陰もあって並みの戦乙女以上に魔法が使えるし

 

1282:☆半吸血鬼

 流石は元ヴァナディースアカデミア主席卒業者

 ただし主神のお付きに選ばれてセクハラが酷くて辞職した系ヴァルキリー

 

1283:名無しの神器使い

 北欧の主神ぇ……

 

1284:名無しの神器使い

 て言うか元戦乙女さんってそんな人だったの?

 

1285:☆元戦乙女

 その話は今はいいでしょ

 より良い職場のO×Oに再就職にも成功したから今は気にしてないわよ

 

1286:名無しの神器使い

 それより一転攻勢に出た管理人だけどコレって自分や回復役すらも戦力にして戦力差を埋めに来たって事?

 

1287:名無しの神器使い

 まあ回復フィールドは展開中だが細かい操作を辞めてるしそうなるだろうな

 治癒師ネキの回復支援を完全に斬り捨てて戦力として使うって言うリスキーな一手ではあるが

 

1288:☆聖剣巫女

 もう他の回復に手を回す程に余裕がない状況だから一気に勝負を決めに来たんでしょうね

 これ以上治療師ネキの護衛をしたまま戦ってたらジリ貧だったでしょうし

 

1289:名無しの神器使い

 リスキーなのはベリアル側もだけどな

 あっちも王1人で敵の女王を押さえ込むって言う普通ならまずやらない戦術を使ってるし

 

1290:名無しの神器使い

 派手な戦いで観客は大盛り上がりだろうがゲームの戦術的にはどうなんだろう

 

1291:自称有識者

 むしろお互いに戦術を差し合った結果として正面戦闘になったから分かる人には分かるんじゃないか?

 

1292:☆マスター仙人

 此処からはお互いの駒を落とし合う終盤戦だから決着はそう遠くないだろう

 しかし管理人め、最近デスクワークばかりで剣術の腕が少し鈍ってないか? 鍛え直した方が……

 

1293:名無しの神器使い

 ええと、管理人も忙しいので仕方ないと……

 

1294:名無しの神器使い

 俺の目には管理人は超一流の剣士に見えるけど

 

1295:名無しの神器使い

 基準が転生者最強の仙人ニキだから……

 

1296:☆半堕天使

 まあお祭りイベントとしては中々盛り上がったし成功って言えるんじゃない?

 

1297:名無しの神器使い

 とりあえず管理人がんばえー

 

 

 

 ──────◇◇◇──────

 

 

 今の皇帝と古の伝説によるエキシビジョンマッチが行われていたフィールド、現実のアグレアスをコピーした街並みが広がっていた筈のそこはまるで最終戦争でも起きたかの様な瓦礫の山と化していた。

 

『ジークレド・ダンタリオン様の『女王(クイーン)』、リタイア』

「……どうにか、倒せたか」

 

 そのフィールドの中でも特に荒れ果てた……と言うか周囲の建物がほぼ全て粉々になった場所でベリアルチームの『(キング)』ディハウザー・ベリアルは戦闘用の衣装をボロボロにした状態で、尚且つ全身から血を流していながら安堵の溜息を吐いていた。

 この惨状は彼とダンタリオン眷属の『女王』ララ・リデルが戦った結果であり、攻撃力だけなら魔王クラスである彼女の多彩な音波攻撃を凌いで致命傷を与えるのは魔王に匹敵する皇帝と言われた彼であっても困難であったと言う証拠である。

 

「勝敗を決める私やジークレド殿……『王』に注意を向けた隙を突く事が出来たからどうにかなったが、これで上級悪魔と言うのは詐欺が過ぎる」

 

 最終的には『レーティングゲームに於ける経験値』の差で勝つ事は出来たがそれがなければ勝敗は分からなかったと思いつつ、ディハウザーは懐から回復アイテム『フェニックスの涙』を取り出して煽った。

 今回のゲームでは互いのチームに『フェニックスの涙』は一つずつ提供されてそれのみを使用しても良いルールであり、当然ベリアルチームは落とされてはいけない『王』であり最大戦力であるディハウザー・ベリアルに持たせていた。

 

「……さて、どちらのチームも既に『戦車(ルーク)』『騎士(ナイト)』『歩兵(ポーン)』が全て落ちた。彼方の回復役も落としたと最後に報告があった以上は……」

『ディハウザー・ベリアル様の『女王』『僧侶』一名、リタイア』

『ジークレド・ダンタリオン様の『僧侶』一名、リタイア』

 

 そのアナウンスが聞こえた時点で何十年かぶりにレーティングゲームで自分1人だけが残されたと悟ったディハウザーだったが、これまでのアナウンスから相手も『王』以外残っていないと分かっていた事もあって冷静に状況を見つつ身体を休ませて体力を回復させる。

 

「つまり後は『王』同士による一騎打ちですか。……随分と盛り上がるエキシビジョンになりましたね?」

「……流石に狙った訳ではないよ? と言うか君達相手にそんな事をする余裕がある筈もないし。まあ眷属達には『相打ち覚悟で敵の駒を減らせ』と指示を出したりしたが」

 

 そうして一息吐いた後にディハウザーが虚空に向けて言葉を放つと、誰も居なかったそこから滲み出る様にダンタリオンチームの『王』であるジークレド・ダンタリオンが姿を現した。

 現れたその姿は自分と同じ様に戦闘服こそボロボロだが傷は治っていると見たディハウザーは、先に回復役が落ちている事を踏まえて『フェニックスの涙』を相手も使ったと判断して実際にその通りではあった。

 

「しかし、これでも幻術には自信があったんだがあっさりと見破られたのは少しショックだったな。本陣を囮にする策も看破された様だし」

「先日、貴方が私と会った時に使っていた隠蔽幻術を解析して、私の『無価値』の特性と探知魔術を組み合わせたダンタリオン式幻術を破る術式を作りました。幻術がある位置が分かる程度で探知範囲も狭いので見つけるのには難儀しましたが」

「成る程、確かにこの前使った隠蔽幻術と今日使った術式は普段使いのモノで構成は殆ど同じだったからね」

「『無価値』の特性を使う以上、私もそれなりに解析が得意なので」

 

 2人が駒王町の一件を話し合った時にジークレドは結界の中の会話が外には別の当たり障りのない『情報』として認識される欺瞞幻術結界を使っており、その構成を覚えていたディハウザーは今回の試合用に専用の探知術式を作っていたのだ。

 

「そして、そもそも貴方達はレーティングゲームにおいて『本陣』を然程重要視していない、相手の『歩兵』が昇格(プロモーション)して自分の歩兵が昇格出来ていなくても対応出来ると考えているから昇格は出来ればすれば良い程度で試合を進める事が多い。故に過去の試合でも必要なら本陣を囮にするか昇格なぞ考えず敵本陣を吹き飛ばす事も多い。だからこそ本陣を結界で覆った時点で囮の可能性は頭にありました」

「確かに昔のゲームでは偶にやった戦術だな。よく調べているな」

「私も貴方達の試合に憧れてレーティングゲームプレイヤーを目指した身ですので、貴方達の試合は何度も見返しましたよ」

 

 そう言ったディハウザーを見てジークレドは少し驚いた表情を浮かべるが、嘗てのレーティングゲームで転生悪魔のみのチームで圧倒的な試合を見せつけたダンタリオンチームに影響を受けた現プレイヤーは多いのだ。

 

「まあ今回は終始戦術で遅れを取ったから流石はレーティングゲームの絶対王者と言った所か」

「……戦術を読み切って尚此処まで追い込まれたのではとても『絶対王者』などとは言えませんよ。それに読まれる事も前提でこちらの行動を誘導して正面戦闘に持ち込ませる様に終始動いていたでしょう」

「眷属の質においては負ける気はしなかったのでね。最終的にはほぼ相打ちがやっとだったが。……ではこれが最後の質問だ、今日のエキシビジョンは“楽しかった”かな?」

 

 そんな『王』同士の会話とは思えない様な言葉を投げ掛けられたディハウザーは一瞬困惑するが、少なくとも目の前のジークレドの目にはふざけた様な雰囲気は何一つなかったので真面目に答える事にした。

 

「まあ、此処まで追い詰められたのは何時ぶりか分かりませんし、勝つ為に王者らしくない戦術まで駆使しましたから久し振りに心躍る戦いでした」

「それは良かった、私も久しぶりのレーティングゲームは中々に熱くさせて貰った。……残念ながら私はこれから色々と忙しくなる予定だからゲームプレイヤーに復帰などは出来そうにないが、今の様な観客を熱狂させてプレイヤー同士も楽しめる様なレーティングゲームが行われてくれれば良いと思っているよ」

「……私は一介のプレイヤーとして今後もゲームを続けるつもりです。今はまだ」

「望む未来があるなら環境を変える事も必要かも知れないけどね。まあそれは周りに迷惑をかける事と紙一重だから、家族などの近しいの人達と相談する方が良いだろうけど」

「善処します」

 

 大分回りくどい言い方ではあるがディハウザーはそれら言葉が“レーティングゲームの現状”と“駒王町の一件”に対する忠告だと捉え、中継されている事も考えて曖昧だが前向きに考えるつもりと言う意味を込めた返答を行った。

 実際にはそれに加えて原作におけるレーティングゲームへの不満があった『ディハウザー・ベリアル』の事を踏まえた言葉、及びエキシビジョンが終わった後に報告される予定のクレーリア・ベリアルについての事件に対する遠回しな忠告も兼ねていたが。

 

「まあこれ以上はゲームの場で話す様な事でもないだろうし、観客も焦れて来ただろうから決着と行こうか。流石にタイマンでは相性もあって私がかなり不利だが、そう易々とダンタリオンの『王』を取れると思わない事だ」

「元より貴方を簡単に倒せるとは思っていません……よ!」

 

 そう言いながら手に持った魔剣を構えたジークレドに対してディハウザーは即座にそちらとは逆方向である背後へ魔力障壁を展開、直後そこへ何故か背後から姿を現したジークレドが振り下ろした魔剣が激突して激しいスパークを撒き散らした。

 

「おや、気付かれたか」

「やはり長々と喋っていたのは幻術で、本人は姿を消して奇襲する隙を窺っていましたか。しかもご丁寧に私の探知術式を掻い潜る様に構成まで変えて!」

「流石にお喋りが過ぎたか。しかし私の狙いはそれだけではないぞ?」

 

 奇襲を防がれると同時に正面にいた幻術であった筈のジークレドが攻撃魔法の魔法陣を展開、魔剣を防いだディハウザーに向けて純粋な魔力による砲撃魔法を放ったのだ。

 それに対しても瞬時に反応して回避するディハウザーだったが、奇襲を仕掛けた方のジークレドの方も同じく無価値の力で無力化し難い純粋魔力砲撃を放って来たので高速で動き回りながら2人のジークレドによる攻撃を回避する。

 

「幻術も本体と同じ様に攻撃を……まさかダンタリオン家には伝説の超存在“NINJA”がいると言う話は本当だったのか?」

「忍者は別に伝説の超存在じゃないんだけどな。ウチのキャラクタービジネスの設定じゃあるまいし。……これもダンタリオン家の『情報』の魔力のちょっとした応用だよ。情報には様々な意味があるが基本的にはそこに在るモノを知らせる事、逆説的に人1人分の情報がそこに在るなら実体としても存在するとも言えるならば、幻術に実体を与える所謂“有幻術”を創り上げる事も可能なのだよ」

 

 ちなみにこの技は前世の漫画知識などから着想を得て、他の転生者の分身を作れる神器の能力を参考にレーティングゲームを引退した後で新たに開発した術式なのでディハウザーも初見である。

 そしてこの“有幻術”の厄介な点は仮に幻術と本体の区別はついても幻術に擬似的な実体を持たせている故に幻術と有幻術を見分けるのが難しい事、そして幻術と有幻術の切り替えも可能な事だ。

 

「では更に数を増やそうか」

「分身が増えたか。本体と幻術の区別は付かない事はないが……有幻術とやらと幻術の区別が付かない上、幻術と有幻術の切り替えは自由自在。これでは只の幻術と無視する訳にもいかんか」

 

 故にジークレドは単なる幻術を含めて複数の実体を持つ幻術の自分自身を創り出して幻術と有幻術による魔力砲撃を発射、ディハウザーが防ごうとしても攻撃そのものが幻術に変わって空かされ、逆に幻術だった分身がいきなり実体を持って襲いかかった。

 その有幻術をカウンターで粉砕しようがそもそも幻術故に本体には当然ダメージがなく、幻術で派手な攻撃を見せながらその中に本体が紛れ込んで奇襲を掛けたり、幻術だった攻撃にいきなり実体を付与して普通の攻撃に変えたりと様々なパターンの攻め手で皇帝を翻弄する。

 

「幻術に実体を持たせられるだけでなく、そもそも幻術の使い方が非常に上手い辺りは流石と言った所。個人でも最上位ランカーの『王』達と比べても遜色ない実力者か。……だが、この手の技であれば対処法はああります」

 

 しかし、それらの攻撃をディハウザーは体捌きと魔力障壁のみで直撃を許さぬ様に凌ぎ、大凡の観察が終わった所で全方位に向けて『無価値』の特性を持った魔力を投射して実態の有無に関わらず周囲にある全ての幻術を消し去ってしまった。

 ジークレドが使う幻術は基本的にダンタリオン家の魔力特性である『情報』に複数の魔法術式を組み合わせて創り出されているので精度は非常に高いが、それ故に構成は複雑なので一部でも『無価値』にされれば途端に崩れてしまうのだ。

 

「リアル“いてつくはどう”はやめて欲しいんだが!? ……やはり異能や特性で戦うタイプとチャンピオンは相性が最悪だな。単純な近接格闘や魔力で戦うにしても相手は魔王クラスだから、最低でも素で魔王クラスと戦える実力がなければ話にならんか」

 

 幻術を剥がした所で明らかになった本体へ向けてディハウザーは魔王級悪魔に相応しい超威力の魔力弾を放ち、それに対してジークレドは魔法による防御障壁を展開して防ぐが単純な魔力量の差で押し込まれてしまう。

 ジークレド自身も幻術抜きでも最上級悪魔に相応しい戦闘能力を有してはいるが、魔王クラスの実力を持つディハウザー・ベリアルと正面から戦った場合は流石に不利なのは否めない。

 

「そこか!」

「ええいっ!」

 

 幻術を破られ防御で足を一瞬止めてしまった相手へディハウザーは瞬時に接近して格闘戦を仕掛け、それに対してジークレドも魔剣による近接戦闘で迎撃しようとするが圧縮された魔力障壁で斬撃を防がれながらカウンターの蹴りを叩き込まれて吹き飛ばされてしまう。

 ディハウザーが絶対王者って言われているのは『無価値』の力を持っているからではなく、魔力と格闘だけでも魔王級の実力がありながら相手の格上にも通じる異能や特性を『無価値』に出来るからであり、つまり単純な地力で魔王級以上の力を出せなければ彼には勝てないと言う事なのだ。

 

「蹴りに合わせて魔力障壁を展開、更に後ろに飛んで衝撃を受け流しつつ距離を取りましたか」

「それでも結構ダメージを喰らったんだがなっ!」

 

 それでもジークレドは吹き飛ばされた事を利用して距離を取りつつ純粋魔力による砲撃を放つが、それらの砲撃を的確に見切り障壁と回避で対処したディハウザーは反撃の魔力弾を放ちつつ再び距離を詰める。

 先程の『女王』であるララとの戦いではディハウザーも相応のダメージを負ってはいたが、それは逆に言えば全転生者の中でも最強の攻撃性能を持つ彼女の攻撃であっても皇帝を倒し切る事が出来なかったという事。

 

「防御と回避が上手すぎるな。ウチの『女王』でも倒しきれない筈だ!」

「自分が最後まで落ちない事もレーティングゲームの『王』には必要な技術ですので」

 

 その理由こそが彼がレーティングゲームの王者となるまでに積み重ねてきた無数の試合による経験であり、誰よりも落ちてはいけない『王』としての立場から磨き上げた防御・回避技術による生存能力である。

 ジークレドの攻撃能力も決して低くはないが圧倒的なディハウザーの防御技術を打ち崩すには足りず、得意の幻術は『無価値』で無力化されてしまう事もあって不利な戦いを強いられて徐々にダメージレースに差が出始めていた。

 

「……分かっていた事だが俺には正面からのタイマンで魔王クラスに勝つのはキツイか。このままだとジリ貧だし仕掛けよう」

「むっ、来ますか」

 

 なのでジークレドは長期戦を選ばず魔法による砲撃をばら撒き目眩しにしながら一気に接近戦を仕掛け、それに対して気配から相手の動きを読んだディハウザーは幻術破りの『無価値』の波動を放って不意打ちを対策しつつ迎撃の体勢を取る。

 闇雲な砲撃程度では皇帝たる彼の眼力を誤魔化す事は出来ず、魔剣による斬撃を片手の魔力障壁で受け流しつつカウンターで逆の手による拳を急所に放ち……その拳は目の前にいた筈のジークレドの身体を擦り抜けてしまった。

 

「幻術!?」

「取った!」

 

 ディハウザーの『無価値』は確かに異能や特性に対して特攻とも言える効果を持つがあくまで魔力特性、無効化には自分自身が直接接触するか特性を付与した魔力の投射が基本的に必要となる。

 故に魔力の投射が終わったタイミングで接触さえしていなければ幻術を使う分には問題なく、更に今回は自分の存在情報を数十センチ別の場所に認識させるという単純な幻術を最高精度で創り上げた事もあって1秒程度の短時間の間だけ皇帝の目を欺く事に成功したのだ。

 そしてジークレドはカウンターの拳を空ぶった隙を突いて踏み込み、渾身の一閃でもってディハウザーに斬撃を叩き込み深い裂傷を負わせる事に成功した。

 

「ッ! 浅いか!」

「ハアァッ!!!」

 

 だが、その斬撃は咄嗟にディハウザーが魔剣が当たる部位に展開した魔力障壁で威力を削がれた為に致命傷にはならず、加えて彼はダメージを無視してジークレドの攻撃後の隙を突いた渾身の蹴りを鳩尾に叩き込んだ。

 そして皇帝の攻撃はこれだけでは終わらず裂傷から血が吹き出すのすら無視しながら神速で接近して魔力を込めた拳を連続で叩き込み、トドメにジークレドを掴みながら魔王級の魔力による魔力弾をゼロ距離から発射した。

 

「ちょ、攻撃に容赦がなさすぎ……!?」

「貴方は仕留められる時に確実に仕留めなければ危険すぎるので!!!」

 

 主に『裂け目』とか『穴』とかでカウンターしてくる『王』に対するディハウザーの手札の一つ、相手を掴んで『無価値』で異能を無効化しながらのゼロ距離射撃は容赦なくジークレドを飲み込んで吹き飛ばしゲームのリタイアシステムが発動するに十分なダメージを与えて決着の一撃となった。

 

『ジークレド・ダンタリオン様のリタイアを確認、ベリアルチームの勝利です!』

 

 そのアナウンスが聞こえて試合に勝利したと確信したディハウザーがようやく気を抜いた瞬間、“皇帝”と“伝説”の凄まじい試合に会場から大歓声が巻き起こった事で『皇帝ベリアル10番勝負』のエキシビジョンマッチは幕を閉じたのだった。

 こうしてエキシビジョンマッチは大盛況で幕を閉じたのだが、この試合が終わった後でディハウザー・ベリアルに齎される“情報”によって冥界やレーティングゲームに大きな波紋が起こる事を知る者はまだ殆ど居なかったのだった。




あとがき・各種設定解説

ジークレド・ダンタリオン:流石に負けた
・眷属の実力では負けていないがレーティングゲームという環境下での戦術や連携は明確に劣っていると分かっていたので、出来る限り正面戦闘に持ち込みつつ長期戦になるとボロが出るので短期決戦に持ち込む予定だった。
・そんな目論見は大体上手くいっていたのだが皇帝側も短期決戦上等で戦術も読み切られたので不利な戦況になったが、それでも“絶対の絶望”を退ける為に鍛え上げた眷属の地力で互角以上に渡り合って眷属同士は相打ちに持ち込めた。
・最後の辺りで数的有利が取れていれば皇帝相手にも勝ちの目はあったが、本人の個人戦闘能力も低くないどころかかなり高い部類ではあるのだが流石に魔王級の皇帝相手だと勝ちの目が薄いので普通に負けた。
・ちなみにこの後は新年の予定を早々に済ませた後でクレーリア・ベリアル襲撃事件をディハウザーに伝えてから、事前に知らせておいた魔王達と共に事件を軟着陸させられる様に動き回る模様。

ニンジャナイト:ダンタリオン家のキャラクタービジネス
・ネットワークが冥界中に普及しサイバネティクス技術が普遍化した近未来、悪魔社会は影から暗黒メガコーポと呼ばれる巨大企業によって操られ治安は悪化、そして時を超えて蘇った超常的存在『ニンジャ』の暗躍によって、まさに黙示録に記されしマッポーの世を迎えていた。
・そんな中で首都ネオアグレアスに住む1人のサラリマン『フーマ・カゲノー』がニンジャの抗争に巻き込まれて家族を失います自身も瀕死の重症を負うが、そんな彼の元に伝説的存在『ジゴク・ニンジャ』のソウルが憑依、全てのニンジャを殺す存在『ニンジャナイト』として転生を果たし冥界の闇との果てしない戦いが始まるのだった。
・……みたいなあらすじで始める近未来サイバーパンク系ニンジャ小説として、大体忍者騎士ニキのお陰で有名になった『忍者』を元にダンタリオン家が売り出したキャラクタービジネスであり漫画化とアニメ化企画も進行中。
・冥界で放映されている某魔王少女アニメと違って内容がかなりダーク系なので一般ウケはしていないが、シリアスなストーリー内容や冥界の貴族批判などの社会風刺とかを盛り込んでいたりするのでコアなファンが一定数いる模様。


読了ありがとうございました。
原作でも現状戦闘シーンが少ない皇帝の描写には多分に独自設定が入っています。次回はクレーリア編のラスト、今回発生した問題のアレコレの顛末をざっくり描写する予定。
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