もう一人のホワイトルーム生です   作:パクチーダンス

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第7話 暴力事件

 物心ついた時から、俺は自分が置かれた状況をすぐに理解した。この真っ白な施設で、自分が生き残るためにはどうしたら良いのかを。泣き叫んでも誰も助けてくれない。泣くことが無意味なことだとすぐに分かった。倒れた子供を大人達が連れて行く。連れて行かれたその先に、一体何があるのか、俺は考えたくなかった。単純に怖かったからだ。昨日まで横にいた奴が、明日にはいない。そんな日常が、俺は嫌で仕方なかった。だが俺には、選択肢など無かった。この残酷な世界を生き残るために、俺は周りにいる人間を全て蹴落とすつもりでいた。蹴落として蹴落として、最後に一人、俺が立っていればそれで良い。そうだ、それが正しい。それがこの世界の真理。そう思いたかった。そう思えれば、どんなに楽な事か。だが俺には、狡噛慎也には、感情を捨てる事は出来なかった。狡噛慎也には、『甘さ』を捨てる事は出来なかった。

 

「何をしている慎也。早くトドメをさせ」

 

「……………………」

 

目の前に、腹部を押さえて倒れ込んでいる子供。今まさに、俺が倒した子供だ。苦しそうな顔をしており、起き上がることも出来ない。もう終わりだ。

 

「先生、奴にはもう立ち上がる力はありません」

 

「だからどうした?徹底的に叩きのめし、意識を刈り取れ。早くしろ」

 

天井から、綾小路先生の声が聞こえる。あのガラス張りの場所から、俺のことを見ているのだろう。

 

「先生、これ以上無意味です。無駄な力を使うだけです」

 

俺は綾小路先生に反論する。だが先生は許さない。

 

「情けをかけるな、敵は完膚なきまでに潰すんだ」

 

「…………………」

 

俺はゆっくりと歩き始め、倒れた子供に近づいて行く。情けをかけるな、綾小路先生の言う通りだ。それは優しさではない、『甘さ』だ。その『甘さ』が、いつか俺の命取りとなり、倒れた奴と同じ運命を辿る。

 

「い、いあ……だ………や……だ………」

 

何か言っているが、俺にはよく聞き取れなかった。だが目からは、大粒の涙を流していた。それが全てを物語っていた。

 

          助けて

 

俺には、そう言っているように思えた。だが俺には、その子供を助ける術を持っていなかった。だから俺は、せめて苦しまないように、優しく、その子供の意識を一瞬で刈り取った。死んではいない。眠りについた子供の顔が、年相応の顔に戻ったのは、俺の気のせいだろう。

 

「慎也、お前はまた、私の命令に逆らったな」

 

綾小路先生の怒りのこもった声が上から降ってくる。

 

「………すみません、先生」

 

俺はいつまで経っても、『甘さ』を捨てる事は出来なかった。何故、綾小路清隆には捨てることが出来て、狡噛慎也には捨てることが出来なかったのか。その答えが、いつか分かる日が来るのだろうか。

 

 

 

 

 

 アラームが鳴る。昨日就寝する前にセットしたものだ。狡噛は、ゆっくりと瞼を開き、天井を眺める。

 

「嫌な夢を見た………………」

 

狡噛はベッドから起き上がり、洗面台へ向かう。顔をバシャバシャと洗い、鏡に映った自分と目が合う。

 

「………………………………」

 

狡噛は制服に袖を通し、玄関で靴を履く。朝食をとる気分にはなれず、早めに学校へ向かう。そういえば、今日はプライベートポイントが支給される日だった。狡噛はスマホを取り出し、支給されたポイントの額を確認するが、

 

「ポイントが振り込まれていない………?」

 

新たな波乱の幕開けである。

 

 

 

 

 

 狡噛が教室に入ると、クラスメイトがザワザワと話していた。それを横目に、狡噛は自分の席に座ると、横から白石が声を掛けてきた。

 

「おはようございます、狡噛君」

 

「おはよう、白石」

 

「狡噛君、今月のプライベートポイントは支給されました?」

 

「いいや、振り込まれていない。クラスを見るに、皆も同じようだな」

 

学校側の何らかのトラブルが発生したのか?Aクラスだけ?それとも、もっと広範囲に及んでいるのか?

 

「皆、席に着いてくれ」

 

ホームルームが開始する鐘の音と共に、真嶋先生が入室して来た。

 

「先生、今月のポイントが振り込まれていません」

 

クラスの一人が、手を挙げて発言した。真嶋先生は頷いて口を開く。

 

「皆知ってるだろうが、今月のプライベートポイントの支給が、1年生全体で遅れている。済まないがもう少し待っていてくれ」

 

どうやら1年生のみに、このトラブルが起こっているようだ。

 

「真嶋先生、このトラブルの理由は何ですか?」

 

次に葛城が挙手して真嶋先生に質問する。

 

「それを話すことができるのは、明日、または明後日になるだろう」

 

その後、つつがなくホームルームが終わり、授業が始まる。狡噛は、教卓に立つ先生の説明に耳を傾けつつ、今回のトラブルが何なのか、思考を巡らせていた。

 

(学校全体ではなく、1年生だけに起こったトラブル。これは、学校側の問題なのか、それとも生徒側の問題なのか……………)

 

 

 

 

 

 狡噛は放課後、次に読む本を探すために図書館を目指して歩いていた。中間テストも終わり、生徒達が羽を伸ばしたいと思う時に限ってこのトラブル。不満の声はチラホラと聞こえていた。生徒達が不満を持つ大きな理由は、娯楽にポイントを使えないこと。遊び盛りの若者にとっては、それが何よりの痛手だろう。

 

「狡噛慎也、待ってください」

 

「森下」

 

狡噛は内心、面倒くさいのが来たな、と思っていた。後ろから森下が追いかけて来たのだ。

 

「何のようだ森下?」

 

「暇です、構ってください」

 

「知らん。他を当たれ」

 

再び歩き出した俺だったが、森下が腰に抱きついて離れなかった。

 

「オイ、離れろ森下。歩きにくいだろ」

 

「ひーまーでーすー」

 

お前は幾つなんだ?必死にしがみつく森下に俺はため息を吐いた。途中、すれ違う生徒達が、俺と森下を見て何やらヒソヒソと話している。あらぬ噂を立てられるのはゴメンだ。

 

俺は足を止め、振り返って森下と向かい合う。

 

「フッフッフ、ようやく足を止めましたね狡噛慎也。これも私の計算通りです」

 

「……森下、お前は読書は好きか?」

 

森下が何か言っているようだが、俺は軽く無視して問い掛けた。何か不満気な森下だが一言呟く。

 

「普通です」

 

「そうか、普通か………まぁいい。これから図書館に行くんだが、着いてくるか?」

 

「なるほど、狡噛慎也は私と一緒に図書館へ行きたいと。仕方ありませんね、この藍ちゃんが着いていってあげましょう」

 

「………………」

 

呆れた様子の狡噛は、スタスタと廊下を歩いて森下を置いて行こうとする。それに気づいた森下は、狡噛の歩くペースに合わせるため、歩幅を大きくして後ろから追いかけるように歩いて行った。

 

 

 

 

 

 図書館では、私語は禁止とされていないが、騒がず、なるべく小さい声での会話を心掛けるよう、出入り口の側の看板に書かれているのだが、

 

(森下は、騒がないでいることが出来るのか?)

 

ついてくる森下の方をチラッと確認する狡噛だが、森下は図書館入った時から一言も発せず、ただ後ろをついてくるだけ。流石の森下にも、マナーを守る良心があったのかと感心した。

 

(さて、何を借りるか……………)

 

本棚にぎっしりと詰まった本の一つ一つに目を配る狡噛。何を読むか探すこの瞬間も、狡噛には楽しく思える。ふと狡噛は立ち止まり、ある一点を見つめる。そしてポケットから手を伸ばし、本を取り出した。

 

「何ですかそれは?」

 

訊ねてくる森下に、狡噛はタイトルが書いてある本の表紙を見せる。

 

「恩讐の彼方に」

 

森下は本のタイトルを読んだ。そう、俺が手に取った本は、菊池寛による短編小説『恩讐の彼方に』だ。

 

「それを選んだ理由は?」

 

「いや、特に理由はない。一度読んだことがある本、というだけだ」

 

森下は俺の手にあるその本を覗き込んで見ていた。

 

「気になるなら読んでみるか?」

 

俺は森下にその本を差し出す。森下は、俺と本を交互に見ていたが、ゆっくりと手を伸ばし、本を手に取った。

 

「面白いですか?」

 

「この本に限らず、面白いかどうかは読み手によって違う。お前自身が読んでみないと分からない」

 

その後、狡噛も借りる本を手に取り、係員に手続きをしてもらうために受付に向かうと、そこに生徒会長、堀北学の姿が。

 

「狡噛か」

 

「堀北先輩」

 

生徒会長と会うのは、あの日の夜以来か。

 

「お前は本を借りに来たのか?」

 

学は狡噛の手に持っているを本見てそう言った。

 

「はい。先輩もですか?」

 

「いや、俺は返しに来ただけだ」

 

学はチラッと俺の横にいる森下に視線を向けた。森下はすぐに頭を下げる。学はそれを見て視線を外し、再び俺を見た。

 

「入学して3ヶ月程経ったが、この学校はどうだ?」

 

「早くも後悔しています。俺は平穏な学校生活を送りたかった。それはアイツも同じです」

 

狡噛は不満な気持ちを吐露する。アイツ、というのは綾小路の事だと学はすぐに理解した。

 

「そうも言ってられないぞ狡噛。お前は必ず、争いの中に身を投じることになるだろう。聞いたところによると、お前のAクラスは今、派閥争いが行われているとか」

 

「俺はどこの派閥にも所属していません」

 

「一匹狼か……今はそれでもいいが、今後戦いが激化すれば無関係ではいられなくなる」

 

「やけに俺を争いに参加させたいようですね?」

 

「争いは、自然とお前の方へ近づいて来る。その時になっても、同じようなことが果たして言えるか?」

 

見つめあう両者。先に視線を外したのは学である。用が済んだようで、踵を返して図書館を出て行った。狡噛は、学の姿が見えなくなるまで、彼の背を見つめていた。

 

「堀北学、中々の凄みを感じました。ですが、この藍ちゃんを恐れをなして、どこかへ行ってしまったようですね」

 

「……………………」

 

 

 

      Aクラス  1004 cp

 

      Bクラス  663 cp

 

      Cクラス  492 cp

 

      Dクラス  87 cp

 

 

 

 

 

 翌日、朝のホームルームにて、ポイントが支給されなかった理由を、真嶋先生がクラスの生徒達に説明した。

 

「先日、学校でCクラスの生徒とDクラスの生徒の間にトラブルがあったようだ。端的に言えば喧嘩だ」

 

ざわざわし出す教室。

 

「訴えたのはCクラスだ。一方的に殴られたという事らしい。だが、Dクラスの生徒はこれを否定した。Cクラスの生徒に呼び出され、喧嘩を売られたと。だが証拠が無いため、学校側は目撃者を探している状況だ。何か知っていたら、職員室まで来て欲しい。以上だ」

 

暴力事件とは、清隆も大変だな。このトラブルの結果次第で、クラスポイントが削減されることもあるのか。やっとクラスポイントが87にまで増えたのに、0に逆戻りする可能性もある。

 

「皆、少し良いだろうか?」

 

真嶋先生が教室から出ると同時に、葛城が席から立ち上がった。そしてクラスメイトにこう呼びかける。

 

「CクラスとDクラスで起こった問題に、Aクラスは関与しないことにしたい。たとえ、目撃者探しに手伝って欲しいと言われても、拒否してくれ」

 

狡噛には葛城が考えていることが読めた。今のAクラスの現状としては、他三クラスから追われている状態にある。そんな中、下位ニクラスの争いに首を突っ込むメリットは無い。助けても一文にもならないからだ。

 

「葛城君の言う通りです。コチラとしても、他クラス同士が潰しあってもらう方が好都合です。下手に温情をかけても、彼らからは何も返ってきません。何か言って来ても、無視して頂いて結構です」

 

この瞬間、葛城と坂柳の意見が一致したことによって、Aクラスはこの問題に関与しないことが決定された。反対意見など出よう筈もない。

 

 

 

 

 

 

 狡噛は放課後、日用品売り場に足を運んでいた。ティッシュやシャンプー、トイレットペーパー等がそろそろ無くなるので補充として買いに来たのだ。

 

(ん?)

 

狡噛は買い物中、足に何かが当たった感触を覚えた。視線を下に落とし、足元を見ると、

 

(熊?)

 

アクリル板の熊のストラップが落ちていたのだ。狡噛は熊のストラップを拾うと、周りを見渡した。しかし、狡噛の他に学生の姿は見られなかった。

 

(店員に預かってもらうか………)

 

狡噛はレジで商品を買った後、店員に熊のストラップを渡し、寮へと戻った。

 

 

 

 

 

 真嶋先生から暴力事件の事を聞かされてから、二日が経った日のことである。狡噛が昇降口で靴を履き替えていた時、後ろから誰かが声をかけて来たのだ。

 

「あのー、ちょっと良いかな?」

 

狡噛は、靴をしっかりと履いてから後ろを振り返る。そこに居たのは、ピンク髪の女子生徒であった。狡噛はこの女子生徒に見覚えがあった。

 

「Aクラスの狡噛慎也君だよね?私、Bクラスの一之瀬帆波、よろしく」

 

「ああ、よろしく」

 

一之瀬帆波、Bクラスのリーダーでありながら、他クラスの生徒との親交もある人物。クラス内での人望は厚く、困っている人を、クラス構わず手を伸ばし助けようとする善意の塊。橋本からそう聞かされていた。

 

「俺に何か用か?」

 

「えーとね、私、暴力事件の目撃者を探しているんだけど、Aクラスの狡噛君は何か知っていることはない?」

 

Bクラスが何故、目撃者探しているんだ?

 

「いや、済まないが分からない」

 

「…………本当に?」

 

一之瀬は少し溜めてそう言った。

 

「…………どうしてそんな事を聞く?」

 

「ええっと、それは…………」

 

俺が言い返すと、一之瀬は困ったように視線を逸らす。なるほどな、この短い会話で、何故一之瀬が俺に接触して来たのかが分かった。

 

「他のAクラスの生徒には、相手してもらえなかったか?」

 

「あ、あははー、まぁそうなんだよね」

 

図星のようで、一之瀬は無理に笑って返答した。

 

「俺に接触して来たのも理解できる。俺がAクラスの中で、特殊な立ち位置にいるからな」

 

狡噛だけが唯一、二つの派閥のどちらにも所属していない。ちなみに森下は坂柳の派閥である。

 

「そこまで分かっちゃうかー、流石Aクラスの生徒だね」

 

「残念ながら、俺は何も知らない。それに、今回の暴力事件で、Aクラスが裏で糸を引いていたり、なんて事も無い」

 

「そうなんだ……ありがとう、教えてくれて」

 

別に大した事は言っていないが…………まぁいい。だが、少し疑問に残ることがある。

 

「俺から一ついいか?何故、Bクラスの生徒のお前が、暴力事件の目撃者を探すのを手伝っているんだ?」

 

「それはね、頼まれたからだよ。Dクラス生徒に」

 

「頼まれた?………何故引き受けたんだ?」

 

「え?」

 

そんな事を言われるとは思わなかったのか、一之瀬は目を丸くしている。

 

「敵対しているクラスに塩を送る真似をする理由はなんだ?」

 

Aクラスと同じく、Bクラスもこの件に関与する理由がない。

 

「クラスは関係ないと思うの。こういう事件は、いつ誰に起こるか分からないよね?しかもこの事件、冤罪の可能性もあるらしいの。嘘をついた方が勝つなんて大問題だよ。個人としても見過ごせないかなと思って」

 

俺は一之瀬を観察する。嘘をついているようには見えない。本気でそう思っているのか?

 

「……………聞いていた通りの人間だな」

 

「き、聞いていた通りって?」

 

「お前の人柄だ。誰であっても手を差し伸べる優しさを持っている、素直に尊敬する」

 

善意の塊、橋本から聞いた時は、本当にそんな奴がいるのかと思ったが、世の中にはいるようだな。まぁ、俺は外の世界に来て日が浅いから、そう思っているのかもしれないが。

 

「そんな尊敬なんて……これくらい普通のことだよ」

 

謙遜して笑い返す一之瀬だったが、その瞳は、何処か違うところを見ているようだった。一瞬だが影を落としたように見えた狡噛。

 

「…………一之瀬、少し質問してもいいか?」

 

「何?」

 

「例えば、お前がバスに乗っているとしよう。乗客はお前だけじゃなく、全ての席が埋まっている状態だ。お前も席に座っている一人だ。そんな時、一人の老婆がバスに乗車して来た。席が埋まっているので、仕方なく吊り革を掴んで立っていた。だが、その老婆は立っているのがキツそうな状態だった。一之瀬、お前はその時どうする?」

 

「そんなの、席を譲るに決まっているよ」

 

即答だった。考えるまでもない。そんな感じで一之瀬は俺の質問に答えた。

 

「そうか、流石だな」

 

「流石って、当然の事だよ」

 

何を当たり前なことを?という感じで首を傾げている。

 

「どうやらこの世界は、一之瀬が思う『当然』が出来ない人間の方が多いようだ。その時、優先席に座っている人間は、目の前の老婆に譲ろうとはしなかった」

 

「………それでお婆さんはどうしたの?」

 

「最後は見るにみかねて俺が席を譲った」

 

一之瀬が俺の言葉を聞いた途端、クスッと笑った。何かおかしな事を言ったか?

 

「私の事を尊敬するって言っていたけど、狡噛君も私と同じだよ。困っている人に手を差し伸べる、優しいし、それでいて素敵な事だよ」

 

「…………………………」

 

一之瀬には、俺が優しい人間に見えるのか?だがそれは節穴だ。俺は優しい人間ではなくて、『甘い』人間なのだから。

 

「ごめんね、時間取らせちゃって。あ、もし良ければなんだけど、連絡先を交換しない?」

 

「俺でいいのなら」

 

狡噛はポケットから端末を取り出して、一之瀬と連絡先を交換することになった。段々とアドレス帳に人が増えてきた。これが青春というものだろうか。

 

「じゃあね、狡噛君」

 

立ち去って行く一之瀬。狡噛はその後ろ姿を見つめていた。Bクラスの生徒、そのリーダーとの出会いは、狡噛に何をもたらすのか?

 

 

 

 

 

「なずな、良かったね。ストラップが見つかって」

 

「うん、これ気に入ってたんだ。落とした時はどうしようかと思ったよ」

 

手に握られたのは熊のストラップ。今度は落とさないようにしっかりとカバンに結びつける。

 

「それで、見つけてくれた生徒は分かったの?」

 

「まだ分かんない。けど、店員さんは一年生って言ってたよ。去年まで見た事ない顔だったからって」

 

「一年生って言うけど160人もいるよ。性別は?」

 

「男子生徒だって。後、めっちゃイケメンって言ってた」

 

 

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