甘き死よ、どこへ? -1-
嗚呼。
どうしてこんなことになったのかしら。
宝生マーゴは嘆いた。
まだしも平穏に過ごせると思っていた日々は、束の間に崩れ去った。
いまや少女達の間には疑心の炎が再び渦巻いている。
逃げ場のない監獄島、寄る辺のない牢屋敷の中で、それは燻ぶればやがて災いを生む。
それをよく知っていた少女達は、誰もが、取り返しのつかない事になる前に事態が解決することを望んでいた。
こんな時ばかりは、桜羽エマや、二階堂ヒロがこの場にいてくれたら、と思う。
彼女達なら裁判という体で行われるこの議論の中で、最も望ましい結末を引き出してくれただろう。
そんな無条件の信頼が出来てしまえるようになったあたり、自分も随分変わったのかもしれない。
・・・しかしその彼女達は、もう、此処にはいない。
もうあの日々に戻れはしないのだ。
今、この牢屋敷で最も発言力があり、状況を支配できるのは恐らく、自分だ。
残る少女達には頼るに忍びなく。
ならば自分こそが、彼女達が相争うことを避ける為に尽力する必要があると、マーゴは考えていた。
エマのように真実を明かし、ヒロのように嘘を操り。
誰も不幸にならぬよう、この場を収めねばならない。
私にこんな決意は似合わないかしら、と自嘲して口端を上げる。
あるいはそれも彼女達に影響されたのかもしれない。
それは悪い気分ではなかったが、しかしこれからの時間を思うと、憂鬱であることに変わりはなかった。
ざわざわと、本来は重苦しく冷たい気配が漂う空間を、やや違う種類の緊張が支配している。
それは不安であったり、困惑であったり、あるいは憤りであったりと様々だ。
思春期の少女達の精神は揺れ動きやすく、こうした場に暗い感情を持って多数ひしめくには適さないとも言える。
マーゴは過密状態の裁判所内の状況に憂いつつ、ことの始まりを見守った。
これから始まるのは、罪を犯した者を炙り出す少女たちだけの裁判。
集められたのは自分と同年代の少女たち。
「これより!第三回、
ゴクチョーではなく、少し時代遅れなデザインの服を着た明るい栗毛の女の子が、憤懣やるかたないという様子で力強く宣言する。
ざわめきは静まるが、衣擦れの音がそこかしこから聞こえ、沈黙の訪れを遮っていた。
無理もない、とマーゴは思う。
そう広いとは言えない空間にあまりに大勢の人間がひしめいているせいで、少し蒸し暑いと感じるくらいだった。
そう。
総勢13
「議題は、
マーゴは嘆く。
嗚呼。
どうしてこんなことになったのかしら。