ろうやしきノそのご   作:緋色鈴

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章末魔女図鑑再掲と裏話④

 

◆◆◆

漆御門 ヒメコ

 

魔法:【豊穣】 植物の生長を促進する

原罪: 不作不知の姫巫女(ミノラズシラズノヒメミコ)

 

自然を豊かにし、植物の病を取り除き、作物を栄養たっぷりに実らせる魔法。

ヒメコは自身が身を置く領地内にこの魔法を使い続けて不作になりそうな年でも豊作にしていたが、流石に土地にかかる負荷などまでを踏み倒せるような力ではないため、知らずに使い続けていればいずれは破綻する状態だった。

 

案の定やってきた彼女の魔法でもどうにもならない大凶作の年、近隣から信頼を集めていた漆御門家としてどうにか打開せねばならぬと、領主やその下々の民の総意によってその身を神に捧げる生贄、所謂「人身御供」に選ばれてしまった。

責任感ゆえにそのことにはじめ悲嘆することはなかったものの、いざ土壇場になっては何故自分がという苦悩や生存本能に精神を苛まれることは避けられず、土中にて魔女化。

爆発的に強まった【豊穣】はその瞬間に凶作をなかったことにするほど不自然なまでに実りをもたらして村を救ったのだが、彼女自身は救われず、死ぬことも出来ずに苦しみ、地中より這い出て彷徨う亡者となれはてる。

そうなって間もなく、その境遇を憐れんだ幼馴染の手によって、その時代に決別を告げることとなった。

 

余談1:実は当時で言うところの「良家のお嬢様」程度の出でしかなく、姫なのは名前だけなのだが、周りの尊敬の視線が心地よくて誤解をそのままにしている。

余談2:傍目からはツキを振り回しているように見えるが仲は良く、お互いに姫と従者の関係はごっこ遊びの延長線上だと思っている。

余談3:時折ちよこれゐとをねだるようになった。

 

◆◆◆

裏話:

「牢屋敷とは関係ない少女」枠がこの場にいるとしたらこういう子だろう、という形で彼女は所々に出てきました。のじゃ系。

「魔女裁判を経験したかどうか」というのは正直、人格形成に大いに変化を生むものだと思っていて、それを経た彼女達にはみなどこかに陰がある感じを意識しています。【私たちの禁忌】としているのがその中心核。

そしてヒメコとツキにはそれがない。故に誰よりも部外者の目線でリアクションが取れるので、彼女達には何の衒いもなく、裏も表もないやり取りが出来る稀有な立場でした。

しかしその一方で二人の仲、その背景には魔女因子というものがやっぱりあって、という設定は正直書いていて楽しかったです。魔女裁判というものができる前から魔女因子はあったのだから、それ以外の悲劇というのもどこかにはあるのだろうと。

 

普段はわがままお姫様だけども、魔法の責任というものに関してはもしかすると誰よりも真摯に受け止めようとしていた、みたいな。

そういう都合でまるっきり別作品から来たみたいな世界観を背負う彼女たちですが、はじめからセットで登場させようと思っていたぶん書きやすくはありました、

 

余談4: ちよこれゐとと誰かに発音させたい、という思いつきだけで彼女は生まれた。

余談5: ツキ以外の取り巻きは名無しモブたちだがほぼ固定されており、特に「お姫様」と呼ぶ子は同一人物。

余談6: 最近姫じゃないことがバレた。現状は引き続き姫プ込みで可愛がられているが、たまにイジられるように。

 

 

 

◆◆◆

笹名塚 ツキ

 

魔法:【氷結】 周囲の温度を奪う (まのむらと被った!)

原罪: 秋を忘れじ冬将軍

 

ヒメコの幼馴染。

代々漆御門家のお付きをしていた家の一人娘であり、ヒメコの専属従者となる。

本家筋が豪農であり、ヒメコが魔法を使う縁もあって頻繁にそちらに顔を出すのに付き添い、自分もその手伝いをすることが多かったため、土弄りに詳しい。

 

大凶作の年、人身御供に出されたヒメコが魔女化し、【豊穣】の魔法が強まったことで本当にその効果が出てしまった。

本来はその犠牲を悼みながら畑仕事に励むはずだった村人たちが、あまりの覿面ぶりに手のひらを返してヒメコの死を有難がったことに激昂、自身も魔女化。

災厄規模の大寒波を引き起こして村を滅ぼしたあと、通常の手段では死なないヒメコを休ませるべく、完全になれはてた彼女を村はずれの氷室におびきよせ、魔女化によって強まった全力の魔法で以て自身ごと全てを凍結した。

 

ヒメコともども、メルルの与り知らぬところ、魔女裁判という仕組みが出来るよりも前から自身の魔法によって封印凍結されていたレアケースの少女であり、それゆえ生きていた時代が他の少女達よりも遥かに昔である。

結局強すぎる魔法の力で長年凍りついたまま放置されていたため、後にその土地を訪れ二人の氷像を発見した当時のメルルが「もし技術が進んで、魔女候補を皆こうして保存できるようになれば嬉しい」と考える切欠となった。

 

余談1:現在の従者ムーブは戯れのロールプレイに近いところがあり、それ以外の場では意外とフランクで親しみやすい。

余談2:自分が生きていた時代では超重宝された冷凍技術が現代では当たり前なことに内心めちゃくちゃショックを受けている。

余談3:「お()()のツキ」と呼ばれるとキレる。

 

◆◆◆

裏話:

「牢屋敷での生活」がどのようになっていくのか、と考えるとやっぱりいろいろ問題はありそうだなと思って、その解決に乗り出すとしたら現代少女だけでは無理だろうという判断から彼女が生えました。ヒメコは既に端っこに登場していたので、その魔法とセットに、どうやってこの島に居たのかという設定から芋づる式に。

 

恐れていたことですが、まさかその魔法が公式と被るとは・・・登場話の掲載時期はまのむらキャラの発表後なのですが、だいぶ前から設定は書いていたので、今更変えることもできず。

わがままお姫様の従者で、でも幼馴染で、子供みたいな癇癪持ちで。割と素顔が可愛いのかもしれないという辺りが彼女にあってほしい魅力だったところになります。あんま書けてはいませんけども。

「十五夜のツキ」でオリキャラたちの話を〆ることは途中から決めていたので、風雅に通じる彼女らの属性はいい雰囲気を出してくれていたように思います。

 

余談4:原罪名のお気に入りナンバーワン。豊穣の秋(ヒメコ)を忘れるなと怒り狂う極寒の冬(ツキ)

余談5:ヒメコ以外との交流が増えた結果、従者状態とのギャップに脳を揺らされる一部女子が発生。

余談6:最近ツキが姫じゃないことをバラした。ヒメコがツキの地雷を周囲にバラしてしまった報復。

 

 

 

◆◆◆

藤原 フウカ

 

魔法:【酩酊】 対象を前後不覚の状態に陥らせる (魔女化で重篤化)

原罪:酔いどれ歌人ノ孫娘

 

その効果は疑似的なもので、本当に酒精で酔うわけではないが、それでも未成年である魔女裁判の同期たちには彼女の魔法は強烈であり、使われた側は為す術もなく正気を失う。

 

はじめは己の数奇な体験を詩や文章にしたためるというノアにも似たルーティーンによって心の平静を保つことに成功していたが、その浮世離れぶりと歯に衣着せぬ物言いで、魔女化しかけていた少女の敵意を買う。

自衛のために相手を酔わせて昏睡させようとした結果、未成年相手ゆえに加減を誤って中毒症状で死なせてしまい、それが禁忌にも触れたことで自暴自棄に。

生まれて初めて自身へ【酩酊】を使いタガが外れた彼女はさらに生き残っていた同期全員をも【酩酊】させ、それまでの魔女化に抗っていた者達の自制心の崩壊、魔法の暴走などを引き起こして地獄絵図を作り出してしまった。

その時点でも彼女の魔法は明らかではなかったが、かろうじて生き残った少女1人と黒幕の二票によって処刑された。

裁判によって処刑された単独犯の最多殺人賞。

 

有名な歌人を祖父に持ち、自身も創作が好きな古い時代の少女。

祖父は酒が好きで、酔っている間は作家の苦悩を忘れ、孫娘をべた褒めに可愛がってくれるその赤ら顔がフウカも好きだった。

祖父亡き後、今度は父の方がその血を引く作家として色眼鏡で見られ、苦しむ羽目になった。

見かねて、父も酔えば気分転換になるのではないかと魔法を使った。

・・・優しかった父が、酔うと人が変わったように暴れること、それを知っていて結婚後は決して酒を口にしていなかったこと。

そして彼女が酔わせたその日に勢いあまり母と姉を殴り殺すことなど、酒を飲んだこともない幼い彼女には予め知る由も無かった。

 

余談1:前述の通り酔うと危険な人格が露わになる二面性は父親譲りであり、そんな自身をひどく嫌悪している。

余談2:バレンタイン当日、チヨコのやらかしが禁忌直撃だったので我慢ならずに鉄拳制裁してしまった。全員がフウカを支持した。

余談3:彼女の正論は作者にも刺さっている。

 

◆◆◆

裏話:

「もし原作組と仲が悪い子がいるとしたら誰とどんな風に?」と考えてから彼女はほとんど一瞬で誕生しました。やっぱりアンアンはそういうところ衝突しやすいだろうなと。

ある程度は強かなエゴがなければ到底やってられない創作という行為。彼女はその理解者であり、また無理解者でもあり。

そんな彼女とぶつけることでアンアンはどう変わるかな、というのが彼女のお話の根幹でした。

ちなみに私個人は完全にアンアン側で、フウカの台詞は大体嫌いです。エゴサはするけど批評とかヤダ。でも投稿はする。オリキャラはウケないだろうなあ。でも書きたいし見てくれ。

 

彼女の魔女図鑑にあたる酒にまつわるエピソードは到底本編には絡めなかったので裏設定のようになっていますが、そういうギャップは結構好きです。わりあい原罪が良く出来た気がしている子の一人ですね。

一方で彼女の傷は酒絡みに終始しており、作家としての厳格なスタンスや、歯に衣着せぬ物言いで顰蹙を買いやすいコミュ力の欠如は純粋に彼女自身が形成したものということでもあったり。父親が作家として苦しんでいたことを知っている上でこれなので、ある意味では誰よりも問題児かもしれないですね。

 

余談4:アンアンをボロクソに言っているが実は本人の作品もだいぶマイナー層向け。ノアだけが二人の感性のズレになんとなく気がついている。

余談5:酔うと一転、妙に妖艶な笑みを浮かべて周囲に絡み始める。熱い吐息と共に「くふ」と微笑みだしたら危険信号。

余談6:数年後の成人祝いでギャル子に酒を飲まされてしまうが、禁忌を克服済みの彼女は豹変する自分を肯定して味方につけており、逆に他全員を酔い潰すに至る。

 

 

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