入学から約半月。
青はいつものように、藍鬼の作業小屋を訪ねていた。
「で、学校はどうだ」
「あ、あのね! あのね」
師の問いに、青は待ってましたとばかりに息せき切って喋り出す。
報告したいことが、山ほどあった。
「小松先生っていう先生がね!」
青は、身振り手振りを交えて、初日と術の授業での出来事を語って聞かせた。まるで英雄譚や冒険物語の一幕を演じているかのように、興奮して、頬が紅潮している。
仮面の師匠は、そんな青を眺めながら、木の実の殻を剥き続けていた。
「それだけの技量があれば、中士も特士も関係無い。そのガキも、身をもって分かっただろうよ」
「うん! トウジュも、すごいハンセーしたみたいだった。あ、でもね、トウジュはすごいんだ!」
そこから青の語りは、トウジュが次々と、様々な術を成功させた話へと移る。
つゆりも、授業のたびに風術の精度を上げ、つい昨日の練習では、一瞬ではあったが身体の浮遊に成功した。
「友人ができたのか」
「トモダチ……なのかな」
分からないけど、と青はむず痒さを照れ笑いでごまかした。
トウジュとつゆりとは、術の授業をきっかけに、よく話すようになった。
主につゆりが青とトウジュを巻き込み、横入りしてくる形ではあるが。
「でも……」
青の陽の瞳に、影が差す。
「僕だけ、術が全然ダメで」
「そうか」
なるほど。本題はこれか。
殻を剥いていた藍鬼の指先が、止まった。
「まったくか? 何も出なかったのか?」
「……」
膝の上で拳を握って肩を落とす、自称・弟子。
「水と地はちょっとだけ。でも炎と風と雷は、うんともすんともいわないんだ。手がぎゅーっと熱くなってく感じはするんだけど」
「そうか」
藍鬼は、淡々と相槌を打ちながら、剥いた実を瓶へ詰める。
青も、ごく自然にチリトリを取り、散らばった殻を掃いた。
「採集に行く。手伝え」
詰め終わった瓶を棚に置くと、藍鬼は麻袋を肩に担いでさっさと土間へと降りていった。
「え! うん!」
慌てて青も、チリトリを棚横に戻し、後を追う。
小屋の外へ連れ出してくれるのは、初めてだった。
藍鬼は、村とは反対方向、森の奥へと突き進んでいく。
まだ陽は高く、天気も穏やかだ。妖獣が現れるような気配はないが、足元の草叢が深さを増していき、青は少しの不安を覚える。
歩き続けること、半刻ほど。
青の腰の高さほどの草をかき分けた先で、岩肌が剥き出しになった地帯へと出た。
「この辺りからだな」
前を歩く広い背中から、独り言が流れてきた。
岩場を越えると、目の前の景色が一変する。
青の素人目にも分かるほどに、植物の生態系が、変化していた。
湿気が増し、岩は苔むしている。
木々の根が絡み合い、青の背丈ほどの高さで地面に渦やとぐろを描いていた。
岩や根をよじ登らなければならず、前へ進むのも困難になり始める。
「このあたりは、毒を持つ植物が多い。うかつに触るな」
「何を採りに行くの?」
「狩りに行くんだ」
言うが早いか足元の、
「へ?」
それが何かを確かめるより早く、藍鬼が振り返りざまに刃物を振るい、青の足元の根に突き立てた。
根はシャーシャーと、怒った猫のような音を漏らし、くたりと動かなくなる。
「へ、蛇?!」
苔に見えていたのは緑の鱗で、刃物が突き立った箇所から血液だろうか、深緑の液体が流れ出ていた。
「こいつの肝が必要だ。ついでに皮も取っておく」
木の実の殻を剥くような手際で、藍鬼は蛇の皮を削ぎ、刃先で小さな内臓をくり抜いた。
青は、魚を捌いているような師の刃物さばきを、観察する。
「使えるようになっておけ」
藍鬼が腰からもう一本の刃物を取り出し、青へ差し出す。
「これ……苦無?」
大人の手には小刀に見えたが、受け取ってみると青の手には大きく感じる。
刃物は黒鋼で、柄に指や紐をかけられる丸穴が空いていた。
「そうだ。土を掘る
「使ってみたかったんだ、やってみる!」
右手で握ったり左手に持ち替えたりと苦無の感触を楽しみながら、青は蛇を探した。
少し離れた距離の樹木、その幹に巻き付く苔色の蛇を発見。蛇の方も人間二人の存在に気付いて、幹から半身をもたげさせ口を開けた。
「――え」
青の前髪が僅かに風で揺れる。
乾いた音の直後にシャーと音がして、次の瞬間には苦無が蛇の口を幹に縫い止めていた。
離れた場所で作業をしていたはずの藍鬼の手から、苦無が消えている。
いっさい蛇の方を見ないまま、藍鬼が軽く手首をしならせると、幹に刺さった苦無が抜けて手元に戻った。
支えを失った蛇の死骸が、樹の根元に力無く落ちる。
「あれは毒蛇だ。気をつけろ」
「ど、どうなってるの? さっきの!」
「糸が通してあるだけだ」
藍鬼の指先から、苦無が振り子のように揺れている。
どう目を凝らしても糸が見えない。
顔を近づけて指で触れてみてようやく、苦無の丸穴に糸が結んであるのが、光の反射で判別できた。
「細すぎて見えない……」
「職人が作った特殊な糸だからな」
道具の修理、武具の繕い、医療用、そして罠や、敵を縊り殺す時にも用いられるものだ。
「苦無は
「キューショを狙えば良いってことでしょ?」
得意げな弟子に、黒い仮面の下から「はっ」と短く笑った声が漏れた。
「そういうことだ。さっきのアレ、処理してみろ」
アレ、と藍鬼の片手が、背後でくたばっている蛇を示す。
「うん!」
岩を飛び越えて、青は蛇の亡骸を拾いに走った。
「……あのさ、師匠」
師匠と向き合って座り、ぎこちない手つきで蛇の皮を剥ぐ。
そのさなかに、青は振り絞った勇気と共に、今日もっとも藍鬼に聞いてほしい話の口火を切った。
「僕、目標があるんだ」
「ほう」
「僕、技能師の試験、っていうの、目指して、見ようと、思っ、て」
一言ずつ声に出しながら、青は向かい師匠の反応を伺う。
返ってきたのはいつもの「そうか」だった。
*
技能師とは、小松先生が授業で説明した通り、神通術とは異なる系統である技能術を扱う者を指す。
法軍において、技能術の職位は十二に分けられている。
中士や上士等の総合職位との最も大きな違いは、その職位が「資格」「上資格」「専門職位」の三つに段階が分類される点だ。
下から、三級、二級、一級、ここまでが「資格」。
その上が丁、丙、乙、甲、ここまでが「上資格」。
甲より上は「専門職位」となり、狼、虎、獅子、龍、そして頂点は麒麟。
狼以上は、その分野で「師」を称し、職位を表す紋章の使用が許可される。
また、専門職位は兼任が認められていない。
これは、技能水準の維持と、「
「小松先生が教えてくれたんだ、技能師には、いろいろあるんだね」
薬術師、毒術師の他、罠術師、式術師、武具工師、幻術師、火工師、土木師、食医師など、神通術に依らない技術力で人々を、法軍を、ひいては国を支え助ける存在だという。
「それでね、一級までは学校の生徒も試験受けて、合格する子がけっこういるんだって」
下位資格ほど試験の開催頻度が高く、また、甲までは受験資格の条件もなければ、取得数の制限も無い。そのため、複数の技能術の資格取得に励む者は多い。
「師匠は、どう思う?」
「どう、とは」
「師匠は『龍』なんでしょ?」
藍鬼の手甲の銀板、薬の瓶、通行証の
「小松先生が言ってたよ。龍って三年に一人しか選ばれないからすごくすっっごく、難しいんだって。師匠ってすごいんだね!」
技能師とは何か。
その道を歩むことの尊き意義。
小松先生から受けた指南を語るうちに、青の頬に、牡丹の花が開くように朱が差していく。声の調子は次第に高ぶり、身振り手振りも大きくなっていった。
「だから、どう思うか聞きたくて」
「その『小松センセイ』は、何と?」
「『良いと思いますよ!』だって」
「なら、俺がどうこう口出しする立場ではない」
「でも……」
青は軽く下唇を噛む。
まるで、藍鬼に突き放されたように感じたからだ。
「ただ」
処理を追えた蛇の死骸を脇へ置き、藍鬼は立ち上がった。
手にした苦無を逆手に持ち換えて、辺りを見回す。
「神通術が上手くいかなかったからって、技能師を目指すつもりなら、やめておけ」
「そんなんじゃ……!」
見透かされたような気がした。
気づけば、青の手が無意識に、胸元の襟を強く握りしめている。
「……」
弟子が言い訳に迷っている、その時だった。
辺りに目を配っていた藍鬼の視線が、一点で止まる。
「地神・
その言霊とともに――
苔むした大岩同士が、砂鉄のように互いに吸い寄せられ、轟音をたてて岩壁となる。
直後、重量のある何かが、その岩壁に激突した。
衝撃で石つぶや
「うわっ!」
青は思わず目を庇い、恐る恐る顔を上げた。
「――え……!?」
目の前に、巨大な蛇の頭が三つ。
「み、三つ??!」
藍鬼の術で築かれた石壁の向こうから、ゆらりと三つの首を持つ巨大な蛇が覗いていた。
「言い忘れていたが」
藍鬼の右手が、腰に差していた鞘から刀を抜いた。
「獣を殺すと、血の臭いを嗅ぎつけたヌシを呼び寄せる。採集任務の時は気を付けることだ」
「え!?」
どう立ち振る舞えば良いのか分からず、青は両手で苦無を握った。
「自力で避けろ」
「え!? え!?」
短く言い残し藍鬼は前方に飛び出す。
石壁を消失させると同時に、二つ目の蛇頭の
「いっ!」
三本目の蛇の首と、青の視線が交差した。
真っ赤な口を開けて、首が迫りくる。
「うわわ!」
青は
老木もろとも、蛇の大口が幹を噛み砕く。
木片が
そのまま、大蛇の頭が岩に激突する。
一方の藍鬼は、二本目の首の上へと躍り上がる。
逆手に持ち換えた刀を、全体重と重力を乗せ、額板へと突き立てた。
「キシャアアアア!」
不快な断末魔を上げ、首が堕ちる。
滞空しながら、藍鬼は青の姿を探した。
小振りな岩陰に向けて、小柄な体が駆け込む姿が見える。
三本目の首が、無秩序に大きく蛇行を始めた。
「あれでは岩ごと丸呑みにされる――」
藍鬼は滞空中に風を起こして方向を変え、青が身を隠す岩の上へ着地した。
大蛇は周辺の木々をなぎ倒し、苔石を跳ね上げながら、藍鬼が立つ岩を目掛けて突貫する。
「師匠!?」
岩陰から、青が顔を覗かせた。
岩の上の師は、両腕の刃物差しから数本ずつ長針を掴み、引き抜きざまに蛇へ向けて放つ。
「ギシャッ!」
針は蛇の両目へと深々と突き刺さる。そこから、間欠泉のように白煙が噴出した。
「風神・鎌鼬!」
藍鬼の手から風の刃が放たれ、蛇の首が切断される。
腐色の血液を撒き散らしながら、大蛇はのたうち、捩れ、痙攣し――静止した。
「青!」
「お前、何を――」
ししょー、と岩陰から出てきた弟子の手に握られた物を見て、藍鬼は言葉を切った。
「あ、これはね」
青の手には、赤い綱――のような、それは尖端が二股に分かれた大蛇の真っ赤な舌だった。
三つ目の頭が岩に激突した隙に、大口からはみ出していた舌を、青が苦無で切り落としていたのだ。
蛇は視力が悪く、舌には嗅覚器官としての役割もある。
藍鬼が見た違和感――三本目の首だけが狙いを定められず大きく蛇行していたのは、獲物である青の匂いを感じ取れなくなったからであった。
「分かってやったのか、それを……」
「いきもの図鑑で見たことがあったんだ!」
「……」
仮面の下で二の句に迷う師匠へ、そんなことより、と弟子は目を輝かせた。
「また針で妖獣を倒しちゃったね! 師匠すごい!」
「……やわい箇所を狙っただけだ」
苦笑混じりの溜息を吐いて、藍鬼は針を指先でくるりと回して針差しへ戻す。それから改めて、くたばった大蛇へ向き直った。
「せっかくの大物だ。採れるだけ素材を頂いていくぞ。半分はお前の手柄だ。後で薬商や素材店にでも持って行くといい。売れば良い金になる」
早々に、師は苦無片手に鱗を剥がし始める。
青も見よう見まねで、隣にならんで苦無を振るった。
「全部師匠にあげるから、今度またお薬とかちょうだい!」
「……お前なあ……」
商売の才については、負けを認めざるをえない――師はそう確信するのであった。
*
二刻ほどを費やし、大蛇を素材に変える作業を終えた。
素材を詰め込んだ袋を背にかかえ、二人は小屋への帰路へ引き返す。
「神通術の件だが」
苔むした岩を踏み越えながら、前を歩く背中がぽつりと話し出した。
「俺とて、お前くらいの年の頃は、大して使いこなせはしなかった」
「そうなの?」
「俺の戦い方を見て分かっただろう。実戦では悠長に構えて、考えて……などやっている暇はない」
学校の授業で教わった、術を発動させるまでの手順。
玄人は、それを瞬時に組み立て、状況を判断し、動き、走り、戦いながら発動させる。
「多少の相性や体質、素質も関係しているだろうが、結局のところ、すべては練習と訓練の積み重ねでしかない。たかが半月、
「あ……」
青の脳裏に、小松先生の言葉が浮かぶ。
自分に合ったものを、これから何年もかけて探していく。
今は特士の人も、一年生から何でもできた訳ではない。
「それに」
岩の小さな段差を飛び降りると、往路で通った草の剥げた砂利と岩の一帯に戻る。
「この辺でいいか」
と先行する藍鬼が呟き、追いついた青を振り返った。
「何でも良い。術を使ってみろ」
「へ?」
「水と地は使えたんだろう? なら、授業と同じようにやってみればいい」
「は、はい……!」
唐突に学校の授業のようになった。
驚きはしたが、青は反射的に、小松先生にそうするように返事をする。
「地神……」
藍鬼の前で披露する緊張感を覚えながら、手のひらを上に向けて掲げる。
唱えとともに、土と接触する足裏から、熱が体を昇ってくる感覚が走る。
「
ボコッと泡が弾けるような音がして、青の足元の土が大人の拳大に盛り上がり、弾けた。
「……」
「……」
「モグラか?」
「僕の術デス……」
青はがっくりと肩を落とす。
授業とまったく同じ失敗が再現されただけだ。
トウジュに爆笑され、小松先生とつゆりに「元気だして」と慰められた、ある日の授業と同じ。
「水は?」
「同じだよ……」
再び青は両手を顔の前に
水神、の後に、玉。
またポコッと泡が弾けるような音がした。
藍鬼が音の方を向くと、二人から離れた木の根元から、わずかに水が噴出している。
玩具の水鉄砲一発程度の水量と勢いで、すぐに止まってしまう。
「……」
「……」
「なるほど」
「学校の後も練習してるんだ。でも……」
きっと師匠は、呆れたに違いない。
青は両手を力なく降ろし、また下を向く。
「みんなはできるようになっていくのに…」
「……そうだな」
何やら考え込む藍鬼へ、青は目を合わせられなかった。
「青、俺の真似をしてみろ」
藍鬼は背の荷物を下ろし、おもむろにその場へ膝をついた。
草の剥げた土の地面に、片手のひらを当てている。
「う、うん……!」
慌てて、青も倣う。
「目を閉じろ」
何の術だろう、と疑問に思いながら、青は言われた通りに片手を地面に押し当てて、そっと瞼を閉じた。
「……」
「……?」
藍鬼は無言のまま。
戸惑う青に「し……」と沈黙が命じられる。
「息をゆっくり吐く。そのまま。もっと吐け」
「……ふー……」
藍鬼の低い声に導かれながら、青は少しずつ、ゆっくりと、息を吐いていく。
吐ききった頃に、
「何が聞こえる?」
聴力に意識を集中させる。
己の心音、そこへ徐々に脈が重なっていく。
脈は体の中心から腕を通り、地面に接した手のひらへ集まり、それぞれの指先へと伝わっていく。
「もっと深く」
指先から地中へと脈が伝わり、潜り、新たな脈と重なり流れ行く。
「水神」
「水神」
「
「ミオ」
言霊を口にした瞬間――瞼の裏に白く光る幾筋もの線が走った。
細い線はやがて太い線に出逢い、交わり、流れ、一本の幹を上り、集う。
「地神」
「地神」
「
「シュンドウ」
幹に集った光が、まるで沸騰するかのように波打ち、幹を下り逆流する。
「うわっ」
突然、青の顔面に水がかかった。
たまらず尻もちをつき、目を開ける。
見ると――
手をついていた地面から、勢いよく水が噴き出していた。
「え? え?」
青が慌てふためいているうちに、噴出する水は少しずつ勢いを失くし、止まった。
唖然とする青の前に、立ち上がった藍鬼が歩み寄る。
「水がどこから来たか、わかるか?」
「え?」
濡れた前髪から滴る水を拭い、青は立ち上がる。
師の問いの意味が分からず、首を傾げた。
「視えただろう。水脈が」
「スイミャク?」
「水の流れだ。どこから来た?」
「たぶん……あっち、から」
瞼の裏で見た光の線が走った方を、指で示す。
その先には、一本の樹。
幹が鱗のようにでこぼこした、樹齢の古い針葉樹だ。
幹に、大きなウロが開いている。
「こっちだ」
「?」
手招きされるまま、ウロを覗いてみる。
そこに、水が溜まっていた。
「お前は、水の術を使って水脈を当て、ここに溜まった水を、地の術を使って引き寄せた」
「え、い、今のが……術??」
「ド派手な花火を出すだけが術じゃない。お前は今、二つの術を組み合わせて使った。一つ一つは大した力ではないかもしれないが……もたらす結果は大きい」
「え……」
「それが、お前にとっての、術のかたちなのかもしれない」
「僕の……術のかたち……」
烏の濡れ羽のような青の瞳が、微かに顫動する。
「水術で出現する水は術の消失とともに消えてしまう。だが水脈を探り、当てる……これが任務においてどれほど助けになるか、分かるか」
「助けに、なる……?」
「水は命だ。渇きを潤し命を繋ぎとめる。傷や毒を浄(あら)い熱を取る。飯、薬といった体に入れるものの素となる。森、砂漠、山、戦場――あらゆる場所で水は命綱だ」
驚くばかりの子を前に、黒い仮面は珍しく雄弁だった。
ただ、その逆もまた然り。
水を読む――これが容易に命を奪う手段にもなりうることを、師は、最期まで弟子に伝える事は無かった。