シングルファザーローランくん   作:なめなめろう(旧名:ELDERSIGN)

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シングルファザーローランくん

 

 

 1人の男が本を書いている。男の傍らには、本がうずたかく積み上げられている。

 

「パパ? 今度は何の本を書いてるの?」

「今日はな〜この図書館の歴史を、書いてるのさ」

「ここの?……そういえば私全然ここの事知らないや。書き終わったら見せて?」

「はぁいはぁい〜……だいぶ色んなことがあったから書き終わるまで結構時間かかると思うけどな」

「む〜……じゃあ、途中でもいいから良いところで見たい!」

「わかったわかった」

 

 そう言って、男は娘の頭を撫でた。娘はうざったそうに目を瞑ったが、その口元は嬉しそうに綻んでいた。

 

「……アンジー。アンジェラに、そろそろ取材に行ってくるって伝えておいてくれないか」

「取材? うん、わかった! じゃあ私も出かける準備した方がいい?」

「そうだな。今の都市は……寒いだろうから、あったかい服装にするんだぞ」

 

 男の言葉を聞きながら、少女は駆け出す。

 

「アンジェラお姉ちゃん! パパが取材に行ってくるって!」

「あら……もうそんな時期かしら。なら、これが必要ね」

 

 ひらりと一枚の紙を少女に手渡す。その紙には招待状、と書かれていた。

 

 図書館は多くの力を失った。けれど、時間さえあれば図書館へと転移させる招待状を用意することくらいはまだ可能だった。

 

「危ない時はそれを使うのよ。……今更言う必要もないわね。もう何度も使っているのだから」

「うん。でも、ありがとうお姉ちゃん」

 

 少女の咲くような笑顔に、女も笑顔を返した。

 

「さあ、もう行きなさい。支度しないとでしょ?……できるだけ暖かい格好で行くのよ」

「あはは、お姉ちゃん、パパと同じこと言ってる!」

 

 その言葉に、女は顔を赤らめた。

 

 

 ◇◇◇

 

 

「アンジェラ、取材に行ってくるぞ」

「ええ。気をつけて」

「ああ。……なんかお土産いるか?」

「そうね……あそこのパジョンは美味しかったわ。それと……ミートシチューも」

「いつも通りってことだな」

「ふふ……ええ。いつも通り」

 

 穏やかに笑い合う男と女。図書館のいつもの光景だ。

 

「今回の取材は何処に行くの?」

「えーっと……今回はリウ協会とハナ協会だな」

「……シャオとオリヴィエってことね」

「まあ、そうだけど。あと、ロウェルもいるだろうな」

「なら、餃子もお願いしようかしら。あの餃子もとても美味しかったわ」

「わかったわかった」

「パパー! 準備終わったよ!」

 

 モコモコの毛皮で仕立てられた服を着た少女。寒さ対策はバッチリだ。

 

「よし、じゃあ行こうか!」

 

 男と少女が手を繋ぐ。大きな手と小さな手。黒い手袋と透き通ったような白い肌。

 

「ローラン。あなたの本を楽しみにしているわ。……タイトルは決まった?」

「最近、やっとな。タイトルは……」

 

 男が女の方へと振り向く。そして自慢げに言い放った。

 

「Library Of Ruina。いい名前だろ?」

「……ええ。とっても」

 

 鎖は解き放たれた。彼らはもう都市の苦痛の中にいない。そしてこれからも。

 

 彼らの人生はまだまだ途中で、今綴られ始めたばかりだ。その続きは、きっとまた何処かで。

 

 

 

 





これにて完結です!ここまで読んでくださり、本当にありがとうございました!

クリアした衝動で書き始めた物語だったので、特にプロットなども考えていなかったのですが、最後までどうにか書き終えることができました。こうやって完結させることができたのも、素晴らしい作品を作ってくださった Project Moon様と、読んでくださった皆様のおかげです!評価と感想が本当に励みになりました!この物語が、少しでも皆様の心に残ってくださったのなら幸いです。

そして、完結と言いましたが、後日小話やおまけ、番外編などを投稿すると思います。よければそれも読んでくださると嬉しいです。では、また何処かで。


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