上鳴デン“ジ”君   作:電のこのこのここしたんたん

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某Xでデンジのコスプレしてるかっちゃんのイラストと、ダイナマ衣装のコスを着てるレゼのイラストを見て思い付きました。
なんでそっちで書かないか?そんな技量が、無い…!


第1話

「ふわ〜ぁ、よく寝たわ。さて、日課のデンレゼイラストを……! スマホがねぇ! ……ん? なんか声高くね?」

 

 彼はどこにでもいる普通の人間であった。

今日も普段通り、自室のベットで目覚める…筈だった。

 

「つーか気づいたらこの部屋見覚えねぇ! 何処だ此処!」

 

 見知らぬ場所で目が覚め、訳がわからないまま辺りを探していく。

幼児退行やタイムスリップといった線が無いことは、物の配置や見覚えの無いものが多くある事から推測出来た。

 

「子供部屋か? …ゴチャゴチャしてんな、整理整頓しろ! 足の踏み場も無いんだけど!」

 

 混乱状態のまま部屋中を見ていると、姿見があり、そこには此方を怪訝そうな顔で見つめる見覚えの無い金髪の目つきの悪い子供が居た。

 否、何処となく見覚えのある顔だ。

 

「……俺、デンジになってね?」

 

 週刊少年ジャンプ+で連載していた漫画【チェンソーマン】の主人公、を幼くした姿が映っていた。

 …しかし微妙に違う気もする。

金髪は金髪だけど、何か黒い稲妻模様のメッシュが入っているし、そしてキザ歯でも無い。

 

 ──ほなデンジと違うか。

 

 そう思い自身の名前が書いてあるモノを探していると、無造作に置かれたランドセルがあり、そこからテストらしきプリントが飛び出していた。

 名前の横に点数が記されている筈の欄には、赤い字で丸が一つ書かれていた。

 そこに書かれていた名前は…

 

「えーと何々…字汚いな。“かみなり でんじ”…マジか⁉︎早川じゃ無いのか⁉︎デンジの元の名字知っちまったよ!」

 

 ──ほなデンジやないかい! 名前とここまで頭が悪いのは間違いなくデンジや! 

 

「て、事は…あるな」

 

 自身がデンジであると確信して胸元を弄ると、そこにはチェンソーのスターターがあった。

 何でデンジになったのかとか、色々疑問は尽きない。

 けど細かい事は気にしたら、何も出来なくなる。

だから考えない事にした。

 

「まぁイイか、これからヨロシクなぁ!」

 

 

ヴウン! 

 

 その言葉と共に思い切りスクーターを引っ張った。

不気味なチェンソーの駆動音と血飛沫を上げながら、普通の人間の体から変わっていく。

 チェンソーの形の頭をした地獄のヒーロー、チェンソーマンに変わって…変わって…

 

「ウオオオ! 痛ええ!!」

 

 自身の体から生えてきたチェンソーの刃による痛みに、思わず叫ぶ。

 

(確かチェンソーマンって体突き破って生えてくるから痛えのは知ってたけど、こんな痛いのか⁉︎やべぇ無理だ、無理!解除、変身解除!)

 

 すると、顔から泥が落ちる様にチェンソー部分が落ちていく。無事元に戻ったのを確認した後、身体中から力が抜け派手な音を立てて倒れる。

 倒れ伏した際の自身の出血量から、まるで猟奇的殺人事件の犯行現場みたいになったが、生憎行われたのは盛大な自傷行為である。

 

「…やべえ…一気に血が吹き出した所為で視界が……クラクラする…死にそう…」

 

…朝なのに自室から出てこない息子を心配した両親が、血溜まりの中で蹲る息子を見て絶叫を上げるまであと数分─。

 

 

 

(アレから数年経ったけど、特に何事もなく平和で、この生活も慣れてきたな)

 

──嘘である。

色々ありまくりである。

 何かあれば直ぐに胸のスクーターを引いて変身しようとするし、ヒーロー志望なのに喧嘩はするし、少しでも可愛い女の子がいればすぐナンパはする。

 最終的に痛い目を見るが、翌日にはそのまま何事もなくケロッと復活してくるので同級生からは化け物を見るような目で見られていた。

 知らないのは本人だけである。

 

(両親共にいい親で蒸発しねぇし、借金もねぇ。オマケにあったかい布団で毎日寝れる)

 

(本当にデンジとは思えないくらい良い生活を送ってる)

 

 尚この少年、自認は未だにデンジである。

自身がデンジであると信じて疑わないのである。

 

(…良い生活と言えば、この世界はチェンソーマンの世界とは違う。1996年代なんて昔じゃなくて元号も聞いた事ない、遥か未来の20××年だってよ。俺もその時代まで生きてねえよ)

 

(しかも、普通にその辺の人達が特別な力を持ってて、それを【個性】と呼んでて人を助けるヒーローっていう職業がめっちゃ人気だ)

 

(俺がチェンソーマンという個性なのも、両親がら受け継いだ…受け継いだのか?まぁ大まかに言えば電気系の個性だしな。正確に言えば俺の個性もチェンソー出して振り回すだけの個性じゃないし)

 

 両親共に電気操作の様な個性で息子も電鋸の個性だから、両親由来の個性となっている。

これには個性届を出しに行った時に両親も役所の人間も首を捻っていたが、彼も両親もそこまで気にしていなかったので「そういうものか」で受け止めて現在に至る。

 

 当然、彼はこの世界が【僕のヒーローアカデミア】というのは知らない。

逆にこう考えていた。

 

(俺バカだから分かんねーけど、この世界ってさぁ…MCU *1なんじゃね?それで舞台を日本にしてるからなんかスゲーアメコミっぽい世界観になってるんだろう)

 

 彼は生前、マーベル映画にハマってあり、新作が出る度に映画館に足を運んでいた。

 最後に観たのはドクター・ストレンジのMoMである。

彼が個人的に好きなのはスパイダーマンのNWHである。

三度観に行ってラストで全部泣いている。

 閑話休題。

 

(つまり、この世界は最近流行りのマーベルのマルチバースってヤツだ。きっとその内俺を別世界のチェンソーマンが助けに来て、三人のチェンソーマンの夢の共闘が出来るかもしれない。いや逆に俺が助けに行くのも…アリだな)

 

 そんな訳がない。

仮に出来ても、チェンソーマンが3人もいれば繰り広げられるのは地獄絵図である事は間違いない。

 

 そんな脳内お花畑の彼だが、真面目にヒーローになる気はあった。

自身がチェンソーマンだからではない。

 

(ヒーローになったら女の子にチヤホヤされてモテまくりじゃん!)

 

 彼が目覚めた時から、否、生まれる前から日本を守っていたNo.1ヒーロー「オールマイト」。

その活躍を目にした人々の中には、常に女性が熱狂的な視線を浴びせていた(彼視点では)。

ただのヒーローでは満足できなかった彼の目標は、いつしかNo.1ヒーローになる事が目標になった。

動機が下心しかないが、それでも今日まで何とかやってきた。

 

国立雄英高等学校、通称雄英高校。

倍率300倍を誇るヒーロー科がある日本において最高峰。一般入試36名の狭き門を巡って、全国の猛者達と今日は鎬を削るのだ。

 

「着いたぜ。此処が雄英高校か……デケエな。俺が地獄のヒーロー、チェンソーマンとして()()にデビューするに相応しい地だな!」

 

 全国のお風呂を巡る男性ユニットグループになってどうする。正しくは鮮烈である。

 

(そしていつか俺もマキマさんの胸を…!)

 

 残念ながら雄英高校にマキマという人物はいない。

居るわけがないが、彼は居ると思っているのである。

 

(その為にも先ずは……受験の悪魔!これをキッチリ倒して、最初の一歩を踏み出してやるぜ!)

 

 因みに彼は、苦手な事は何事も『○○の悪魔』と付けて敵視する事で、自身のやる気を上げている。

 要はピーマンが嫌いな子供に、思い込みで克服させるのと一緒である。

 

 

「終わった……」

 

(筆記試験難しすぎるだろ…俺一応人生二度目よ?なんでこんな出来ないんだよ…)

 

 彼は勉強が苦手だ。

今日という日に向け人より猛勉強してきたが、やはり苦手な物は苦手だった。

 

(いやでもまだだ!実技もあるって言ってたし!ここで名誉卍解してやるぜ)

 

 尸魂界の死神では無いので、正しくは挽回である。

そんな彼に近付く影が一つ。

 

「ねぇ、大丈夫?」

 

「あン?」

 

 筆記試験で良い成績を出せなかったと凹んでいる声を掛けてきたのは、ボブカットで耳がプラグが付いてるような少女が話しかけてきた。

 その少女に何処か見覚えがあった。

 

「確かさっき筆記試験で俺の隣だった…」

 

 その言葉に少女はそう、と頷き言葉を続ける。

 

「さっき隣同士で、筆記終わってから何か調子悪そうだから声掛けんだけど、大丈夫?具合でも悪いの?試験官呼んでこようか?」

 

「…いや、大丈夫だ。筆記が思ったより出来んくて凹んでただけだ」

 

「なら良いけど、これから実技なんだからもう少しシャンとした方がいいんじゃない?」

 

「おォ、サンキュな。お前良いやつだな、お互い受かる様に頑張ろうぜ」

 

(女子から話しかけられちまった〜〜〜〜‼︎しかもカワイイ! 初めてだ、女子側から話しかけられたの!スゲェ、嬉しい‼︎)

 

 脳内狂喜乱舞してる彼の平静を装った言葉に彼女はクスリと笑い、言葉を続けた。

 

「そうだね、お互い頑張ろっか」

 

 そう言って、彼女は違う方向に歩いて行った。

彼女を見送った彼は、思わずガッツポーズを取っていた。

 

(やりぃ!これはファーストコンタクト成功だろ、俺の未来も薔薇色確定だぜ!あ、名前と連絡先聞いときゃ良かったなぁ!)

 

 …彼が色ボケしている間にも状況は変わっていく。

 先程受験生全体に説明があったのだが、実技試験では仮想敵のロボットと戦う。ロボットを無力化・行動不能にすると、ヴィランポイントが加点される。

 敵ロボットは4種。倒してポイントになるロボットが3種(各1P、2P、3P)に加え、倒してもポイントにならない巨大敵ロボットが1種いる。

 他の受験者より早くロボットを探し出す情報収集力、ロボットまでたどり着く機動力、ロボットを無力化する個性の破壊力や捕縛力が試されるのだが…

 

 一方で気にせず、考え込む馬鹿が一人。

 

「まぁいっか、受かりゃ同級生だし、会う機会もあるだろ!」

 

『スタート!』

 

「あ?」

 

 漸く妄想から帰還した彼を待っていたのは、試験開始の合図であった。

 

「…試験始まってんじゃねぇか!」

 

 漸く気付く彼。

周囲が我先にと動くのを見て出遅れた事に気付くも、不敵にニヤリと笑い胸元のスターターに指を掛ける。

 

「見てろよポチタ!俺が、俺たちがチェンソーマンだぁ!」

 

 |イマジナリーフレンドであるポチタ《この世界に存在しない親友(※親友ですらない)》にそう言いながら胸のスターターを引っ張った。

 

ヴウン! 

 

 雄英高校の関係者と、雄英を受験しに来た少年少女は目撃する事になる。

 

──地獄で誰かが助けを叫ぶとやってくる。

 

──そして叫ばれた悪魔はチェンソーで殺され、助けを求めた悪魔もバラバラに殺される。

 

「えっ何だアレ⁉︎」

 

「ヴィラン⁉︎」

 

「アレはロボットじゃねぇぞ!」

 

「じゃあ、アレも受験生⁉︎」

 

『標的確認! ブッ殺ス!』

 

『ギャハハハハ!俺達の邪魔すんなら、死ねぇ!』

 

──地獄のヒーロー、チェンソーマン。

 

 その力を使う者の、実力の一端を。

 

 

第一話 憑依×学園×チェンソー 了

 

*1
マーベル・シネマティック・ユニバースの略




一発ネタ。
今更ながらアニメでカメオ出演したチェンソーマンがスゲー弱体化して出ての観て笑ったのは、俺なんだよね(マネモブ)
頭空っぽで書けたので楽しかったです。
続きは書けたら書きます(進次郎構文)
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