ガイアが俺に早く消えろと囁いている   作:差六

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第5話「三者面談と二人目の変な人」

 授業参観と三者面談当日、前の方は何事もなく終わった。

 

 クラスメイトの保護者、当たり前だけどお母さんがずらっと教室の後ろに並んだのは壮観で、背中に盛大なプレッシャーを感じた。

 

 同時にその時、色んなご家庭の様子、母親というものを見ることが出来た。皆様個性豊かだった、というコメントでまとめておく。

 

 特に前野さんのお母さんはこう、なんか凄かったな。外見は前野さんを大人っぽくした感じだったのに、風格が全然違った。おかしな表現だけど、覇者って感じの雰囲気を纏っていた。

 

 そのせいか前野さんのお母さんの周りはずっと空白で、平然と話しかけたのは僅か二人のみ。葵さんと朝地のお母さんだけだった。あそこだけ妙な空間が出来ていた。

 

 そんな風に変なことを考えて気を散らしているのは、とうとう三者面談が始まるからだ。

 

「ふふふ、そんなに緊張しなくても大丈夫だよ」

 

 いかにも微笑ましい、といった風に葵さんがくすくすと笑う。緊張はバレバレらしい。

 

 それを苦々しく思っているのも感づかれたのか、続いて笑みが悪戯方面に傾いた。

 

「それとも、何か私に聞かれると困ることでもあるのかな?」

「……あるんですか?」

「私に聞かれてもな。時枝が家で何を話しているかにもよる」

 

 対面に座る新田先生の苦笑いもまた、やれやれと言わんばかりの雰囲気がある。

 

 そしてこちらもすぐに種類が入れ替わる。ただし、新田先生の笑みは安心感を与えてくれるものだった。

 

「と言っても、私から注意することは特にないよ」

 

 こほんと一度咳払いをした後、新田先生は姿勢を整えた。

 

 釣られて俺も、隣の葵さんも気を引き締める。三者面談本番が始まるようだ。

 

「耕太郎くんの生活態度に問題はありません。提出物も早めに出していますし、授業も真面目に聞いて、しっかりついて来れているようです」

「安心しました。こうくん、毎日勉強頑張ってるもんね!」

「うん、まあ、うん」

 

 実際は半分以上、魔法の特訓に当てているのだけれど。成績がなんとかなっているのは敏腕家庭教師、らびらびのおかげだ。

 

「クラスメイトとの関係も良好で、特に同じ男子の財前くん、女子は朝地さんと前野さんと話しているところをよく見ます」

 

 葵さんの目が突然、すっと鋭くなった。

 

「財前さんからこの子について、何か問い合わせが来ることはありましたか?」

「……? いえ、特にありませんが」

「ありがとうございます。ではもし何かありましたら、すぐに連絡をお願いします」

 

 思えば、俺が初めて財前について話した時もそうだった。俺も似たようなことを聞かれ、何かあったらすぐ言うよう念を押された。

 

 葵さんはいったい何を警戒しているのか。これは聞いても教えてもらえなかった。

 

 疑問は残るものの話は流れ、次々と学校生活に関する報告が続いて行く。

 

 話に話してとうとう訪れた最後の話題は、この間出したばかりの進路調査票に関するものだった。

 

「進路調査票では進学となっていましたが、志望校はお決まりですか?」

「いいえ、まだ、だよね?」

「……志望校とか進路とか、いまいち実感がなくて」

 

 そろそろ死にそうだなー、なんて思ってた去年の夏ごろから突然の昏睡と知らない母と妹、それに逆転世界と魔法少女の四連コンボだ。その上健康になった身体とか、初めての学校とか、らびらびとか、更なる追撃がまだまだ控えている。

 

 おかげで退院して数か月経った今でも、日常を過ごすだけで精一杯の感がある。だから一年後の話なんて、そんな遠い未来のことなんて、鬼が笑うまでもなく俺が笑ってしまう。

 

 それでもなんとか考えるため、とりあえず参考を求めてみた。

 

「そうだ、じゃあ先生はどうして先生になったんですか?」

「私の?」

「将来の参考にさせてください」

「……そう言われると、答えざるを得ないな」

 

 新田先生は俺と葵さんを交互に見た後、そっと瞳を伏せる。

 

 それから気持ち普段よりも小さな、抑揚を抑えた声で語り始めた。

 

「恥ずかしい話ですが、私は高校の頃荒れてまして。世が世なら札が付いていました」

「え、先生ってヤンキーだったんですか?」

「ああ。泣く子も黙ると評判、私が廊下を歩くと誰もいなくなるほどだった」

「おー」

 

 どこかで聞いた作り話のような武勇伝、ではあるものの、新田先生の口振りは重い。平坦な口調は続けているけれど、恥じ入る気持ちが見え隠れしている。

 

「だけどそんな私を見捨てない先生もいた。その人に憧れて、今はこうしている」

「なんだかドラマみたい、って言ったら失礼ですよね」

「よく言われるから気にしなくていいぞ。飲み会の鉄板ネタだしな」

 

 そこであっさり新田先生の話は終わった。

 

 本音を言えば、まだまだ続きを聞きたい。その先生はどんな人だったとか、どういう出来事があったのかとか、深掘りしたいことは山ほどある。

 

 けれど、どう見ても聞いても新田先生は喋りたくなさそうだ。だから今日はこの辺にしておこう。

 

 そんな風に諦めた瞬間、何かしらの効果音を放ちそうな勢いで葵さんが声を上げる。

 

「それじゃあ次は、私が弁護士になった理由だね!」

「え、いや別に」

「世の中には困っている人を助けるための法律や条例がたくさんあるんだけど、本当に必要な人ほどそれを知ることが色んな事情で難しいんだ。そのせいで避けられたはずの不幸に遭ってしまう人も多くて」

 

 意気揚々前途洋々。そんな演説を止めたのは、葵さんのスマホが振動する音だった。

 

 画面を見て顔を顰めた葵さんは、俺達に一言断ってからスマホ片手に教室を出る。微かに聞こえる電話先の声は、非常に腰が低く心苦しそうにしていた。

 

 数分もしない内に葵さんは教室に戻って来る。そして電話をかけて来た人と同じくらい、それ以上に申し訳なさそうな様子で俺に告げる。

 

「ごめんこうくん。どうしても私じゃないと駄目ってクライアントが急に来たみたいで」

「ううん、もう面談もほとんど終わりだし」

 

 視線で新田先生に確認すると、静かに頷きが返って来た。

 

「だから大丈夫。今日は来てくれてありがとう」

「……本当にごめんね」

 

 葵さんはそう囁くと手早く準備を済ませ、新田先生と挨拶を交わし合う。

 

 そして足早に、それでいて名残惜しそうに教室を後にした。

 

 葵さんが開けっぱなしにした扉を気にしつつ、対面に座る新田先生に確認を取る。

 

「ここから先は二者面談ですか?」

「私はそれでも構わないが、何か話したいことでもあるのか?」

「……言ってみただけで、あんまりないですね」

「ふっ。なら終わりにするか」

 

 とんとんとプリントをまとめる先生に倣い、俺も面談の資料を鞄に入れていく。

 

 時計を見ると時間はそこそこ。油断してだらだらしていると暗くなる時間帯だ。

 

 切腹騒動の後、結局続くことになった朝地との特訓も今日はない。七海ちゃんが心配するから早く帰ろう。

 

「それじゃあ先生、今日はありがとうございました」

「待て、校門まで送る」

 

 鞄を手に取った俺を新田先生が呼び止める。

 

 男子生徒がお姫様扱い、いや王子様か、どちらにしてもやたらと丁寧に扱われているのはもはや日常風景だ。

 

 それにしてもこれは特別待遇過ぎるような。

 

 理由を聞いてみると、新田先生はすこぶる重たい口振りで教えてくれた。

 

「実は三者面談の帰り道、女子生徒の保護者が男子生徒へ声をかける問題が多発してるんだ」

「……まさか、大人もナンパですか?」

「それこそまさかだ。あれは囲い込み、押し売りの類だろうな」

 

 いにしえに伝え聞く、お見合いおばさんの変異体みたいなものだろうか。

 

 そんな存在に立ち向かう自信はないので、新田先生の厚意に甘えることにした。

 

 先生といても無視するモンスターも時折存在するらしいけれど、幸い今日の学校には人間しかいなかったようだ。すれ違いざまに何人かと一言二言挨拶を交わしたくらいで、無事に校門まで辿り着けた。

 

「これで今回の面談は終わりだが、何かあればすぐに相談してくれ」

「はい、先生。じゃあまた明日」

「わんっ!」

 

 話途中聞こえた鳴き声に惹かれて下を見ると、見覚えのある子犬が一匹。

 

「アイン? てことは」

 

 そして顔を上げると、もっと記憶に焼き付いている変な人が立っていた。

 

「少年か。ここで会うとは僥倖だ」

「やっぱりヴェインさんだ」

 

 自称科学者の怪しいお兄さん、ヴェインさんだ。

 

 今日も今日とて作り物めいた美形っぷりは、通り過ぎる女子生徒や保護者の注目を熱烈に集めている。

 

 俺の時とは違い、後者の人の視線に籠る熱も違った。レーザーよりもヤバい。よくヴェインさんは平然としていられるな。

 

 一方、新田先生はさすがだった。

 

 中々見ない、それもこんな世界じゃ尚更珍しい人を前に、思い切り眉間に皺を寄せていた。極めて冷静な、まるっきり不審者を見る目だ。

 

 なんて感心している場合じゃない。トラブルの予感がする。

 

「知り合いのヴェインさんです。それで、こっちが担任の新田先生です」

 

 それを防ぐため間に入って紹介すると、二人はそれぞれ挨拶を交わした。

 

 いつも通り血が通っていなさそうな鉄仮面、変わらず怪しい人を見る目。お互いそんな表情でも、大人らしく簡潔な自己紹介を交わす。

 

 そして大人っぽくない人が一人、今日もヴェインさんに付き添っていた。

 

「末永さんもこんにちは」

「うっすうっす」

「……これは、どっちだ?」

 

 謎の鳴き声が二倍になった。

 

 口数が増えたから少し俺に慣れたと考えていいのか。それともよく分からない独自のルールで変わっただけか。

 

 謎解き気分でヒントを求め、今日も猫背が酷い末永さんを見上げる。

 

 長い前髪の向こうと目が合った瞬間、跳ねる猫のような勢いで逸らされた。ここだけやたらと機敏だ。

 

 追いかけてみようかな、なんて悪戯心が湧いた俺の足を、新田先生の呟きが止める。

 

「……芽衣?」

 

 それは確か、自己紹介の時に聞いた末永さんの下の名前じゃ。

 

 俺の記憶は正しかったようで、末永さんは悪戯がバレた小僧のように跳び上がった。

 

 重ねて絵に描いたような挙動不審系動作、あちこちを忙しそうに見回し、手をすり合わせる動きを見せつける。

 

 ヴェインさんとはまた異なる注目を集めた末永さんは、やがて諦めたように答えた。

 

「やー、あー、こ、こんなところで奇遇っすね、結子先輩!」

「奇遇も何もお前、私がここで働いてるの知ってるだろ」

「言葉の綾っす!」

 

 弁明する末永さんに対しずかずかと歩み寄った後、新田先生はその胸倉を遠慮なく掴み引き寄せた。

 

 更に鼻先が触れそうなほど顔を近づけてから、不機嫌そうな、それでいて温かみのある声をかける。

 

「顔色悪いぞ、最近風邪流行ってるんだから気をつけろ。ちゃんと三食食べてるか? まさかお前、また徹夜続きとかじゃないだろうな」

「大丈夫っすよー。結子先輩心配し過ぎっす」

「お前は昔からデカい癖にやたら小食だから気になるんだ。というかお前、また猫背が酷くなってるな。ここで矯正してやろうか?」

「道端で拷問を提案するのはやめて欲しいっす」

 

 ついでに言えば、末永さんは見事なストレートネックだ。新田先生の手つき、恐らくはストレッチでそれも治そうとすれば、きっと明日の朝刊を飾ることになるだろう。

 

 止めた方がいいのかな、という視線が通じたのか、新田先生は末永さんの首と背骨から手を離した。

 

「悪い時枝、ついはしゃいでしまった」

「大丈夫です。それより新田先生、末永さんと知り合いなんですか?」

「ああ。芽衣は中高の後輩なんだ」

 

 少し照れくさそうに語る姿に、さっきのヤンキー話のような恥は感じない。

 

 その内容もあって、これまでの末永さんの謎の鳴き声を思い出して、全て納得出来た。

 

「じゃあ末永さんもヤンキーだったんだ。うっすうっす言ってたし、やっぱりなぁ」

「やっぱり!? 不名誉なレッテルっす!」

「あ、喋った」

「……し、しまったっす!?」

 

 今時三下しか使わない口調だし、学生の時から新田先生の子分だったんだろう。

 

 そんな気分で放った言葉は何故かクリティカルヒットしたようで、末永さんの厚い奇妙な防御を突破したらしい。あんまり達成感はない。

 

 しかもいきなり変な笑い声をあげ始めたから、正直ちょっと引いている。

 

「ふっふっふ。このボクの強固な縛りと誓約を破るとは、中々やるっすね」

「いや自爆しただけじゃ。てかあのうっすってわざと言ってたんですか?」

「当然っす。あんな馬鹿みたいなこと、真顔で言うアホは普通いないっす」

 

 じゃあなんでそんなバカとアホをしてたんだろう。

 

 実は語りたがりだったらしい末永さんは俺が聞くまでもなく、勝手に生き生きと説明し始めた。

 

「何を隠そう、自慢じゃないけどボクは男の子と手も繋いだこともないっす。だからちょろいボクは自衛のため、男の子相手にはうっすうっすとだけ喚くようにしてるっす!」

「本当に自慢じゃないですね」

「ふっ」

 

 若干うざいなこの人。

 

「……はっ!?」

「今度は何ですか?」

「ぼ、ボクの長年の秘密を、こうも容易く吐き出させるなんて。さ、さすがヴェインさんのお気にの子。やるっすね、これが誘導尋問……!」

「いや自爆ですって」

 

 そして面倒くさいなこの人。

 

 俺達のやり取りを一旦静観していた新田先生も、末永さんの妄言には思うところがあったらしい。

 

 頭痛を堪えるような素振りをしながら、ため息交じりに口を開いた。

 

「芽衣、確かにお前は末恐ろしいアホだが、時枝はまだ中学生だぞ。そんな妙な警戒する必要は」

「ちっちっちっ、甘いっす先輩。恋には常識も良識も通用しないっす!」

「そうか、なるほどな。生徒に手を出したら殺すぞ」

「うっす」

 

 叱られた大型犬のように、末永さんは重々しく頷いた。

 

「大体、てっきり私はそちらの方とお付き合いしてるのかと」

「えー、ボクがヴェインさんと~? やだなぁ結子先輩、たとえ冗談でも言っちゃいけないことってあるんすよ~?」

「……今日のお前、なんだか腹立つ顔してるな。ちょっと付き合え」

「昔よく聞いた言葉っす、因縁っす!?」

 

 かと思えばすぐに変な軽口を叩いて、またしても新田先生の怒りを買っている。

 

 口も顔も動きも、今まで見た中で一番忙しい人だ。面倒くさかった時の田中の兄ちゃんすら及ばないかもしれない。

 

 そんな感心をする間に、二人の会話はまた別の方向に転がっていく。

 

「そ、そういう結子先輩こそどうなんすか?」

「どうって、何が」

「男っす! 影か形があるなら教えて欲しいっす!」

 

 自身に向けた矛先を、末永さんは新田先生へ懸命に向けていた。

 

 しかしその必死の抵抗を先生は一笑する。

 

「お前も知っての通り、まったくだ。女余りのこんな世の中だからな、私のような奴には縁なんてないだろう」

「……そうっすか」

 

 末永さんの視線がちらりと動く。

 

 気のせいじゃなければ新田先生の左手、そして身体を見ていたような。

 

 不思議には思ったけれど、絡むのが面倒だから放っておくことにした。別の疑問に興味を寄せよう。

 

「今更ですけど、ヴェインさん達は何してたんですか?」

「アインの散歩を兼ね、各地の視察をしていた」

「視察?」

「正確な実験をするためには周囲の環境を把握する必要がある」

 

 環境。気温とか湿度とか、そういうのかな。

 

 七海ちゃんも本気でお菓子を作る時はそういうことを気にするって前に言っていた。お菓子作りは科学なんだよ、なんて大人ぶった言い回しも一緒に。

 

 だからヴェインさんにとっても重要なのは理解出来た。けれど新田先生は再び眉をひそめる。

 

 そういえば、さっきの自己紹介に職業が入っていなかったような。

 

 フォローも兼ねて、新田先生に改めて伝えておく。

 

「ヴェインさんは研究者で、生命科学を専門にしている人なんです。末永さんもそのお手伝いをしてるらしくて」

「……芽衣が?」

「メンチ切られてるっす」

「だってお前、アホじゃないか」

「一刀両断っす!?」

 

 親しさゆえの鋭さか、新田先生はばっさりと切り捨てる。

 

 そしてヴェインさんは、それよりもはるかに容赦がなかった。

 

「貴方の言う通り、彼女はこの国の教育レベルを疑うほどに無知無教養だが」

「酷いっす!」

「元より知識も思考も期待していない。彼女には雑務を任せている」

「ヴェインさんそういうの苦手そうですもんね」

 

 失礼だけど買い物姿すら想像も出来ない。

 

 実際以前アインの首輪を買いに行っていた時も、店員さんとのやり取りは全て末永さんに任せていた。

 

 だから秘書のようなものなんだろうと納得し、続いて湧いたのは好奇心だ。

 

「今度、どんな実験やるのかは」

「言えない」

「守秘義務があるからー、ですよね」

 

 始めた会った時にも言われた理由だ。引き下がらざるを得ない。

 

 更にヴェインさん曰く、次の実験は色々と難しいものらしい。

 

「今回の実験は未だ検討段階にある。式も依然組立中、シミュレーション上においても成功していない。よって、そもそも実施の可否自体が不明のままだった」

「ボロボロじゃないですか、それ?」

「しかし、ついさきほど目途は立った。近日中に実行出来るだろう」

「おー。おめでとうございます」

 

 近くで聞き耳を立てている末永さんが、拍手する俺を気の毒そうに見ている。そして心底嫌そうに溜息を吐いている。

 

 仕事が増えるからとか? でもなんで俺をそんな憐れむような目で。

 

 どうせ聞いても、またうっすとか言われるだけだろう。だから疑問はさておき、ヴェインさんに重ねて聞いてみる。

 

「じゃあ話しても大丈夫になったら、どんな実験か教えてくれますか?」

「無論だ。私もその時を楽しみにしている」

 

 相変わらずヴェインさんの顔にも声にも色はない。それでもその言葉は、何故か本音のように聞こえた。

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