混沌より這い寄る透き通った青春   作:過負荷の後輩

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前回誤って変な時間帯に投降してしまったのでお詫びの連続投稿です。
三時間で書いたやつなので誤字脱字あるかもしれません。毎度ながら誤字報告してくれる人には頭が上がらないです。これからも優しく見守ってくれると嬉しいです。



第十三話『天雨アコ死す(死にません)』

紫色の両翼を羽ばたかせ、街灯の上に降り立つ少女。

癖の強い銀色の髪を靡かせ、後頭部には捻じれた四本の角がある。

そして何より目を引くのは、その頭にある他とは異質のヘイローであった。

 

黒色の冠を彷彿とさせる立体的なヘイロー。さながら魔王を彷彿とさせるソレに禊は目を奪われる。そして切れ長の紫紺の瞳が彼を映した。

 

 

刹那、最強と最凶は理解する。

 

――『この子はヤバいな』と。

 

「ヒ、ヒナ委員長!!??」

 

「……アコ。これはどういう訳?」

 

「え、えっとですね……便利屋68を発見したという報告を受けましてそこで逮捕しようと――」

 

「そんなに沢山の人員を連れて? ……そんなに自信が無かったんだ」

 

「……」

 

先ほどまでとは打って違い、アコの動揺した声が響き渡る。

委員長――と言う事は、目の前にいるヒナと呼ばれた少女こそが、彼女たちを従えるボスという事。

そしてそれはまた別の意味を持たせている。彼女こそがキヴォトス最強戦力の一角として挙げられている少女――空﨑ヒナなのだと、その力はこの辺境たるアビドスでも十分に広まっている。

 

『へえ……ヒナちゃん、ね』

 

誰もが畏怖し威圧される中、平然と禊は一歩前へと出てヒナへと向き直った。

流石の過負荷も流石に言葉を選んでいるのか、暫く上へ傾いた首を固定させていると。

 

『そんな風上にいるとパンツが見えちゃうぜ』

 

「…………」

 

『おっと、もっとも僕は』

『そんなお子ちゃまパンツなんて興味ないんだけどさ』

 

「はぁ!? 誰の下着がお子様ですって!? ヒナ委員長の下着は私が選んで買ってあげているんですよ!!?」

 

「はあ……アコ、もう黙って」

 

「ですがヒナ委員長――」

 

「反省文百枚追加ね。テンプレートの場所は分かるでしょ」

 

「……」

 

それきり沈黙を続ける通信機にヒナは再度ため息を吐いて、街灯の上からアスファルトの地面へと着地する。それから横目でアビドス対策委員会のメンバーを一瞥し、ぼそりと呟いた。

 

「小鳥遊ホシノが見当たらないけど」

 

『僕だけじゃご不満かい?』

 

「……いえ、何でも無いわ。それよりもあなたは誰? アビドスの生徒では無さそうね」

 

禊の服装を伺いながらヒナは思考する。どの学園にもそぐわない黒色単一の制服。

廃校した学園の制服なのか、元情報部所属のヒナでさえ知らない学園のものなのか判別し難い。

 

『僕の名前は球磨川禊。今はまあアビドスとシャーレの味方って所かな』

 

「シャーレの先生が用意した人材なのね。それで、あの惨状はどういう事?」

 

『向こうから先にやってきたんだよ』

『僕は悪くない』

 

「それだけで身体に螺子を貫いても?」

 

『おいおい僕は銃火器で殺されそうになったんだぜ』

『それについてはどうお考えかな』

 

「……ええそうね、それについては謝罪するわ」

 

そう言ってからヒナはチナツとイオリの所へ歩き、アビドス対策委員会と禊の方へと向き直ると、潔く頭を下げた。

 

「事前通達無しでの無断兵器運用、そして他行の自治区で騒ぎを起こしたこと。この事については私、空﨑ヒナよりゲヘナの風紀委員会の委員長として、アビドスの対策委員会に対して公式に謝罪する」

 

「!」

 

『……ふーん』

 

「今後、ゲヘナの風紀委員会がここに無断で侵入する事は無いと約束する。どうか許して欲しい」

 

反応は人それぞれだったが学園のトップが、尚且つあの最強と謳われている空﨑ヒナが素直に非を認めたことに皆驚いていた。

 

『……ま、僕も少しやり過ぎちゃったからね』

『それで一対一のトントン、ってことで良いよ』

『彼女たちの傷ももう無かったことにしてある』

 

「そう。――ちょっと待って、今なんて言ったかしら」

 

『ん? だから過失は一対一だからお互いに痛み分けという事にしようと言ったんだけど』

 

「違う。その後……傷を無かったことにした? 治療したでは無く?」

 

『あんまり大っぴらに説明するもんじゃ無いから、そう言うスキルだと思ってよ』

『まあスキルじゃ無くて過負荷(マイナス)だけどさ』

『嘘だと思うなら連絡を掛けてごらん。ぴんぴんしていると思うからさ』

 

戸惑いと疑い半分にヒナはイオリの方へと向き、イオリは即座に通信機を起動。

砂嵐の音声が続く中、ノイズまみれの音に僅かな人の声が聞こえる。そしてそれは次第にクリアとなっていった。

 

「よ、予備部隊異常なしだそうです……襲撃者に付けられた傷穴も塞がっていて……」

 

「……先生が信頼を置く人物というのは些かアレだけど、実力者なのは間違いない様ね」

 

そうとなれば一方的にこちら側の過失で終わってしまう形となってしまうが、そう提案した彼がこれ以上なにも言わないのでその厚意に甘える事にした。

禊の細身の体躯を良く見ながら、ヒナは踵を返す。

 

「チナツ、イオリ、撤収準備」

 

「……はい」

 

今度こそ誰も反対する事は無く、隊列を組みながら一切淀むことなく引き返す小隊と共に、チナツとイオリはそれぞれ頭を下げながら足早に帰っていく。

ヒナはその途中で先生と禊、そしてアヤネ(ドローン)を呼び止めて、誰にも聞こえない様に小声で話した。

 

「小鳥遊ホシノの不在について……本当に気を付けて。カイザーコーポレーションの事は知っている?」

 

‘‘ある程度は‘‘

 

「そう、なら話は早いわね。私は先ほどまで出張中だったのだけれど、とある情報を耳にして帰って来た。ここに来たのも実はその情報が本当に真実なのか確かめる為。さっき言った手前申し訳ないのだけれど、少しアビドス砂漠を調査したい……ダメかしら」

 

先生はアヤネの意見を聞く様にドローンの方へと視線を寄せる。

 

「私たちに被害が被らないのであれば大丈夫です」

 

「ありがとう助かるわ」

 

『それで? あんな砂漠で何を探そうと言うんだい?』

『ヒナちゃん』

 

「……カイザーコーポレーションがアビドス砂漠の土地を購入している理由。そして今日そこに進展があったの。見つかったものは二つ。内一つは私達ゲヘナにも関係しているもの――列車砲シェマタ。かつてゲヘナで雷帝と恐れられていた人物が遺した兵器。それがカイザーの手によって発見された」

 

ヒナはさっと前に掛かった髪を拭い、砂漠がある方向へと視線を向けた。

 

 

「そして――」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「船の構造をした、謎の古代兵器(オーパーツ)が見つかったそうよ」

 

 

 

 

 

 

 




さあ、物語を加速させようか。

高評価&コメントよろしくね。
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