英雄と女王の子   作:剣の舞姫

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新しいオリキャラが登場します。


第三話 「旅立ちから10年、少年は今」

英雄と女王の子

~Re-make~

 

第三話

「旅立ちから10年、少年は今」

 

 旧世界の某国某所にある小高い丘、普段は草原の青々とした景色が何処までも広がる美しい場所だ。

 しかし、その場所は現在、血に染まり、至る所に死体が転がっていて、所々の地面が剥き出しになって正に戦場という場所へと変貌していた。

 

「……」

「覚悟ぉ!!」

 

 その戦場に立つ一人の少年、歳の頃は17といった所か、腰まで伸びた朱色が混じった金髪を三つ編みにして、その先を赤いリボンで纏め、一見すると女にも見えなくない彼は拳闘士と呼ばれる者が着る服に茶色のローブを身に纏って右手には黄昏色の剣を持っている。

 そんな少年の後ろからは黒いローブで全身を覆い、顔すらフードに隠れた男が穂先に炎を纏った槍を構えて飛び掛ってきていた。

 だが、少年は背後を取られているというのに焦った様子を見せず、ローブを翻しながら振り返ると、振り向き様に右手の剣を一閃。

 

「…ガァッ!? ゴブッ」

 

 槍ごと胴体を斬り裂かれ、上半身と下半身が永遠に別れた男は口から血を吐き出しながら絶命し、次の瞬間、その死体が黒い炎に包まれ、骨も残さずこの世から消滅してしまった。

 

「これでラストか…まったく、楽な仕事だって話だったのに、何処が楽な仕事なんだか…狙われてるなら最初からそう言って欲しいものだね」

 

 自身の影に剣を収納した少年は懐から一枚の封筒を取り出しながら今回の出来事に文句を言っている。

 そもそも、何故この場所が戦場になってしまったのか、それは少年が受けた仕事に原因があった。

 

「遺言を孫娘に届けて欲しい、か……金持ちの爺さんの考える事はイマイチ理解できないよ」

 

 元々、とある大富豪が病床に伏し、自身の死を悟った為、最も可愛がっている孫娘に自分の財産の全てを遺産として相続させるという遺言を書いた。

 それを今回は少年が孫娘に届けに行く所だったのだが、大富豪が遺言を書いた事で遺産が分配されない可能性を危惧した親族が遺言を始末する為に傭兵や暗殺者を雇って追っ手として差し向けてきたのだ。

 

「まぁ、もう町まで半日も掛からないから良いけど…これでやっと日本に行けるね」

 

 再び遺言を懐に入れて、少年は歩き出した。

 少年の名はアリス・スプリングフィールド。あの旅立ちから既に10年の時が経ち、今年アリスは18歳になる。

 この10年、アリスは修業を積み重ね、多くの実戦を拳闘士大会や戦場で経験して強くなった。今では魔法世界でも知らない者は居ない有名人で、一部では次期立派な魔法使い(マギステル・マギ)最有力候補とまで噂されている。

 

「さて、と…急いで仕事を終わらせて日本に行かないとネカネが怒るな」

 

 つい先日、アリスはイギリスに居る従兄妹のネカネから弟のネギが魔法学校を無事に卒業して修業で日本の麻帆良学園で教師をしているという話を聞かされた。

 もうそんな時期になるのか、と感慨深げに返事をしたアリスだったが、ネギを溺愛するネカネが涙声でアリスに日本へ行ってネギの様子を見てきて欲しいと言われた為、中々会えない弟に会いに行くのも悪くないと、今回の仕事を終えた後に日本へ行く事となっている。

 

「日本かぁ、何年ぶりだろ」

 

 日本はアリスにとって生まれ故郷、思い入れのある国だ。

 

「ネギの奴、元気にしてると良いけど」

 

 目元は父に似たものの、顔つきは殆ど母に似ているアリスとは違い、父をそのまま幼くした様な顔つきの弟の事を思い出す。

 最後に会った時は丁度、魔法学校に入学する時だったから、本当に久しぶりに会う事になるので、今から会うのが楽しみだ。

 

「さぁて、ネギに早く会いに行く為にも、この仕事を早く終わらせるか」

 

 そう言って、アリスは足の裏に魔力を集めて爆発させ、その勢いで移動する移動術である瞬動術を用いてその場から姿を消し、大富豪の孫娘が住む町へと急ぐのだった。

 

 

 無事に仕事を終えたアリスは現在、日本行きの飛行機に乗って既に空の上だった。

 予約していた席に座り、日本到着までの暇な時間を適当な文庫を読んで暇つぶししていたのだが、ふと自分の席の隣、空席となっている席に人が座ったのに気付いて文庫から隣の席に視線を向ける。

 

「久しぶりだな」

「え~、もう少し驚きとか無いのぉ?」

「驚いてるとも」

 

 アリスの隣に座った人物、ウェーブの掛かった長い茶髪を背中の中ほどまで伸ばした身長150にギリギリ届かない低身長でありながら大変グラマーな体型を白とピンクのゴシックロリータドレスで包んだ少女……否、年齢はアリスよりも年上の26歳との事なので、女性と表現するべきなのか。

 

「所で、これって日本行きだよね? “黄昏の王”の次の仕事先は日本?」

「知らないで乗ったのか…仕事ではなく私事だ。あまり干渉してくれるな、破壊の女王(クイーン・オブ・デストロイヤー)

「いやん♪ 黄昏の王ならクーちゃんって呼んでも良いのに」

「なら私の事を黄昏の王と呼ぶな」

 

 随分と親しげに会話する2人、アリスにとって、この破壊の女王(クイーン・オブ・デストロイヤー)と呼んだ女との付き合いは4年と長いので、変な遠慮をする気が無い。そもそも彼女に遠慮などする必要性は皆無なのだが。

 

「所で、500万ドルの賞金首が堂々と飛行機に乗っていて良いのか?」

「大丈夫! ちゃんと降りる時に変装するし、パスポートも偽造してるから」

「そうか、精々捕まらない様に気をつけることだな」

「そんな事言って、私の事を捕まえないし、結構な確率で捕まらない様に手を打ってくれるよねぇ」

「…結果的にな」

 

 手を打ったのではなく、打たざるを得なかったというのが正しい。アリスとて、好き好んで賞金首が捕まらないように手を打つような趣味は無いのだ。

 

「ネギ・スプリングフィールド」

「っ!」

「やっぱり、ね。ネギ・スプリングフィールド、去年のウェールズ魔法学校主席卒業生で、現在は日本の麻帆良学園女子中等部の教師をしている。黄昏の王、アリス・スプリングフィールドの弟……いいえ、この場合は英雄ナギ・スプリングフィールドの息子であり、災厄の女王アリカ・アナルキア・エンテオフュシアの息子、かしら?」

「貴様…何処でそれを」

 

 少し、知り過ぎている彼女に対し、アリスの殺気が溢れ出る。普通は調べきれない、知ることすら出来ない魔法世界でも特SSS級のトップシークレット情報まで知っているのは、いくらなんでも危険過ぎる。

 

「元老院って間抜けだよねぇ、あんなに簡単に忍び込めるんだもん」

「…ああ、そういえばもう一つの渾名は“隠密女帝(エンプレス)”でもあったか」

「その渾名嫌い~、可愛くないもん」

破壊の女王(クイーン・オブ・デストロイヤー)も可愛いとは言えないが…」

「え? 可愛いじゃない」

 

 どうも彼女の感性は理解出来ない。服装は確かに可愛い(見た目は兎も角、年齢的に無理があるけど)が、破壊(デストロイヤー)の何処に可愛い要素があるのだろうか。

 

「個性的、と言っておこう」

「あら、妥協しちゃうの?」

「妥協じゃない、貴様には何を言おうと無駄だと端から諦めているだけだ」

「そう、本当によく理解していること」

 

 微笑みを浮かべた破壊の女王(クイーン・オブ・デストロイヤー)は静かに席を立つとアリスに投げキッスをして自分の席へと戻っていった。

 それを見送ったアリスは開いたままにしていた文庫を読むのを再開させるが、その内心では別の事を考えている。

 

「(あの女、暫く日本に居座る気か……)厄介なこと、この上ないな」

 

 そもそも、アリスと破壊の女王(クイーン・オブ・デストロイヤー)の出会いは魔法世界での戦いの場、お互いに敵として出会い、殺し合いまでした仲で、その後は何度か旅先で出会っては殺し合ったり、共闘したりと、色々と縁があって、それなりに長い付き合いになっている。

 

「26戦10勝15敗1分け…チッ、負け越しか」

 

 今までアリスが彼女と戦った数は26回、その内10回は勝っているが、15回負けて、1回引き分けているのだ。

 つまり、現時点で彼女はアリスよりも強い、決して勝てない相手ではないが、勝つのに苦労する相手であるのは間違いないだろう。

 

「私も、まだまだ強くならないと駄目だな」

 

 いつまでも負けたままでは駄目だ。今のアリスは実力こそ魔法世界で言う最強クラスに数えられているが、まだまだその中では弱い方なのだ。

 少なくとも破壊の女王(クイーン・オブ・デストロイヤー)の本気に手も足も出ない現状では、圧倒的に弱い。

 

「日本…そこで、私は強くなる切欠が出来るのだろうか」

 

 アリスの呟きを他所に、飛行機は一路日本へ向かう。

 日本に到着するまで残り2時間程度、アリスは日本に着いてからの事を思い、複雑な心境で窓の外から変わらない空の景色を眺めるのであった。




新オリキャラ

名前:不明
性別:女性
年齢:26歳
渾名:破壊の女王(クイーン・オブ・デストロイヤー)隠密女王(エンプレス)、破滅のロリータ
戦闘スタイル:不明
属性:不明
詳細:原作4年前にアリスと魔法世界で出会い、そのときから殺し合いをしたり共闘したりする仲で、今の所アリス相手に勝ち越している実力者。
500万ドルの賞金首で、その賞金を狙って挑んでくる相手の全てを徹底的に殺しつくし、破壊しつくす事から、見た目に似つかわしくない渾名が付けられている。
ゴシックロリータ系の服装をこよなく愛する見た目相応の趣味なのだが、残念なことに年齢的に見ると非常に痛々しい(本人曰く、自分は永遠の10歳(エターナルロリータ)との事)。
身長140cm台なのに、胸囲がFカップとロリ巨乳を地で行く存在なので、賞金首でありながら熱狂的なファンクラブ(大きいお兄さんのみ所属)が存在している。
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