【短編】FGO×ブルアカコラボイベント風味   作:サボテン男爵

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ひさびさの作品投稿です。
実のところ本作は1年ちょっと前に書き終えていたものの思うところあってお蔵入りしておいたものを、多少手直しして投稿しています。ほぼ思い付きと書きたいシーンを連ねているだけなので、クロスオーバーとしての整合性はそこそこ。本編5話+設定集の予定。気楽に読んでください。



プロローグ/それは今なき夢の名残り

 

 

 

 

 

「レイシフト、成功しました。何か問題はありませんか? マスター」

 

「うん、こっちは大丈夫」

 

周囲を探りつつも自らに気を配る後輩にしてメインサーヴァント、マシュ・キリエライト。

これまで幾度も繰り返してきたレイシフトによる酩酊感を振り払いつつ、藤丸立香は立ち上がる。

 

人理焼却に続く人理漂白。

白紙化された大地に自分たちの世界を取り戻さんと旅を続けるカルデア一行。

そんな彼らが新たな特異点を観測したのは数時間前。

世界というスクロールについたシミ、放置すれば人理修復後の瑕となりかねない異常時空。

特異点の修復もまた、カルデアにとっては欠かせないオーダーであった。

 

『よし、通信状態に問題はないようだね』

 

虚空に響く声に、立香は安堵を覚える。

声の主は幼き万能――レオナルド・ダ・ヴィンチ。

特異点の探索では自然現象や敵対勢力の妨害によって通信が途絶される場合も多く、カルデアからのサポートがあるとないとでは探索の難易度は段違いである。

 

『しかし見渡す限りの大砂海だね、これは。第6特異点のデータを思い出すよ』

 

エルサレムより変じた、獅子王率いる円卓の騎士たちが君臨したキャメロット。

対抗勢力として座していたオジマンディアスの領域である熱砂の大地を、大人のダ・ヴィンチと旅したなと、立香は懐かしむ。

 

「年代の計測は相変わらずですか?」

 

『うん、二人に現地入りしてもらっても曖昧なままだ。ただざっとサーチした結果だと、近代的な建物や街が観測できる。まずはそこを目指すといいだろう』

 

ダ・ヴィンチの提案に二人は頷く。

南米異聞帯の銀河砂丘に比べればはるかにマシな環境下とはいえ、砂漠というのは基本的に人類の生存に適した環境ではない。

探索の拠点を獲得する意味でも情報収集の為にも、人のいる場所を目指すのが定石だ。

 

「マスター! 空に浮かんでいるものは――」

 

マシュの声につられ空を見上げると、目に入るのは宙に浮かぶ巨大な光輪。

 

「人理焼却の光帯――とは違うね」

 

「はい、何なのかは分かりませんが――とても神秘的な光景です」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「街に到着しましたが、現代日本の都市部に近い造りですね。住人のタイプは獣人、オートマタに……頭に輪っかを浮かべた、学生でしょうか?」

 

街を観察する二人であるが、突如鳴り響く空気が破裂する音に一気に緊張を高める。

 

「マシュ!」

 

「銃声です! 先輩、私の後ろに!」

 

「――ッ!! あっちで女の子が撃たれて――」

 

「痛ってなぁコラぁ!! 肌に跡がつくだろうがぁ!?」

 

全身に銃弾を撃ち込まれても血すら流さない女生徒は、すぐさま銃を構えて反撃を始める。

おかげで駆けだそうと力を込めた脚は、空ぶった形となった。

 

「ピンピンしていますね」

 

「えーと、実弾じゃなかった? そうだよね、こんな昼間から街中で――」

 

『いや、分析の結果間違いなく実弾だ』

 

ダ・ヴィンチの冷静な声が、二人の疑問に答える。

 

『驚いたな――頭に輪を浮かべている子たちは、何らかの霊基を宿しているようだ』

 

カタカタと、キーボードを叩く音が通信越しに耳を打つ。

 

『サーチした限りだと、目の前の彼女たちだけが特別なのではなく、あちこちに同じような霊基反応がある。大半は亡霊・幻霊級だけど稀に英霊級――うわぁ、神霊級まで確認できるよ。それも複数』

 

ダ・ヴィンチはひきつった笑いを浮かべる。

 

『――とはいえ不活性状態みたいだから、神霊そのものの力を揮えるわけじゃないだろう。私たちの知る例に当てはめれば、疑似サーヴァントないしデミ・サーヴァントと似て非なる状態、と見るべきかな。宿った霊基による、神秘の護り故の頑強さなんだろうね』

 

 

 

 

 

 

 

突如始まったゴールドラッシュに沸き立つアビドス高等学校自治区。

予期せず訪れた熱狂による混乱に翻弄される生徒たちは、星見の旅人に出会う。

 

「さてはあんたたちも盗掘者ね! この黒見セリカの目が黒いうちは好きにはさせないわ!」

 

「先輩、誤解されています! どうしましょうか?」

 

「目、赤いから多分大丈夫だと思う」

 

「……なるほど!」

 

ポンと手をうつマシュに、ネコミミの少女は一瞬納得しかけながらもハッとして吼える。

 

「ってそんな訳ないでしょ! 怪しいヤツじゃないってんなら、どこから来たのか言ってみなさいよ」

 

「国連に属するカルデアから来た者です」

 

「こく……れん? かるであ?」

 

「もしやご存知ではない?」

 

「そ、そのくらい知ってるわよ! あ、アレよね。今度連邦生徒会が作るって噂の部活のことでしょ!」

 

そんなやり取りに、突如差し込まれる剣呑な声。

 

「んん? やかましいのがいるかと思えばその制服――アビドスの生徒だな」

 

「あんたらッ――カタカタヘルメット団! また懲りずに来たのね!」

 

「懲りないのはそっちだろ。あんな廃校寸前の学校なんてさっさと放り出せば、こっちも楽なのにさ」

 

「地元を大事にして何が悪いのよ!」

 

「少なくともアタシらの仕事にとっては邪魔なのさ」

 

ヘルメットを被った少女たちは、各々に銃器を構える。

 

「ここでとっ捕まえて人質にしてやる。たった5人きりの仲良しグループだ。さぞかし効くだろう? この戦力差、さっさと降伏するのを勧めるよ」

 

「――ッ、誰が降伏なんてするかッ!」

 

「そうかい」

 

セリカの返事を皮切りに、彼女に向けられた銃器が一斉に火を噴く。

遮蔽物もない空間。セリカをとっさに身を固め耐えようとするが――雪花の盾が躍り出る。

 

「え――? なんで……」

 

「お話はこの場を切り抜けてからで!」

 

「おわっ、なんだあの黒いの!? ミレニアムの新兵器か!?」

 

「あの子ヘイローないよね? 撃って大丈夫なの?」

 

「バカ! そんな事言ってる場合か、全然効いてないぞ!」

 

「コンバットオープン――対銃器戦闘を開始します!」

 

カタカタヘルメット団の戸惑いを他所に、シールダーはバーニアを吹かせながら一気に踏み込む。

結果、キヴォトスの生徒にとっては慣れない攻撃――大質量でぶん殴られるという未知を味わうことになった。

 

「うわぁ! こいつ見た目よかずっとはや――」

 

「ぎゃー!? 硬くて重いものが迫ってくるーーッ!!」

 

「ご安心を! 峰打ちです」

 

「みね!? 盾にみねってあるのか!?」

 

「わかんない! 中退してっから!」

 

「マシュー、援護回すよー」

 

「ああッ!? 装甲車が!! ローンがーー!!」

 

そんな阿鼻叫喚な光景にセリカは宇宙猫になっていたが、ハッと気を取り戻し参戦した。

 

 

 

 

 

 

 

「えっと、助かったわ。ありがとう」

 

ヘルメット団の掃討が終わり、落ち着きを取り戻したセリカ。

助けられた手前もあってか毒気も抜け、立香とマシュは改めて自分たちの目的を説明する。

 

「なるほど……正直分からないことだらけだけどなるほど。だったらさ――」

 

セリカの提案で、二人はアビドス高等学校へと招かれることになる。

そこで出会ったのはアビドス高等学校の対策委員会の面々。

お互い自己紹介を交わし、まずはセリカの口から説明をするものの――

 

「あの、セリカちゃん。そんな急に魔術とか言われても……」

 

また騙されているんじゃないかと訝し気な奥空アヤネの視線に、慌てて弁明するセリカ。

 

「ほ、本当なのよ! さっきヘルメット団相手に戦った時も人影っぽいの出してたし! ほら、立香! さっきのやってみてよ!」

 

「あ、それではいい機会なので霊脈をお借りします。先ほどの簡易召喚とは別になりますが。ラウンドシールド展開――英霊召喚術式、励起。召喚サークル成立。呼応する霊基からの応答確認! マスター、いけます!」

 

「天秤の守り手よ――!!」

 

英霊召喚術式――本来は高次元たる英霊の座より境界記録帯(ゴーストライナー)を降ろす超抜級の大魔術。

しかしこの奇跡は稀に、その土地に眠る亡霊を喚び起こす。

それは今なき、夢の名残り。

 

 

 

 

 

 

「……あれれ? 登校したら、ウチの制服を着た知らない娘たちがこんなにいっぱい? ホシノちゃん、転入生の話とかって聞いてないよね――ってホシノちゃんの髪がスゴイ伸びてるっ!? え、成長期? 背は小っちゃいままだけど!?」

 

 

 

 

 

 

 

光の中より顕われた、先ほどまでいなかったアビドス高校の制服に身を包む少女。

不思議そうな顔でひとりツッコミする彼女の前で、最初に口を開いたのは砂狼シロコ。

 

「ホントに出た。ノノミよりおっきい」

 

「うそ――この人、は……」

 

薄く驚愕を見せるシロコに、比較対象にされたことなど耳に入らず絶句する十六夜ノノミ。

その様子にどうだと言わんばかりに胸を張るセリカ。

 

「ほら出たでしょ! でもホシノちゃんって、もしかして先輩の知り合い? 先輩? せんぱーい、どうしたの?」

 

時が止まったかのように立ち惚けていた小鳥遊ホシノは、セリカに肩を揺すられ息を吹き返したかのように目を白黒させた。

 

「……はっ、あっ……いやぁ~セリカちゃん。おじさん、どうにも白昼夢見ちゃったみたい。うへ~、こんな真昼間からユメ先輩の幻覚を見るなんて、やっぱり夜はちゃんと寝なきゃいけないよねぇ」

 

「ひぃん、ついに幻覚扱い!? そりゃ頼りない先輩かもしれないけど」

 

「というか先輩、今サラッと夜寝てないみたいに言ってなかった!? どういう事なのっ!?」

 

「ええっと先輩。サーヴァントの召喚には成功しましたが、このケースは……」

 

「ん、カオス。先輩がゲシュタルト崩壊しそう」

 

 

 

 

 

 

 

 

「えーと、それではアビドス高校の元生徒会長。現サーヴァント? の梔子ユメです」

 

なんだよね? と若干不安げな顔でホシノと立香の顔を見比べるユメ。

そんな彼女の手を、シロコがそっと掴む。

 

「あたたかくて、鼓動もしっかりしている。とても死人とは思えない」

 

「それは私が一番そう思っているかも」

 

サーヴァントとして召喚されたユメには、自身が死者であるという自覚は一切なかった。

本人の感覚ではいつも通りに登校してきた、というものであったが、同時にその前後の記憶は曖昧でハッキリとしていない。

 

(でもなんでなんだろう。生きているようにしか思えないのに、同時に死人だってことがハッキリと分かる)

 

シロコはユメから手を離し、立香の方を見て――目が合う。

死者を従えるマスターであるという人物。

視線を外したら何となく負けだと感じ、そのまま見つめ合い――

 

(なに、コレ――)

 

瞳の奥に、何かが視える。

 

(冷たい、闇? いや、昏い光――)

 

ソレはこの世に非ざるナニカ。

視てはいけないと思うと同時に、目が離せない。

自分の中で何かが揺れるような、蠢くような――

 

「シロコちゃん?」

 

不思議そうな呼びかけに、己の底から引き上げられる。

 

「急に固まっちゃってましたけど、どうしたんですか~?」

 

「ん、ノノミ。大丈夫、何でもない」

 

「でもあんなにジッと見つめ合って……ハッ、まさか――」

 

ノノミは両手をポンと合わせ、目を輝かせる。

 

「ひとめぼ――」

 

「違う」

 

シロコはバッサリと切り捨て、マシュはホッとした顔になり、ノノミは残念そうな顔をする。そして気を取り直したように皆を見渡し――

 

「提案なんですけど、今日はここで解散にしませんか?」

 

「え? でもノノミ先輩。立香とマシュの話は……」

 

「はい、お二人には悪いのですが、日を改めていただければ……その、ホシノ先輩には少し時間が必要だと思うので」

 

永遠に別離したはずの相手との再会。

ホシノのユメに対する執念とでも言うべき思いの一端を知るノノミとしては、今のホシノの心には計り知れないものがあった。この提案は、それ故のもの。

 

「先輩……」

 

「うん、自分たちはそれでかまわないよ」

 

詳細は知らずとも事情があるのを察した立香たちもまた、ノノミの提案に対して頷くが――

 

「いや、最低限の情報共有は今やっちゃおう」

 

当の本人であるホシノが、それを否定した。

 

「心配してくれてありがとうね、ノノミちゃん。でも二人には後輩のことでも先輩のことでも恩が出来ちゃったからね。無駄足では返せないよ」

 

「ホシノちゃん、こんなに立派になって……」

 

「ユメ先輩には、あとでゆっくりじっくりお時間いただきますからね?」

 

「ひぃん……お、お手柔らかにね?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「直近のアビドスの異変、というとアレしかないですよね~」

 

「はい、ノノミ先輩。資源など枯渇しているはずのアビドスで、突如金が採掘されるようになりました」

 

タブレットを抱えながら説明するアヤネの隣で、セリカは疲れたようにため息を吐く。

 

「それで金狙いの連中が押し寄せる様になったんだけど、おかげで治安も悪化しちゃってね。人手不足のこっちとしてはてんてこ舞いよ」

 

「ルールを守らない不届き者が多くて困る」

 

「シロコちゃん……すっかり成長しておじさんも嬉しいやら寂しいやらだよ」

 

「ん、人の振り見て我が振り直す」

 

後輩たちの会話に耳を傾けていたユメは、不思議そうに問いかけた。

 

「ところでホシノちゃん。さっきから思っていたけど、なんで一人称がおじさんになってるの?」

 

「あ、いや、それはですねユメ先輩」

 

「……ホシノ先輩って、敬語、使えたんですね」

 

「うへ~、アヤネちゃん、おじさんを何だと思ってるのさ」

 

「あのハリネズミみたいだったホシノちゃんがこんなに穏やかに……」

 

「そんなに感極まった表情しないでくださいよ」

 

「そういえば、その恰好ってもしかして私とお揃――」

 

「わーわーわー! ユメ先輩! 後生ですからそれ以上は勘弁してください!」

 

顔を真っ赤にして慌てふためき、机に伏せるホシノ。

そんな見たこともない先輩の姿に唖然とするアビドスの後輩たちであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あ、そうだ。マスターさんとマシュちゃんには私の家に泊まってもらおうと思うんだけど、今どうなってるか知ってる?」

 

とっさに顔を逸らすホシノに、察したように頷くユメ

 

「そっかぁ。実感はないけど、もう1年以上経ってるんだよね」

 

「あ、いえ、その、家は残っているんです。残っているし、すぐに住める状態なんですけど、その……」

 

「???」

 

脂汗をかきながら言い淀むホシノに、いくつもの疑問符を浮かべるユメ。

やがてホシノは観念したのか、絞り出すように事実を告げた。

 

「……………………ます」

 

「ホシノちゃん?」

 

「今、私が、住んで、ます」

 

4人での短い共同生活が、予期せずして始まることになった。

 











※以下、本編とはまったく無関係の、ゲヘナ編未公開だから書ける一発ネタ劇場





先生「雷帝……そういえば妻が、キヴォトスにいたころそんな風に呼ばれていたって言ってたような……」

ヒナ(絆300)「」




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