【短編】FGO×ブルアカコラボイベント風味   作:サボテン男爵

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彼女たちのエピローグ

 

 

 

 

 

 

 

「砂狼シロコ、カルデアのマスター。辿り着いたのはお前たちだけか。まあここまで二人も辿り着けただけ、褒めるべきであろうな」

 

砂漠地帯での戦闘を振り切り、採掘基地内部で分断されながらも最奥へと至ったシロコと立香を出迎える声が響く。

女神アビドスは、神域と化した採掘基地の最奥で悠然と佇んでいた。

 

「ん、みんなが送り届けてくれた」

 

「フ――とはいえお前たち二人で私をどうにか出来るとでも? もっとも何人いても結果は変わらんだろうが」

 

ホシノの顔で、ホシノに似合わない挑発的な笑みを浮かべる。

言葉と共に、空間そのものが圧し拡がる様に神気が放たれ、シロコと立香は両腕で顔を庇うようにして凌ぐ。

 

『まず、最初に確認したい。アビドスでの黄金騒動は、君の仕業で間違いないんだね?』

 

情報収集も兼ねて、女神アビドスの気を逸らすためダ・ヴィンチが通信を開く。

 

「黄金は、欲望を誘うための餌だ。欲にまみれたキヴォトスの大人たち――実に簡単に釣れたとも」

 

「欲望の魔力……」

 

「ほう、知っていたか。それとも前例があったか? さすがに経験豊富だな、カルデアのマスターよ」

 

感心したように女神アビドスが肯定の意を示す。

 

「願い――欲望は上手く使えば大きなリソースになる。この地を弄んできた悪い大人たちの欲望を魔力へと換え、今度はアビドスの為に使う。それの何が悪い?」

 

『聖杯だけじゃ足りなかったのかい?』

 

「力はいくらあってもいい。二度と失わぬ為にはな。欲望の魔力に加えて聖杯の力に、この地に眠る本船の演算能力があれば、事象の改変さえ可能となる。アビドスを完全なる特異点とし、滅びの運命を多く孕むキヴォトスから切り離すことさえも。何も為せなかった我らが、今度こそアビドスを救えるのだ――!!」

 

鬼気迫ると、そう評して違わぬ表情。

同時にそれは、巨大な力を得た者には似つかわしくない、どこか追い詰められたものの表情でもあった。

 

「――そう、あなた達は、やっぱりホシノ先輩とユメ先輩だけじゃない」

 

そっと目を閉じていたシロコが、確信したようにその正体を告げる。

 

「あなた達はきっと、名前も顔も知らない、アビドス高校の先輩たち――」

 

 

 

 

 

 

 

「ああ、そうともさ」

 

女神アビドスは、誤魔化すことなく素直に応える。

 

「亡霊ですらない残留思念。何も為せず、何も救えなかった負け犬どもが夢の跡。このアビドスの大地に染みついた負の想念。本来何の力も持たない、何の意味もなさない、誰も耳を貸さない慟哭が、この地に顕われた聖杯に混じった」

 

「聖杯は、この地に許された最後の奇跡。この地が救われる最後の機会」

 

「ようやく、今度こそ、このアビドスを救える刻が来たのだ。なあ、我らが後輩、砂狼シロコ。なぜお前は我々の前に立ち塞がる? アビドスを愛する気持ちはお前とて同じであろう。さあ、武器を下ろしこちらに来ると良い。共にアビドスを救おうぞ」

 

 

 

 

 

 

 

「ん、あなたの言いたいこと、やりたいことは分かった」

 

シロコが一歩踏み出す。

 

「理解できない訳でも、共感できない訳でもない。私も、アビドスの一員だから」

 

踏み出した足元から、闇が溢れる。

 

「でも、止める」

 

闇が立ち昇り、陽炎のように揺れる。

 

「私ひとりじゃ、あなたには勝てない」

 

闇は刹那の間繭のように固まり――光の粒子となって弾ける。

 

「だけど私は――ひとりじゃない」

 

舞い降りるのは、マフラーをたなびかせる黒衣の死神。

一回り成長した姿のシロコに、女神アビドスは驚愕と共に鋭い警告の声をあげる。

 

「その、姿は――分かっているのか? いずれこのキヴォトスそのものを、滅びへと導きうる……」

 

「ん。あり得るかもしれない未来の前借り、みたいなものらしい」

 

シロコは淡々と答える。

 

「立香との疑似的な仮契約を通して、対策委員会のみんなから神秘の欠片を受け取った」

 

「カルデアのファラオたち、冥府神たちから、導かれた」

 

「冥府神とは、死者の安寧と秩序の守護者」

 

「その役目は、いたずらに世界に破滅と死をバラまくことじゃない」

 

シロコは愛用のアサルトライフルを構える。

 

「秩序の為、我らを止めるとでも言うつもりか!!」

 

女神アビドスの昂ぶりと共に炎が溢れ、その周囲には無数の火球が生まれる。

 

「それも少しはあるけど、それだけじゃない」

 

シロコは目を細め、引き金に力を入れる。

 

「あなたの神性は高まり過ぎている。このままじゃホシノ先輩、どこかに行っちゃう……だからそうなる前に――今度は私が、ホシノ先輩を捕まえる」

 

放たれた弾丸は、開戦の狼煙となった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

闇から浮かび上がる様に、白い無貌たちが蠢く。

 

「なんだ、これは」

 

「色彩にも触れず、恐怖にも染まらず、本質すらも圧してアヌビスの力を揮うなどと――」

 

「あの異界より来訪したマスターとやらの仕業か?」

 

「特異点なる異常時空の影響で、キヴォトスのテクスチャに歪みが生じたか?」

 

「理解できぬ」

 

「理解できぬ」

 

「理解できぬ」

 

「クックックッ、理解できぬ事象だからこそ、探求の価値があるというもの」

 

闇と同化したかのような黒い無貌が笑う。

 

「これほどの神秘の発露、私の方法論では拝めなかった光景でしょう。今回は観察者に徹した甲斐がありました」

 

「本来あり得ざる形でのホルスとアヌビスの亜種。存在の反転ではなく、再臨と呼ぶのが相応しいでしょうか」

 

「ああ、実に興味深い。アヌビスという巨大な神秘となった狼神を人に留める楔となっているのが、ただの人間であるという点もまた、同様に」

 

「この激突の果てに何があるのか、この神話の終わりに何があるのか。私はそれを、見届けたい」

 

「――という訳で、司祭の皆様方」

 

「今は私が観察中故、余計な手出しは控えられますよう」

 

「その上で茶々を入れるというのなら、私がお相手しましょう」

 

「探究者気取りが、驕るな――!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ノノミ」

 

シロコに手元に魔力で編まれた、ノノミの愛用する機関銃が顕われる。

即座に押し込まれた引き金に応え無数の弾丸が吐き出され、女神アビドスが喚び出した大神使たる巨大な白い機械鯨の腹に突き刺さる。

 

本来ならばこの地下空間に100メートル級のサイズを持つ大神使が自在に暴れ回るだけの余白はないものの、女神アビドスによって拡張された空間を荒々しく泳ぎ回っていた。

 

「セリカ」

 

スコープのついたアサルトライフルで女神アビドスを狙い撃つが、炎の壁で防がれる。

お返しとばかりに散弾のように飛ばされる火球を、喚び出したドローンを足場に跳ぶことで回避する。

 

大神使たる機械鯨が動く。

巨体を震わせ、咆哮。放たれるのは無数のミサイル。

白煙の尾を引きながら、獲物を囲うように殺到する。

 

「シロコ!」

 

回避の支援――魔力が巡り、肉体が賦活する。

少し離れた位置から俯瞰する立香視点のイメージが伝わり、網目のような攻撃の隙間をかいくぐる。

 

「ん、不思議な感覚。弾幕ゲームっていうのかな」

 

背後で炸裂するミサイルの爆風すら利用して、一息に女神アビドスに接近。

視界の端で新たな動きを見せようとしていた機械鯨は、簡易召喚によって喚び出された英霊の影が相手取っている。

 

弾丸のように突っ込み、ぶつかり合った魔力放出が拮抗。

弾かれ合った女神アビドスとシロコは同時に銃を構え、膨大な神秘の込められた弾丸を撃ち合った。

 

炎が渦巻くように立ち昇り、周囲に浮かんだ火球からはレーザーのような熱線が次々に放たれる。

自身を呑み込もうとした炎の顎を大きくバックステップすることで交わし、シロコは次なる一手を打つ。

 

「アヤネ」

 

プロペラが空気を叩く音が響き渡る。

手数を増やすべく戦闘ヘリを喚び出し、それを見た女神アビドスの躰から噴き出した炎がカタチを為し、巨大な炎と鳥と化す。

 

「ハッ――先の可能性まで喚び出すとは、いよいよ神霊じみて来たな! 戻れなくなるのはお前とて同じではないのか!?」

 

「私は大丈夫。立香が要石になってくれているから」

 

上空でのヘリと炎鳥のドッグファイトの下――

女神アビドスがショットガンの銃口に巨大な火球を生み出し、射出。

シロコのいた位置に爆炎が広がるが、想定していたダメージを耐え凌ぎ、炎の中から躍り出て瞬時に距離を詰める。

 

「通じるか!」

 

「通じるよ」

 

ゼロ距離でシロコが構えた銃口を自らのショットガンで払い除ける女神アビドスだが、次の瞬間側面からの攻撃を受ける。

 

「――ドローンか! 猪口才な!!」

 

「やっぱり、ホシノ先輩よりも戦い方が雑」

 

「はっ、よくほざいた! これだけの出力があれば、生半可な小細工など必要ないさ!」

 

炎の中から浮かびあがる無数の銃器。

それはかつて、このアビドスの大地に無念を残した少女たちが使っていたモノ。

 

加えて女神アビドスの声を受け大神使が鳴動し、巨体に見合った大口を開けば、覗いた虚無に光が灯る。

 

「下がって! 防ぐ!」

 

「ん、任せる」

 

シロコが大きく跳び退り、立香の元へ。

ワンテンポ遅れて滞空する無数の銃器が一斉に火を噴き、次いで大神使の口元から洪水のような光の奔流が放たれる。

ホルス神の神秘が込められた銃弾の雨が突き刺さり、シンプルかつ高出力の光線は薙ぎ払うようにシロコと立香へと着弾。その勢いのまま地上への岩盤さえも貫通して空へと立ち昇る。

 

しかしその極大の砲撃を見送った女神アビドスは、賞賛を口にした。

 

「大した胆力に、手札の豊富さだ。対粛清防御まで持ち出すとはな」

 

着弾の寸前、採掘区画の床は一瞬一面の花畑に塗り替えられ、最強の護りのひとつが立香とシロコの身を砲撃から遮っていた。

 

「さすがに、冷や汗はかいたけど」

 

「はっ、涼し気な顔でよく言う」

 

シロコの返しを女神アビドスは皮肉る。

 

『立香、もうちょっと攻撃的な編成でいける? この躰の扱いには慣れて来たけど、このままじゃ押し切る前に力尽きる』

 

シロコはこれまでの攻防を振り返りながら、立香へと仮契約のパスを通じた念話を送る。

 

瞬間的な出力はともかく、持久力においては欲望の魔力と聖杯を保持する女神アビドスに分が上がる。

なればこそ、耐久戦は不利と判断しての提案であった。

 

『うん、任せ――いや、これは……』

 

肯定を返そうとした立香だが、送られてきた別のメッセージに言い留まる。

 

「だけどそれは……」

 

『マスターさん、お願い』

 

女神アビドスに取り込まれているユメからの言葉。

その望みに叶えることをためらい、しかし込められた覚悟に応える。

 

「――わかった」

 

一瞬苦渋を顔に刻み、されどそれを呑み込んではっきりと告げる。

 

「立香。今の、ユメ先輩から?」

 

「うん。シロコの攻撃で目が覚めたって。……幕引きを、頼まれた」

 

右手を掲げる。

 

「令呪を以って命ずる」

 

刻まれた二画の内のひとつが、魔力となってユメへと流れこむ。

 

「梔子ユメ――宝具を、開帳せよ」

 

 

 

 

 

 

 

『ありがとう、マスターさん。これで――宝具、発動』

 

女神アビドスの中で、謝罪を込めた感謝を送る。

この現界において初の、そして最後となる宝具の発動。

 

『“死人に口なし、ただ生者の夢を見る”』

 

それは本来、攻撃的な宝具ではない。

今を生きる人類に託し、援けるための死者の願い。

しかしこの状況においては、別の意味を持つ。

 

「これは、解けるッ!? 我らの、女神アビドスの霊基が!?」

 

変化は劇的であった。

巨大な神性と神聖が、その完全性に瞬く間に罅を入れ始める。

 

「己が身を贄とする宝具ッ!? 取り込んだ側の我ら諸共に、身を捧げるつもりか、梔子ユメッ!!」

 

己が内へと向けられ、放たれる怒号。

 

「やめろ、やめるのだ、この大馬鹿者が!! 貴様それでもアビドスの生徒会長か!? 背負った責務はどうした! 分からぬはずがなかろう! 聖杯は、アビドスを救う唯一の――」

 

『あなたちの嘆きは、痛いほどに分かる。でも、このやり方はダメだよ』

 

ユメからの返答は悲し気な、しかしハッキリとした拒絶の意思。

 

『私たち死者が、生者の歩みを選んじゃいけない。こんな方法でアビドスを救っても、それはきっとよく似ているだけの、別のものが出来上がるだけ』

 

「そのような世迷い事でッ!! ようやく機会が回ってきたのだ! アビドスを救えるんだぞ!? それを、こんな、こんな形でッ!!」

 

焦りと怒りと喪失への怯えがごちゃまぜになった慟哭が響く。

女神アビドスの外殻に罅が入り、急速に広がっていく。

 

「我らは、私たちは、やっとアビドスの未来を創れるというのに!!」

 

『ごめんなさい。それでも私は、アビドスの未来(ホシノちゃん)を守りたい』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ハルナのスナイパーライフルから放たれた銃弾が、アイリの間近に迫っていたオートマタを撃ちぬく。

 

「だいじょうぶですか? アイリさん」

 

「あ、ありがとうございます! ハルナさん!」

 

元はと言えば、人の往来が活発化したアビドス自治区において、それぞれの“食”の気配を察知し訪れたのが二つの部活がであった馴れ初め。

放課後スイーツ部が狙っていた菓子店を目の前でハルナが爆破したという悲しいファーストコンタクトではあったものの、紆余曲折の末、彼女たちは共にアビドス滞在の日々を過ごしていた。

トリニティとゲヘナ――学園同士は不倶戴天の間柄であるものの、どちらの部活もそのあたりは大して気にしていなかったりする。

 

「うふふ……学び舎は違えど後輩。守るのは先輩としての甲斐性というものですわ」

 

ハルナは優雅に笑ってみせるが――

 

「いい台詞ですね~。フウカさんに聞かせてあげたいくらい!」

 

アカリからの揶揄い混じりの茶々に、目を泳がせるのであった。

 

 

 

 

 

 

「身代わりの術!」

 

「うわすっご、何アレリアル忍者じゃん!?」

 

攻撃を受けたかと思いきや身代わりのぬいぐるみと入れ替わっているイズナに、メルが目を輝かせる。

 

「お師匠様から教えてもらったんです! 本来は礼装身代わりって忍術ですけど、それをアレンジしたものなんです」

 

「それって立香さんのことだよね? あの人そんなことまで出来たんだ。同人力も高いし、器用だなぁ」

 

「どうじん……りょく?」

 

「まるでひと夏を圧縮して修羅場を何度も繰り返したかのような圧だったよ」

 

「ちょっと~! 二人共仲良くおしゃべりしてないでこっちに加勢してください~!!」

 

モミジからのヘルプに、二人は顔を合わせて駆けだした。

 

 

 

 

 

 

「しかし、大したものだな。まだ1年なのだろう?」

 

狐耳の4人組は、個々の練度の高さと連携を活用して淡々と敵勢力の殲滅を進める。

そんな中で黒髪の隊長は、背中合わせになったエイミに感嘆の声を送る。

 

「ウチのウサギたちに見習わせたいくらいだ。」

 

「……服、売ってるとこ教えようか?」

 

「格好の話じゃない! 戦い方とか立ち回りだ!」

 

マイペースな返しに後輩たちがエイミのような恰好をしている姿を想像し、瞬時に振り払った。

 

「こういうのは慣れてるから。それに――」

 

無表情が僅かに動き――ドヤ顔?

 

「ウウキル・アブナルの赤瓜を摂取した今の私は、いつもの2倍は強い」

 

「ウウ……なんだって?」

 

「ウウキル・アブナルの赤瓜、至高の果実。これだけでアビドスまで来た甲斐があった」

 

エイミは体質的に、極度の暑がりだ。

彼女は在籍する特異現象捜査部のやたらと自己主張の激しい部長の命でアビドスに調査に訪れていたのだが、砂漠の暑さにへばっていた。

そんな折に出会ったのがアビドスとカルデアの面々。

エイミの常人離れした体質に理解を示し、銃器の仕入れの為勝手にレイシフトしていたテスカトリポカと取引してこの赤瓜を提供してくれたのだ。

 

一口食べて、衝撃が走った。

全身の血管に氷を流し込まれたかのような感覚。

数種類の果実が交じり合ったような極上の味わい。

エイミのミレニアムにおける個人的な研究目標が、この赤瓜の人工栽培の確立に決定されたほどであった。

 

「かつてなく呼吸が快適。もう何も怖くない」

 

「……それは本当に大丈夫なヤツなのか?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『理事! もう砲が保ちません!』

 

「ハッ! ようやく勘が戻ってきたところだ!」

 

カイザーPMC理事の駆る試作型ゴリアテは、スフィンクスを相手取っていた。

 

「それに砲がダメならば拳がある! 喰らえい! カイザーナッコゥゥ!!」

 

鉄巨人の拳が神獣の頬に突き刺さり、その勢いで巨大な四肢が砂の大地を滑る。

しかしすぐさま態勢を立て直し、前足で殴り返してきた。

 

「くぅ、タフな上に妙に器用な獣め!」

 

素早く繰り出されるジャブをいなしながらもぐらつくゴリアテに、帰ったら開発部に多脚型のゴリアテを研究するよう指示するのを脳内のメモに書き込む。

 

戦場に変化が訪れたのは、そんなときであった。

 

「む――?」

 

ドローンやオートマタは次々と機能停止し、魔獣や神獣たちはその姿を砂へと変えていく。

あとに残るのは、先ほどまでの喧騒とはうって変わった静けさ。

 

「あちらが先に、片付いたのか?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

まどろみの中、ホシノは自らを包む暖かさが急激に消えて行くのを感じつつあった。

 

「ユメ、先輩?」

 

『ホシノちゃん。お別れをしに来たよ』

 

優しい口調で告げられる決別の言葉に、ホシノの意識は急速に浮上した。

 

「え――待って……待ってユメ先輩! 行かないで! また私を置いていくんですか!?」

 

『ゴメンね。でも奇跡の時間はここでお終い。もう、私という()から解き放たれて、自分で飛ばなきゃいけないの』

 

いつもの微笑み。だがその横顔には、寂しさが混じっている。

 

『飛び立った先には、辛く、険しい道が待っているかもしれない。生きるっていうのは、思い通りにいかない事の方が多いから。でもホシノちゃんは、ひとりじゃない。それはホシノちゃん自身が良く分かっているでしょう?』

 

「だけど――ッ! ユメ先輩の幸せはどうなるんですか! あなたにだって、まだやりたいことがあったはずです! 選びたい未来があったはずです! なのに、私がバカだったせいで、その道を――」

 

『――そうだね。未練がないとは、言えない。私はそこまで、大人じゃない』

 

ユメはホシノに近づき、そっと抱きしめる。

 

『でもね――それでも私は幸せだったよ。ホシノちゃんと出会って、共に過ごした奇跡のような輝かしい日々』

 

あやすように、懐かしむように、その背中に手を回す。

 

『うまくいかない事ばかりで、アビドスにとっても大きな成果を残せたとはとても言えないけど……それでも私は、楽しかった。あの日々は、誰が何と言おうとも、キヴォトスの誰にも負けない青春だったって、私は胸を張って言える』

 

ユメはホシノのことをぎゅっと抱きしめ――

 

『今回だって、あり得ないはずの奇跡の続き。成長したホシノちゃんと新しい後輩たちとの日々を貰えたからね。本当に、マスターさんには感謝しなきゃ』

 

その手が、離れる。

 

『ホシノちゃん――今まで本当にありがとう。大好きだよ』

 

「ユメ先輩ーーーー!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ホシノ先輩、だいじょうぶ?」

 

大きくなった後輩の膝枕の上で、ホシノは目を覚ました。

 

「だいじょうぶ、とはさすがに強がれないかな。今だけは」

 

瞳の端に浮かんでいた涙を、服の袖で拭う。

 

「シロコちゃん、本当に立派なったね。それに比べておじさんは、情けない姿ばっかり見せちゃったかな。うへ~、一生分の恥を晒した気分だよ。最後までユメ先輩に縋りついて、笑顔で見送ることもできなくて」

 

シロコの膝から頭を持ち上げ、立ち上がる。

 

「でも、ちょっとは吹っ切ること、できたかな」

 

あそこまでしっかりと、お別れしたのだ。

いつまでもグズグズとしている訳にはいかない。

 

「私は――」

 

「妙だ」

 

「へっ?」

 

突如響いた立香の声に、ホシノはそんな声を上げる。

 

「聖杯が顕われない。それに、神域化も解けていない」

 

立香の表情に宿った明らかな警戒の色に、シロコとホシノは臨戦態勢を取る。

そしてそれに応える様に、地に伏していた大神使が吼える。

 

『まだだ! まだ終わらん!!』

 

罅割れた体からは魔力が漏れ出し、それでも再び宙を泳ぎ始める。

 

『まだっ! 何も為していない! 救えていない! こんな、無為なままで終わってなるものか!!』

 

『これは、悪竜現象(ファヴニール)! 欲望の黄金の符号から引っ張ってきたのか!?』

 

ダ・ヴィンチの解析結果に、シロコが端的に尋ねる。

 

「つまり、どういうこと?」

 

『竜の心臓を得た! 瞬間的な魔力生成量には限度があるけど、それでも倒さない限り無尽蔵に動き続ける!』

 

「ん、わかった。だったらやることはひとつ」

 

「ラストバトル、って訳だね」

 

シロコの言葉に、ホシノが頷く。

 

「マスター! ただいま到着しました!」

 

「敵がいきなり動かなくなって……ってなにあのデッカイ鯨!?」

 

「ホシノ先輩、よくご無事で……」

 

「ユメ先輩は――いえ、まずはあっちの方ですか」

 

駆け付けた後輩たちを見て、ホシノはひとつ頷く。

 

「おあつらえ向き、だね。立香!」

 

「うん!」

 

「疑似的な仮契約っていうの、私ともいける? みんなともやったんでしょ?」

 

「すぐにでも!」

 

言うや否や、立香はホシノの手を取り、令呪が輝く。

 

「ん――なるほど、こういう感覚か。みんな」

 

ホシノは愛用のショットガンと、ユメの遺したシールドを構える。

 

「色々と謝らなきゃいけない事もあるけど、今は力を貸して。女神アビドスの――アビドス高校の先輩たちの夢を終わらせる。私達の、未来のために」

 

 

 

 

 

「覚悟してくださいね~」

 

ユメ先輩の遺した最後の残り火が、急速に消えていくのをホシノは感じる。

 

「ただじゃおかないんだからっ!」

 

それでも心の奥底に残るこの温かさを、きっと思い出と呼ぶのだろう。

 

「支援のタイミング……! 逃しません!」

 

抱いた苦しみは消えない。苦悩はなくならない。

 

「ハイアングル・トランスファー!」

 

でもそれだって、自分の一部だ。

失った苦しみも、共に過ごした思い出も、大切な自分の足跡。

 

「前は私に任せて」

 

だから歩き続ける。この苦しみと思い出を胸に、ただひたすら前に。

いつか誰かに、先を託すその日まで。

 

「立香、令呪を」

 

「持っていって!」

 

「ん。払い渋りがないのは助かる。マシュ、借りるから――仮想宝具、展開」

 

顕われるのは、黒き銃身。天命を告げる禁忌。そのレプリカのさらにレプリカ。

 

「“再填・黒死残響(ブラックバレル・イマージュ)”!!」

 

放たれるは死の残響。

本来の性質には及ばずとも、世界すらも穿つ黒い光は巨体へと突き刺さり――魔竜となった巨鯨は今度こそ墜ちた。

 

 

 

 

 

 

『また、終わるのか。何もできず、何も為せずに……』

 

地に伏せ横たわる巨鯨から諦観の声が響く。

未だ聖杯は顕われぬものの、竜の心臓を致命的に砕かれ、最早抵抗する力がないのは明らかだった。

 

「女神アビドス――ううん。先輩たち……」

 

『私たちは、ただ、残したかった』

 

ホシノの悲し気な声に、ポツリポツリと言葉が返る。

 

『私たちが後輩たちに残せたものは、砂嵐ですり減っていくアビドスの地と膨れ上がる負債だけ。分かるか? 誇れるアビドスを託すことのできない悲しみが。暗い未来しか残せない不甲斐なさと惨めさが』

 

独白の中パキリパキリと、巨鯨の崩壊は続いていく。

 

『いつかきっとと――未来に希望を託すと言って先送りにし、結局時間が解決する問題など何もなかった。ハハハ……そして今もまた、こうやって何も為せずに倒れ伏している。なあ、カルデアのマスターよ。私たちがやってきたことは何だったのだ? すべて無駄な間違いだったのか? 教えてくれ、多くの終わりを看取った者よ』

 

自嘲するような声だった。

縋るような声だった。

無力に打ちひしがれてきた者達の、今わの際。

それをしかと、受け止める。

 

「自分は、あなた達の人生を評せるほど、あなた達のことを知らない」

 

『………………』

 

「あなた達が無駄だったと信じるのならば、そういった側面もあるのかもしれない」

 

立香らしくない言葉に誰かが声を上げようとして、それをまた別の誰かが止める。

 

「だけどそれを言うのなら、自分の人生だって無駄なのかもしれない」

 

『なに?』

 

巨鯨が、揺れる。

 

『だが、お前は、人類最後のマスターだ。替えの効かない……』

 

「色んな偶然が重なってそんな立場になったけどね。カルデアに行くことがなければ、歴史や人類史という視点からすると何でもない、その他大勢の一人として過ごしたはずだよ」

 

言い出したら切りのない、もしもの話ではある。

だがそう間違ってはいない事だろうとも、立香は思う。

人理に関する案件さえなければ、普通に生きて、普通に悩み、普通に進み、普通にいつか死ぬ。そんな人生だっただろう。

 

「だけど、きっと世界っていうのはそういうものの積み重ねなんだと思う」

 

『………………』

 

「ひとつひとつの物事を切り離せば、無駄に見えることも、間違いだって感じることもたくさんあるだろう。悲しいことだって、何度も見てきた。だけどそういうものも含めて、連なって、重なって、世界は続いていく。無為であっても、過ちであっても。例え自分たちが最初から間違っている生き物だとしても。その果てにある何かを探して、遥かな宙を目指して、ヒトは歩いていく」

 

人の歴史とは、ある意味星図のようなものかもしれない。

人類史という帯の上でひとりひとりの人生は小さな点であっても、数えきれないほどの無数の点を俯瞰して見た時、それはきっと意味のある絵となる。

 

 

『………………そう、か。お前は、そう信じるのだな。己が手で、今この時に全てを為そうとした私たちには、何とも気の長い話だ。まるで、地獄を積み上げるかのような歩みだ』

 

噛みしめるような声だった。

彼女たちが納得したのかは分からない。

望んだ答えだったのかは分からない。

それでも――どこか、憑き物が落ちたかのような声音だった。

 

『私たちには、付き合いきれそうにない。………………少し、疲れた。もう、休ませてもらうとしよう。お前たちは、前にでもどこにでも好きなところに行くがいい。悩んでも、悔やんでも、ただ望むままに。そして――最後は出来れば、笑って旅を終えるといい』

 

「うん――先輩たち、私からもひとつ」

 

シロコが黒いドレスを翻し、前に出る。

 

『なんだ、恨み言か?』

 

「ううん。別に、あなた達への恨みはない。ただ、ありがとうってだけ、言いたかった」

 

『……なに?』

 

「無為であっても、何も救えなくても、あなたたちがアビドスを今まで繋いでくれたから、私は今、ここにいる。みんなに出会うことが出来た。そしてこれからもきっと、あなた達が残してくれた道の上で、色んな人に出会っていく。だから、うん。ありがとう、先輩たち」

 

自らの首元のマフラーに優しく手を当て、微笑むシロコ。

 

『………………そうか、これが――意味、か』

 

巨鯨の躰が限界を迎え、大きな亀裂が入る。

ただその横顔は、不思議と笑っているようにも見えた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「聖杯の顕現を、確認しました」

 

砂となった巨鯨の前に、今度こそ聖杯が零れ出る。

 

「もう、邪魔はしないよ。不格好だったけど、お別れはしてきたからね」

 

ホシノが促し、マシュが頷く。

聖杯の回収作業を進める傍らで、ノノミが先輩の元へと駆け寄ってきた。

 

「ホシノ先輩、その、ユメ先輩は……」

 

「行っちゃったよ」

 

気づかわし気な後輩の頭に手を伸ばし、髪をなでる。

 

「悲しいし、寂しいことだけど……うん。きっとこれで、良かったんだ」

 

「無理、してませんか?」

 

「後輩の前なんだから、無理のひとつくらいさせてよ。……まあ今更ながら、もうちょっと格好つけた別れの言葉のひとつくらい、言えればよかったとは思うけど」

 

そうすれば、ユメ先輩も安心してくれただろう。

……いや、何だかんだで自分のことをどこまでも信じてくれているのだが、あの先輩は。

 

「私ももう、過去を見つめて眠れない日々は、終わることにするよ。アビドス高校のみんなの先輩として、後輩たちを守らなきゃいけないからね。私はしっかりと、今を生きる。色んな思い出を、みんなと一緒に作っていく。そしていつか全部が終わったユメ先輩の元に行った時、それを話してあげるんだ。私が手に入れた、大切な宝物の話を」

 

学校の借金がなくなった訳ではないし、これからも苦難も迷うこともあるだろう。

だけど、ちゃんと前を向いて歩いていく。そんな決意を胸に――

 

チョイチョイと、そんなホシノの肩を突く指の感触。

 

「あ、シロコちゃん? もとに戻ったんだ」

 

「すごく綺麗だったのに、写真に撮れなかったのは残念でしたね~☆」

 

「あのくらいなら、すぐ育つ。そうじゃなくて、えっと、アレ……」

 

困ったような珍しい顔で指さす方向に顔を向ければ――

 

 

 

 

 

 

 

 

「ちょっとユメ先輩、だいじょうぶなの?」

 

「ひぃん、頭がグルグルする……」

 

「背中、さすりますね」

 

アビドス1年コンビに介抱される、ユメの姿が。

 

 

 

 

 

 

 

 

「「「………………」」」

 

何とも言えない、気まずい沈黙。

ホシノはマシュの方を見る――微笑み返された。シロ。

続いて立香の方を見る――目を逸らされた。クロ。

ユメに目を向ければホシノの視線に気づいて――あからさまに目を泳がせていた。

 

ぐっと湧き上がる感情の呑み込み、無言で、カツカツと、歩を進める。

そしてユメの前でピタッと止まり、低い声で問いかける。

 

「ユメ先輩」

 

「ひ、ひぃん……ど、どうしたのかなホシノちゃん?」

 

「こんなことは心底言いたくないんですが、あの流れで、なんでまだいるんですか?」

 

「あ、うん。えっとね? 霊基の退去先がカルデアの霊基グラフ? ってところだったらしくて。あっちの方で再召喚してもらって、そのままレイシフトで送り出されて、今帰ってきた訳でして……はい」

 

空中に投影されたダ・ヴィンチの顔を見る。

テヘペロっとウインクされた。

 

「………………」

 

「その……すごかったんだよ! マスターさんたちの空飛ぶ船! ホシノちゃんにも見せてあげたいなぁ、なんて……はは」

 

「………………」

 

「えっと、ホシノちゃん? お、怒ってる?」

 

「怒ってるか、ですって?」

 

行き場のない感情が、煮えたぎるように――

 

「ほんっとうにッ! 先輩って人はッ!!」

 

眉尻が上がり、俯かせていた顔をバッと上げ――

 

「本当に、いつもいつも仕方がない人なんですから」

 

フッと、力が抜け微笑んだ表情になり、肩を竦めてみせる。

 

「へっ?」

 

「ちょっと呆れただけです。でも、私はそれがユメ先輩だって知ってますから。寛容な後輩に感謝してください」

 

ポカンとしていたユメだが、嬉しそうに、頬を緩ませた。

 

「うん――私だって知ってるよ。慣れない人には恥ずかしがってツンツンしてるけど、ホシノちゃんが本当はとっても明るくて優しい女の子だっていうことを」

 

「面を向かって言われると、さすがに恥ずかしいですね……立香!」

 

「なにー?」

 

「特異点が修正されるまでは、少しだけタイムラグがあるんだよね?」

 

「うん。ダ・ヴィンチちゃん?」

 

パスを受けた幼き万能は、返事を引き継ぐ。

 

『おおよそだけど、1日くらいの猶予はあるって思っていいよ』

 

「だ、そうです。ユメ先輩、何かやりたいことってありますか? 何でも付き合いますよ?」

 

「え、え……う~ん、急に言われてもパッとは……」

 

うんうんと悩むユメだが、シロコが片手をあげた。

 

「だったら、私たちから提案がある」

 

皆を見渡し、ノノミ、アヤネ、セリカ、マシュと頷き合う。

 

「みんなで話してたんだ。ユメ先輩の卒業式、出来ないかって」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『あ~、校長先生っぽいということで何故か駆り出されたゴルドルフ・ムジークだ。通信越しではあるが、簡単ながら式辞を述べさせてもらう。こういうのは教師系のサーヴァントたちの方が向いている気もするが……いや、逆に向いていないか? スカサハやケイローンの卒業式など、唐突に最終卒業試練に化けかねんからな。突破できなければ死ぬ系の。コホン……失礼、話が逸れた。本日は良き門出の日を迎えられたことをまずは祝福したい。親しい人物の旅立ちは寂しくもあるかもしれんが、別れというものは人生にはつきものだ。私も家伝の魔術特性上、幼い頃から人一倍そういった機会に触れることを繰り返してきたが――』

 

 

 

「所長さんのお話、壮絶でしたね……」

 

「ん、大人って大変。アビドスの借金くらい何とかなる気がしてきた」

 

 

 

 

 

かつて、人になった王は語った。

――“……命とは終わるもの。生命とは苦しみを積みあげる巡礼だ。だがそれは、決して死と断絶の物語ではない”

 

 

 

 

 

「続いてマシュ・キリエライトより、届いた祝辞の代読をさせていただきます。まずは連邦生徒会長より――」

 

 

 

「何だって今更連邦生徒会が……どこで聞きつけたんだろう」

 

「まあまあセリカちゃん。これもきっと、いい事ですよ☆」

 

 

 

 

 

――“確かにあらゆるものは永遠ではなく、最後には苦しみが待っている。だがそれは、断じて絶望なのではない”

 

 

 

 

 

「在校生代表として、小鳥遊ホシノさんに送辞をお願いします」

 

「うへ~、こういうあらたまった舞台は緊張しちゃうな~」

 

「ふふっ、ホシノちゃん。昨日の晩はマスターさんと一緒にず~っと原稿と睨めっこしてたもんね」

 

 

 

 

 

――“限られた生をもって死と断絶に立ち向かうもの。終わりを知りながら、別れと出会いを繰り返すもの。……輝かしい、星の瞬きのような刹那の旅路”

 

 

 

 

 

 

「ほらほら、みんな集まって! 記念日は写真を撮るものだからね! ホシノちゃん、もうちょっと私の方に詰めて……位置は、これでいいかな?」

 

「ユメ先輩こそ、ちゃんと卒業証書も映る様にしてくださいね」

 

「フフッ、分かったよ。――よし、これでいいね! はい、ち~ず!」

 

 

 

 

 

――“これを愛と希望の物語と云う”

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

別れを告げる物語は終わりを迎えた。

そして星は、再び巡る。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あらためて、アビドス高校卒業生の梔子ユメです! え? エントリーシート? ひぃん、用意してなかったよ……え、嘘? 採用? よ、よかったぁ……ホッとしたよ。今後とも、よろしくお願いします。マスターさん」

 

 

 

 

 

 

 

☆4ルーラー・梔子ユメ、正式加入。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

〇イベントクリア記念☆4概念礼装 旅立ちの夢

 

“この写真は?”

 

「う~ん、心霊写真かな?」

 

“えっ”とたじろぐ先生に、少女は微笑みかける。

 

それはあり得ざる卒業写真。もはや朧気となった夢の肖像。

自分自身と、大切な後輩たちと、いなくなったはずの先輩と、知らないはずなのに親しみを覚える二人が額縁の中で笑っている。

その写真を見ると、胸がたまらなく切なくなる。

その写真を見ると、安心感と嬉しさがこみあげてくる。

 

いつの間にか手元にあったソレを、飾っておこうと対策委員会のみんなで決めた。

誰も覚えてはいないけど、これはきっと大切な青春の思い出だから。

写真の一番下には、先輩の文字でこう刻まれている。

 

“みんなの夢に、星の導きがありますように”

 

「さっ、先生。今日も1日よろしくね?」

 

 

 

 

 

 

 

〇イベントストーリーをクリアしたことでフリークエストが追加されました。

難易度90+  ”一般通過ファラオ”

難易度90++ ”真の元凶戦”

 










以上で、本編はおしまいです。
冒頭で書いたように、元々本作は1年ちょっと前に書き終えていた作品でした。
ですが書いてる間にブルアカでは対策委員会編第3章が終わり、FGOでは奏章Ⅲが終わり、”アレ? なんか展開というか、構図というか、ちょっと被っているのでは?”となったため封印指定してました。
ですがFGOの2部ももうすぐ最後を迎える頃合い。あれから1年経ったし、ちょっと手直しして解禁しようかな、となったのが本作でした。お付き合いいただきありがとうございました。
あとは諸々の設定や裏話を投稿します。
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