高台でのバトルを終えた後、忘れないうちにミジュマルを返そうとしたらそのまま渡された。ベル曰く尊いものを見せてくれた礼だそうだ。本来はライバル枠であるヒュウがもらうポケモンだったのだろうけど…気にしても仕方ないので貰っておくことに。
そのままベルは博士に呼ばれたといって俺達と別れた。去り際に次会うときはもっと尊い状態になってねと食い入る様にメイに告げて。
「尊い状態…?」
「メイは知らなくていいことだよ」
「お兄ちゃんは知ってるの?」
「…ノーコメント」
明らかに知っているけど隠す俺に「えー!?」と抗議の声をあげるメイ。聞いたところで何の知識にもならないし、メイにどうでもいい知識を植え付けるのはあんまりよろしくない気もしたので何と言われようと俺は黙秘権を行使させてもらおう。
「さあそれよりも、行こうじゃないか」
「あ、はぐらかした…もう」
「知ったところで何の得にもならないからな」
「むぅ…私もお兄ちゃんと一緒がいいのに」
「あー…その内教えてあげるから、な?」
「……約束だからね?」
「ああ。約束だ」
「じゃあ…ん!」
ずいっと小指を差し出すメイ。所謂指切りを要求してきて、それに応じる。よく知るメロディを二人で口ずさみながら、指を切った。
「破ったら何でも言うこときいてね?」
「一つだけならな?」
「うん!」
「それじゃ、そろそろサンギタウンに行こう。今からいけば日暮れにはつけるかな…」
「サンギタウンかあ……どんなとこなんだろ」
期待に満ちた目で次の町へ思いを馳せるメイ。初代ポケモンからの設定だとポケモンを持たない人は基本的に入ってはいけない事になっていて未所持者はポケモントレーナーや大人に止められているようだが…そこはゲームと同じ設定を準拠しているのだろうか。
「そうか、メイはポケモンを持っていなかったから行ったことがないんだったな」
「うん…お兄ちゃんはポケモンを持っているから行ったことがあるんだよね?どんなところなの?」
「うん?…そうだな、特徴としては近くに牧場があったな…あと、大きな亀裂の入った岩壁とか。ヒオウギのジムに挑むならまずは此処でツタージャを鍛えて…ポケモンを増やすのがいいと思うぞ」
サンギ牧場でゲットできるメリープは終盤までお世話になるポケモンの一匹で旅のパーティ…通称「旅パ」の候補に採用されやすい。
最終進化のデンリュウはワロストーンエッジとは打って変わって優秀な「パワージェム」を覚えることができ、ポカブやミジュマルを選んだ人はフキヨセとセイガイハを越えるためにもよく捕まえられる。
また対戦では大体ひかえめが選出され、技構成にワロストーンエッジよりも当たらない「気合玉」が採用される事が多い。その命中率は当たったらネタにされる程。
しかし旅パとしてなら気合玉は勿論入れなくてもいいし、初心者にも扱いやすいポケモンだ。
「メリープか…うん、いいかもな」
「メリープ…?」
「行ってからのお楽しみだ。さ、行こう」
「うん!」
階段を下り、ヒオウギと19番道路をつなぐゲートの前でヒュウが壁に寄りかかっていた。どうやら俺達の門出を待っていたようで、俺達を見つけると近寄ってきた。
「ポケモン、貰えたみたいだな」
「うん!お兄ちゃんにも勝ったよ」
「……マジで?」
信じられないといった目で俺をみるが負けたことには変わりないので嘘偽りなく本当だと告げる。レギュラーのポケモンではなくこちらも同レベルのポケモンを用意してでのマッチである事もきちんと説明をして。
「ふーん…負けることあるんだな、お前も」
「俺もまだまだ未熟、ということだ」
「だな…で、行くのか?」
「うん。ヒュウとも暫くお別れだね」
「とはいっても三日位したらジム戦のために戻ってくると思うけどな」
「え、そうなの!?」
「いや…この前ニュースでいってたろ。新しいポケモンジムの設置場所がヒオウギになったって」
「み、見てなかった…」
「「オイオイ…」」
地元なのに地元の事を知らないのは致命的なのでは…といっても俺も俺でゲームで得た知識なので人のことはあまり言えない気もするが。
とはいえ俺もジムリーダーと戦いたいし、知っているふりをしてヒュウにジムリーダーの名前…チェレンの名前を尋ねる。
「えーと確かにリーダーの名前は…チェレン、だったか?」
「いやそれ二年前の英雄だろ…アデクだよアデク。前チャンピオンの!」
「前チャンピオン!?」
(何ですと!?)
呆れるヒュウの発言に悪いと平静を装いながらも謝罪と礼を述べて内心で驚く。
チェレンが英雄?だったら前作主人公のトウヤは何処に行ったんだと思った途端、自分の容姿をはっきり見ていないことに気付く。
そういえば家のクローゼットにトウヤの服が入っていたということは…メイの兄はトウヤなのでは?と予想してそれを確認するべくヒュウにあることを尋ねる。
「ヒュウ、カメラあるか?」
「いきなりだな…ライブキャスターなら」
「すまん、何も言わずに俺に着信してくれないか?この前落とした影響でイカれてしまったみたいなんだ」
「おま、それはそのままにしておくなよ…」
適当な嘘をついてライブキャスターを起動させると、まもなくしてヒュウからの着信が来てそれに応じると其々の顔が映し出された。画面をみてヒュウの顔の隣に映るのが…メイの兄、もとい俺。
結論からいうと全くトウヤには似ていなかった。寧ろもといた世界の有名イラストサイトで有志によって理想が詰め込まれた結果イケメン度がマシマシになった主人公「レッド」の姿にそっくりだ。というかまんまそれだ。違う点といえば完全な黒髪ではなく若干茶の入った黒髪だというところか。
「これでいいのか?」
「ああ。登録しておくよ」
「お兄ちゃん、私は?」
「メイは後でな?」
「うん!」
「って、お前名前もフォーマットされてるじゃないか」
「ん?…本当だ」
画面をみて気付いたヒュウが指摘する。確かに名前が現れる筈の場所に俺の画面には表示されていない。
再設定しておけよというヒュウに頷くが、名前がわからないのでやろうにもできない。
(そうだ、トレーナーカード!)
すっかり忘れていた名前を確認できる存在に今思い出した。トレーナーカードには兄の名前が記載されているはず!と期待したのもつかの間。
この兄がトレーナーカードを何処に入れてるのか分からない。聞いたところで知らないに決まってるし、本人が知ってて当たり前の事を他人に聞くのは怪しすぎる。
考えた結果、やむを得ず断念することに。
「あの、ジムリーダーって前チャンピオンなの?」
「ん?ああ。まあ一番目だし手加減してくれるだろ」
「そうだな。ジムリーダーは相手に合わせてポケモンを使い分けてくれる。だから心配はいらない」
「そうなんだ…」
「勝つには経験も積まないとな。まぁ頑張れよ」
「ヒュウは旅に出ないのか?」
「妹を一人にするわけにもいかないだろ?メイと違ってまだ幼いからな。俺が守っていかないと」
もう二度とあんな目に合わせないと固く決意するヒュウ…ストーリー通りなら妹のチョロネコはプラズマ団に強奪され、その後チョロネコはレパルダスへと進化して戦闘マシーンにされてしまっている。
もしこの世界も同じ様にチョロネコが強奪されているのなら…ヒュウのプラズマ団に対する憎悪は計り知れない事になる。
これも結構気になるが言ったら要らぬ疑いがかかるから聞こうにも聞けないが。
「…そっか、ヒュウの妹さん……」
「言うなよ?言ったら例えメイでも本気で怒らないといけないからな」
「うん。お兄ちゃんとヒュウの大喧嘩みてるから分かってるよ。妹さんによろしくね」
「ああ。二人もまた戻ってきたときにでも会いに来てくれ。妹も喜ぶだろうからさ…引き留めて悪かったな。身体には気を付けろよ?」
「…父親?」
「いやお前と同い年だろーが…」
ガクリと項垂れるヒュウのおかげでヒュウと同い年だということが分かった。それでも名前は未だに分からないのがとてももどかしい。
「じゃあ、行ってきます」
「元気でな、ひひひろし」
「ヒュウだっつってんだろーがぁぁっ!!」
「ぐはぁ!?」
「お、お兄ちゃーん!?」
ヒュウのスカイアッパー!急所に当たった!
俺は気合のタスキで持ちこたえた!
ヒオウギを旅立つ最後にヒュウのスカイアッパー。キレイに嵌まったが耐えきれたのも心の中の気合のタスキで何とか持ちこたえることに成功したが、めちゃくちゃ痛い。最後の最後でやらなくてもいい事をやって痛い目をみた後にメイに引き摺られる形でヒオウギを後に。
何とも締まらない、俺達の冒険が幕を開けた。
……………
まさかあのままズルズルとメイに引き摺られたまま19番道路を越えるとは思わなかった。おかげでスゴく尻が痛い。
摩擦で破けてるんじゃないかと思ったけどやはり冒険の適している服なのか全く無傷だった。
それよりもメイの筋力の方が驚きだが。涼しい顔で俺を引き摺る姿はまさに怪力のそれ。何がすごいかって引き摺ったまま野生のポケモン相手にツタージャへ交戦指示を出していたということ。変なところで器用な一面を見せられた。
「…」
「お兄ちゃん?」
「……メイ、鍛えてたのか?」
「え?鍛えてないよ?」
「…そうか」
「そんな事よりも、ここがサンギタウン?」
期待に満ちた目で聞いてくるメイ。
入ってすぐに見える大きな時計台とその奥には前チャンピオンのアデク宅らしき一軒家が。やはりゲームとは違って宿など知らない施設や家が多いが、この二つだけでここがサンギタウンだということは理解できた。
「ああ。ここがサンギタウンだ。大きな時計台がシンボルマークで…前チャンピオンのアデクさんの家もサンギタウンにある」
「そうなんだ…」
(…そろそろ来るか?)
「よーお!新米トレーナー!」
(来た来た…って、アイツは……!)
「えっ?ええっ!?」
人が飛び降りたらまず死ぬであろう崖を軽く飛び降りて着地して此方にやって来たのはアデク…ではなく、アデクの孫であるバンジロウ。
「ほー…お前、ツタージャを選んだのか!」
「う、うん…えっと、貴方は……」
「おいらはバンジロウ!じいちゃん…アデクの孫だ!」
(まさかアデクとバンジロウが変わってるとは…いや、アデクがジムリーダーになったから流れでいけばそうなるよな)
「ふーん…お前はともかく、そっちのにーちゃんのポケモン…かなり長い付き合いだろ?」
「…分かるのか?」
「おう!多分相当お前と戦ってきたんだろうな。お前のこと、信頼してるヤツばっかだ。ミジュマルはまだ苦労がたりねぇみたいだけど」
「会ったばかりだからな」
「なるほどな!納得できたぜ!」
流石はアデクの孫、俺の厳選ポケモンを一目で見抜いた上になつき度MAXであることも教えてくれた。
確かにBW2には最新作のUSUM系列やその前作であるORASと違って努力値を簡単に割り振れる施設がなかった。なので栄養ドリンクやパワー○○といった努力値加算アイテムを持たせて対応した努力値を持つ野生のポケモンを倒しまくることで初めて完成するのが極振り個体というもの。グレイシアの特攻を極振りにするために何度ヒトモシを狩ったことか…今となっては懐かしい。
そんな苦行とも呼べる作業を続けてきた俺とポケモンの間に絆が出来ているのは嬉しいことだ。
「今すぐにでもバトルしてぇけど…じいちゃんとの約束があるからな。まずはそっちからだ」
「アデクさんとの約束…?」
「おう、お前らを誓いの林に連れてけって」
「誓いの林……?」
「ま、行ってみりゃわかる。案内してやるよ!」
「ああ。ありがとう」
気にすんな!と元気に返してくるバンジロウ。いずれバンジロウもアデクのようになるのかと思うと…容易に想像できた。うん。アデクの特徴をしっかりとらえた初老になりそうだ。ここまでくるとバンジロウの親が気になるが…多分会うことはないだろう。
「誓いの林かぁ…誓いって呼ばれてるくらいだから昔に結婚式とかで使われてたのかな?」
「かもしれないな」
ゲームだと配信限定ポケモンの「ケルディオ」に固有技「神秘の剣」を覚えさせるためのキーイベントとして描かれている。なのでケルディオを所持していないユーザーには縁の無い場所だが…もうゲームの知識を信じる訳にはいかない。
きっと誓いの林にも何かカギがあるに違いない。
「おーい、どうしたんだー?」
「ああ…って速いな」
「おまえらが遅いんだよー!」
「バンジロウくんとは鍛え方が違うのー!!」
「…合ってるようで合ってない気がする」
「え?そうかな…?」
「はやくこねーとおいてくぞー!」
「仕方ない、少しペースを上げようメイ」
「うん!」
………………
バンジロウについていくこと数十分…道なき道を行くバンジロウに俺とメイは既に疲弊していた。何で路地裏とか屋根の上とかを通るのだろうか。忍者や怪盗じゃあるまいし…と内心で愚痴りながらも必死についていった辺り自分達も大概だと思われそうだが。寧ろ自分がついていけた事に驚きだ。兄の運動神経様々といった所か。
「よーし、ついたぞ!…どうした?」
「いや、どうしたもこうしたも…大丈夫か、メイ」
「な、何とか大丈夫だよ…お兄ちゃん」
「なんだ、まさかバテたのか?」
「「いや、あのルートはバテる(だろ/よ)…」」
息を整えながらバンジロウの異常性を指摘する俺とメイ。当の本人は何を言ってるのか分かりませんという顔をしたあとに「都会育ちって大変だな」と同情してきた。本当にバンジロウの親が見てみたい。いったいどういう教育したらこんなパワフルになるのだろうか。
「まぁいいや、ここが誓いの林で…あそこにある岩壁に亀裂が入ってるのが見えるか?」
「…ああ、あれか?」
「すごい大きな亀裂だね…ポケモンの技でできたの?」
「おう。伝説のポケモンの技でできた爪痕らしいぞ」
(コバルオン、テラキオン、ビリジオンの3体だな)
「で、この亀裂のおかげでこの岩壁にはその伝説のポケモンの力が宿っているみたいでご利益として触れに来る人もいるんだと」
「パワースポット、ってやつだな」
「そうなんだ…ねぇ、触れてみてもいいかな?」
「いいぞ。ってかその為に案内したからな」
「それじゃ遠慮なく…」
岩壁に近付いてそっと亀裂に触れるメイ。一分ほど触れた後にあまり実感が沸かなかったのか疑問の表情で此方に戻ってきた。
「…これでよかったのかな?」
「まぁご利益みたいなもんだからな」
「何か釈然としないなぁ」
「まーそういうなって。んじゃ次、お前な」
「俺もか?」
「いかねーの?」
「いや行くが」
そういって今度は俺が岩壁に向かい、亀裂に触れる。
(……まぁ、だよな)
ヒオウギでの一件で変に身構えてしまったがやはりここは特にこの世界とは関係ない事だと思い手を離そうとした瞬間…突然"ソレ"は起きた。
強烈な目眩と頭痛が俺を襲い、その痛みに耐えきれず膝をついてしまう。
「お兄ちゃん!?」
「おい、大丈夫か!?」
「っぐ…ぅ!」
突然起きた体調不良に慌てて駆け寄ってきたメイとバンジロウが心配の声を投げ掛けるもそれに答える余裕もなく、ただ痛みに抗うように唸るしかできない。
目眩に意識を持っていかれそうになった瞬間…一筋の線が視界を過ったと思った途端に"今見ている視界とは別の映像"が俺の視界に映し出された。
………………
「じゃあ、メイは…!」
「ああ。このままだと………に……かな」
「…どうにか、どうにか方法はないのか!?」
「あるにはある。でもそれは………」
第三者視点で映し出された光景にいたのは誓いの林で張り詰めた空気を出す俺と…何か。
俺が見上げながら話しているということは少なくとも身長は俺を悠々と越えているみたいだ。
視界が悪いのか、辺りは靄がかかっているように真っ白で見渡すことはできない。
その上、会話の所々でノイズがかかっているみたいに聞き取りづらい箇所が多く、肝心の情報が歯抜けの状態でもどかしく感じてしまう。
何かによって告げられた"方法"に膝から崩れ落ちる俺。余程残酷な方法だったのだろうか、表情が絶望に満ちていた。
「そん、な…」
「これが現状で…とキミで行える最善の方法だよ……でないと、イッシュは文字通りの死地となる。他ならぬ………によってね」
「じゃあその前にメイを…!!」
「…そうしてほしいけど、そうもいかないみたいだ………が此方に気づいた」
「くそっ…!是が非でも近付けないつもりか…!!」
「みたいだ。一旦退こう」
「っ…絶対に、助けるからな……!!」
何かに追われている、と言うところで映像を強制的に打ち切るようにまた線が視界を過った。
………………
「っはあっ!はぁっ……!!」
「お兄ちゃん、お兄ちゃんっ!!」
「おい、しっかりしろ!!」
「……っ、は…メイ、バンジロウ…?」
「っ、お兄ちゃん!!」
「うぉっ!?」
メイが抱きついてくる。人目を気にしろと言いたいが涙目になっていたのを見てしまったので言うに言えない。
「良かった…良かった……っ!」
「…どうなったんだ?」
「えっとだな…簡潔にいうと、あの亀裂に触れたお前が急にうめきだして倒れた…大丈夫か?」
「……ああ、今はもうなんとも。多分亀裂にふれても「だめっ!!」…だそうだから触れないでおく」
「だな。さすがのおいらも止める…その、すまん!」
「気にするな。誰も予想できなかった事だ」
流石に激痛イベントを用意されていたとは思わなかったが、それに見合う重要そうな情報を得ることもできたからどちらかといえばプラスのイベントだった。
メイを撫でながら気にしてないと再度伝えると、バンジロウが何か決めたようでよし!と声を張った。
「お前ら今日はじいちゃん家に泊まっていけ!」
「え…いいのか?」
「詫びってヤツだから気にすんな!じいちゃんにはおいらから言っておくから大丈夫だ!」
「そうか。ならお言葉に甘えさせてもらうよ…メイもそれでいいか?」
「…」
こくん、と頷くもやはり俺を離そうとしない。悪い気分ではないのだけどもバンジロウの視線が気になる。
「……お前らもしかして付き合ってんのか?」
「いや兄妹だからな?」
「えっ、そうなのか…あんまり似てないな」
「…お兄ちゃんはお兄ちゃんだもん」
「あー…ブラコン、ってやつだな!」
「ち、違うもんっ!ちょっと皆よりお兄ちゃんが大事ってだけだもん……」
(それがブラコンって言うんだぞ…)
「まぁいいや…立てるか?」
「ああ…メイ、立つから退いてくれ」
「大丈夫?立てる?手伝おうか?」
「…そんなに重症でもないだろうに」
メイの過保護っぷりに苦笑を溢しながらもその日はバンジロウの計らいによりアデクの家で一泊過ごすことに。誓いの林からでた頃には既に日暮れで星が輝き出していた時間だった。