転送先はBW2でした。   作:400円

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05話「残党処理と、取り憑く《何か》」

 其々がポケモンを呼び出す。メイは肩に乗せたツタージャを、そしてプラズマ団の両名はチョロネコを……そして俺はグレイシアを。

 

「「いやまてまてまてまて!!」」

「…何か?」

「いや何か?じゃねーよ!?明らかに力量(レベル)が違うだろそのグレイシア!?」

「お、おかしい…この付近のやつは皆そこまで強くないとボスから聞いていた筈なのにアイツだけ別次元だぞ…!?」

「ふふん、お兄ちゃんは最強なんだから!」

(…同レベルに合わせたとはいえ、お前はその最強を打ち負かしてるんだけどな)

 

 胸を張ってドヤるメイにひきつった笑いを向ける。プラズマ団は俺がチートクラスのトレーナーと分かったという事もあってやっちまったと頭を抱えているが、生憎手加減するほど甘くはない。

 

「格下をいたぶるのは趣味じゃない…だから一瞬でお前のチョロネコを仕留めよう。できるなグレイシア?」

「きゅ!きゅー!」

 

 余裕、と俺に伝えたいのか元気良く返事をするグレイシア。折角だから少しテクニカルに倒してみるとしよう。ゲームとちがってちゃんと範囲を指定できるし、攻撃技でも使い方ってモノがある。うまく活用すればアニメのポケモントレーナー達の様に技と技を組み合わせたコンボを編み出せるかもしれない。

 

 物は試し。早速やってみよう。

 

「そんな簡単にやられるかよ!チョロネコ、動き回って攻撃をかわしまくれ!」

「ニャ!」

(…それ愚作じゃね)

 

 確かに攻撃に当たらないつもりならそれもありだけど、此方が耐久したらバテて動きが鈍った所を突かれるのが関の山だと思うが決して口には出さない。

 勿論耐久をするつもりもないので、相手がそれに気付く事もないだろうけど。

 

「グレイシア、地面を吹雪で凍らせろ」

「きゅー…ぅうっ!」

 

 グレイシアの口から吐き出される吹雪でチョロネコが走り回るフィールドが凍りつく。ついでにプラズマ団の足下も凍りついたが、まぁよしとしよう。どうせそんな状況でも逃げるんだろうし。

 フィールドが凍りついたチョロネコはうまくコントロールを取れずにわたわたと慌てながら凍った足場に滑らされている…またとないチャンスだった。

 

「グレイシア、左斜め方向に(・・・・・・)氷の礫」

「きゅ…!」

「何いってんだ!チョロネコはそんなところにいないぞ?強いのはポケモンだけってか!」

「当たるさ」

「いや当たるわけ…「ニャォ!?」何ィ!?」

 

 氷の礫に被弾したチョロネコがそれだけで目を回す。

 偏差撃ち。対人戦闘ゲーム…それもポケモンではなく、FPS(本人視点)やTPS(第三者視点)のシューティングゲームで主によく使われるテクニックの一種。

 CPUや敵プレイヤーの移動位置を予測し、そこに攻撃を仕掛けるのが偏差撃ち。勿論ポケモンでもこのテクニックは使用可能で、対戦で相手の行動を予測して技を選択する…通称置き◯◯の方が親しみがあるだろうか。

 例題を挙げるなら…シングル対戦で初手対面の有利を取り、相手がポケモンを変えると予想して交代先に負担を与えるといった所。無論相手もCPUではないので、それも読んでいるのが殆ど。まぁ、それがまた醍醐味と言えるのだけど。

 

「チョロネコ?おいチョロネコ?」

「にゃ~……」

「い、一撃かよ……氷の礫って威力40だろ…」

「練度の差だな」

「ぐ、ぐぅうぅ…!だがしかーし!俺には相棒がいるのさ!なぁ相棒!」

「おう!そっちはやられたみてーだけど此方は勝てそうだぜ!」

 

 プラズマ団その2の余裕そうな声に振り向くと、押され気味のツタージャとまだまだやれるといったチョロネコ。俺とプラズマ団の立場を全く逆にした試合展開がされていた。

 メイはというと苛立っているのか、苦虫を噛み潰した表情でプラズマ団を睨み付けている。

 

「……っ!」

「メイ、手を貸「いいっ!!」いやでも…」

「いいっ!この人は、私が倒す…!!倒すからっ!!絶対に…ここでっ!!」

(メイ…?)

 

 さっきまでの余裕さはなく、焦りを見せているのか語尾が荒い。状況的にも当然かと思ったが…それでもメイへの違和感は拭えない。

 見たままでいえば…怒りすぎ(・・・・)なのだ。プラズマ団が煽った様子もなければツタージャのパフォーマンスも悪くない。自分に対しての怒りにしては行き過ぎている。

 単純なレベル差の結果だと思うが、フォローとして声をかけても今のメイには耳障りでしかないだろう。

 

「……なぁ、お前の彼女怒りすぎじゃね?」

「妹だ…確かに少し感情的になりすぎている線がある……というか、何馴れ馴れしく話しかけてるんだお前は…」

「負けたからな、やることねーんだよ」

「…今の内に逃げればいいだろ」

「逃がさないだろ?」

「当たり前だ」

 

 多分俺に話しかけなければ逃げれたかもしれないがと思ったがプラズマ団にもプラズマ団なりの仁義というものがあるのだろうか。もしそうなら少しは見直し…

 

「あ、お前に話しかけなければ逃げれたわ」

「……気付いたところで、だぞ」

「だよなー」

 

 前言撤回。逃げれるなら仁義もへったくれもない集団にかわりなかった。絶対に逃がさないからなお前。

 

 

 ………………

 

 

 お兄ちゃんは何の苦もなく一瞬で怪しい二人組の一人を倒した。お兄ちゃんに逆らうからそうなるんだと同情はしない。恨むならお兄ちゃんに挑んだ自分を恨めと辛辣な思いをぶつけていた。

 

「ツタージャ!」

「タジャ!」

「見てから回避余裕でしたー!チョロネコ!」

「ニャー!」

 

 それに比べて私は苦戦している。さっきから当てようとしてるのに当たらない。悉く回避されて段々と苛立ちが募っていき、頭に血が昇ってゆくのが分かる。

 何で当たらないの?どうして当てれないの?と黒い感情が沸々と沸いてでる。悪いのは私なのに。

 

「……っ!(当たらない、何で!?)」

「メイ、手を貸「いいっ!!」いやでも…」

「いいっ!!この人は、私が倒す…!!倒すからっ!!絶対に……っ!!」

 

 お兄ちゃんは心配してくれたのに自分でもみっともないと思うほど感情的になって、その心配をはね除けた。

 お兄ちゃんとのバトルではそんな事なかったのに、なんでこの人と戦うってなった途端無性に倒さないとって使命感に駆られたのだろう。

 

 __英雄だから

 

(…違う)

 

 __違わない。私は英雄の…だ

 

(違う……!)

 

 __何が違う?知っているだろう?

 

(知らない、何も知らない…!!)

 

 __お前は、もう……なのだから。

 

「っだまれぇえぇっ!!!!」

「!?」

「タジャ!?」

「メイ!?…くっ、グレイシア!氷の礫でチョロネコを「邪魔をするなっ!ツタージャ、グラスミキサーでグレイシアの視界を奪って!!」なっ!?」

「タ、タジャ!?」

「はやくっ!」

 

 やむを得ずでグラスミキサーを放つツタージャ、当てる気が無かったのか、グレイシアに被弾はしなかった。どうして当てようとしないの?当てろって指示なのに!

 目の前の全てが邪魔だ。誰も私を見ていない。

 ああそうだ、邪魔で邪魔で仕方ない!!閉じ込めたあの連中も!利用したコイツらも!英雄の影を重ねた奴も全て全て全て全て!!だからここで数を減らす!私という安寧を得るために!!

 

 

 ………………

 

 

「な、なんだなんだぁ!?」

「わからねぇ!と、とりあえずやべぇから逃げるぞ!」

「逃げるって、メリープは!?」

「知るか!このままだと俺ら瞬殺だぞ!」

「だ、だな!一目散ににげろぉぉぉぉぉ!!!」

 

 メイに畏怖したプラズマ団が逃げだした。追いかけたいところだが、怒りの表情で此方を睨むメイに背中を向ける訳にもいかなかった。

 それに背後のメリープも怯えているのか俺にすり寄って安心しようとしている。

 

(怒り狂ってるのか…いや、それでもおかしい)

 

 怒りようが尋常ではない。まるで全く関係のない事で怒り狂ってる様にも見える。兎も角この状態のメイを離脱させるわけにもいかないのが現状。

 

「(メイには悪いが…)グレイシア、応戦するぞ」

「きゅ…?」

「ああ。但しツタージャには攻撃しない。最小限のダメージでメイを気絶させる…できるか?」

「きゅ……!!」

「よし…頼むぞ、グレイシア!」

「きゅー!」

お前(・・)も、私を閉じ込めるのか!!」

(お前!?急に言葉遣いが荒くなったな!?)

「タジャ!タジャー!」

 

 ツタージャが必死にメイを呼ぶが届かない。というよりもメイが"自分の名前を認識していない"様に見える。

 出会ってまだ2日だけどあれほど大事にしてたツタージャに見向きもしなければ、好きな兄である俺を睨み続けるメイはメイじゃない、そんな気がした。

 

「グレイシア、威力最小のシャドーボール!」

「きゅー!」

「……!」

「タジャ…っ!?」

「きゅうっ!?」

「な…っ!?」

 

 当たる直前、メイは足下にいたツタージャを引っ張りあげて威力最小とはいえグレイシアのシャドーボールをツタージャの身体に直撃させた。

 威力最小なのが幸いだったか、ツタージャにはそれほどのダメージが無かった。寧ろそれよりも主人に肉壁として利用されたショックの方が大きいだろう。メイの行為に怒りの感情が初めて沸いてくる。

 

「…メイ、お前……!」

「……当ぜ、っぐぅっ!?」

 

 昨日の俺のように突然頭を抑え込むメイ。直ぐに駆け寄りメイの名前を呼ぶが反応することなくそのまま気絶してしまった。怒り狂ったメイが倒れた事により、辺りが再び静寂に包まれる。

 

「……何だったんだ、今の」

「きゅー…」

「ツタージャ、大丈夫か?」

「…タジャ」

「…すまなかった。兄として謝る」

「タジャ、タジャー」

 

 気にしてない。と言わんばかりにてしてし脛を叩くツタージャ。もしかするとこの子も気付いていたのかもしれないと思いながらも当てたお詫びとして捜索中に見つけたきのみをツタージャにあげた。

 

(…とりあえず、戻らないとな)

 

 メイの豹変も気掛かりではあるが、今は保護したメリープを送り届けるためにもサンギ牧場へ戻ることに。

 後にこのメイの一時的な豹変が物語の大きな鍵となることを知ったのは、この時よりも大分先の話だ。

 

 

……………

 

 

 変な夢をみた。お兄ちゃんが私を倒そうとする夢。

 仕方ない、ごめんなさい、助けてやれなかったとお兄ちゃんは私に懺悔するように語りかけてた。

 どうして?私はどこも悪くないよ?お兄ちゃんはメイに何もしていないよ?と言っても、お兄ちゃんは涙目になりながらもガブリアスを差し向け…それで……。

 

 私の身体を、ガブリアスが斬り裂いた。

 

 

 ………………

 

 

「っ、っ!?」

「メイ?」

「ふぇ…?お、お兄ちゃ……っ!?」

「…真っ赤だぞ、大丈夫か?」

 

 飛び上がるように上体を起こしたら目の前にお兄ちゃんの顔がものすごく近くに。起きていきなりお兄ちゃんの顔をみれたのは幸せだけど、流石に近すぎるよ…!

 …あれ?私ここで寝てなかったよね?確かえっと…お兄ちゃんを探しにサンギ牧場の奥に向かって、お兄ちゃんと一緒に怪しい二人と戦って…どうなったんだっけ。

 

「お兄ちゃん、あの怪しい人達は?」

「……覚えてないのか?」

「うん」

「…俺のミスで取り逃がした。メリープは取り返したからそれで帳消しにはなったから結果オーライだな」

「えっ、逃げられちゃったの?珍しいね…お兄ちゃんから逃げ切れるって…」

「ああ。入り組んでたからうまく地形を利用された」

 

 そういえば入り組んでたなぁ。私もウォーグルの案内がなければ多分今頃迷っていただろうし、お兄ちゃんに余計な負担をかけてしまう。それは避けたい。

 

(…あれ、何か違和感が)

 

 お兄ちゃんの座ってる位置が私が振り向かないと顔が見えない位置で何かおかしい…あれ?そういえば寝てたけど芝生にしてはかなりガッチリした感じだったような…

 

(え?あ、あれ…も、もしかして)

 

 そこでお兄ちゃんが私にしていたことに気付き、確認ということで恐る恐るお兄ちゃんに何をしていたかを聞く。

 

「ん?…膝枕だけど」

「ひ、膝枕…!?」

「まぁ、男の膝枕だから固かったのは許してく「ゆ、許すよっ!?お兄ちゃんの膝枕だもんっ!!」…そ、そうか…それならまあ、よかった……のか?」

(お兄ちゃんの膝枕…っ、もっと堪能すればよかったぁ…!いや、今からでも遅くないよね!)

「……メイ?」

「あ、え、えっと!私、まだ少し眠たいからもう一度お兄ちゃんに膝枕してほしいなーって…ダメ?」

「いや、別に構わないが…眠そうじゃな「ありがとうお兄ちゃん!おやすみっ!」……おやすみ」

 

 無理矢理お兄ちゃんの疑問を遮って再びお兄ちゃんの膝枕を堪能する…はぁ……幸せだなぁ。

 

(お兄ちゃんの筋肉…がちがち……)

 

 小さい頃にもして貰ったけど、あの頃と比べるとやっぱり筋肉がついて男の人らしい身体になってるんだと思うと、顔が熱くなってくる。

 真っ赤なのに気付いたのか、お兄ちゃんが「大丈夫か?」と心配の声を掛けてくれ、返答の代わりにこくんと頷いて意思を示す。

 

「……」

 

 ふにっ。

 

(ひゃっ!?)

「……柔らかいな、当たり前か」

(お、おおおお兄ちゃん!!?)

 

 びろーん。

 

(ひゃわわわわ……!!)

「…結構伸びる」

 

 ふにふに。

 

(お兄ちゃん…ど、どうしたの~~!?)

「……癒されるな、うん」

 

 

 ………………

 

 

 

 

 

 メイが寝たと信じて、会ったときから触ってみたかったメイの頬を触ってみた。思った通り柔らかくて意外に伸びる。やさしめに引っ張ったつもりだから赤く晴れ上がってはいない筈…よし、大丈夫だな。

 

(…さっきまでブチギレてたとは到底思えないな)

 

 あれがメイ本人の感情であると決まったわけではないが、それでもメイの根底には"メイも記憶していない何か"が潜んでいることが分かった。

 もし、俺はその"何か"を鎮める為の鎮静剤として呼ばれたのなら、この旅の目的が決まったも同然なのだが…問題が山積みなのでそうだと断定できない。

 

(しかも、その何かが分からないから尚更なんだよなぁ…メイも知らないからメイではないと思うけど)

 

 分かっている事と言えば3つ位。

 

1つ目は、プラズマ団に対しての憎悪。

2つ目は、人間に対しての猛烈な敵対心と怒り。

そして3つ目は……ポケモンを単なる"防御装置"としか思っていない残虐性。もしかしたらポケモンだけでなく、生命体全てが該当するかもしれないが、あのポケモンへの喜びを顕著にしていたメイが何の躊躇いもなくツタージャを盾にした事が何よりも驚愕だった。

 もしかすると、この先でメイがその何かに乗っ取られるシナリオが組まれているのなら…と思うとゾッとする。

 これからメイが出会うだろうポケモン達が何かに防御のために使われるとなったら、取り返しがつかなくなってしまいそうだ。

 

(…流石にまずいよな)

「………」

(でも、だからといって…メイとポケモンを遠ざけるのはダメだ。何のための旅なのか分からなくなる)

「…お兄、ちゃん……」

「ん……?」

「…だいすき…えへへ……」

(…寝言、だよな?)

 

 寝言でも兄に想いを伝えるメイに兄自身はどう思っていたのだろうか。やはり兄も兄でメイの事を一人の女性として扱っていたとしたら…こればっかりはもう救いようがない。俺としてはどうせクリアしたら戻されるだろうから別に構わないが…兄の将来を決めてもいいのかと良心が働く。

 

 もしも、この先ジムリーダー枠としてホミカにフウロやカミツレといった女性や変化球でモブトレーナーとフラグが立つ予定だったのならと考えると……

 

考えると……無性に腹が立った。

 

(まいっか。どうせ添い遂げるの俺じゃないし……精々苦労するがいいさメイの兄め!ふぁっきん!)

 

 という訳でメイとのフラグ立てを容赦なく行うことに。勘違いされると困るので弁明するが俺はBW2で一番の推しはメイだ。次点でルリ。某掲示板のツンデレメイとヤンデレルリのSSは個人的に大好きだった。キョウヘイ氏ねと思ったが。

 …話が脱線した。返答に間が開くと違和感を感じてしまうので今の内にメイの寝言に答える。

 

「…俺も、好きだぞ」

「……!!」

 

 耳元で囁くように呟く。メイの兄が持つイケメンボイスが最大限に発揮された瞬間だろう。まぁ寝てるから聞き流されてると思うけど。

 

(…はー、俺もこういう妹欲しかったなー)

 

 お兄ちゃん想いで美少女な上にプロポーションの値も高いとか最高かよ…何でもっとハッスルしなかったんだ家の親はと今は別世界にいる本当の両親へ愚痴る。

 如何せん一人っ子だから兄妹というもの自体が羨望の眼差しの対象だったし、しかもギャルゲやエロゲみたいに妹が兄を一人の男性としてみてるのだから尚の事羨ましい。挙げ句の果てにはポケモンが強い。まぁこれに関しては俺が作ったポケモンだけど。

 

「…はぁ」

 

 恵まれ過ぎてるメイの兄と比べて無性に虚しくなった俺は空を仰ぎ見ながら溜め息を吐くのであった。

 

 

 ………………

 

 

 寝言と偽ってお兄ちゃんに好きっていったらお兄ちゃんからも好きと返ってきた。しかも耳元で囁くように言ってきたのでその瞬間私の心臓が激しく脈打ち、お兄ちゃんに真偽を問い質したくなる。

 

(お兄ちゃんも、私が好きって…!)

 

 寝ているフリを続けているが、正直にやけてしまいそうで怖い。もういっそのこと開き直って「嬉しい!お兄ちゃんと両思いだったんだねっ!」と言って起き上がって抱き締めたいけど…それをする勇気がない。

 もしそれが"兄妹として"なら恥ずかしい所の騒ぎじゃなくなるし、これからの旅がとても気まずくなる。

 それに…もしそうだったとして拒まれたら……きっとお兄ちゃんといるだけで辛くなってしまう。

 寧ろ今みたいな兄妹愛と勘違いされている今の環境が一番いいのかもしれないとも思えてくる。勿論其処止まりじゃ私は絶対に嫌だ。

 

 でも…言ってしまったらこの関係が壊れてしまうかもしれないのが途方もなく怖い。

 

(好きって分かっただけでも…いい、よね)

 

 "想いを聞いた先"を恐れた私は、お兄ちゃんに聞くことができないまま寝たフリを続けてしまうのでした。

 

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