戦鬼絶唱シンフォギア   作:MAI²

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|´-`)「誰も見ぃひんやろ」

|´-`)シ「投げてまえ」

|三

|-`)

こんな気持ちで書きました、ワイは大馬鹿野郎です。


第一話 その名は紫鬼

 

 

 認定特異災害〔ノイズ〕。

 有史以来よりその存在が認められた未知の存在。

 何も無い空間より突如として発生、人間のみを襲い、触れた人間を自身諸共炭素の塊へと変えてしまう脅威の性質を持つ不可解な存在。

 

「◼️◼️ ◼️◼️ ◼️」

 

 ノイズには位相差障壁という、次元の壁によって通常物理法則の下のエネルギーによる干渉をコントロールする能力を持つ。

 これは、人類には既存兵器を以てして、ノイズに対し有効な手段が存在しないという事を指す。

 

「◼️◼️ ◼️「五月蝿い」」

 

 数少ない例外を除いて。

 

「今日は一段と多い……」

 

 〔聖遺物〕

 古の時代の異端技術の結晶。

 一定の条件を満たし起動したソレは強大な力を発揮する。

 

 たった今ノイズを滅したその槍もまた、聖遺物の一つ。

 

 二股に分かれた螺旋状の真紅、妖しく陽の光を反射するソレを握るのは紫色の装甲を纏うヒトガタ。

 

「あんま時間かけたくねぇんだけどぉ……っな!」

 

 気怠げな様子から一変、目にも止まらぬ早さで槍が振り抜かれる。

 背後から飛びかかったノイズが打ち払われ、上下に分断され炭に還った。

 

 全身に紫と黒の装甲を纏った細長い印象を与える体躯、肩の板状の装甲と額から伸びる角が目を引く。

 その顔もまた装甲に覆われ、素顔を窺うことは出来ない。

 目と思われる部分は上下に二つの計四つ、そこから伸びるように後方に流れる黄色いラインが僅かに発光しており、人ならざる者の雰囲気を放つ。

 口元のクラッシャーのような装甲が放つ威圧感もそれを後押ししていた。

 

 尤も、一通り民間人が避難した市街地で一人残り、ノイズと相対するソレの姿を見ることの出来る者は此処にはいないのだが。

 

「……ん……チッ、時間かけ過ぎた」

 

 近づいてくるエンジン音を感じながら、辟易した様子の声が漏れる。

 それはまだ若い、少年の声。

 その直後、二つの歌声が響いた。

 

「Croitzal ronzell Gungnir zizzl」

「Imyuteus amenohabakiri tron」

 

 〔FG式回天装束〕通称〔シンフォギア〕。

 〔櫻井理論〕に基づき、聖遺物の欠片を用いて制作された、位相差障壁を無効化し、ノイズに干渉することを可能にするパワードスーツ。

 

 起動には素質を要する、誰もが扱える物ではないものの、一つ一つが一個軍隊の戦力すら上回る戦力を有し、世界で唯一ノイズへの対抗策になりうる。

 

「現着! よっし今回は間に合ったな!」

「推して参る!」

 

 そんなシンフォギアを纏い、歌い戦う少女が二人、走るバンのドアを開け放ち飛び上がる。

 

《STARDUST∞FOTON》

「うらぁ!」

 

 第3号聖遺物〔ガングニール〕適合者天羽 奏。

 

《千ノ落涙》

「はぁッ!」

 

 第1号聖遺物〔天羽々斬〕適合者風鳴 翼。

 

 二人によって放たれた槍と刃の嵐が、残ったノイズを切り裂いた。

 崩れた炭が、風に流されるように舞い上がる。

 

「随分とお早い到着で」

「フン! いつまでも貴様に後れを取る私達ではない!」

「そういうこった。何時迄もお前に負んぶに抱っこじゃカッコがつかないんでね!」

「はいはい」

 

 表は大人気ツインボーカルユニット“ツヴァイウィング”、裏では“特異災害対策機動部二課”が〔装者〕として活動する彼女達。

 

 気安く、自然に接する彼と彼女らは、志を共にする仲間ではない。

 

 ならば、彼は一体何者なのか。

 

「さ! ノイズも片付いたし、勧誘タイムだ!」

「…………相変わらずしつこいな、アンタ達は」

「聖遺物もそうだが、貴重な戦力が欲しいのも事実。そも不安定極まりないその立場のままでは不便も多いだろう」

『というのはあくまで建前、俺としても、君のような子供を放っておく訳にもいかないんでな!』

「お、旦那」

「出たなOTONA(バケモン)

 

 第3.5号(仮)聖遺物〔ロンギヌス〕

 

「な! 二課に来いよ、紫鬼(シキ)

 

 もう一つの神殺しの槍に選ばれた、少年。

 元Unknown(未確認装者)、現フリー(無所属装者)の半お尋ね者である。

 

 

 

 

 

 ◇◇◇

 

 

 

 

 

「で、結局今日もフられちゃうんですけどね」

「これで何回目です?」

「30超えたあたりから数えてないわよ…………記録は取ってるけど」

 

 二課司令室、とある学校の地下に構えられた本部の一室で、オペレーターの藤堯 朔也と友里 あおい、技術主任 櫻井 了子が冗談混じりに会話する。

 これもまた見慣れた光景だった。

 

「むぅ……やはり固い、な」

「あの人たらしな弦十郎君ですら、だものね〜」

 

『断る』

 

 慣れたように、しかしハッキリと告げられた拒絶の言葉。

 幾度にわたる熱心な勧誘のおかげで、初遭遇時の警戒こそ取れど、未だ歩み寄りには至らない現在。

 

「ま、あん時に比べれば随分と打ち解けれたと思うぜアタシは」

「むっ」

「今戻りました、叔父様」

 

 現場から戻ってきた装者二人を迎える。

 

「まぁ〜あの時はもう敵対敵対って感じだったからね」

 

『なんだ、お前ら……痴女?』

『……んな怪しい組織に入るか、お断りだ』

『無理矢理ってか? 上等だ、叩き潰してやるよ……!』

 

「…………私の作ったギアを痴女呼ばわりしたのはまだ許せないけど」

「まぁまぁ……気持ちは分かりますが」

「アッハッハ…………」

 

 過去を思い出し、若干の精神的ダメージを受けた3人だったが、それでも!と奏が顔を上げる。

 

「今日の目的のもう一個は渡せたしな! それだけでも万々歳だろ!」

 

 そういって思い出すのは先刻の出来事。

 

 勧誘を断られ、少し粘って、今日の所は、といった感じで諦め、そこで帰ろうとした彼を引き止めた時だった。

 

『チケット…ライブ……?』

『そ! 今度デッカいのを開くことになってな』

『奏、本当に渡すの? 来るとも思え『気が向いたら』え』

『マジか! いいな! 絶対だぞ⁉︎』

『気が向いたらって言ってるだろ……』

 

「いや〜こりゃますます気合いが入るな!」

「もう、奏、今は一度体を休めないと」

「分かってるよ!」

 

「こうして見れば、やはりまだまだ子供だな」

「そりゃあ、花も恥じらう10代の乙女よ? 当然よ」

「……出来れば彼のことも、こうやって受け入れてやりたいのだがな」

「実力行使でも捕まえるのが難しいんじゃ、ね…………」

 

 

 

 

 

 ◇◇◇

 

 

 

 

 

「で、今度二人でライブに行く、と。楽しんで来いよ」

「折角ならシキ君も誘いたかったんだけど、二人分しか無くて……ごめんね?」

「別に構わねぇよ、人気らしいもんなっと、おら、出来たぞ」

「わーい! おばちゃんのもだけど、やっぱりシキ君が作ったお好み焼きも美味しそ〜!」

「響はいっつも言うな、それ」

 

 

 気がついた時、俺は燃え盛るどっかの山の洞窟? 施設? みたいな所に一人突っ立ってた。

 何も覚えてない、自分が誰かも分からない。

 あるのは全身ロボットみたいな鎧、手にある一本の槍。

 

 そして目の前には怪物(ノイズ)の群。

 

 どうして自分がこんな所に、自分は何者なのか、意外とそんな事は気にならなかった。

 

 手に持つソレが何なのか、どう使うのかは自然と理解した。

 

 そして、目の前のその存在が一体何なのかも。

 

 頭の中を一杯に埋め尽くす感情。

 

『ノイズが憎い』

 

『ノイズを殺せ』

 

『ノイズを滅ぼせ』

 

 自然と体が動いて、俺は暴れた。

 何も考えなくても、その槍は、ロンギヌスは遺憾無くその力を発揮しノイズを炭に変える。

 ちゃんと考えれば、より動きに磨きがかかり、体の動かし方も理解した。

 

『足りない』

 

『もっと、もっと』

 

『全てを根絶しろ』

 

 全てのノイズを殺し切った後も、その鎧を解除した後も、パッと槍が消えた後も、その衝動は収まらなかった。

 

 勘の赴くままの歩けばノイズのいる場所に出会し、殺し。

 

 強く念じれば、この槍は俺をノイズのいる場所に連れて行き、殺し。

 偶に、明らか日本じゃない所にも連れて行かれた事もあったが。

 

 それからも俺は本能の赴くままにノイズを殺して回った。

 途中人を助けることもあった、まぁ、大体見た目のせいで怖がられたけど。

 

 俺のことを嗅ぎつけた二課の連中も、最初は捕獲って感じで向かって来ていたのが懐かしい。

 天羽や風鳴を適当にあしらって、偶に出張ってくる弦十郎から全力で逃げて。

 途中から勧誘って感じになって、今でもしつこく誘われているが。

 

(……そういや、チケット貰ってたな)

 

 

 ノイズがいない時は、チンピラや犯罪者を伸してお金をちょろまかしたりして食い繋いでいた。

 意外と生身でも体が動いたのが幸いした。

 

 その日も、ひったくりをシバいた。

 そうして出会ったのがこの店「ふらわー」の店主、おばちゃんだった。

 

『いや〜ありがとうねぇ本当に。お礼させてくれないかしら』

 

 流れで自分のことを話した。

 身元の事、記憶の事、自分の状況。

 流石に、ロンギヌスの事やノイズの事は伏せた。

 

『……アンタさえ良ければだけど──』

 

 身元も記憶もあやふやどころじゃない、あまりにも怪しすぎる俺を、おばちゃんは受け入れ、この店の空いてる部屋を貸し与え、住み込みで働くことを提案してくれた。

 

『ノイズを

「黙れ」

 

 この時、俺は初めてノイズへの憎しみを叫ぶこの本能に逆らった。

 この提案を、否、この良心は受け取らねばと、俺の何かが告げていた。

 

 結果から言えば、きっとそれは正解だった。

 

 今の生活は、悪くない。

 おばちゃんの下で働き、こうやって来る響や未来と話し、偶に現れるノイズを殺す。

 

「それで翼さんが──」

「もう、響ったらほっぺに青のりが──」

 

 ノイズが出る度に姿を消す俺に、おばちゃんは何も言わない。

 

『あの時みたいに、困ってる誰かを助けてるんだろう?』

『無事に帰ってきてくれればそれでいいさ』

 

 そう言って、笑って許してくれる。

 目の前の、おそらく歳の近い2人も、俺の事を受け入れ、友として接してくれた。

 

 あんなに何もなかった俺にも、今はこんなに大切な居場所が出来た。

 

 この人達の為にも、これからも俺はノイズを

 

「おーい、シキくん聞いてるー⁉︎」

「……聞いてたぞ、ごはんのおかわりだな」

「違うよ⁉︎や、もらうけど! おかわり!」

 

 差し出された椀を受け取り、米を装う。

 

「で、何の話だったけか」

「コレ!」

 

 そう言って差し出された雑誌のページ。

 

『またもや出現! 正体不明の鎧の戦士!』

 

 そう見出しがついたページには、いつ撮られたのか、ノイズを串刺しにする俺の姿が。

 

「最近じゃ、ネットでも結構有名になってきたもんね」

「ノイズを倒せるなんてすごいけど、政府も知らぬ存ぜぬの一点張り、ほらここなんか、何処かの国の新兵器が──だってさ」

「……そうか」

 

紫鬼(シキ)

 

 公ではないが、気が付けば俺はそう呼ばれるようになっていた。

 安直だが、見た目からネットを中心に広がったらしい。

 らしい、と言うのは、俺もこれを二課から聞いた話だったから。

 

 折角だからと、俺も普段の自分をシキと名乗るようになった。

 

 案外、バレないもんである。

 

「響、人助けだからって真似しちゃダメだからね?」

「いやいやいや、しないよ流石に⁉︎ノイズはどうにもならないって!」

「ほんとかな〜? 響すぐ無茶するし……」

「そんな〜……」

「……そうだな、ノイズに立ち向かったりとかするなよ?」

「えぇ⁉︎シキ君までそんな事言う〜!」

 

 以上、俺の身の上話終了。

 

 一先ず今は────

 

(今度、おばちゃんに休み貰うか)

 

 アイツらの歌は、嫌いじゃないし。

 1人でコッソリ見に行けば、誰にもバレないだろ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「そうか、未来は行けなくなって…………気を付けろよ? 知らない人に付いてくなよ? ……未来も? だろうな、響はお人好しだからな……ハハ、悪い悪い」

 

「俺か? あぁ今店は空けてる、俺は休み」

 

「あぁ、楽しめよ……ん、土産話、聞かせてくれ……じゃな」

 

 

「……とは言え、ヤな予感がする」

 

「◾️◾️◾️◾️◾️」

 

「だから、サッサと片してアイツらの所に行かせてもらうぞノイズ共」

 

「よりにもよって離れたとこに出て来やがって」

 

 

「Depheforo Odi Longinus Zizzl」

 

 

「ぶち殺す」

 

 

 

 ──天羽 奏 絶唱の使用まであと◾️◾️◾️

 

 




紫鬼(シキ):記憶喪失系オリ主。手には何故か絶望の槍。鎧姿はこう、第13号機をいい感じに皆さんの脳内でギア化したげてください(他力本願寺)
実はツヴァイウィング結成前ぐらいから活動してる、初エンカは結成後。追い追い書く。
初見でCV名探偵とSAKIMORIを痴女扱いした。双翼はキレたし出来る女さんもキレた。
今は「ふらわー」で住み込み中。

双翼:初手痴女扱いは流石にキレるが、改めてギアのアレやコレの際どさを自覚はした。改善はできない。2人は泣いた。

太陽と陽だまり:いつから「ふらわー」に通ってるか知らないから、適当にこの時期からってことにした。因みにオリ主は同い年の設定。

二課:オリ主的には個人個人は信用出来るけど、組織としての枠組みが不安要素。政治家とか政治家とか。杞憂だけど、しょうがないね。年頃の男の子だもん。

おばちゃん:聖人オブ聖人。今作のMVPも過言じゃない。
因みにおばちゃんとの出会いが無いor提案を断ると、ノイズを殺すだけのマシーンになって心が死ぬ。

ロンギヌス:ガングニールがロンギヌス…あ、でも哲学兵器だから本物ではない?……せや!
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