戦鬼絶唱シンフォギア   作:MAI²

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※ぶっ壊れチート警報※




第二話 はじまりの日

 

 

歓声は一転し、悲鳴響かす不協和音に変わる。

 

希望や喜びの表情が、絶望と恐怖で染まる。

 

ツヴァイウィングライブ会場 ノイズ出現

 

 

「クソッ、数が多い!」

「観客まで気が回らない…よりにもよって、こんなに人が集まっている所に出て来るなんて!」

 

ギアを纏った奏と翼が応戦するも、圧倒的物量を前に、2人を持ってしても、全ての観客に目を向ける程の余裕は無かった。

 

「こんな時に紫鬼がいてくれたらなぁ!」

「奏⁉︎」

『泣き言言ってる所悪いが、彼は今はそこから離れた地点で確認されたノイズ反応に出向いてるのが確認された!今まで先手を譲っていた分を、取り戻すつもりでかかるんだ!』

「分かってるって、言ってみただけだ、よっ!」

 

飛んでくる叱咜に軽口で返す奏ではあったが、やはりその表情は優れない。

落ち始めているのだ、ガングニールの出力が。

 

(とはいえ、時限式じゃ此処までなのかよ…⁉︎紫鬼のせいで感覚が鈍ってたか…!)

「帰ったら鍛え直しだ、なぁっ!…………あ、マズい⁉︎」

 

穂先でノイズを切り払うその視界の端で捉えた。

自分達より幾許か幼い少女。

その目の前には、ノイズが。

 

「ぅおおおおおお!」

 

咄嗟に飛び出し、振り下ろされた腕部器官による攻撃を防いで。

 

ガングニールが、砕けた。

 

その破片が、少女の胸に突き刺さり、血が流れ出す。

 

「っんなろぉぉおおお!」

 

拳を突き出し、槍の残った部分で無理矢理叩き切って。

 

「おい、死ぬな!生きるのを諦めるな‼︎」

「────……うぁ…」

 

必死の呼びかけが届いたか、閉じかけていた少女の瞳が僅かに開かれた。

 

こんなに絶望的な状況でも、その命の火を燃やそうとするその姿を見て、安堵し、覚悟する。

 

(やるしかない、か………)

 

この手を、こんなボロボロの状態で使ってしまえば、もう次は無い。

 

それでも誰かを守る戦士として。

 

「奏?……まさか⁉︎」

『使うつもりか、アレを!』

 

その奏の表情を見て、何かを悟った翼。

止めるために駆けつけようとするも、その行手をノイズに阻まれる。

 

「………折角大勢の観客がいるんだ、こっちも、出し惜しみナシでいこうか」

 

「Gatrandis babel ziggurat edenal」

「ダメ!その歌は────」

 

シンフォギア決戦兵装 「絶唱」

特定の唄を紡ぐことで発動するソレは、極限を超えて高めたフォニックゲインを周囲に放つシンフォギア最強の攻撃手段。

しかし、ソレには装者の身体への強烈な負荷という代償がある。

 

「Emustolronzen fine el baral zizzl」

『よすんだ!今の状態で使えば──』

 

万全な状態での使用ですら命の危険を孕むそれを、今のコンディションの彼女が使えばどうなるか。

 

結果は見るまでもないだろう。

 

彼女の内から溢れるフォニックゲインが、彼女の身を内から傷つける。

それでも彼女は止まらない。

命を未来に繋ぐため。

 

「Gatrandis babel ziggurat edenal」

 

嗚呼それでも

 

「Emustolronzen fine el baral zizzl──

 

アタシの歌、聴いて欲しかったなぁ」

 

 

閃光が迸し──────

 

 

 

 

「別に、これから何度でも聴いてやるよ」

 

《Fulgur ⅩⅢ Eruptivum》

 

──る直前、真紅の流星が一つ。

 

ソレは会場を駆け巡り、ノイズを一体残らず貫く。

 

「「な」」

 

それが、奏の前に突き刺さり、人影が降り立つ。

 

「ったく、トチリやがって」

『「「紫鬼(君)……!」」』

「………響⁉︎」

 

奏の背後、離れた所で倒れ伏す見知った少女に一瞬動揺するも、気を失っているだけだと、彼女の命をまだ感じると、手にする槍は伝えてくれる。

 

(…いや、生きてはいる…みたいだな…んな事分かったっけこの槍(コイツ)…いや、それより問題は)

「っぐ⁈………ゴフッ」

「奏⁉︎」

『いかん!緒川を──』

 

反動(バックファイア)

放たれこそしなかったが、そのフォニックゲインは、彼女の体の中を滅茶苦茶に掻き乱した。

もはや一刻の猶予も許されていない。

 

「ア゛……ガボッ」

「奏!かなでぇ!」

「ッ…退いてろ」

 

目から、耳から、口腔から血を流し苦しむ相棒の姿に、翼が酷く動揺する。

そんな彼女を押し退け、両の膝を突いた奏の前に、片膝をついた紫鬼が問い掛ける。

 

「前に言ってたな、自分は(ヤク)頼りの諸刃だって」

「ゴボッ…あ、ああ゛……」

「紫鬼、こんな時に何を」

「……荒治療だ」

 

そう言って、槍を握る手に力が込められる。

その螺旋が寄り集まり、穂先が一つに纏まる。

同時、胸部の装甲が蠢き、もう二本の腕がだらりと垂れ下がる。

元の二本の腕で槍が逆手で握られた。

それが彼女の胸、ギアペンダントに突き付けるように構えられる。

 

「貴様⁈」

『紫鬼君⁈何をするつもりだ!』

「ま…まっで、づばざ…だんな゛」

 

翼が思わず鞘走りそうになった時、奏本人から待てがかかる。

 

「奏…⁉︎」

「フゥ゛……しぎ……まがぜた」

「………応」

 

紫鬼の手によって、穂先が押し込まれ。

 

ズ……

 

まるで沈み込むようにギアペンダントを、彼女の胸を指し貫く。

 

「このロンギヌスが持つは〔因果操作〕。起こる事象への道筋を整え、よりマシな結果を引き出せる」

「そ、それは…⁉︎」

「今から俺が干渉するのは、【天羽 奏の持つ適正】

『なんだとぉ⁉︎』

 

垂れ下がっていた腕が広げられる。

ソレは、抱擁のようにも、神に呼びかける聖者のようにも。

 

【彼女は薬物に頼らずとも、ガングニールを扱えた】

 

槍を持つその手は、祈るようにも、許しを乞うようにも。

 

【身体を蝕まずとも、その撃槍は応えた】

 

装甲のラインが、うっすらと発光を強める。

 

【絶唱は確かに、彼女の身を焼くだろう】

 

「しかし」

 

真紅が、煌めく。

 

【しかしてその身は、間違いなく十全であった】

 

「ア、がぁぁあぁぁあああああぁぁあああああ!!!」

 

ロンギヌスが、奏のギアペンダントが、身体が光を放つ。

 

「気張れぇ!これまでの分の負担が、新しい因果分来るからな!」

「奏………!」

「あぁぁぁああぁぁああぁあぁあああああああ!!!」

 

操作された因果が、彼女の体に新たな結果をもたらす。

5年、ノイズへの復讐を誓って、血反吐を吐きながら培ってきた過去が、書き換わる。

 

(胸が、ギアが熱い……!今に身も、心も焼かれちまいそうだ……!………でも‼︎)

 

紫鬼の呼びかけが、思わずと繋がれた翼の手の温もりが、その意識を繋ぎ止め、その意地を奮い立たせる。

 

そのまま、どれだけの時間が経ったか。

 

何分、何十分と──実際には数十秒程度の──感じられた熱が引き、光が収まる。

 

「……終わった、か」

「────」

「奏!」

『奏君!』

 

槍が引き抜かれ、再び元の形をとる。

展開された腕も、役目を終えたとばかりに元の位置に収まった。

ギアが解除され、元のライブの衣装姿の奏が倒れ込むように翼に凭れ掛かる。

 

「反動で、気を失っただけだ。今すぐ死ぬこた無いだろうが、絶唱を使った事実は消えない。直ぐに医者ンとこ連れてけ」

「あ、あぁ……あ、ありが、とう…」

『もうじき緒川達が到着する!…紫鬼君、ありがとう…‼︎』

「………………別に」

 

やることは済んだ、とその場を後にしようと立ち上がる紫鬼。

チラと視線を向ければ、此方に向かってくるNINJAや職員の姿も見えた。

響にまで構ってる時間は無さそうだ。

でも一先ずは大丈夫だろう、優秀な大人達がいることだし。

 

「…ッ」

「な、どうした⁉︎」

『大丈夫か⁉︎』

 

クラッと僅かにフラついた紫鬼。

すわ何事かと、翼が心配そうな眼を向ける。

 

「んな大事じゃねぇ、よ」

 

すると、その仮面のような装甲、の歯のような部分が、紫鬼の手で剥がされるように外される。

 

「ん、っはぁ………〔因果操作(コレ)〕も、結構ツラいんだよ」

「──────」

 

先の能力の代償か、垂れる鼻血を拭う紫鬼。

「もう止まってるか?」と確認した後、再びソレをカシュッと口元を覆うように装着した。

 

「じゃあな」

 

軽い様子で数歩助走、爪先で地面を蹴り上げ瓦礫に飛び移り、そのままドームに空いた穴から外へと飛び出していった。

 

 

 

 

(あれ、外れるんだ)

 

僅かに覗いた紫鬼の素顔(鼻から下のみ)を偶然目にして、意外…とフリーズした翼と。

 

「クゥ………スゥ………」

 

重体だったはずなのに、意外と呑気に寝こける奏を置いて。

 

 

 





仮面ライダー the fristの後付けクラッシャー大好き

シン・仮面ライダーの自動開閉クラッシャーも大好き


細かい設定は後日
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