本作は
・奏さん生存により、非常にマイルドなSAKIMORIに仕上がっております。
・オリ主と393の献身によって、ビッキーのメンタルに変化が見られます。
それではどうぞ。
響のガングニール起動の翌日。
学校を終えた響が向かったのは、昨日も訪れた二課本部。
出来る女こと、櫻井 了子によって報告される響の現状、シンフォギアシステムのこと、そして肝心の響の身に起こっている事。
一枚のレントゲン写真に映し出される、人体には無い筈の異物。
2年前、ライブで響の胸に刺さったガングニールの破片。
その事実を知り、驚く翼と予想がついていたのか表情を暗くする奏。
「アタシの、せいで……」
「奏……」
自らの不甲斐なさが、二度も響を危険な目に遭わせてしまったと、後悔する。
「あ、あの!この事って、誰にも言わない方が、良い、んですよね……?」
「ああ、君が力を持っている事が何者かに知られた場合、家族や友人、周りの人々に危険が及びかねない。命に関わる危険すらある」
「命に、関わる……」
暗い雰囲気を切り替えようと、疑問を呈する響、それに応える弦十郎。
彼女の脳裏に浮かぶのは、大切な家族や、大親友達の顔。
「俺達が守りたいのは、機密などではない、人の命だ。
その為にも、この力のことは隠し通してもらえないだろうか?」
「貴女に秘められた力は、それだけ大きなものであるということを、分かってほしいの」
「人類では、ノイズに打ち勝てない。
人の身でノイズに触れることは、即すなわち炭となって崩れることを意味する。
そしてまた、ダメージを与えることも不可能だ。
たった1つの例外があるとすれば、それはシンフォギアを身に纏った戦姫だけ」
真剣な表情で弦十郎が語る。
「特異災害対策機動部二課として、改めて協力を要請したい。
立花 響君、君が宿したシンフォギアの力を対ノイズ戦の為に役立ててはくれないだろうか」
「………………」
急にスケールの大きな話に巻き込まれ、既に一杯一杯。
しかし、脳裏を流れる2年前の惨劇、昨日の一件、そして、確かに守れた少女の笑顔。
「私の力で、誰かを助けられるんですよね……?」
「うむ」「ええ」
響の純粋な疑問に、力強く応える大人二人。
その後ろでは、奏と翼もまた、頷いていた。
「分かりました。私も、戦います……!」
この先、きっと苦しいことや難解なことがあるだろう。
それでも、自分の力が誰かの涙を止めれるならと、覚悟を決める。
「響、巻き込んじまってごめんな……それと、ずっと言おうと思ってたんだ。生きるのを諦めないでくれて、ありがとう……!」
「いやいや、そんな……!その、私もあの言葉と、大切な友達のおかげで、こうして居られるんです。むしろ、お礼を言うのはこっちで……!」
「〜〜〜!良い奴だな〜!響は〜!」
「わぷ⁉︎」
思わずと響を抱きしめる奏。
身長の関係で響が窒息しかけているが、感激している奏は気がつかない。
(はわわわわわ!抱きしめられてる!ツヴァイウィングの奏さんに!抱きしめられてる!)
「奏、一度そこら辺で……」
「おっと、悪い悪い」
「っぷは!……あ、そうだ、もう一つ聞きたいことが」
解放された響が、思い出したように疑問を口にする。
「昨日の、あの紫の……」
「あ〜、彼の事ね…………」
さて、何処から説明したものかと悩む了子を他所に、警報が鳴る。
「な、何ですか⁉︎」
「ノイズが出たんだよ!」
響を置いて駆け出す一同。
その後を追う響。
「一先ず、紫鬼の事は後な!」
「
響の脳裏に、同じ名を持つ友人の顔が思い浮かぶ。
「ノイズの出現を確認!」
「本件を、我々二課で預かることを一課に通達!」
辿りついた先は、多くの機器と大きなモニターが用意された司令室。
正面の大きなモニターには、ノイズの姿が映し出される。
「出現地特定!座標出ます!……!リディアンより距離200!」
「近い……!」
「迎え撃ちます」
「よっしゃ!」
出撃する為に踵を返そうとする翼と奏。
その後を追おうと、響も駆け出す。
「って響も来る気か?」
「待つんだ!君はまだ──」
それを察した奏が振り返る。
弦十郎もまた、それに待ったをかける。
「私の力が、誰かを助けることが出来るんですよね。シンフォギアの力じゃないと、ノイズと戦う事は出来ないんですよね……だから、行きます!奏さん、翼さん!慣れない身ではありますが!私、頑張ります!」
「……分かった!行くよ、響!」
「ちょ、奏⁉︎」
響の想いを聞いた奏が響を先導する。
ワンテンポ遅れて翼もその後を追って、司令室を後にした。
「貴女……この先は戦場、生半な覚悟では命を落とすわよ」
「分かってます……確かにまだ、ノイズと戦うなんて実感湧いてないですし、怖いです」
「響……」
「でも!」
避難を呼びかけるアラートの音にも負けない声で、響は想いを口にする。
「奏さんに繋いでもらったこの命で、今度は私が!誰かの命を繋ぎたい!」
そう語る響の目には、まだ素人の身でありながら、確かな覚悟が浮かんでいた。
「ま、安心しな!アタシ達がいるんだ、響一人のお守りくらい、なんて事ないさ!」
「お、お守り……いえ!寧ろよろしくお願いします!」
「二人とも、おしゃべりはそこまで……見えた……!」
三人の視線の先、道路の中央にはノイズの大群が。
「Croitzal ronzell Gungnir zizzl」
「Imyuteus amenohabakiri tron」
「Balwisyall Nescell gungnir tron」
3人の歌声が重なる。
ギアを纏った奏と翼はそれぞれの獲物を構える。
残された響もまた、その拳を握る。
「立花、アームドギアはどうした?」
「へ?あーむどぎあ?」
「……あー、そこからかぁ……」
油断なく構える二人に対し、知らない単語が出てきて固まる響。
その先では、ノイズの群が溶け、一つの大型ノイズへと変貌しようとしている。
「アタシや翼が持ってるコレだよ」
「……え、どうやって出すんですか⁉︎」
「……それ常在戦場の意思の体現、とはいえ、何も知らぬ立花では、出せずとも無理は無い……か」
「こう、出ろ〜って念じたら出ないか?」
「全然分かりません!」
グォォォ…………!
「っと!……来るぞ!」
生えた触覚のような突起を回転させ飛ばすノイズ。
「このっ!」
「ふっ!」
奏と翼が刃を振るい、それらを弾き、切り払う。
背後から飛び上がった響が、ノイズを上から地面に叩きつける。
「っ!やあぁぁぁぁぁぁ‼︎」
その凄まじいパワーは、ノイズを通して尚、道路を陥没させるに至る。
「マジか……!今だ!翼!」
「はぁぁああああ!」
《蒼ノ一閃》
飛び上がる翼。
繰り出される一撃で、ノイズは叩きつけられた道路ごと一刀両断され、爆散。
二人の元に響が駆け寄る。
「奏さん!翼さん!」
「響〜!やるじゃんか!」
「とんでもない力、素手でコレとは」
「でぇへへへへ」
褒められ、思わずニヤける響。
「なんだ、もう終わったのか」
「「「!」」」
「……それと、新入りも一緒か」
「紫鬼、いつの間に」
「ま、今日はアタシ達が先だったってことで」
響達の背後、真紅の槍を携えた紫鬼が現れる。
無駄足か……と頭を掻くような動作を見せるも、その視線が、響に向けられる。
「あ、あの!紫鬼、さん!昨日は助けてもらって、ありがとうございました!」
「……昨日も言った、気にするなと」
(……う〜ん、やっぱり、何処かシキ君に似て……?)
そっけなく返す紫鬼と、それをじっと見つめる響。
その無機質なバイザーの奥にあるものを感じようとして──
「そういや響、さっき紫鬼の事、知りたがってたよな」
「あ?俺の?」
「あ、はい……」
「じゃあ良い機会だ、事後処理班の人達が来るまで少し話そうか」
◇◇◇
あ?俺が?お前じゃねーのかよ。
やだよ面d……あーハイハイ分かったから、そんな目で見んな……ったく。
後輩を良いように使いやがって……。
で?どれから話せばいい。
初めて会った時の事ォ?
良いのかよ……?や、お前らが良いなら良いんだけどさ……。
あー、アレは俺がいつも通りノイズ共をぶち殺した時だった。
『何だ?テメェら……』
『そりゃコッチのセリフだっての』
『例の未確認と接触しました』
聞けばいつもいつも俺が先に片してるから、取り越し苦労のくたびれ儲けで。
偶々俺がそっからいなくなる前にお前らが間に合ったんだったっけか。
『我々特異災害対策起動二課に同行願います』
『おっと、妙な真似はすんなよ……?』
で、絶賛不審者だった俺をとっ捕まえようとしてきたわけだ。
『……………………痴女?』
『『……ハ?』』*1
尤も、初対面の俺からすれば、みょうちきりんな格好した奴から喧嘩吹っ掛けられたと思った訳で。
あ?オイオイキレんなよ。
言うな?良いのかって聞いたじゃねぇか?
……あ、オイ、別にひびk……アンタの事も痴女扱いする訳じゃなくってだな?
誤解だった訳で……引くな?別にそういう目で見てる訳じゃ無いから……何コレ、俺が悪いの?
だぁー!話を戻すぞ!そこ!逃げたとか言わない!
まぁ、そっから襲いかかってきたこの二人を返り討ちにして……今度は何?
?ああ、勝ったぞ?
そこ二人、不服そうにしない。事実だから。
で、そん時は面倒だったから、遠くに吹っ飛ばしてサッサとそこを後にしたよ。
で、次に会ったときは、俺がノイズと戦ってる最中だったな。
横から突っ込んできたかと思ったら、ノイズと戦い出すし、邪魔しないなら良いかってスルーしてたら、殲滅した瞬間に次はお前だって襲いかかってきてな。
結果?まぁ、途中までは良かったよ。
で、流石にしつこいなって思って、キツいのぶつけようとした時だよ。
『
OTONAが出張って来やがった。
そう、OTONA。
上から降って来たかと思えば、コンクリひっくり返して壁にするし。
返す一撃でこっちが吹っ飛ぶし。
誰かって?そっちの司令、弦十郎だよ。
気をつけろよ、アレは正真正銘のバケモンだ。
『痛ぅ!……何だぁ⁉︎』
『緊急故、少々手荒になった、すまん!』
『生身の、人間…………人間?生身?』
『二課の司令をしている、風鳴 弦十郎だ』
で、話がしたいっていうから一先ず聞いたよ。
そこで二課の事とか、シンフォギアがどうこうってのを聞かされた。
あと、俺が紫鬼って呼ばれてることも。
『……紫鬼?それは、俺の事か?』
『そうだ、名乗る事もない故、正体不明の存在としてそう呼ばれている』
『ふ〜ん、紫鬼……
『勝手ながら、我々もそう呼ばせてもらう。
紫鬼君、どうか我々と共に、ノイズとの戦いの為にその力を『断る』……何故か、聞いても?』
……そうだよ、俺は確かに断った。
ちなみに今でも、だ。
あんときは、純粋に信頼もクソも無かったからだ。
んな眉唾みたいな話を鵜呑みには出来なかったんだよ。
今?……コイツら個人個人は、別に疑っちゃいねぇよ。
ただ、国の組織っていうその括りが、俺には合わないってだけで……オイ天羽 奏、ニヤニヤすんな……!ったく。
まぁコイツらが最初の一回で折れるわけもなく、何度も何度も勧誘を受ける内に、ぶつかる事よりも、協力するようになって今があるって訳だ。
満足か?
普段あんま喋らないから疲れたんだが……もう帰るぞ。
?
…俺によろしくお願いされても………まぁ、なんだ。
危なかったら助けるぐらいはしてやるよ。
そこの二人から色々学べば……や、そこのSAKIMORIはあんまりアテにしなくて良いぞ。
頭カチコチで、生活能力壊滅らしいし。
るっせ、悔しかったら、自分の部屋ぐらい自分で片付けろっての……誰にって、そこの片翼さんが教えてくれたぞ〜。
ふぅ……今度こそ帰るわ。
……そうだな、今後とも会うかも、な。
じゃあな、立花 響。
…あまり未来に心配かけるなよ。
響「そういえば、紫鬼さんって歌わないんですか?」
奏「アイツのは、アタシ達のシンフォギアと成り立ちから違うから、常に歌う訳じゃないんだってさ」
響「ほへ〜」
????「シンフォギアシステムとは違う、僅かなフォニックゲインで常に稼働し続ける聖遺物…完全聖遺物とも異なる、中途半端な存在…やはり目障りだな、不穏分子」