戦鬼絶唱シンフォギア   作:MAI²

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みんな大好きあの娘が登場




第六話 星の降る夜に

 

 

「あれから1ヶ月、響君の成長には、目を見張るものがあるな」

 

モニターに映されるのは、三人の装者によるノイズへの蹂躙撃。

奏の槍が、翼の剣が、響の拳がノイズを次々と打ち倒す。

まだまだ拙いが、響を組み込んだ連携も少しずつ形になりつつあった。

 

「にしても、出ませんね……彼女のアームドギア」

 

1ヶ月、奏と翼、了子を交えた教導で、様々な知識を叩き込まれた響。

しかし、どれだけ念じても、その胸の歌を歌っても、彼女の手にその一振りが握られる事はなかった。

 

「まーでも、ここまでくれば、むしろ無いほうがいいんじゃ無いんですか?」

「ふむ……」

 

まだまだ素人の域を出ないが、アームドギアの無いままでも懸命に先達二人に追い付こうとする姿には、弦十郎も好感を覚える。

 

「いっそのこと、俺が鍛えるか……」

「「え゛」」

「うら若き乙女が、人間を辞める瞬間かしら……」

「お前達、なんなんだその反応は……」

 

まさかの反応に、流石の弦十郎も少々座りが悪くなる。

 

「普通の成人男性は、コンクリで舗装された道路を引き剥がさないんですよ……」

「映画を見て、自分で拳法編み出して、あまつさえそれを実用しないんです……」

「シンフォギアの一撃を、生身の片手で止めたりしないのよ……」

「何だ何だ、男子たるもの、鍛えればこれぐらいは──」

 

“男の鍛錬なんて、飯食って映画見て寝りゃ十分”なんて格言を掲げているOTONAはやはり一味違うらしい。

 

「「「はぁ……」」」

 

ただの筋金入りの映画好きが、一体何をどう(魔改造)したらこうなるのか。

この世界、数ある謎の一つである。

 

 

 

 

 

◇◇◇

 

 

 

 

 

「はっ!響にOTONAの魔の手⁉︎」

「?何言ってるの?」

 

呆れたような目線を送る未来。

変な電波を受信したらしい。

気にするなと言って誤魔化す。

 

「今日も響はボランティアか?」

「……うん、あの翼さんや奏さんも一緒って言ってたから大丈夫だとは思う、けど」

 

最近響は、二課絡みの案件をボランティアと言って誤魔化しているらしい。

それも、かなり周囲への影響力のあるあの二人まで出張ってきて、未来からは何も言えない状況らしい。

しっかし、こう聞いてると──

 

「なんか、響が歌手かアイドルにでもなりそうな人選だな」

「ブ──ッ、ゲッホ……!ひびっエホッ‼︎」

「はいはい落ち着け落ち着け」

「……ど、どうしよう⁉︎もし響が私の知らないところで、とんでもなく遠い所に行こうとしてたら、私、応援すればいいの⁉︎それとも引き留めれば……⁈」

「落ち着けってば」

「これが落ち着いてられる状況⁉︎どうしよう、のし上がるために……なんて、言いくるめられて、響が偉い人にあんな事やこんな事を……⁉︎」

「もれなくあの二人を巻き込みかねない発言止めような?芸能界を何だと思ってるのさ」

 

響ぃ……響ぃ……と呟き続ける悲しきモンスターと化した未来を慰める。

普段はこうじゃ無いんだが、こと響の事になるとコレだ。

 

「そうだ、所でシキ君、これなんだけど……」

「わぁ急に落ち着いたぁ」

 

スン……と表情を変化させて、未来があるものを見せてくる。

 

「流れ星……?」

「そう、丁度今夜」

 

どう?と聞いてくる未来。

 

「確かに、しっかりと見たことは無い気がするが……響はなんて?」

「行くって」

「へぇ……ま、何もなければ行く。場所は?」

「えっとね────」

 

 

 

なんて会話が数時間前。

もう、日も沈み始めたと言うのに、コイツらは……。

 

「しっかし……問題は……」

 

『流れ星、見たかった……!』

『未来と、シキ君と一緒に……!』

『見たかったのにぃ……‼︎』

 

「真に怒らせてはいけないのは、響だったかもしれねぇ……流石に早計か」

 

響く歌声に、悲しみと怒りが乗る。

普段からノイズ憎しの気持ちを持って狩っているとはいえ、アレを聞かされれば俺とて逆に冷静にもなる。

ぶっちゃけ当事者としては、約束を守れないのは俺も一緒なので、寧ろ心苦しさ2倍だ。

未来にも申し訳ない。

 

此度のノイズの出現は地下鉄、連鎖的爆発が起きているが、それを可能にするノイズを俺は知らない。

恐らくは、新種。

 

「今日は普段よりも速度重視で片すか」

 

何より、あの二人は未だ現れず。

響だけで突っ込ませる訳にもいかない。

 

「ったく……あとで揃って未来に謝んねーと」

 

震える槍を担ぎ、俺も現場へと足を進めた。

 

 

 

 

◇◇◇

 

 

 

 

 

突き刺さった大剣が、新種のブドウ型ノイズを一刀両断する。

 

「悪い!遅くなっちまった!」

「怪我は無いかしら?」

「奏さん!翼さん!」

 

翼と奏が合流する。

地下から地上へと脱したノイズを仕留め、一先ずの危機が去った。

しかし、そこに新たな声が。

 

「仲良しこよしでユルみ切って、呑気なもんだぜ」

「何者!」

 

雲が晴れ、月明かりが辺りを照らす。

そこには、銀の鎧を纏う人影が。

その鎧の正体を知る二人は声を漏らす。

 

「まさか、ソレは……!」

「ネフシュタンの鎧……⁉︎」

「へぇ?てことは、この鎧の出自を知ってんだ?」

「2年前、私達の不始末で奪われたものを忘れるものか!」

「アンタが何者であれ、容赦は出来ない、な……!」

 

失われた筈の完全聖遺物の出現。

司令部では、弦十郎達が急行の用意を始めている頃。

既に、現場では事が始まろうとしている。

 

「ま、待ってください二人とも!相手は人ですよ!同じ人間です!」

「戦場で何を呑気なことを⁉︎」

 

敵を前にしてまさかのセリフに瞠目するネフシュタンの鎧の少女。

翼も目を細めるも、その口元は僅かに緩む。

 

「かつての私であれば、同じ台詞を口にしたでしょうね。その優しさは確かに美徳だが……しかし立花、アレに関しては、そうも言ってはいられない」

「あれは、本来アタシ達二課の元にあるべき物だったんだ……それが、2年前のあの一件で、このザマさ」

「で、でも……!」

「別に、殺し合う訳じゃ無いんだ。ただ、アレを返してもらう為に、ちょーっと喧嘩するだけだよ」

「喧嘩……喧嘩かなぁ……⁉︎」

 

尤も、喧嘩になるかも分からないけどね。

そう語った奏の台詞に?を浮かべる響。

その背後に、気配。

 

「大体聞かせてもらったが……やはり聖遺物×女=痴女の公式は成り立つんじゃないか?」

「はっ倒すよ?」

「冗談だ、だからSAKIMORIも切先を向ける方向を間違えないでもらいたいのだが」

「……」

「し、紫鬼さん!」

 

四対一、戦力差は絶望的だろう。

尤も、余計な一言のせいで内輪揉めが起きそうになっているが。

 

「アタシ様を放って、乳繰り合うたぁ虫唾が走る!」

 

緩んだ空気を切り裂く様に、杖のような物を構える少女。

瞬間、紫鬼の槍が強く反応する。

 

「ノイズの反応……?オイ、まさか⁉︎」

「そのまさか!」

 

杖から光が放たれると同時、大量のノイズが姿を現す。

その規模、未曾有。

 

「なっ⁉︎ノイズだと⁈」

「ネフシュタンに加えて、未知の聖遺物⁉︎」

「喧嘩になるか分からない……だったか?確かにそうかもなぁ!数じゃ、こっちが上なんだからよ!」

「くっ⁉︎」

「流石にヤバいか…?」

 

多種多様なノイズの群が、奇怪な鳴き声をあげる。

響く不協和音を前に、バイザーの内で表情を歪めた紫鬼が問う。

 

「答えろ」

「あン?」

「これまでのノイズ騒ぎの内……何回こうやって操った?」

「……ハァ?」

 

「これまで、その力で、どれだけ人を殺したって聞いてんだよ……!」

 

「「「ッ⁈」」」

 

発される怒気、否、殺気。

人を優先して襲うノイズを呼び出すということが、どういうことなのか。

それが分からない彼らでは無い。

狼狽えたように少女が口を開く。

 

「し、知るかよ……!ここ最近なら兎も角、勝手に湧いたやつなんかの責任もおっかぶせる気かよ……⁉︎」

「あ゛ぁ⁉︎」

「……なるほど、少なくともアンタは、ここしばらく集中してノイズが出現していたのには関与しているって訳だ」

「あ!了子さんの言ってた事って、その事ですか⁉︎」

「まさか、当事者から向かって来てくれるとは……」

「チッ……余計なことも喋っちまった」

「……話振っといて何だけど、勝手に納得するのやめろ?」

 

ここ数日頻発するノイズの出現に、人為的な意図を感じていた二課のメンバーは納得する。

 

「兎に角!響、紫鬼はノイズを!コイツは、アタシ達が相手だ!」

「参るッ!」

「ハッ!来いよ!」

 

場を仕切り直した奏と翼がネフシュタンの少女に向かう。

 

「勝手に仕切んなよな……さっさと片すぞ、響」

「うん!……あれ?今私の名前……?」

 

地面を踏み締め、槍を横薙に振るう。

数体のノイズが纏めて切り払われる。

遅れて響も、迫り来るノイズに拳を繰り出した。

鳥型──より詳しく言えばダチョウ型──のノイズが、口の様な部分から何かを噴き出す。

 

「うぇあ⁉︎」

「きったね」

 

避けられたそれは、確かな粘性を以て地面にへばりつく。

触れれば間違いなく足止めを喰らうことだろう。

 

「触るなよ……」

「は、はい!」

「何をうつされるか分かったもんじゃない」

そこ(衛生面)ですか⁉︎」

 

 

 

その一方で──

 

「そらそらそら!どうした、そんなもんかよ!」

「くっ、押し切れない……!」

「これが、完全聖遺物のポテンシャル……!ここまでとは……!」

 

左右の鞭が振るわれる。

その刺々しい見た目通りの攻撃性と威力を持つ一撃が、空を切り舗装された道路をいとも容易く砕き割る。

 

連携して攻め入るも、決定打は決まらず、返す一撃には回避を強要されていた。

 

「ネフシュタンの力だ、なんて思わないでくれよな……アタシの天辺は、まだまだこんなもんじゃねぇぞ!」

「ぐっ⁉︎」

 

隙をついた蹴りが翼を襲う。

咄嗟に防御するも、受けた刀を持つ腕が僅かに痺れた。

 

「翼、大丈夫か⁉︎」

「ハッ!お高く止まってんじゃねぇよ、人気者!」

「くっ……!」

 

「横っ面が留守!」

 

「な……がっ⁉︎」

「「紫鬼……⁉︎」」

 

文字通り飛んできた紫鬼の飛び蹴りが少女の横腹を的確に捉える。

難なく着地する紫鬼、対照に、蹴り飛ばされた少女は弾かれるよう植えられた木々を巻き込みながら吹き飛んでいった。

 

「アンタ、ノイズは……!」

「そっちが苦戦してそうだったからな、交代」

「しかし、アレは!」

「優先順位を間違えるな、テメェらの因縁だか何だか知らんがな」

 

「とっととあっちを片付けて来い」と言って、目線を前方に戻す紫鬼。

直後、瓦礫や木々が巻き上げられる。

 

「ちっっくしょうがぁ!」

「おーこわ」

「よくもやってくれやがって……!」

 

差し向けられる鞭を槍を振るって払い落とす。

接触した穂先と鞭が火花をあげる。

 

「だったら、これでも喰らっとけ!」

《NIRVANA GEDON》

 

白と黒のエネルギー弾が迫る。

対する紫鬼も、槍の螺旋部分にフォニックゲインを集め、ドリルの如く回転させる。

 

「ぜあぁぁぁ!」

《偽: LAST◾️METEOR》

 

激突したそれを、食い破るように突破する。

残された断片が、紫鬼の後方で爆ぜる。

再び向けられる鞭を、避けて弾いて切り伏せる。

 

「思いつきの付け焼き刃でも、イケるもんだな!」

「巫山戯ろ、完全聖遺物に喰らい付くかよ……⁉︎」

「動きはいいが…やる事が単調ッ」

「説法か?癪にさわるッ!」

 

「割り込むのは困難ね…」

「ねぇ、今サラっとアタシの技パクられてなかった……?」

「凄い…………」

「ねぇ…?」

 

繰り広げられる鞭と槍の応酬。

響は改めて自身の無力を痛感する。

 

(たとえ、アームドギアがあっても……無理だ…遠すぎるよ)

(響…………)

 

握りしめられた拳、それに気がつけたのは奏一人だけだった。

 

「お邪魔虫二人だけなら兎も角、お前まで相手にする余裕は無いってのに……!」

「あの二人をお邪魔虫……?だったら本命は何だってんだ?」

「ハッ!主役を勘違いしてるなら教えてやる、こっちの狙いは端から、そこの足手纏いを掻っ攫うことだよ!」

「何だと……?」

 

「へ?わ、私?」

「奏」

「分かってる……!」

 

突然の指名に困惑する響、それを守ろうと前に出る翼と奏。

紫鬼が踏み出して槍を振り下ろすが、鞭を弦の様にして防御される。

 

「ちぃ!ノイズを出そうにも、隙が無いったらありゃしねぇ……!」

「させる訳ないだろうが……!」

 

響を狙っていると言われ、内心気が気でない紫鬼の攻撃がより苛烈になる。

少女は防戦一方、反撃への切り返しも出来ない。

 

「だったらぁ!」

《NIRVANA GEDON》

「この距離で、コイツ正気(マジ)か……⁉︎」

 

至近距離で発生させられたソレの爆発をモロに浴びた。

 

「っが!」

「「「紫鬼(さん)⁉︎」」」

 

正面から掬い上げられたように、体を宙に投げ出した紫鬼が背中から地面に転がる。

明確な紫鬼へのダメージ、滅多にない光景に駆け寄る三人。

 

「ってて……俺は大丈夫だ、大したもんじゃない……ないんだが、あっちはそうはいかないみたいだぞ……」

「あっが⁉︎ぐ、ぎぃ……⁉︎」

 

紫鬼の視線の先。

先の少女が爆発後のクレータの中心に。

自爆のダメージでネフシュタンの鎧はひび割れ、そのバイザーも欠けていた。

 

しかし、それらは急速に修復されていく。

少女の体を蝕みながら。

 

「あぐっ……!チィッ、ここまでかよ……!」

 

鞭が地面の瓦礫を巻き込み、土煙のカーテンを生み出す。

それが晴れる頃には、既にそこに人影は見当たらず。

 

「逃げた……か」

「ま、アタシらに紫鬼もいるとなりゃ、当然っちゃ当然だよ……逃がさないのが、ベストだったんだけどね……」

 

因縁の存在の逃亡を許したことに、歯噛みする二人。

しかし、そこへ近づくエンジン音に、ハッと顔を上げる。

 

一台の車が停止し、そこから弦十郎が現れる。

 

「お前達、無事か⁉︎」

「叔父様!」「旦那!」

「げぇ、OTONA⁉︎俺は帰る!」

「あ、紫鬼ぃ⁉︎」

「ほ、ホントに帰っちゃった……」

 

トラウマの登場に跳ね起きた紫鬼が、全力で離脱。

 

「む、むぅ……」

「叔父様……」

 

呆気に取られた響と奏。

不服そうな弦十郎、苦笑いの翼。

なんとも言えない空気だけがその場に残され、この一件は幕を閉じる事になる。

 

 

 

 

 

◇◇◇

 

 

 

 

 

「「ほんとうに、もうしわけありませんでした」」

「つーん」

「や本当にこの通り、詫びに何か作るから……」

「つ──ん」

「未来さーん……」

 

(シキ君……)

 

一緒に頭を下げる友人を横目で見る。

「事故に巻き込まれて」と言って、あの日あの時間にピンポイントで、私より少しだけ早く帰ってきた彼。

 

(紫鬼さん……)

 

脳裏をよぎる、もしかしたらの可能性。

 

名前、口調、仕草、言葉にできない何か(本能)

浮かべれば浮かべるほどに心当たりが出てくる。

 

『さっさと片すぞ、響』

(いやいやいやいや、まさか……まさか、ね……)

「ひ〜び〜き〜?」

「は、はい⁉︎すいませんでした反省してます〜!」

「もう!」

 

でもそれを確かめるのが怖くて、やっぱり私は目を逸らす。

 

 





オリ主:身バレ管理がガバい。味方の技を模倣できる。これが友情コンボですか…。

ビッキー:割と最高な環境で育成された結果、そこそこ程度には戦える。しかし、所詮素人、所詮そこそこ止まり。OTONAブートキャンプ入りのフラグが立った。

SAKIMORI:絶唱顔を晒さずに済んだ。そもそもアームドギア無し絶唱と死にかけ絶唱がヤバいだけ。だからって絶唱が危なくない訳じゃない。

キネクリ:みんな大好きツンデレ担当。この頃のヒールっぷりも中々ハマり役だよね。

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