崩壊:スターレイル Another branch   作:$ATO

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オリキャラ登場注意です。


4章1話「記憶は虚構に、『神秘』は記憶の中に」

 

「『聞いて。』これから君は、数え切れないほど危険な目に遭って、恐ろしい状況に身を置くことになる。でも、美しい出来事にもたくさん出会うわ。家族のような仲間を持ち、夢の中でも体験できないような冒険をする……」

 

なんだろう。懐かしいような、いや、最近聞いたような……そんな声が頭に響く。

 

「旅の終わりには、君を悩ませてきたすべての謎が解き明かされるの。」

 

あなたは誰?私を知っている人?ああ、でも、彼女の声を聞いているだけで、心が暖まる感覚がする。

 

「これが『繧ィ繝ェ繧ェ』の予見、そして君が辿り着く未来よ……気に入ったかしら?」

 

暖かい声にノイズが走った。

 

「『聞いて。』今の気持ちを忘れないで。心に決めたことに従えば、必ず物語の結末にたどり着けるわ。」

 

「私は、君のそういう所が好きなの。」

 

思い出せない。確か、彼女は、私にとって大切な……大切な……?そうだ。彼女の名前は『繧ォ繝輔き』。私の……私の、なんだっけ?

 

「選択の機会がある時に、自分が後悔するようなことはしちゃだめよ……」

 

聞かなくては、あなたは『繧ォ繝輔き』なのか。私のなんなのか。

 

「カ……フ……カ……?」

 

やっと声が出た。やけに喉が重たくて、捻り出すように出した声も掠れているけど。確かに、あなたの名前を呼ぶことができた。

 

「カフ……カ……!私の……!」

 

私の……仲間?友人?それとも……母?

なんと呼ぼうか逡巡する間に、彼女はこちらに背を向け、立ち去ろうとする。

 

「待って!カフカ!あなたとはまだ話したいことがある!」

 

何故か足が動かないから。必死に呼びかける。

思いが通じたのだろうか、彼女は歩みを止め、こちらを振り返った。

 

「カフカ……?」

 

彼女は首を傾げながら、彼女自身の名前を呟く。

ほんの少し、考え込むような素振りをしたあと、その金色の髪を持つ女性は答えた。

 

「わたしの名前はミスティカ。忘れちゃったのぉ?悲しいわぁ。」

 

違う。彼女の名前はそんなものではなかったはずだ。私の、私と一緒にいた彼女は、星核ハンターの……

 

「違うわよぉ。わたしはミスティカ。ずっと。あなたと一緒だったでしょう?」

 

ミスティカと名乗るその女は、私の耳元でそう囁く。いや、でも……これは……紛れもなく……あの暖かい声で。

 

「わたしだって、あなたと離れ離れでいるのは悲しいわぁ。だから、きっと逢いにきてね?クリムトの、18番目の星で待ってるから。」

 

クリムト?知らない星だ。でも、彼女がそう言うんだから間違いない。私はクリムトに行って、18番目の星で、彼女に逢わなくちゃいけないんだ。それが、私が宇宙ステーション「ヘルタ」で、彼女と別れる前にした約束。

 

「じゃあ、そろそろ行くわねぇ。またすぐに逢えるわぁ。」

 

彼女が離れていく度に、視界の端から世界が崩れていく。

そうだ。早く……約束を果たしに行かなければ……

私は、彼女を追いかけて……

 

「……!?痛い!?」

 

ベッドと床の段差で転び、床と目覚めのキスを交わすこととなった。

 

 

※※※※

 

 

今の私の部屋は、この列車に乗った時とは大きく異なっている。今、倒れるように横たわるベッドは大きく、それでいてふかふかで。左を向けば、とても部屋に備え付けられているとは思えないほど豪華な浴室がある。

 

「ほら、ゴミケーキ。ご主人様が苦しんでるんだから。こっちへ来て、私を癒やして!」

 

浴室のそばが彼の……あるいは彼女の定位置なのだろうか。私は同居人であるその創造物に声を掛ける。

 

私の声を聞くとゴミケーキは、ニャァ〜と鳴き声を上げながらベッドに飛び込んできた。可愛い奴め!そして……美味しそうな奴め!

 

ひとしきり彼……彼女?紛らわしいからここでは彼としよう。を撫で終わると、ようやく床との情熱的な恋も冷めてきたようだ。

 

ああ、それにしても変な夢だった。なんで急に、「ヘルタ」のことなんて夢に見たんだろうか。……なんだっけ。良く思い出せない。まあいいだろう。夢なんていい加減なものだ。起きてすぐに書き留めでもしない限り、すぐに頭の淵から流れ落ちていってしまう。

 

寝ぼけた頭を起こすためには。飯だ。さて、今日の朝ごはんはなんだろう?

 

パムの作る朝ごはんは絶品だ。あれを食べるだけで、今日も一日頑張ろうという気力が湧いてくる。

 

その時、コンコンと部屋の扉を叩く音がした。

 

「星、おはよう。起きてるか?」

 

丹恒の声だ。

 

「もちろん。私が寝坊なんてした日には、ベロブルグに雪が降るよ。」

 

「いつものことだろうが。朝食の準備ができた。早く降りてこい。」

 

「丁度お腹が空いたとこなんだ。ベストタイミング!」

 

「朝食後には航路会議が待ってる。二度寝はするなよ。」

 

「すぐ行くよ!」

 

丹恒は私のことを何だと思っているのだろうか。呼ばれてから二度寝したことなんて、一回……二回……数回はあるかもしれない。記念すべきn回目を祝われないためにも、早くラウンジに行くべきだろう。

 

「またすぐに逢えるわぁ」

 

「……?」

 

何かが聞こえた気がして後ろを振り返ったが、何もない。まだ寝ぼけているのだろう。寝覚めのコーヒーでも淹れてもらおうかな。もちろん、姫子以外の誰かに。

 

 

※※※※

 

 

階段を降りてラウンジへ着くと、そこには自分以外の皆がもう揃っていた。

 

「あ、星!おはよう!昨日は良く寝れた?」

 

「おはよう、なの。なのは朝から元気だね。見ての通りぐっすりだよ。」

 

私は髪の寝癖を弄りながら答える。

 

「良く眠れるのは良いことですよ。ワタシは、中々寝付けなくて翌日辛くなることがよくあるので、星さんが羨ましいくらいです。」

 

自分と違い、サンデーはいつでも身だしなみを完璧に整えている。

 

「デーさんが寝癖をつけてるとこなんて想像できないしね。今度私特性の安眠枕を貸してあげるよ。二度寝……いや、三度寝までは覚悟してね。」

 

「サンデーが寝坊するところ、ウチもちょっと見てみたいかも?」

 

「ハハハ……是非貸してください。……それと、デーさんという呼び方は忘れてもらうのは、もう諦めました……」

 

皆の団欒に笑い声が響く。

 

前から賑やかだったが、サンデーが列車に加入してからは、さらに賑やかになった気がする。初めは堅苦しくどこか他人行儀だった彼だが、今では皆の影響を受けてか、多少、柔らかくなった。

 

「今日の朝食はフレンチトーストに、モッツァレラチーズとトマトのサラダじゃ!飲み物はどうする?コーヒーに紅茶、フルーツジュースもあるぞ!」

 

パムが配膳台を持って現れた。

 

「そうだね……私みたいな『大人』に似合うコーヒーを頼むよ。」

 

キメポーズをしながら、そう注文する。

 

「砂糖とミルクをカップの三分の一ずつじゃな。ほれ、いつものじゃ!」

 

パムは私の好みを良くわかっているようだ。私だけじゃない。パムは列車組全員の好みを熟知している。私たちが全力で開拓の旅に挑めるのには、彼の貢献があまりにも大きい。

 

「ところで……みんなには伝えないといけないことがあるの。」

 

和やかな団欒の中、姫子がそう切り出した。

 

「皆と言っても、三月ちゃん、星、サンデーに、ね。」

 

先程までの笑顔と違い、随分真面目で深刻な顔つきだ。

 

「それは、航路会議に関することですか……?」

 

サンデーが問いかける。

 

「そうよ。実は昨日の夜、星核ハンターの銀狼がここに来たの。それから、貴方達はクリムトに来る。とカフカからのメッセージを伝えていったわ。」

 

クリムト?聞いたことのない名前のはずなのに、妙にデジャヴを感じる。

 

「それでクリムトについて調べていたんだけど、あらゆるデータベースから、クリムトの情報が改ざんされていたの。いえ……私たちが調べている最中に改ざんされていった、というのが正しいかもだけれど。」

 

「ブラックスワンさん曰く、これは『神秘』の運命による全銀河に向けた攻撃だそうだ。今やこの列車にいる者しか、かの地についての正しい認識を持つものは存在しないらしい。」

 

ヴェルトが続ける。

 

「そこでだ。これまでの候補地から変更して、クリムト立憲国に向かいたい。クリムトはかつてアキヴィリが建国に関わった『開拓』とも縁のある場所であるし、なにより、『神秘』による攻撃を受けていることを知っているのは俺達しかいない。『ヘルタ』やカンパニーにも協力を仰いでいるが、まずは俺達で調査に行くのが最善だろう。ブラックスワンさんも同行してくれるようだから心強いしな。」

 

丹恒と姫子はうんうんと頷いている。彼ら三人は事情を共有しているらしい。それにしても、アキヴィリが建国した国、か。模擬宇宙を起動する時、どうやら私はアキヴィリとして他の星神達と接しているらしいが、彼自身のことは全くといってわからないと言っていい。正直、クリムトという国にも興味が湧いてきた。

 

「え〜!?弁財天国の天満辰月祭、とっても楽しみにしてたのに〜!」

 

なのは不満そうだ。確か弁財天国のある江戸星も、次の候補地の一つだったか。

 

「でも、その星の人たちが困ってるかもしれないんだったら仕方ないよね!ウチらが助けてあげなきゃ!」

 

切り替えが早いのも彼女の美徳だと私は思った。

 

「現在、クリムトの首星ダナエとは一切の連絡が取れていないにも関わらず、誰も不審に思っていないという異常事態だ。『ヘルタ』やカンパニーに要請して調査に協力するよう頼んではいるが、何が起こるかはわからない。まあ、未知の世界に飛び込むなんて、『開拓』の旅では日常茶飯事だろう?」

 

ヴェルトがニヤリと笑う。

 

「私もそれでいいよ。正直、新しい冒険にワクワクしてきたところ。」

 

ヴェルトに合わせて私もニヤリと笑う。

 

「ワタシは……列車組の末っ子ですから、皆さんの意見に従いますよ。」

 

サンデーも同意すると、これで全員の意見が一致したことになる。

 

「それでは決定じゃな?事態は急を要するかもしれん!明日には跳躍を行うから、皆しっかりと準備してくれ!」

 

車掌であるパムが宣言すると、いよいよといった感じがする。

 

「それでは諸君!明日に向かってしっかり英気を養ってくれ!」

 

パムが食器を配膳台に戻して去っていくと、この場はお開きとなった。

 

それにしても、昨日の夜、銀狼が来てたのか。以前一緒にゲームをしたのが数ヶ月前だから、挨拶の一つくらいしておきたかったのに。昨晩すぐに寝てしまったことが悔やまれる。

 

ところで、メッセージを伝えていったと姫子は言っていたけど。

 

カフカ?って、一体誰だろう?

 




列車組はキャラが濃くて、勝手に動いてくれるから書きやすくて良いですね。
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