PSYCHO-Archive 透き通る世界に落ちた猟犬 作:elimin
アルちゃんみたいなどんな描き方しても美味しすぎるキャラ生み出せるのほんと神だと思う
ストーリー作りやすいキャラってなると縢と割と似てるかも?
年末はコミケでコスプレしてきました、カメラマンさんにかっこよく撮ってもらっちゃった( ᐡ. ̫ .ᐡ )
そこで相互で繋がってるレイヤーさんと神絵師さんのサークルにお邪魔して戦利品ゲットしてきました…人多すぎたけどたのしかった( ᐡ. ̫ .ᐡ )
んじゃ、どぞ( ᐡ. ̫ .ᐡ )
セリカ奪還を果たした夜
アビドス都市部のホテルにて、縢はシッテムの箱を取り出しながらドミネーターにケーブルを接続して分析を試みていた。
「うーん…やっぱ専用の設備というかそういうの必要になってくるよねぇ……」
『あまりにも規格が違いすぎるので、こちらでも読み込めない要素が多いですね』
「なんか修理できそうな場所とかねーかなぁ…まあ少なくともアビドスの問題が解決したらになるか」
縢とアロナは使えない状態のドミネーターを使えるようにしようとしていた。しかし元々シビュラシステムとの接続を前提とした構造だったため、シビュラシステムのない世界であるキヴォトスではあまりにも無用の長物でしかなかった。
「シビュラシステムの正体を知ってる身からすると導入とかしたくねーしなぁ…」
死の間際に見た不気味すぎる光景がフラッシュバックする。口の中を酸っぱい臭いが埋め尽くす。
「うっ……」
『せ、先生…大丈夫ですか?』
「……ちょ、アロナちゃんミュート…」
ビニール袋に全部出した。
「………イヤなこと思い出しちった…はぁ…」
『…先生…』
ミュート解除されたアロナは画面の中から不安そうな目で縢のことを見つめていた。自分の死の瞬間に関わることを思い出したらこうなるのも無理はないが、誰にもそのことを話してはいなかった。
「……でもあんまりにもドミネーターがねぇと不便すぎる…どーしよ…」
水を飲んで口の中の嫌な空気を洗い流しながら天井を一点に見つめる。無数の脳に表示された『CRIME COEFFICIENT: 0』の文字。その光景からシビュラシステムの正体とその歪んだ仕組みを思い出している。
「………アロナちゃんには全部話しといたほうがいいかな」
『…先生、無理しなくてもいいんですよ?』
「いや、話す…この先のドミネーターの運用にも関わってくるし」
「────以上だよ、あんま面白くねーだろうけど」
『ぐすっ…せんせぇ……』
あまりにも重い話に泣き出してしまった。まあ子供向けではないことは縢も重々承知していた。自分の過去を話したがらないのは空気が重くなりすぎるのを嫌っていたからでもあった。
「だからあんま話したくなかったんだよなぁ…泣かれるとアレだし、今度カステラでも買ってやるよ」
『カステラですかぁ…ふえぇ…ありがとうございますぅぅ…』
泣きながら礼を言うアロナを画面越しに撫でながら、話の本題を戻す縢。
「それで…個人的にちょっと思ったんだけど、こういうプログラムとか作れねーかなって、具体的にはこう、今日のセリカちゃん救出のときに使った……」
『ふむふむ…』
シビュラシステムに替わる何かを作ろうとしていた縢とアロナは、夜中の静かな空間の中で話し合いながら時間を過ごしていた。
翌日
対策委員会の教室で6人は廃校阻止のための会議を始めるところだった。ホワイトボードにはデカデカと「対策委員会 定例会議」と書かれている。
「それでは、定例会議を始めます!議題は、この学校の負債をどうやって返済していくか、です」
「はい!」
真っ先にセリカが手を挙げて発言した。
「では、黒見セリカさん」
「なんか堅苦しくない…?」
「一応会議ですので…あはは」
「んん゛っ…対策委員会の会計担当として言わせてもらうけど、この学校の財政は破産寸前としか言えないわ!このままじゃ廃校一直線よ!」
「まあ……そうだね」
「毎月の利息だけで788万…正直、今のやり方のままじゃ返済どころか利息の支払いすら追いつかないわ。これまでのように指名手配犯の捕縛や苦情処理、ボランティアだけじゃ限界がある…だからここで、ドカンと一発逆転を狙わないと!」
「それって例えば?」
セリカはチラシを自信満々に手に持って全員に見せる。
【ゲルマニウム麦飯石ブレスレットであなたも一攫千金!】
明らかに怪しいチラシを見せられたため、沈黙が空間を支配する。セリカ以外の全員は微妙な表情を浮かべていた。
「却下」
「セリカちゃん、それ詐欺られてるヤツだよ」
冷静にズバッと言うホシノと、手を頭の後ろに置いてクスクス笑う縢。それを聞いたセリカは自信満々な面が急にギョッとしたものに変わる。そこをノノミが容赦なく追撃する。
「それ悪徳商法ですよ☆」
「……ゑーーーーーーー!?そんなぁ…二つも買っちゃったのにぃ…」
思いっきり叫んでからへにゃへにゃに落胆するセリカ。
「セリカちゃん騙されちゃったんですね、かわいいです☆」
「えっと、それでは……黒見さんからの意見はこの辺で……他にご意見のある方……」
「はい!はいはぁい!」
「はい、小鳥遊さん、どうぞ。少し嫌な予感がしますが……」
頬に汗を浮かべながら眼鏡を白く光らせるアヤネを横にホシノは胸を張って応える。
「えっへん!我が校の一番の問題。それは全校生徒がここにいる五人だけってことなんだよねー。生徒の数=学校の力。トリニティやゲヘナみたいに生徒数を桁違いに増やせれば、毎月のお金でもかなりな金額になるはずだよ」
「えっ……そ、そうなんですか?」
「そうそう、だからまずは生徒の数を増やさないとねー。そうすれば連邦生徒会での発言権も与えられるし」
「でもそれってどうすんの?一年生二人しかいないってのに」
率直な疑問を投げかける縢。割と具体的な案だったのもあって期待していたが、そんな期待は次の瞬間無残に砕かれた。
「何も難しい話じゃないよ、生徒なら他校にいっぱいいるじゃん!」
「え…えと?」
「他校のバスをジャックして、アビドスへの転校手続き書にサインするまで降りられないようにすれば万事解決!生徒をいっぱい拉致れば数も増えて学費もガッポガッポ入ってくるよ〜」
よりによってその手段がとんでもなかった。ほとんどがあんぐりとした顔を見せる中、シロコだけが目を輝かせていた。
「ん、その案乗った。ホシノ先輩、どの学校にする?ゲヘナ?トリニティ?」
「なに乗り気になってんだよ!立場的にも倫理的にもダメに決まってるだろーが!」
「そ、そうですよ!他の学校を敵に回すようなものです!」
潜在犯とはいえ正義の側についていた縢のツッコミとアヤネの反対意見が上がる。シロコは渋々顔を俯かせ、ホシノはアホ毛がシナシナになる。
「うへぇ、やっぱりダメかぁ」
「当たりめーだろ!」
「ん、じゃあ次は私が…」
「はい、砂狼さん…次はまともな意見を…」
とため息混じりにアヤネが指名すると、シロコは紙袋を漁り始めた。すると机の上にニットでできた帽子が5つ置かれる。否、帽子ではなくそれは覆面だった。そしてシロコが口を開き、その覆面の用途も明らかになった。
「ん、銀行を襲うの」
「…へ?」
ぽかんとする縢。バスジャック脅迫とタメを張れる物騒な案が再び飛び出してきたことに脳が追いつかなかった。
「5分で1億は稼げる。この覆面はそのために作ってきた」
真顔ながら自信満々に胸を張るシロコが自ら青い覆面を身に着ける。もうこれから銀行強盗をしにいくと言わんばかりにアサルトライフルも構えていた。
「わぁ☆これ結構フィット感いいですね〜、プロレスラーみたいです☆」
「シロコちゃん器用だねぇ」
「先輩達物騒すぎるでしょ!」
ノノミとホシノが呑気に覆面をつけ、セリカはツッコミを入れ、アヤネはプルプル震え、縢は啞然としていた。そんな縢のところにシロコがやってくる。
「ん、先生のは間に合わなかった…ごめん」
「いや強盗とかやらねーよ!」
「代わりと言ってはアレだけど、これがある」
そう言って彼の前に置かれたのはツンツンした銀髪のウィッグに赤いカラコン、それと色白のファンデーションだった。
「覆面は間に合わなくても、変装の用意はできてる」
「あの…これってどういう?」
「先生、ちょっと試しにつけてみてよ〜」
言われるがままにウィッグをつけられ、カラコンを入れられ、ファンデーションで肌を白くさせられた。
「はい、出来上がりです☆それじゃそのまま鼻歌を歌ってこのセリフを…」台本スッ
「フンフンフンフンフンフンフンフンフンフンフンフンフ〜ンフフ〜ン(第九)……歌はいいねぇ、リ○ンの生み出した文化の極みだよ…そうは思わないかい?いかrってダメだろぉぉぉーー!!」
「あ、中断されちゃった」
「いや怒られるヤツだからこれ!!」
「再現度すごく高かったよ〜、これで写真とか撮れば写真集出せてお金いっぱい入ってきそうじゃない?」
「俺の犠牲で借金返済しようとしないでっ!」
声の関係で某最後のシ者のコスプレで銀行強盗を提案され、そこから転じて写真集刷って売る計画も浮上してしまった。
「そもそも銀行強盗で借金返済とかアウトでしょぉ!もっと真面目に考えてください!」
アヤネの声が響き渡る。シロコはまたしゅんとしてしまい、覆面を取り外す。
「ん、残念…いいアイデアだと思ったのに」
「はい!じゃあ次は私です!」
「じゃあ十六夜さん…はぁ…バスジャックと銀行強盗以外…いえ犯罪以外でお願いします」
もうツッコミにも疲れたアヤネはため息を隠すこともなくノノミを指名した。
「廃校を阻止するための健全な方法…それはずばり、アイドルです!」
「アイドル…?」
またもトンチキな案が飛び出し、啞然とする縢(渚カ○ルコス)。
「とあるアニメで見たんですけど、学校を復興する定番の方法はアイドルです!私たち全員がアイドルデビューすればきっと生徒数も増えてくれますよ!☆」
「却下〜」
「あら、これもダメなんですか?」
ホシノが机の上でだらーんとしながら却下した。
「なんで?ホシノ先輩なら特定のマニアに大ウケしそうなのに」
「うへ~、こんな貧弱な身体が好きとか言っちゃう輩なんて、人間としてダメっしょー。ないわー、ないない」
割と乗り気なセリカの疑問にホシノが答える。確かに犯罪係数高めの人間が好みそうではある、と縢は心のなかで思っていた。
「先生〜、今失礼なこと考えてなかった〜?」
ギロッと一瞬鋭い視線を向けるホシノ。
「いや別になんでもございません」
図星だったのか謎に改まる縢。
「そんなぁ、決めポーズも考えておいたのに……水着少女団のクリスティーナで~す♧」
「なにそれ、ダサいんだけど!」
「水着少女団ってなんですか!?」
割と不評らしく、ノノミは肩を落としてしまう。しかし視線の先にいた縢(渚○ヲルコス)を見て目を輝かせる。
「でしたら先生をアイドルに…☆」
「やらねーよ!てか歌わねーよ!!」
かなり強めに拒否された。それもそのはず、声の関係で(以下略)。
「えぇと……最後に、先生から何かありますか?」
「えー…んまあなんだろなぁ…そもそも借金の額がデカすぎるからなぁ……踏み倒せるようにするってのはどうよ?」
根本から解決する案を挙げる縢。その案に5人の視線が集中する。
「それって?」
「お前らの意見を聞いて考えが変わったわ。それに元々利率もヤバいところから見て真っ黒だろうし、債権者を殺れば…」
物騒な笑みを浮かべてドミネーターを握る縢。だが依然として残念ながらドミネーターは使えない。
「まさか先生、本気…?」
「そ、それは流石に…」
犯罪的な提案をしていた他の生徒達も流石に引いている。
「い、いい訳ないじゃないですかぁ!!特に先生が一番物騒です!しかもよりによって殺人だなんて!!」
ここで遂にアヤネの堪忍袋が爆裂し、必殺の卓袱台返しが発動した。
「出たー!アヤネちゃんのちゃぶ台返しー!」
「ん、いつもの」
「きゃあ、アヤネちゃんが怒りました!非常事態です!」
「うへ〜、キレのある返しができる子に育ってくれて、ママは嬉しいよ〜」
「誰がママですか!皆さん、もっと真面目に考えてください!!」
その声を最後に、愉快(?)な対策会議は幕を閉じることになり、お説教が始まった。
柴関ラーメン
「悪かったってアヤネちゃん」
「………」ムスー
対策委員会のみんなでラーメンを食べに来た。縢は頬を膨らませているアヤネの頭をぽすぽす撫でながら機嫌を取っている。厨房にいるセリカにもはっきり見えていた。
「ん、先生…私も同じことやってほしい」
「いやシロコちゃん、ここは一番先輩のおじさんが〜…」
「ふふ、先生は私を撫でるのが好きですよね〜?☆」
「いやそもそもなんで俺こんなに人気集まってるの…」
しかも未だ最後のシ者のコスプレを続けたままだった。厨房から大将の声がちょっと聞こえてきた。
「はっは、まさか第1の使徒さんが訪れるとはね、サービスで箸を赤い槍に変えてみても良さそうじゃないか?」
「いや大将、妙なこと考えないでください。それに二股の槍でラーメンとか絶対啜れないですって」
「同じの二本用意すりゃなんとかなるさ」
「それじゃ第1から第13に落とされちゃいますよ!」
そんなこんなでいつもの愉快な光景。そんな中ガラガラと引き戸をゆっくり開ける音が空間に響く。
「いらっしゃいませ!何名様ですか?」
「……こ、ここで一番安いメニューって、お、お幾らですか…?」
「一番安いメニュー?でしたら、580円の柴関ラーメンです。看板メニューなので、美味しいですよ!」
顔を覗かせた紫髪の少女が一瞬お辞儀すると扉を閉め、それから再び開けると彼女含めて4人の少女達が店に入ってきた。濃いピンク髪の背の高い高飛車っぽい少女を中心に、灰色ポニテの小柄な少女、白髪と黒の混ざったパーカーの気怠げな少女が追加で入ってくる。
「くふふ〜…やっと見つかった、600円以下のメニュー!」
「ふふふ、言ったでしょう?何事にも解決策はあるのよ、全部想定内だわ!」
「はぁ…」
「そ、そうだったのですね…さすが社長…!何でもご存じですね…!」
社長というあたり、どこかの経営者らしいがメニューの値段を気にしているところに縢は眉を顰めた。
「四名様ですか?お席にご案内しますね」
「んーん、どうせ一杯しか頼まないし大丈夫だよ」
「一杯だけ…?でも、どうせならごゆっくりお席にどうぞ。今は暇な時間なので、空いてる席も多いですし」
「おー、親切な店員さんだね!ありがとう、それじゃあお言葉に甘えて」
セリカの案内で縢達の近くに4人が座る。
「あ、ワガママのついでに、箸は四膳でよろしく。優しいバイトちゃん」
「えっ、四膳ですか?ま、まさか一杯を四人で分け合うつもりで…?」
「ご、ご、ごめんなさいっ、貧乏ですみません!!お金がなくてすみません!!」
「あ、い、いや……!その、別にそう謝らなくても……」
「いいえ!お金がないのは首がないのも同じ!生きる資格なんてないんです!ムシケラにも劣る存在なのです!ムシケラ以下ですみません……!」
「はあ…ちょっと声デカいよ、ハルカ…周りに迷惑……」
どうやらかなり極限状態らしい。そんな彼女達を前に、セリカは元気づける言葉をかけた。
「そんな!お金がないのは罪じゃないよ!胸を張って!」
「は、はい……!?」
「お金は天下の回りもの、ってね。そもそもまだ学生なんだし! それでも、小銭をかき集めて食べに来てくれたんでしょ?そういうのが大事なんだよ!もう少し待っててね。すぐ持ってくるから!」
一番借金返済に奔走してるセリカの言葉の重みは凄かった。
「なんか妙な勘違いをされてる……?」
「まぁ、私たちもいつもはそんなに貧乏ってわけじゃないんだけどね。しいて言えば、金遣いの荒いアルちゃんのせいだし」
そのまま厨房に戻ったセリカは大将にお願いをし、間もなくラーメンが運ばれてくる。
「お待たせしました!熱いので気を付けてください!」
気前の良い声と共に運ばれてきたラーメンは凄まじいビジュアルだった。頭頂高50cmくらいはありそうな麺の山。具もたっぷり乗せられている。
「ひぇっ!?何これ!?ラーメン超大盛じゃん!」
「ざっと、十人前はあるね……」
ビビるような反応を見せた灰色の髪の少女と白黒髪の少女。その横で紫髪の少女は震えた声を出してしまう。
「こ、これはオーダーミス…なのでは?こんなの食べるお金、ありませんよぅ……」
セリカは笑顔で4人の前で首を振り、厨房に向けて確認を取る。
「いやいや、これで合ってますって!580円の紫関ラーメン並、ですよね、大将?」
「ああ、ちょいと手元が狂って量が増えちまったんだ。気にしないでくれよ嬢ちゃん達」
大将のイケてるメンタルによる無償のサービスが彼女達の頬に熱を取り戻させる。すぐさま笑顔になり、ラーメンタワーに目を輝かせていた。
「大将もああ言ってるんだから遠慮しないで!それじゃ、ごゆっくりどうぞー!」
聳え立つラーメン。正直4人でも食べ切れるか怪しい量だが、そんなのは彼女達の前では関係なかった。お腹の鳴る音が食事のゴングとなり、一斉に箸を取った。
「よくわかんないけど、ラッキー!いっただきまーす!」
「ふふふ、流石にこれは想定外だったケド…厚意に応えて、ありがたく頂かないとね」
「食べよう!」
麺を箸で掴み、ちゅるんという音と共に口の中へと吸い込んでいく。跳ねるスープの雫が頬に付着するのも気にせず、胃袋のなかに麺が入っていく。
「っ…おいしい…!」
言葉を失うほどの一瞬の静寂と共に旨味が舌の上で弾ける。少年誌の料理漫画だったら服が弾け飛ぶような感じの刹那だった。
「結構イケるじゃん?こんな辺鄙な場所なのに、このクオリティなんて」
「でしょう?おいしいでしょう?☆」
隣席からノノミが笑顔で身を乗り出して話しかけていた。麺を頬張っているアヤネやシロコ、ホシノの視線も4人に注がれていた。
「うんうん、ここのラーメンは本当に最高なんです。遠くからわざわざ来るお客さんもいるんですよ」
「えぇ、わかるわ…色んなところで色んなものを食べてきたけど、このレベルのラーメンはなかなかお目にかかれないもの」
「えへへ…私たち、ここの常連なんです。他の学校の皆さんに食べていただけるなんて、なんか嬉しいです」
他愛のない会話を繰り広げながら食事を楽しむ一同。そんな中、白黒髪の少女の視線が少し鋭くなる。
(あれ、連中の制服……)
隣の灰色の髪の少女と目を合わせる。
(あれ……?ほんとだ)
彼女達の制服がアビドスのものだと言うことを察した。そして奥に座っている男性の姿も。
(いや、まって…なんでアビドスの連中と一緒に…)
(某最後のシ者がいるの…!?)
その格好に驚いて思わず凝視してしまった。そんな縢はすぐ視線を返すと、二人はすぐ視線を外した。まるで遠方から観察してたのがバレたときのミ○トさんみたいに。
「アルちゃんは気づいてないみたいだけど?」
「これ…言うべき?」
「面白いから放っておこ♪」
「はぁ……」
「ありがとうございましたー!」
「お仕事うまく行くといいですね☆」
「ふふ、あなた達の学校の復興も応援してるわ!」
先ほどの少女達はそのまま退店するとお腹をさすりながら4人並んで道を歩いていた。
「ふぅ……良い人たちだったわね」
「ところで社長……あの子たちの制服、気付いた?」
「え、制服?何が?」
「アビドスだよ、アイツら」
瞬間、ピンク髪の少女の脳内が真っ白になり、直後に瞳を真っ白にして衝撃を受けた。
「な…ななな、なんですってーーー!?」
便利屋68社長・陸八魔アルのお家芸が炸裂し、聞きなれたBGMと共に叫び声が木霊した。
「あっはは、アルちゃん気付かなかったんだ~♪」
小悪魔みたいに笑う室長・浅黄ムツキが、膝から倒れこんだアルを見下ろしてクスクス笑う。
「はぁ…事前に仲良くしちゃって、彼女たちに何て説明するつもりなの…」
溜息をつきながら課長・鬼方カヨコがアルの肩をぽんと叩く。
「ア、アル様…そんな肩を落とさないでください…!」
元気づけるように不器用な声で平社員・伊草ハルカがアルに語り掛ける。
「アビドスの子って…次の依頼のターゲットじゃないの!!」
「そうだよ、だから社長メンタルやられるんじゃないかって…はぁ…」
頭を押さえながらカヨコは溜息をつく。
「どうするアルちゃん?依頼ほっぽり出しちゃう?」
ムツキが意地悪に聞いてくるが、アルは一呼吸置くと肩に力を入れなおして立ち上がる。
「私達は便利屋68…金さえ貰えばなんでもするアウトロー……このままじゃダメよアル!もうバイトの傭兵も雇っちゃったし、こうなりゃやるしかないわ!」
アウトローらしく決め台詞を叫ぶアルだったが、気まずそうな声の震えは隠せていなかった。
「そういえば、アビドスの子達と一緒にいた銀髪の男性って…」
「それ、確かに誰なんだろ?天空から赤い槍投げてきそうな…」
縢のことについての言及はそれ以上なかった。シャーレの先生としての情報にあった橙色の髪の男性とは思いっきり違っていたからという部分が一番大きかった。
それからしばらくして、アビドス校舎の教室にて
「校舎南より、15km地点から大規模な兵力を確認!」
アヤネの声と共に、数十人規模の小隊の姿がアビドスの砂に覆われた道路を進んでいく様子がモニターに映し出された。
「まさか、ヘルメット団?」
「違います!ヘルメット団ではありません!この装備は……傭兵です!おそらく日雇いの傭兵かと!」
「へぇー、傭兵かあ。結構高い筈なんだけど」
新たなる脅威の出現に、食後でだらけていた対策委員会に緊張が走る。
「先生、出撃命令を!襲撃をかけられる前に打って出ます!」
「ちょっと待ってろ、カラコン外すの手間取ってて…いって!」
ウィッグを外し、メイクを落としてカラコンを鏡とにらめっこしながら頑張って取り外している縢だった。
「もう、はやくしてください!」
「っと、取れた…よし、ブッ飛ばしに行くぞおめーら!」
腰のホルスターにドミネーター、両手にM93RとM950Aを手に、縢の号令で対策委員会は校門の前へと飛び出した。
『前方に傭兵を率いてる集団を発見しました!あれは…』
「あれ、さっきのラーメン屋さんの…?」
傭兵集団の先頭に立っていた4人組の姿がはっきりと視界内に映る。先程のラーメン屋で談笑していた便利屋の面々だった。
「ぐ、ぐぐっ…」
アルはやはりというか気まずそうな顔を隠せなかった。
「誰かと思えばアンタ達だったのね!ラーメン無料で特盛にしてあげたのに!この恩知らず!」
「ぐっ…」
気まずそうな顔を崩さないアルの横でムツキが笑いながら応える。
「あはは、その件についてはありがと。まあでもそれはそれ、これはこれ…こっちも仕事でさー」
ムツキは機関銃「トリックオアトリック」のマガジンをセットする。
「残念だけど公私はハッキリ区別しないと…受けた仕事はキッチリこなす、それが便利屋68のモットー……でしょ?社長」
カヨコは手持ちの拳銃「デモンズロア」のスライドを引く。
「……うふふ……そうよ。それが私たちのモットー!よくわかってるじゃないカヨコ!」
アルは狙撃銃「ワインレッド・アドマイアー」のコッキングレバーを引く。
「もう!高校生ならもっと健全なアルバイトとかあったでしょう!」
ぷんすこ怒るノノミの様子はまるで母親みたいだった。
「ちょっ…アルバイトじゃないわ!れっきとしたビジネスよ!肩書だってあるんだから!私は社長!」
アルは胸を張って笑顔で肩書を言う。
「あっちが室長で、こっちが課長…」
ムツキをカヨコを指さす姿をハルカが後ろからワクワクした表情で見つめていた。次は自分の肩書を紹介される番だからと期待に満ちた目をしていた。
「はぁ、社長…ここでそういう風に言っちゃうと余計薄っぺらく聞こえるよ…」
「てめーらどこのどいつからの差し金だ?」
しかしそのまま会話が始まってしまったため、ハルカの肩書は紹介されることがなかった。わかりやすくアルの後ろでしゅんとするハルカ。
「ん、答えないなら、答えたくなるまで…力づくで」
「させてたまるもんですか!総員、攻撃!」
アルの合図で傭兵達がずらっと陣形を作り、そのまま一気に攻撃を開始した。しかし、ホシノの盾で銃撃はカバーされ、隙を見て一気にシロコのアサルトライフル「WHITE FANG 465」とセリカのアサルトライフル「シンシアリティ」の銃撃が的確に傭兵の頭部を打ち抜いて無力化していく。
「ん、こういうのは慣れてる」
「次からラーメンの料金2倍にするわよ!」
「えっ!?そ、それは…」
「今だ!」
セリカの言葉で動揺を誘われたアルの指示が一瞬鈍る。そこを縢の猟犬の目は逃さない。銃撃の雨を接近しつつ回避し、近距離からドミネーターでぶん殴ったあとにM93Rの三点バーストで的確に傭兵達を無力化していく。
「アルちゃん、口車に乗せられちゃダメじゃん!」
「うっ…悪かったわね!」
すぐさまアルは狙撃銃「ワインレッド・アドマイアー」を片手で構えて狙いを定めるが、その前に縢の指示が狙撃を妨害する。
「アヤネちゃん、障害物を!」
『はい!』
アヤネのドローンで敵側のバリゲードを砲撃して粉砕し、砂煙と瓦礫の飛散による妨害の壁を作る。
「ノノミちゃん!」
「行きまーす☆」
その隙にノノミのミニガン「リトルマシンガンV」の一斉掃射で巻き上がった瓦礫を砕きながらの面制圧で大勢の傭兵を次々に薙ぎ倒していく。
「つ、強くない…!?思ってたのと違うんだけど!?」
「くふふ、じゃあここはムツキちゃんの番だね~」
ムツキは悪戯っぽく笑うと、爆弾の詰まったバッグを前方に放り投げる。
「邪魔だ!」
しかし一瞬でやばいものがあると察した縢がドミネーターでそのバッグをぶん殴り、空中を舞うバッグはホシノのショットガン「Eye of Horus」の射撃で誰にも当たらず爆散した。
「ナイスアシスト、ホシノちゃん!」
「うへ~、先生もいい動きするじゃん」
「へぇ…やるじゃん」
そんなこんなで想定外の粘りを見せる対策委員会の面々を相手に、時間が刻一刻と過ぎていった。そして…
\キーンコーンカーンコーン/
「あ、定時だ」
「今日の日当だとここまで…あとは自分たちでどうぞ。んじゃ」
先程までドンパチやっていた傭兵達は急に冷静になって戦場から次々と離脱していく。
「はぁ!?ちょ、ちょっと待って!」
アルの叫びも空しく、チャイムの音と共に帰っていく傭兵集団。時間にはシビアらしく、とても傭兵に向いている意識の持ち主達だった。
「そば食べよっかあとで」
「いいね、いこ」
「こらー!ちょ、帰らないで!帰っちゃダメだって!」
白目を剝きながら叫ぶアルの姿は夕日が照らすのも相まって謎に哀愁を漂わせるものだった。
「…これは……」
「ここまで粘られるなんてね、どうするアルちゃん?逃げる?」
カヨコもムツキも傭兵がいない今の状態が不利なのは既に察していた。それでも一応リーダーのアルに確認をとる。
「こ、これで終わったと思わないことね!」
「プッ、三流の悪役かよ、拍子抜けだな」
縢の零した言葉が思いっきりアルの心臓を貫いていた。
「うっ…うるさい!逃げ…じゃなくて戦略的撤退よ!退却!」
その声を最後に、アルは他の便利屋メンバーを率いてその場から撤退した。
「うへ、逃げ足はやいね~」
『なんとかなりました…ですが困りましたね、妙な便利屋に目を付けられるなんて…いったい何が起きてるんでしょう…?』
「あのアルちゃんって子の身元を洗えば多分雇い主の情報とかにありつけると思うぜ、とりま中に入ろう」
縢は銃をしまいながら生徒達を率いて校舎へと戻っていった。
対策委員会の教室にて
「そういやみんなって武器の名前どうしてんの?」
「ん、先生気になるの?」
「自分の武器に名前つけんのってロマンあるじゃん、参考にさせてほしいだけだよ…ドミネーターはもう決まってるからいいとしてっと」
縢は自分の持っている武器を机の上に並べた。ドミネーターとM93RとM950A。ドミネーターはそのままだが、残りの銃はカッパーオレンジの彼の髪色と同じ塗装がされている。また、ところどころに厚生省公安局のシンボルカラーのライトブルーのアクセントが入っていた。またそれぞれのグリップの方には好きな怪獣の刻印が彫られていた。その刻印の面影は犬っぽかった。
「ん、私の銃はこれ。名前は『WHITE FANG 465』だよ」
「私のは『リトルマシンガンV』です☆」
「おじさんの銃は『Eye of Horus』だよ、かっこいいでしょ~」
「私のは『シンシアリティ』よ、『誠実、正直』って意味よ!」
「私の銃は『コモンセンス』、意味は『常識、良識』です」
それぞれの銃の名前を聞きながら自分も頭を捻って思案を巡らせる。そして黙ってから数分、ようやく縢は顔を上げた。
「みんなそれぞれの武器の名前が使い手を表してるように聞こえるから、俺もその法則で行くわ」
「ってことは、決まったんですか?」
「おうよ、こっちは…」
ベレッタM93Rを手に取り、名前をつける。
「『Mischief Hound』、悪戯好きの猟犬……そしてこっちは」
キャリコM950Aを手に取り、名前をつける。
「『Sinner's Predator』、罪人の捕食者…どうだ?」
誇らしげで無邪気さの残る笑顔を浮かべながら、生徒達の反応を伺う。
「ん、いいと思う」
「かっこいいですね!」
「け、結構悪くないじゃない…」
「うへ、これで先生の相棒も立派に活躍できそうだねぇ」
「じゃあ先生の銃の名前が決まった記念で、ジュース乾杯しますか!☆」
ノノミが缶ジュースの入った箱を持っていた。準備がいい。
「ちょ、一応また危機を乗り越えたことの乾杯じゃなかった!?」
「ん、細かいことは気にしない」
「それじゃ先生~、乾杯の音頭を~」
全員が缶ジュースを掲げて机を囲む。
「んじゃ、今回の脅威を退けられたことと、俺の銃の名前が決まったことに…乾杯!」
「「「「「乾杯!」」」」」
おつかれでした( ᐡ. ̫ .ᐡ )
縢くんの銃の名前はもう結構考えました。
ベレッタM93R『Mischief Hound』
キャリコM950A『Sinner's Predator』
こうすればわかりやすいかな。
今回縢くんにカ○ルくんのコスさせたせいでギャグ増えた気がするけどいいよね?( ᐡ. ̫ .ᐡ )
空気感が途中からちょっと〇魂に片足突っ込んでた気がするけど僕は振り返らない。てか銀〇だったらヅラ出せ。
さて銃の名前決めたところで、ドミネーターはどうやって使えるようにするか…大体考えたけど本格的に使えるようになるまでそこそこ先になるかな…まあ、盛り上がるタイミングで使えるようにしたいなとは思ってます( ᐡ. ̫ .ᐡ )
ではまた次回。今年もよろしく( ᐡ. ̫ .ᐡ )