仮面ライダーガッコロン - GAKCOLON(伏見翔流版)   作:伏見翔流

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初二次創作です。まさか初二次創作SSがヒカキン氏関連の作品になるとは。


EPISODE:01「銀変身!Youtuperにして仮面ライダー!」

…………雨が、降り注いでいた。

それはまるで、封じ込められていたものが解き放たれたように、とめどなく、東京の街を濡らしていた。

「歴史は繰り返す。歴史とは、人類の過ちと崩壊の記録なのだ……」

雨が降る渋谷に(そび)え立つ高層ビルの屋上から、黒いフードのついたレインコートに身を包んだ背の高い青年が(つぶや)いた。低温の中にも若さを残したその声は、過ぎ去ったものを悔やむような、見透かした全ての果てを憂い悩むような、悲し気な声色をしていた。

「やっと落ち着いた……。■■■!」

どこからか、張り裂けそうな別の声色が飛び込んできた。屋上へ繋がった扉を開けてやって来たのは、白いジャンパーに紺色のスラックス、透き通る水色のロングヘアをした、儚げな空気を身にまとった美女。

「お願い■■■!もうこんなことはやめて!」

「お前は……。まだ追って来ていたのか……」

「目を()ましてよ!あなたはそんな人じゃなかったでしょ……!?」

「いつの時代の話をしている?あの時代のコイツは、俺が殺したはずだ……」

美女は悲痛に声を震えさせ、息を切らしながら青年に叫んだ。しかしその言葉は、青年には届く様子はない。変わらずに背を向けたまま、街を見下ろし続けている。

「もう一度言う。俺の邪魔をするな。もし再び俺の前に現れようものなら……、次は過去にも未来にも居られないと思え……」

青年は強い口調で、しかし静けさを崩さずに美女に言い放ち、グラッと身体を揺らげたかと思うと、美女の視界から姿を消した。

「どうしよう……。このままじゃ……、この世界が……、この時代がなくなっちゃう……!」

美女は膝からへたり込むと、左腕に取り付けた腕時計型のデバイスを一瞥(いちべつ)した。青緑色の画面には、デジタルフォントで「2019」と右上に、その横には、ピースサインを作りながら満点の笑顔で笑っている一人の男の写真……。

「やっぱり……、止められるのは彼しか……」

美女はデバイスの電源を落とすと、懐から銀色のスマートフォンに似た機器を取り出した。表示された画面には、美女と同じ笑顔を作っている、サングラスをかけた青年の姿があった。

「必ず連れ戻すからね……」

美女は、雨が降る鈍色の空を見上げた。雨は美女の運命を知っているのか、どこか揶揄うように、その雫を重く、冷たくしていた……。

 

 

 

 

─────・・・EPISODE.0:1「銀変身!(ユーチューパー)にして仮面ライダー」・・・──────

 

 

 

2019年。

「よし!今日投稿する動画の編集終わりっと。この後は渋谷のロフトの雑貨コーナーで動画のネタを買いつつ食料品も買わなきゃな……」

真っ白な壁紙が広がる正方形の部屋の片隅。ノートパソコンに映った動画編集ソフトの画面。パソコンの横で積み上がった、缶コーヒーや栄養ドリンクの空き缶。

背もたれに身体を預けながら、残り一口の栄養ドリンクを飲み干す。柑橘系の甘酸っぱさが口の中でじんわりと広がり、長時間のデスクワークに疲れた身体に染み渡っていくのが分かる。

「投稿してと……。よし。シャワー浴びて買い物行くか……!」

動画投稿サイトYoutupeに編集した動画を投稿する。投稿した画面には、過去に毎日投稿してきた様々な企画に挑戦した動画の数々と、一番上にあるプロフィール画面。「今日も頑張った」と自分に言い聞かせつつ、タオルと髭剃りを持ってシャワールームまで向かった。

彼の名前は、平野(ひらの)(あきら)。またの名を、大人気Youtuper・ヒラキン。チャンネル登録者数二千万人にのぼる超有名動画投稿者であり、今や動画投稿者と言えば彼の名前が真っ先に出てくるほどの、Youtuperを代表する存在とも言える。

投稿している動画も様々であり、商品レビューや日常はもちろん、飼っている猫「まるまる」と「もふも」の成長日記、ゲーム実況、時には仲のいい動画投稿者仲間とのコラボ動画まで多岐に渡っている。

またシンガーソングライターとしても活動しており、実の兄であるシェイキンとの楽曲『INFERNO』のミュージックビデオを撮影・公開したことで注目された。

シャワーからあがり、着替えを済ませる。すっかり眠気や疲れも軽くなり、出かける支度も済ませた。玄関に立ってドアを開ける。今日もいい天気だ。

「今日も何か、いいことあるといいな」そう思いながら、明は街へと歩き出していった。

 

「あ!あ~!!1つ気付いちゃった!これ!動画のネタが無いッ!」

明の行きつけである渋谷のロフトの雑貨コーナーや、ショッピングモールなどを小一時間巡ったものの、思うような動画の企画は思いつかず、明は腕を組んで考えていた。このまま今日は食料品を買い込んで、そのあとはゲーム実況の方に力を入れるべきか。それともまるまるともふもの成長日記を撮影するか……。それらしいアイデアを考えるものの、どれもありきたりだと思い、納得がいかなかった。納得がいかない状態で、動画を作ってもいいものは生まれない。明は悔やみつつも、今日はゲーム実況を頑張ろうと思い、食料品を買いに行くことにした。

「ブルガリアヨーグルト!これ、小っちゃい頃から好きなんすよね~」

お気に入りのスーパーのひとつ「パンパンボム」で必要な食料品を揃えた明は、家へと帰ろうと店を出た。気が付けば時刻は既に十二時を過ぎており、お腹も減ってきた。昼食は、ここから徒歩で着くカレー屋に決めた。

「いやぁ美味しかったぁ。ここのカツカレー、ワンコインなのに最高に美味いなぁ。そうに決まってる」

美味いカツカレーで腹を満たした明は、この後に家事や撮影を控えていることも考えて早めに帰宅することにした。この後の予定としては、洗濯や掃除器などの家事を済ませたら、ゲーム実況の部屋で人気ホラーゲームの実況動画を撮影し、そのまま流れるように編集し、ゲーム実況チャンネルに投稿する。それから、撮りためていた動画の編集にしばらく時間を使う。という流れだ。

自身の楽曲をイヤホンに流しながら、頭の中で特技であるビートボックスを流す。好きな曲にビートが重なれば、どんな時でも心が元気になる。明にとって、音楽も動画と同じくらい大切なものだった。

……家まであと少しとなった帰路の途中のことだった。

「キャァァァァァァァァァァァァ!助けてェェェェェェ!」

「何だ!?」

ふとどこからか、女性の甲高い悲鳴が響き渡った。それはイヤホンに耳を塞いでいた明にも届くほどで、その悲鳴に続くタイミングで、次々に人々が何かから逃げ惑う様子が目に映った。

明には、何が何だか全く分からなかった。彼はイヤホンを外してポケットにしまうと、逃げていた途中の男性に何があったのかを訊ねた。

「向こうに……!火を噴くバケモノが出たんだァ!逃げろォォォ!」

「ば、バケモノ……!?」

明は我が耳を疑った。バケモノだって……?そんな特撮じゃあるまいし。そんなことがあるはずがない。あるとしたらそれはきっとドラマか映画の撮影だろう。

明は半信半疑で人々が逃げてきた方向へと向かって行った。好奇心か怖いもの見たさかが、明の歩を進めていた。

彼が向かった先にあったもの……。その光景に、明は思わず腰を抜かした。

「ワーッ!ヘッヘッヘッヘッ!?」

驚きのあまり、自分でも知らない声が出てしまう。

そこには、異形の姿をした禍々しい怪物が小さな女の子を人質に、街中に炎を噴射して暴れまわっていた。

「グガアアアア!」

「ママぁ~!ママぁ!ママぁ……!」

女の子は泣き叫びながら助けを呼んでいる。しかし、その声は届いでも、助けは来ない……。

「どうしよう!どうしよう!どうしよう……!」

明は恐怖に震えている。怪物は禍々しい声を上げながら破壊の限りを続ける。どうすればいいのか……。目の前で助けを必要としているのに、何も出来ない無力感……。彼はへたり込んでしまう。

「何でこんなことに……。いつもの楽しい一日だと思ったのに……。こんなことが起こるなんて……」

明は悲しみと恐怖のあまり、声を震わせながら全身全霊でこう叫んだ。

 

「タイムスリップしたい───────!

        タイムスリップしたいよ…………」

 

そう叫んだ瞬間、彼の周りの時空がぐにゃりと歪み、飛び散るガラス片や瓦礫がどろりと動きを止め、彼以外の全ての時間が一時的に止まった。

「な、なんだ?何が起こった……?」

明は何が起こったのか理解できず、さらに困惑していた。何があったのか辺りを見渡していると、彼の元にひとつの人影が近づいて来た。

「やっと見つけた……。平野、明さん……」

そう言った人影の正体は、透き通る水色のロングヘアに白いジャンパー、紺色のスラックスを穿いた美女だった。

「え……?あなたは誰です……?」

明は彼女の顔を見ていた。その儚げな美しさに見惚れてしまうが、彼女の姿には少しも見覚えがない。なぜ自分の前に現れたのかも、全く見当がつかない。

「私の名前はPOMM(ポン)。2022年の未来から来たの」

「み、未来から……!?そんなバカな……」

「今は信じられないかもしれない。でも、今起きていることを考えれば、ない話とは思えないでしょ?」

ポンと名乗った美女は(どこか大雑把に)状況を説明した。どうやら彼女曰く、未来の世界で「オールスターダスト計画(通称:PROJECT:ASD)」と呼ばれる大規模テロが動き出しており、人類が滅亡する危機に晒されているという。

警察や軍隊でも阻止できない凶悪な相手だが、彼に唯一太刀打ちできるという人物がいるという。

「それが〝過去と未来の狭間に選ばれた戦士・仮面ライダーガッコロン〟なのよ……!」

「な、何を言って……」

細かく知らされたとて、瞬時に理解できるような内容ではない。明は、これは夢なのではないかとも思い始めていた。しかし、頬をつねってみてもどうしても、これは紛れもない現実のようらしい……。

「あなたは運命に導かれたの。どういうものかは私にも分からない……。でも、あの時代でアイツと渡り合えていた戦士の姿は……、あなたによく似ていたの。だからお願い!未来を変えるために、力を貸して……!」

「……俺が、戦うのか!?」

「そうよ。このジクウドライバーと、ガッコロンライドウォッチで……!」

ポンが明に差し出した、白い腕時計に似たデザインのベルトと、懐中時計型の緑色のアイテム。それを受け取った時、明の身体中に不思議と広がっていく何かを感じた。そして、誰に教わることもなく、自然と、ベルトを腰に当てがい、装着していた。

「何が何だか、まだよく分かねぇ。でも……、俺にしか出来ないって言うなら……、止めるさ。止めてみせる」

その瞬間、停止していた時空の歪みが元に戻った。ベルトとライドウォッチを手にした明を見た怪物は、まるで狼狽えるような素振りを見せている。

「……俺に出来ないことはねぇ」

 

──────ジクウドライバー!

 

ベルトから近未来的な起動音が鳴る。

そして明は右手にライドウォッチを持つと、親指を使って天盤を時計回りに回転させた。すると、それまで年代が浮かんでいた正面は、ガッコロンと思われるマスクの顔へと変わる……。

 

───────ガッコロン!

 

天面のボタンを押し、ウォッチを起動させる。

そして、ベルトの左側のレーンへと、ライドウォッチをセットした。

真ん中の電光表示に矢印が表示さると、それとと共に明の背後に大きな歯車やぐるぐると回る時計などが機械的に動いており、明の身体に力を与えていた。

 

「銀変身!!!」

 

明が叫ぶ。そしてベルトを、三百六十度ぐるりと回転させた。

 

───────ライダータイム!

       仮面ライダーガッコロン!!!

 

彼の周囲を装甲が飛び回り、彼の五体にまとわりつく。足から順に、身体を緑のアーマーで覆っていく。そして最後に、顔に仮面が装着された。

「ナ……!ナンダ……!」

怪物は初めて驚きの声を上げた。その隙をついて、女の子は怪物のところから逃げ出し、ポンの背後に隠れた。

「ブンブンハローヴィラン!俺の名はガッコロン……。仮面ライダーガッコロンだ……!」

動画投稿者・平野明が、歴史のために戦う戦士・仮面ライダーガッコロンへとなった瞬間だった……。

 

 

 

 

 

 

 

 

それではまた次回─────See you next time……。




『仮面ライダーガッコロン』はフィクションです。
実在する『仮面ライダージオウ』とは何の関係もありません。
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