仮面ライダー 死神博士はショッカー勝利の夢を見るか? 作:ノザ鬼
▶失敗
「くそっ!」
悪態を付きながら、鼻まで覆う銀色のヘルメットを無造作に脱ぎ捨てる。
それに付いた天井から伸びる無数のコードが空中へとぶら下げた。
それは、怒りの感情であるのは誰が見ても解った…。
が、その場に居たのは本人だけである。
椅子の肘掛けに、
「はぁ…。」
乗せた腕に、
「はぁ…。」
力を込め体を起こす。
前屈みになりながら、
「また、駄目じゃった…。」
髪の毛を掻きむしる。
そのまま目を閉じ固まる…。
それは、思考の底へ深く潜る動作。
暫時…。
突如!
見開いた目に、
『クワッ!』
灯るのは何の光であろうか…。
ゆっくりと立ち上がり、大部分を本の山に占領されたテーブルへと向かう。
右手で、
「ええい!」
払われた本の山が、
『ドサドサッ!』
怒りを受け止め床へと落下する。
それで、怒りが幾分治まったか、
「き、記録せねば…。」
マイクを取り、
『ガチャ。』
オープンリールのテープレコーダーの録音スイッチを押した。
「第1080回目…。」
「今回は、上手く行った…。」
「と…。」
「思われたが…。
「やはり、仮面ライダーが現れ阻止された…。」
「今回も仮面ライダーを造らなかったはずなのに…。」
紹介が遅れました。
この男…、
いや、老人は【死神博士】と呼ばれるショッカーの幹部である。
その詳しくは、ネットで検索して欲しい。
私が書くよりも詳しい情報が得られるだろう。
▶副産物
少し前に時間を戻そう…。
ショッカーが壊滅する過去を改変するために作られた【歴史改変装置】。
その装置で得られた勝利!
しかし、仮面ライダー達の活躍…。
いや、ショッカー側から言えば妨害により、またも敗北してしまった。
だが、敗北の中にも希望が生まれていた。
それは、歴史改変装置の副産物とでも呼べるモノ…。
世界線を構築する機能…。
あらゆる可能性を試せると言う事であった。
そう…。
ショッカーが壊滅しない過去を探せるのである。
この事に気が付いた死神博士は、何度も…、
何度も…、
何度も…、
何度……、
何………、
…………、
そう、今回でで1080回も試行錯誤している。
そして、現在…。
録音機の停止ボタンを、
『ガチャリ…。』
押した直後。
▶閃き
死神博士の脳天に雷が落ちた!
当然、比喩表現である。
平たく言えば…
閃いた!
と言う事である。
「そ、そうか!」
「仮面ライダーを排除しようとするからいけないんじゃな!」
「奴らを違う形で存在させれば…。」
「あるいは…。」
その目の怒りは消え、希望の様な…、
どちらかと言うと、野望であろうか…、
そんな光を宿しながら、先程の椅子へと戻る。
椅子へ座ると、
「そうじゃ…。」
天井からコードでぶら下がる銀色のヘルメットを、
「この方法なら…。」
被り直した。
見える口元に、
『ニヤリ…。』
浮かぶ、
「待っていろ仮面ライダー!」
不敵な笑いは、
「今度こそ!我々ショッカーの勝ちじゃ!」
勝利を確信していた。
▶特撮ヒーロー
お馴染みのオープニング曲の乗せ、バイクで疾走するのは…、
ご存知…、
仮面ライダー1号!
である。
それは、テレビの前の子供達を夢中にさせるヒーロー!
お茶の間で、
「いけ!」
叫ぶ男の子は、
「仮面ライダー!」
熱中する。
当然の様に、
「とう!」
手を振り回し、
「たぁ!」
脚を上げる。
あたかも、自分が仮面ライダーになった様に…。
しかし…、
この男の子に限っては夢中ではなく…、
熱狂…、
悪い表現なら…、
中毒…、
であろうか…。
いや…、
適切な表現では無い…、
ならば…、
正しいのは?
そう問われれば…、
【愛】
それ以外に我々には表現する言葉が見つからない…、
としか言えないであろう…。
この特撮ヒーローとの出会いが、この男の子の未来を変えるのは、必然であった。
▶計算外
最初は、噂であった…。
それは、休憩中の他愛ない会話。
それが、広まり誰もが知る程に…。
当事者達は口を噤んで報告しなかったが、[世間の口に戸口は立てられぬ]の諺(ことわざ)の如く…。
噂は、広がって行った…。
そして、現代の情報化社会…。
あらゆる事をネットに上げる現代人のお蔭か…、拡散のスピードは早かった。
パソコンのモニターの前で、
「ま、まさか…。」
驚愕表情で固まるのは…、
死神博士
本人であった。
ゆっくりと、
「か…、」
開いた口から漏れたのは、
「仮面ライダーが…、」
驚きを超え、
「現れたじゃと…。」
放心の域へと彼を誘う。
▶世界線
放心から、
「いや…。」
ゆっくりと、
「馬鹿な…。」
立ち直る死神博士は、
「現実に、仮面ライダーが現れるとは…。」
状況を整理していく。
それは、お約束であろうか…、自分の行った作戦を独語していく…。
「仮面ライダーを造らない世界線でも、奴らは何処からか現れ邪魔をする…。」
「そんな失敗から…。」
「仮面ライダーを特撮ヒーローとしてテレビの中に閉じ込めたはずなのに…。」
「何故、現実に仮面ライダーが現れるんじゃ…。」
最後は、思考が追い付かずに、現実に起こった事をなぞるだけになっていた。
そう、ここは…。
死神博士の試みる第1081回目の世界線である。
▶その男
憧れが、度を超した愛に変わる時…、
人は異常者と呼ばれる存在となる…。
テレビの前で、熱中していた男の子が…、そのまま大人になった。
仮面ライダーへの度を超した愛を胸に秘めて…。
男の名前は【東島丹三郎】と言う。
この世界線に遣わされた仮面ライダーである。
彼が、度を超した仮面ライダー愛を持つ仲間…、同士の方が近い存在達と出会い…、
始まる物語が、
【東島丹三郎は仮面ライダーになりたい】
である。
やはり…、
この世界線にも現実に仮面ライダーは現れる!
〜終わり〜
最後までお付き合いありがとうございます。
最近は、少しずつですが一次創作も書いてます…。
が、ネタを思い付いたら書いてるので、全く進んで無いのは内緒ですwww
お気づきの方も多いでしょう。
この短編小説は…
機動戦士ガンダム GQuuuuuuX(ジークアクス)のストーリーの根幹である…、
ララァ・スンがシャア大佐が死なない世界線を探す
と言うものから…、
死神博士がショッカーが壊滅しない世界を探す過程で産まれた世界線の一つです。
これなら!
【東島丹三郎は仮面ライダーになりたい】の世界の説明が付くのでは?
と思ってますが、その辺りはトンデモって事でご勘弁をwww
また、何か思い付いたらトンデモを書くので、よろしければ読んでやってください。