ARC Raidersを配信で見ていたら、ああいう世界観で書きたい欲がムクムク湧いてしまい、衝動的に筆を取って書き上げた代物です。数話ごとの章立ての予定で、章が変わるごとにキャラクターの視点が変わっていくスタイルです。なんちゃってミリタリーで稚拙なところもあるとは思いますが、生暖かく見守っていただければと思います。それではご笑納ください。のんびり更新予定。
001 廃墟のなかはいつだって静かで孤独だ
霧のなか、灰色の雨が降る。
青空であった場所にただようのは、灰色の雲たち。
吹き付ける風は、廃墟のなかを駆け抜けていき、
息を吸うものを蝕む澱みを孕む。
視界に映るのは、機械生命体たちによって奪われた空。
空間の歪みからの来訪者たちによって澱んだ大気。
地底からの捕食者たちにより破壊された街並み。
野生の生物らしき影は、どこにもない。
いや、そうではない影は、いた。
ところどころが割れて砕けたアスファルトのうえを、
大小さまざまに散らばるコンクリート片や転がった車や瓦礫、
それらに隠れながら進む影がひとつ。
その身を灰色めいた迷彩色に包み、
厚手のゴーグルとマスクで顔は保護されている。
視線を隠すためかゴーグルの色は漆黒。
手元にはアサルトライフルと称される銃器らしきものがあった。
いつでも撃てるよう手元に構えて、
慎重にコンクリート片などの影へと入って進む様子は慣れを感じさせた。
いや、この探索者、廃墟を進む人間は、実際に慣れていたのだ。
「……B地点まで到達、接敵なし敵影なし。このまま進行する」
『ラジャー』
何者かと通信しているのか、マスクの下にある唇が動き、
ほほに張り付くようにセットされたインカムを通して連絡がいく。
そして、男性らしい声が片耳につけられたイヤホンから響く。
いくつものビルが倒壊し、かつてビルのフロアで整然としていたであろう、
多くのオフィス家具が散乱している道路を進む影。
社外秘と記された書類を踏んでしまわないよう、避けて歩く。
そこへ突然響き渡る音があった。
音源は、影がとっさに隠れた場所から100mほど離れた位置、
赤と緑だけが明滅する斜めに折れた信号機の真上だ。
それは廃墟を行き交う人類軍の飛行ドローン。
独特のBEEP音を発しながら飛ぶドローンは、
その存在に気づきやすく、また容易く的にされやすい。
『ここ、219番地区は、現在、放棄されています。
繰り返します。ここ、219番地区は、現在、放棄されています。
滞在している人々は、早急に避難、してください。
避難場所は──』
合成音声によるメッセージは、最後まで発されることなく、
飛行ドローンはその身を地面へと叩き落とされる。
倒壊したビルの上から襲撃してきたナニカによって。
「……C地点手前に、ゲイターを1体、確認。
スピーカーを的にして遊んでる……迂回を試みる」
『ラジャー、迂回の前に装備点検、忘れずに』
言われずとも、と唇のなかでつぶやいた影は、
右手に構えているアサルトライフルのマガジンを一度引き抜いて残弾を確認。
それから、腰のベルトにくくりつけた投擲物や刃物を、
手袋越しに触れて落としてないことを確認。
思わず小さく、そう小さく安堵の息が漏れた。
影は思う、リソースは大事だ、いつだって。
最後に頼れるものは己の身ではない、相手を殺し切れる力だ。
その力は安全地帯に戻るまで、決して使い切ってはいけない。
だから、これらが尽きたときが、終わりなのだと言い聞かせる。
マガジンを戻して、音をたてないように装填をする。
万策尽きてはいけない、万策尽きる前に、生き延びるのだ。
フードを目深にかぶり、
黒いゴーグルと灰色の迷彩をしたマスクに包まれた下、
まだ十代と思わしき風貌をした影、
ゲイターと呼ばれた異形は、灰色の体色をもっていた。
その体躯は人類とは似ても似つかないものであり、
五本より多かったり少なかったり、そもそも指がなかったりするなか、
目や口があるべき箇所になく、あっても数が多かったり異様に大きく歪んでいたり、
視認した者を不安にさせるようなデッサンの狂った姿だった。
手足の数ですら安定などしておらず、三本腕や五本足、
いや体躯の上下に足らしきものだけが生えていたりと不定形に多彩だ。
やつらはある日突然、人類の前に現れた。
空間に入るはずのないヒビが入り、そのヒビを砕くようにして。
初めて見たときの衝撃は今でも忘れていない。
忘れていないが、頭のなから追いやることはできる。
視界に入れながらも意識しすぎないよう、注視していく。
静かにコンクリート片へとその身を潜ませていた奏は、
迷彩装束の下にある内ポケットから小型の双眼鏡を取り出し、
地面へと叩き落としたドローンを弄ぶゲイターを見やる。
覗き込んだ双眼鏡は、ピントを合わせた対象までの距離、
おおよその身長までをレンズに数字として教えてくれる。
数字を見て、息が、漏れる。
「……前方のゲイターは約3m、腕は前に3、後ろに4。
足は…………だめだな、信号機に隠れて見えない。
けれど、長く伸びるのはさっき見えた」
『頭は?』
「頭は二つ、けれど気色悪い叫び声は三つ、いや四つかな?」
さっきからドローンを殴りつけるたびに、
廃墟へとこだましていく叫びに耳を澄ませる。
異形の弱点は、体躯のどこかにあるコアだと言われているが、
その場所を外見から察することは難しい。
だから──
「迂回はなし。いつも通り、ハントを開始する」
『OK、ならいつも通り、ハントしようか』
──生物ならば、呼吸をしている。その呼吸路を潰すだけだ。
イヤホンからの落ち着いた声とともに、自らを落ち着かせる。
そう、いつもどおり、いつもどおりやればいい。
ゲイターはいまだオモチャに夢中で、こちらには気づいていない。
そして、これだけの音が響いているなか、第三者の乱入気配もなし。
背中のホルダーから折り畳まれた、小型のグレネードランチャを取り出し、
出番のないアサルトライフルをそっと地面に立てかけておく。
トリガーにひとつの電子機器を取り付けてから。
「迷子になるなよ」
そんな言葉をARに投げてから、ゲイターの背後を取るように移動を開始する。
灰色の霧が行き交う廃墟は、そもそも視認性が悪く、
動体検知ができる高性能なレーダーなどがなければ進むのが難しい。
足音を立てずに、短い距離を素早く、歩幅大きく歩む。
獲物に気づかれず、気取られないよう歩けるようになったのはいつだったか。
父親と山登りを何度もしながら、小動物を追いかけた記憶が浮かぶ。
年上の大人たちを相手に、何度も遊んだサバゲーを思い出す。
足音の消し方、身体の動かし方、重心の意識。
色々なことを教わったし、習いもした記憶。
歩みを進める間にも気色悪い叫びを二重、三重にあげながら、
ゲイターは三本腕を激しく上下させてドローンを殴っていく。
いったい何が楽しいのか、
ゲイターどもはどいつもこいつも破壊行動に夢中だった。
いや、破壊にしか興味がない幼児に思える様子でもあった。
だからこそ、気づけない。
散らばる灰色のコンクリート片、車体、瓦礫、その合間を縫うひとつの影に。
グレネードランチャーに焼夷弾を詰め込む、小さな音にも気づけない。
双眼鏡が示していた相対距離を頭にいれながら近づき、
おおよそグレネードランチャーの有効射程へと入るよう、立ち位置を意識する。
気取られてはいけない。
見つかってはいけない。
先手を取られてはいけない。
ゲイターどもに人間は膂力で、体格で、体重差で勝てはしない。
見つかり、捕まれば、死ぬしかないのだ。
叫ぶ元凶へと近づけば近づくほどに脳裏を掠めていく、
死という恐怖、いいや恐怖ではない、生への渇望だ。
生きたい、生き延びたいんだ、だから怖いんだ。
着込んだ衣服の下を、汗がつたう。
ゲイターを狩るのは、これが初めてではない。
とうの昔に初めての狩猟[バージンハント]は捨てた。
それでも、それでも死が真横にいる感覚は、慣れない。
だからこそ、生きていることに実感がもてる。
ああ、そうだ、俺はいま初めて生きているんだと、奏はマスクの下で嗤う。
死神とともに、嗤う。
「廃墟の街に化け物は似合わないから、
さっさとあの世へ送ってやるぜ」
まるで映画のようなセリフを唇だけを動かして言う。
ああ、幼馴染と見た映画にこんな場面あったっけなと。
たった10ヶ月前は、当たり前のようにあった日常は、もうない。
郷愁か、それとも執着か、はたまた未練か。
どれともわからない、表現できない気持ちを抱きながら、
スコープをのぞいて対象を十字マークへとセットしようとする。
だが、そこでゲイターの動きが突然、止まった。
冷や汗が、ぶわりと全身から湧く。
おかしい、異常だ、まずい。
想定しない変化に眉根を寄せながら、脳裏に警鐘が鳴り響く。
何をミスった? 何が起きた? 焦るな、観察しろ。
一旦、瓦礫に隠れたあと、大きく息を吐いて、吸い込む。
そうして意を決して、再びスコープを覗けば、
見えたのは3m弱の体躯から伸びる双頭のコブ、背中の顔らしき腫瘍。
それから双眼鏡では確認しきれなかった、四つ目の、肩の大目玉だった。
先ほど確認した方角からは、死角になっていた右肩に浮かぶ、
上下が唇と化した大目玉には瞳が複数浮かんでいた。
それが全てこっちを見ていたのだ。
「ッ!!!!」
強烈な殺意を肌で感じた瞬間、
ふとももを拳で殴って無理矢理に動かす。
止まるな止まるな動け動け動け!
冷や汗が全身に吹き出し続けるなか、背後で地面を蹴る音が響く。
飛び上がった音だと認識した瞬間、
目の前へと轟音とともに降ってくる異形の影。
こっちへ来るなよ、もっとオモチャで遊んでろよ!
悪態を口のなかだけでつきながら、
次の一手をどうするか考えながらグレランを構え、地面に向けて撃つ。
瞬間見えたのはゲイターの下半身。
さっきは瓦礫に隠れて見えなかったが、
足に見えたのは関節もいくつもある太い腕たちだった。
いや違う、これは指だ。
巨大な手が下半身になってるのだこいつは。
その事実に正気が削られそうになりつつ思考を冷静に保つ。
不意をつけなければグレランの弾丸などゲイターには弾かれてしまう。
そして弾かれた弾丸は最悪、こちらへと戻ってくる可能性もある。
ならば、と考えての選択肢は地面を焼くこと。
炎というものは意識してても怯むものだ。
ならば意識してなければ余計に怯みもするだろう、
だがゲイターなる人外の存在は果たして火に怯むのか?
やつらは火を恐れる生物なのだろうか。
答えは是だ。
これまで有志によって、何度も検証されてきた結果、
ゲイターに通じる手段はいくつかわかっている。
そのうちの一つが炎なのだ。
「オマケもサービスだ!」
突如足元に生まれた炎の群れに、
ゲイターが腕という腕をもって目や唇を隠そうとする。
その機を逃さず、ベルトから外して投げつけるのは煙幕弾。
リソースが減ったことに小さく苛立ちつつ、
ゲイターを煙が包んでいくのを廃墟の壁に隠れながら確認。
すぐさま煙のなかから飛び上がり、近くの瓦礫へと着地するゲイターが見えた。
「チッ……サウナ嫌いはよくないな」
そう上手くはいかないよなと思いつつ、危機を乗り越えた安堵に汗が垂れる。
いやまだだ、まだ危機は去っていない。
しかしリソースも尽きてはいない、まだやれる。まだ狩れる。
祈るように、願うように、唱えるように胸のなかで言葉を浮かべる。
狩るのはこちらだ、奴らは狩られる側だ。
目を、眼を、瞳を、狩る者として研ぎ澄ませていく。
息を吐いて、吸う。
思ったよりも近くからゲイターの咆哮がビリビリと響くものの無視。
威嚇なのはバレバレだ、こちらを見つけたわけじゃない。
やつらは目だけはやたらといいが、匂いまでは感じ取れない。
というより匂いなんてわからないのではと思う、
これまで狩ったゲイターには、どれも鼻のようなものがなかったからだ。
理由はわからない、そういう生き物だと割り切った。
ゆえに近くの岩へと隠れていてもすぐには気づかれない、そうすぐには。
一拍の間を空けて、隠れているすぐ横を人間の頭ほどある石が通り過ぎた。
手辺り次第にコンクリート片を投げているのだ。
こうすれば隠れた相手が驚いて出てくる、そう考えているのだろ。
実際その手段は悪くない。
運良く隠れている場所に当たりさえすれば、
獲物をびびらせて恐怖に落とし込めるのだから。
だが悲しいかな、ゲイターは立派な体格のわりに、
体を使いこなせてはいない。
さっきから投げているコンクリート辺は、
何にも当たった音を響かせないからだ。
「……世界だって狙えるだろうに、もったいない肩だ」
戯言をつぶやきながら、グレランに新しい弾丸を二発、装填する。
こちらの存在が露見した以上は、直接当てるのは厳しい。
動きも早く、体表に散りばめられた目はたやすく相手を察知する。
やりにくい相手だ、対面するたびにそう思わされる。
それでも対処できない相手ではない。
死が真横にいても、気にする相手でもないのだと言い聞かせる。
「まだ死神とデートするには、俺は若いしな」
何度か響く、コンクリート片が砕ける音。
直近の音が、遠かったのを耳で確認してから破片の背から出て、構える。
こちらを向いてないとは思わないが、視線はズレてるはずだと信じて。
幸か不幸か、ゲイターの体は大目玉のある肩をこちらに、
双頭のコブは反対側を見ていた。
舌打ちが漏れると同時に、奏はグレランで再びゲイターの足元を狙おうとする。
その間隙、ゲイターが嗤う。大目玉の唇が嗤う。それは見たぞと嗤う。
ゲイターは幼稚な行動が目立つものの、決して愚かではない。
破壊衝動に駆られてはいるが、賢く狡猾で嫌らしい思考を持っている。
敵対する相手の攻め方を学習する存在、それがゲイター。
自身を狙っていないことを理解して、ゲイターは瓦礫を蹴ろうとする。
人間を超えた脚力をもっての蹴りは、容易にその身を加速させ、
数秒後には奏を何本もの腕で叩き潰しているだろう。
「空砲だよ」
だが、そう、だがだ。
小声で種明かしをして即座に仕込んでおいた二弾目を装填し、
こちら目掛けて跳ぼうとするゲイターにグレランを向け直す。
ゲイターの足元には何も起きておらず、
空砲の音が響いただけだった。
そこへ奏はもうひとつ、ダメ押しを重ねる。
「ドク、今だ」
『OK、発砲ヨシ』
インカムにつぶやけば、応じる声。
そして奏がいる場所とは別から響くARの発砲音に、
ゲイターの体表にあるすべての目が、
ギョロリと向いてしまう。向かわされてしまう。
想像もしていなかった第三者を思わせる音、
思わず反応してしまったことで瓦礫を蹴ろうとした動作は、
半端に止まってしまいゲイターは思わずつんのめる。
「お前の耳ってどこにあるんだろうな」
またも戯言を口にしながらグレランのトリガーを引けば、
射出されたのは15mmの硫酸弾。
3m弱あるゲイターの全身までとはいかないが、
半分以上を酸で焼かれて生きていられるだろうか。
結果はすぐに訪れた。
数秒間、悶え苦しみのたうちまわったゲイターは、
やがて灰色の体表を紫色に変じさせ、行動を停止した。
体表にある口という口から舌を垂らし、目はどれもが白目を向いている。
念の為、ハンドガンを取り出して、頭部と思われる箇所に発砲。
見落としなく四つの頭部に弾痕を残して、息を吐いた。
「……ゲイターのハント完了。
焼夷弾1、硫酸弾1、煙幕玉1、ハンドガン4発の消費」
『思ったより使わされたな、ハントお疲れ様だ。
それで回収は可能?』
問われた言葉にゲイターの死体を見る。
体表が酸で焼けてはいるものの、部位自体は残っている。
ナイフで捌く必要はあるが、回収はできそうだと。
「いま何がいるんだっけ」
『欲しいものは多いが……ひとまず頭部を持ち帰ってくれ。
できればコアも』
「コアは位置がわかればだけどね」
左太もも側面に取り付けてある鞘から、ククリナイフを取り出す。
ついでに一度マスクを外して汗をぬぐう。
冷えた空気が肌にあたり、熱が奪われていく。
再びマスクをしてナイフを構えて、
ゲイターの首へとナイフを滑り込ませようとする。
しかし、ゲイターの内部構造は複雑怪奇であり、
人体の骨格とは似ても似つかない、
そのためナイフを進めようとしてもすぐに何かで止まる。
止まるたびに眉間に皺がより、苛立ちがつのっていく。
「ドク、やっぱここでコア取り出すの無理だ。
ナイフじゃこいつらの骨は斬れない」
『だよなあ……わかった、やっぱり頭部だけでいい。
ああ、3つあるんだっけ。ひとつでいいよ』
「見落としてたから4つだよ。
むかつくから見落としてた顔を持って帰る」
『ひどい八つ当たりだ……』
嘆きを無視して、ゲイターの右肩にある大目玉部分を、
周りから切れ込みを入れてすくいあげるように切り出していく。
切っているにもかかわらず、ナイフには何もつかない。
ゲイターには血に相当するものが存在していないのだ。
いったいどうやって栄養などを体内循環しているのか不思議だが、
そういうのは専門の人間に任せようと奏は考えるのをやめた。
が、妙な手応えとともに大目玉の顔が外れる。
「あっ……ドク、ラッキーだったね。
こいつ、顔の裏にコアがあったよ」
『本当かい!?それならより分析が進むねぇ!
“彼女”が喜ぶよ!』
喜びの応答に苦笑が漏れる。彼女、彼女かぁと。
ナイフをしまってから、手のひらにある大目玉の顔を裏返せば、
そこにあったのは七色に輝く八面体の結晶。
これがコアと呼ばれるゲイターの弱点であり、心臓だ。
それをベルトポーチの中にある頑丈な箱に入れたのち、
ポーチへと戻せばひとつの音が響く。
「……時間切れか。ドク、撤退するから、
ランデブーポイント……Σで合流頼んだ」
『了解、あまり探索は進まなかったけど、
コアが手に入っただけで十分だからね、帰るまでがピクニックだ』
「命懸けのピクニックは冗談でもしたくないな」
『マジレスはやめてくれよぉ〜心配してるんだから』
イヤホンからの返答に小さく笑いながら、
ここまで来たときと同じように、
道路へと散らばった瓦礫へと隠れる。
隠れながら見上げた先には、いまもなお地響きを起こす主が、
霧の先に垣間見えた。
全長が1kmを超える巨大さをもつ影が。
コンクリート片に隠れた影は、少年は、矢車 奏はその影に向かって、
まるで愛おしそうにつぶやく。
聞こえてくる歌声と思わしき音に、返事するかのごとく。
「また会いに来るよ、
幼馴染の名前を添えて。