灰色の空に中指をおっ立てて生きる   作:四葉マーク

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※話タイトルを変更しました。


003 変わってしまった日常

矢車奏の朝は早い。

窓のない室内で鳴るアラームを止めれば、

表示されているのは早朝の5時だ。

 

寝ぼけ眼をしつつも起き上がり、

空気の冷たさに震えつつもそのまま洗面台へと向かう。

三人で過ごすにはもてあまし気味な広さの建物で、

ぺったんぺったんとスリッパの音を響かせる。

 

「二人とも、昨日は遅かったっぽいかな」

 

夕食時には興奮した様子でドクとエレクトラが話してたし、

そのままのテンションでコアを分析し続けてたからだろう。

となると今日の探索はおそらく、ない。

 

その思考を裏付けるかのごとく建物内は静かで、

誰かが動いている音はほぼ聞こえてこない。

 

そのことに小さくため息を吐き出して、

今日はトレーニングとかしてよと思考する。

 

顔を洗ってから部屋に戻り、動きやすいスウェット姿へと着替えれば、

ガレージへとつながっている広間へと入っていく。

 

そこではソファーにもたれかかって寝ているドクがおり、

すぐそばの絨毯の上では、クッションを枕に横たわるエレクトラ。

夢のなかでも作業をしているのか、二人とも手だけ動いてて、

思わず奏は呆れてしまう。

 

「うっわ、サブアームまで動いてるし……

 機生体も夢とか見るんだ」

 

見た目からは信じがたくても、同じ命をもってるのだなと思わされる。

そんな二人を起こすようなことはせず、広間の片隅へ。

 

片隅にいくつも置かれているテーブルの収納棚から、

「朝食用ストック入れ」と書かれた箱に視線をやり手を入れる。

取り出されたものは「これ一本で1日の栄養MAXチャージ!」などと、

うさんくさい宣伝文句が掲載された栄養バーだ。

 

数本手にとって、インスタントコーヒーの袋も別の箱から取り出し、

飲料水タンクから必要量の水をケトルに入れてから沸かす。

使う水の量はできるだけ絞る、それがここでの生活におけるルールだ。

 

なんの考えもなく蛇口をひねれた以前は、楽だったなと思わざるを得ない。

避難先にいる友人たちからも「共用トイレが汚くてきつい」とか、

「配給だけではお腹いっぱいにならない」などチャットで聞くことがあり、

文句は言えないなと頭に浮かべてしまう。

 

考え事をしているうちにお湯が沸いたので、

取り出したチタニウムのコップにインスタント珈琲の粉を入れて注ぐ。

この数ヶ月ですっかり嗅ぎ慣れてしまった匂い。

 

鼻腔をくすぐるほのかな酸味が入り混じった匂いに、

どこか心地よさを感じながら棒の形状をした砂糖袋を破って、

一本のうち、半分だけをコップに入れて溶かし、飲む。

 

「はあ……やっぱり甘すぎないほうが美味しいな」

 

それだけつぶやいてから、適当な椅子に座ってバーをかじる。

口のなかに広がるほのかな塩味に、一瞬眉をひそめて、

手にしていたバーの包装紙を見ればそこには「シャケ味」。

 

より眉根を詰めるようにひそませながら、

 

「……いっそ白米に包めよ、こういうのは」

 

なんて文句を言いつつバーを咀嚼していく。

配給物資も限られてるなか残すことはできないし、

食べなければ活動もできないので、

渋い顔のまま珈琲とともに食べ終える。

 

その後は音を立てることなく広間へと通じる扉を閉めて、

通路を歩いて自室へとむかえば、

 

「……やるか」

 

とひとつつぶやて動き出す。

 

壁に飾ってあるハンガーからいつも携行しているアサルトライフル、

折りたたみ式のグレネードランチャー、

ハンドガンの三つをそれぞれ持ち上げてデスクへと置く。

 

パイプ椅子を軋ませながら座って、デスクの引き出しをひらけば、

そこには銃火器を分解するのに必要な工具たち。

今の生活をするようになってから始めたルーティンのひとつだ。

 

迷いなくいくつかの工具を取り出して並べたのち、

最初にハンドガンを持ち上げて分解に掛かる。

 

最初のうちは全く慣れなくて、最終的にドクへと頼んで二人で組み立てたっけな。

そんな記憶を思い出しつつ、パーツの汚れなどを拭き取り、

詰まっている砂やゴミなどを丁寧に取り除いていく。

 

サバゲーをしているころから、エアガンやガスガンの手入れはよくしていたが、

実銃の手入れは全くの別物であり、慣れに時間を要していた。

それでも何ヶ月もやれば慣れるものであり、

いまでは数時間で終えられる作業となっている。

 

とはいえ、父親に比べたら雲泥の差であった。

 

「……親父は、大丈夫かな」

 

作業をしながら浮かぶ思考。

軍人とはいえ自分たちより危険な場所で任務に就いていると聞く。

どこで何をしているかは一切教えてもらえないが、

ドクと定期通信する役目をしているそうなので無事なのはわかる。

 

しかし、一般人からの志願兵である身分では、

それ以上のことを知ることもできない。

 

「銃器を優先的に支給されてるだけ、マシか」

 

本来、ただの監視だけであれば、

銃器など支給せず安全圏から見ているだけでいい。

しかし、この国は10ヶ月前のあの日から変わった。

 

国民全員がいつ脅威にさらされるかわからない事態となったため、

政府は国民へ軍への志願を募り、かつ銃器の携帯を許可したのだ。

言ってしまえば米国のやり方に習った形ではあるが、

このことに誰かが異を唱えられる状況ではなかったのだ。

 

巨大ワームによって街などが破壊されると、

そこへどこからともなく現れたゲイターたちが人々を襲うからだ。

 

奏がその事実を知ったのは、

ここでの監視任務をするようになってすぐであり、

ゲイターたちによって多くの被害が出ていることを軍の情報で知った。

 

それほどまでにこの国、いや世界中の国々はひどいことになってる。

 

「……ほんと、どうなるんだろう、この国」

 

答えるものなどいない問いかけが、こぼれ落ちる。

ただただ、室内に換気扇の回る音が響くだけ。

 

 

  ●  ●  ●

 

銃火器のメンテナンスを終えたあとは、

いまだ動くものの気配のない広間を通り、

奏はガレージへと足を運ぶ。

 

背中にアサルトライフルを背負い、

必要な弾薬をウェストポーチにいれて、

ドクが持っている軍用通信端末にメッセージを飛ばしておく。

 

『ランニング行ってきます』とだけ。

 

それから肌寒い程度の気温にも関わらず駆け出せば、

ガレージを出て数mもしないうちに、

早朝の朝日に照らされた住宅地が視界へと映り込む。

 

小鳥たちが電気の通っていない電線にとどまって、

囀っているしたを通り抜けていく。

住宅地から物音ひとつもしないことに、

慣れたなと思いながら奏は駆け抜けていく。

 

規則的な呼吸を繰り返し、いたずらに体力を消耗しないよう、

ペースを調整しながら走っていく。

そして背中に背負ったアサルトライフルの重さは、

適度な負担となって足腰へと負荷を掛けてくれる。

 

「……ゲイターは、破壊されてない街には来ないって話、

 本当なのかな」

 

ネットニュースやサバゲーチームとのチャットで、

たまに出る話題のひとつを思う。

今も警戒しながらランニングをしているが、

この数ヶ月、ここでゲイターに遭遇したことは一度もなかった。

 

不思議なことに、奴らは破壊されていない街には近寄ろうとしない。

そういう報告がいくつも上がっているらしく、

軍のなかでもそれは精度の高い情報として上がっている。

 

やつらが現れるのは決まって破壊された街か、

もしくは何もない土地だけとされており、

実際に出現が確認された情報をマップに落とし込むと、

それがはっきりと見えてくるとチームリーダーが言っていたのだ。

 

「ほんと、なんなんだろうなゲイターって」

 

朝の支度音も、バイクや車の走る音も、登校する学生たちの声も、

なにも聞こえてこない街の道路を駆け抜けていく。

そして、ちょうど折り返しとなる駅にたどり着いたので、

そのままぐるっと駅の周りを一周してから拠点へと戻るルートを走っていく。

 

巨大ワームとともに現れた謎の存在は、

人類・機生体どちらにも襲いかかり、多くの被害をもたらしている。

機生体のタカ派には「人類の兵器ではないか?」などと疑われてるが、

あんな趣味の悪い兵器など願い下げだと奏は言いたい気分だった。

 

帰りのルートを走りながら奏は思い出す。

人類が初めて接触した異星人と、共存を宣言したあの日。

世界中で中継が行われ、誰もが注目していた。

 

機生体の代表と、人類の代表が向かい合い、互いが握手をしようとした。

突如、上空に浮いていた機生体の宇宙船が地上の何かに、

一見すると長い棒にしか見えないものに貫かれたのだ。

 

ネット配信を見ていた奏は、

思わずフェイク動画でも見てたかなと思ったほどだった。

だが、隣にいた幼馴染は別の配信を見ていたため、それはなかった。

 

直後、機生体の代表は何か怒鳴りつける姿を見せ、

人類の代表は困惑している様子とともに配信は中断され、

以後世界は混乱に見舞われることとなったのだ。

 

「ふぅ」

 

ガレージまで辿り着いたところで歩速をゆるめ、

汗をぬぐいながら呼吸をいつも通りにしていく。

そこへ、一体の機生体が近づいてくる、エレクトラだ。

 

『お帰りなさいソー、タオルは入り用かしら』

「ありがと、投げていいですよ」

 

丸められたタオルがサブアームから投擲され、

それを受け取る奏。

そのまま呼吸を落ち着かせながら、ガレージに置かれた箱に腰掛ける。

 

『鍛錬に余念がないのねソーは。

 同世代の人類もそういうものかしら』

「うーん……どうかな、俺は運動好きだからやってるけど、

 そうじゃないやつは、しないのも多いよ」

『そう、皆が皆、ドクトルのように勤勉ではないと言われたけれども、

 そうなると貴方達のような人類は稀なのかしら』

「ドクトルは勤勉っていうより、物好きってやつだと思う……」

 

ガレージにいるのは彼女だけなので、どうやらドクはまだ寝ているようだった。

エレクトラは器用に尻尾でコップを持ちつつ、湯気のたつ紅茶を飲む。

それからサブアームで同じく飲み物が入ったコップが、奏へと差し出されていた。

 

「でなきゃ……エレクトラさんを匿うことをしたりしないよ」

『…………そうね、そうかもしれないわね』

 

受け取ったコップにお礼を言いながら、

奏は呆れたような口調で答え、エレクトラも苦笑して言うのだった。

しばし、互いがコップの中身をすする音だけが響いたあと、彼女は口を開く。

 

『そういえば、上に待機させてるドローンからは、

 ゲイターの反応は返ってこなかったから、

 やはりあの説は本当かもしれないわね』

 

上とは上空を指す。

動体センサーを積んでおり、動くものがいればすぐ映像を送ってくるが、

確認された映像はどれも野生生物などであり、ゲイターが映ることはなかった。

 

「じゃあ、ここにいても安全ってのは……ドクみたいに言えば、

 立証されたってこと、なんですかね」

『今のところは、ね。今後も変化がないとも限らないから、

 ソーも油断はしないでちょうだい』

「はい」

 

すこしだけ、張ってた気が緩んだかもしれない。

実際、四六時中ゲイターに対して警戒していたのもあって、

疲れていないといえば嘘になったからだ。

 

「あー……それなら夜はマジでゆっくり寝れそう……

 ってか眠くなってきた、やっば……」

『ちょっとちょっと、気を抜きすぎよ、全く。

 寝るのならば自分の部屋で眠りなさいな』

「あはは、冗談でーす。でもうん、五分だけ寝ていいですか……」

『ダメよ、こら。うとうとしない、ほら起きなさい』

 

と冗談混じりにやりとりをしているなか、

エレクトラの頭部にセットされてるセンサーのひとつが光る。

センサーの色は黄色、異変を知らせるものだ。

 

「エレクトラさん?」

『……これは、219番地区を巡回してるドローンからだわ』

 

送信された情報を読み解いてるのか、しばし沈黙したあと彼女は言う。

いや、言おうとしたところでガレージに別の音がした。

 

「センサーの音がした!」

 

寝起きのドクだ。

それを見て二人は思わず、

 

「……うわあ」

『電波を受信できる人類っているのね』

 

揃って呆れた声を出した。

 

 

  ●  ●  ●

 

 

『受信した情報は二つ。

 片方は新たなゲイターが219番地区へと近づいていくもの』

 

改めて居住まいを正したエレクトラが二人に告げる。

 

『もうひとつは……私の同胞たちね、これは。

 三体の同胞が219番地区へと近づいてる』

 

奏とドクは思わず顔を見合わせる。

これまでにはなかった情報だと。

 

「ねえドク、今まで機生体が来たことはなかったよね」

「なかったはずだよ、少なくともあの日以来は」

「そうだよね、あの日、機生体たちが街に来て──」

 

その続きを奏が言おうとすれば、ドクは手でそれを制する。

 

「余計なことは思い出さなくていいよ、矢車くん。

 それよりエレクトラ、彼らの様子はどうかな」

『そうね……映像を見る限りではって、ああ二人の前に映し出すわね』 

 

そう言うと、彼女の頭部からヌッと生えた端末から、

空中に映像が投影されて見えるようになった。

 

「お〜すっご、SFしてるって感じ」

「感じじゃなくて、現実、現実だからこれ。

 でもすごいなエレクトラたちはこういうの実現してるんだ」

 

なんて口々に感想を言いながら映像を見れば、

そこには武装した三体の機生体が飛行していた。

何かを探すようにそれぞれが視線を左右に向けており、

やがて壊れている建物などを探索し始めたのだった。

 

「……何が目的なのだろう、彼らは。

 エレクトラ、会話までは拾えなかったかい?」

『距離があったうえ、同胞達の会話は暗号化されているから、

 解析には時間が掛かるわね』

「だよねーしっかしなんでまた今更ここへ来たんだろう。

 219番地区には何もないと思うんだけど」

 

映像に映るのはあいかわらず破壊された街並みだけ。

ゲイターの破壊箇所があちこちあり、野生動物すらも見当たらない。

近づくだけで危険な場所なのだ。

 

「ゲイター目当てで来るにしても、妙ではある……」

 

ふうむと考え込む姿勢となるドクは、そこでふと気づく。

さっきから一言も喋らないで映像を凝視している奏に。

 

「矢車くん、どうしたの?」

 

声を掛けてみたものの、すぐには返答がなかった。

その間も奏は繰り返し映像を見つめ続けて、

やがて疑念が確信になったのか口を開く。

 

「先生、エレクトラ。

 こいつら……あの日街にやってきた機生体と、

 同じエンブレムを付けてる」

 

エンブレム、いわゆる紋章であり軍であれば所属部隊をなどを意味するものだ。

奏の言葉を受けて、エレクトラはすぐに映像に映る機生体を拡大。

荒くなっている画像を、鮮明になるよう調整していけば。

 

『大の字に、朱色で×印をしたエンブレム。

 これは人類に対して敵対姿勢をとっている連中のものね』

 

ご丁寧に左右の肩へと貼られており、主張が激しい。

大の字を人類と見立てて、×印は否定を意味してると彼女は語る。

 

「そっか……そうか、こいつらだったんだな。

 あの日、俺たちを襲ったのは」

「矢車くん、待って、待った、待とうか。

 うん、今すぐ出ていこうとするの待って待ってって〜〜」

 

肩を掴むドクにもかまわず、立ちあがろうとする奏。

 

「エレクトラエレクトラ、君からも止めて止めてぇ!あいたっ!?

 矢車くん!コンクリートって平らでも人間は削れるんだよ!?」

『ソー、落ち着いて。血気盛んなのは良いことだけども、

 それは決して美徳ではないわ』

 

ドクが引きずられて削られかけたので、

しょうがなく背中のサブアーム二本使って奏は空中に持ち上げられた。

 

「復讐は正当な権利だって、映画が教えてくれた」

「それあの俳優が出てるやつだよね、ぼくも知ってるよ!

 でも映画の出来事を真に受けるのは良くないと思うなあ!」

『ああ、それって飼い犬を殺された殺し屋の映画ね。

 ドクトルと見たけど、興味深かったわ』

 

不満を隠そうともしない奏に、

二人はどうしたものかと考えながら言う。

 

「ドク、エレクトラ、今日の探索行こうよ。

 あいつらを調べる必要はあるでしょ」

「それは、まあそうなんだけども……」

 

本当は今日は休んで分析してたいんだけどと思いつつ、

ドクは助けを求めるようにエレクトラを見れば、

彼女は諦めたように首を横に振る。

 

『ドクトル、ソーがこうなったら梃子でも動かないのは知っていて?

 いいえ、貴方が知らないわけがないはずよね』

「はあ……わかった、わかったけど矢車くん、ちょっと落ち着こ。

 彼らだって何か目的があるならば、すぐには立ち去らないはずだ」

『そうね、わざわざ廃墟である219番地区に、

 今になってやってくるのは奇妙を通り越して、変よ。

 となれば焦っては駄目、赤ん坊でもわかること』

 

二人が諭すように言えば、

サブアームに抵抗するよう力を入れていた奏の体から、

力が抜けるのが見てとれた。

 

そこにホッとした様子でエレクトラが奏を解放すれば、

彼はそのまま座り込む。

 

「……わかった。じゃあどうするか考えてドク、

 俺、それまでは道具の点検してるから」

「切り替えと理解が早くて助かるよ矢車くん……

 と言ってもどうするかなんて簡単さ」

 

気楽そうに言って、ドクはエレクトラを見る。

 

「この付近の安全は、彼女のドローンによって立証されている。

 ならばここでの留守番はおそらく不要、

 となれば廃墟には三人で行こう」

『あら、ドローンデータ、貴方も見ていたのね。

 というよりすでにソーが出ていったあとに起きてたのかしら』

「あはは……彼が広間に来たとき、実は起きてたんだ」

 

ごまかし笑いをしながら言うと、

奏とエレクトラから冷たい視線が飛ぶ。

 

「……センサー云々は嘘なんだ」

『私、わかりにくい冗談は嫌いよ』

 

思わずたじろぐむが、顔をぶんぶんと振って誤魔化す。

 

「ま、まあそれはさておき、

 エレクトラも同行してくれれば無用な争いも、

 たぶん回避できるだろうし、何か情報も得られるかもしれない」

 

矢車とドクだけでは、相手の三人は警戒するかもしれないが、

そこに同胞の機生体がいれば話が変わってくるとドクは見た。

 

『確かにその可能性はあるわ。

 私もできれば現状の敵対派がどうなってるか情報が欲しいし、

 彼らを懐柔できれば一番かしら……ソーが大人しくしていたら、だけど』

 

二人揃って奏を見る、すると。

 

「俺が暴れないうちになんとかして」

「無責任なこと言うなあ……」

『でも気持ちは分かるから、私たちがなんとかするしかないわね』

 

ガレージ内にため息が二つ響いたあと、

緊急の探索ミッションをどうするか、大人二人による話し合いが行われた。

そして小一時間後にガレージを出発するジープ。

 

そこにはいつもの銃火器を装備した奏、

運転席にてハンドルを握るドク、

後部座席にして武装をとりつけたエレクトラがいた。

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