なるべく他プレイヤーと関わりたくないので逃げる為に速さに極振りします!   作:夢幻人.

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楽しんでいただければ幸いです


AGI極振りとお友達

 

翌日、私は数少ない友達の一人である本条 楓と電話で話していた。

 

「そっか、そんなに面白かったんだ」

 

「うん……楓もきっと気に入ると思う」

 

「それ、理沙にも同じこと言われたなぁ……でも二人がそこまで言うなら間違いないね。私、頑張ってみる!」

 

「それで今からもう始めるの?」

 

「うん!そのつもりだよ。鈴奈は今日もやるんでしょ?だったら色々教えてよ」

 

教えて、かぁ……私、何か教えられることあったかな……いや、ないな

それに例え教えられる事があったとしても、私が教えたらおかしな方向に育ちそうだし楓には悪いけどやめておこう

 

「私は始めたばっかだから何も教えられる事なんてないし、それに私これから少しだけやる事あるから今からログイン出来なくて……だから先に一人で始めててよ。そんな時間掛からないから」

 

「そっかぁ……分かった!じゃあすぐに来てね!」

 

楓がそう言うと通話が終わる。

ちなみにやる事ある、と言うのは嘘である。別に今すぐやっても良いんだけどもしゲーム内で会って教えてって頼みこまれたら断れない気がするし……

ごめん楓……!でも楓なら私にはないコミュ力だってあるし大丈夫だと思うんだ!

 

「さて、暇だし宿題やりますか……」

 

そして一時間後……

 

「やっと終わった…」

 

結構時間掛かったなぁ。早速ログインしますか!

 

 

******

 

 

「かえ…じゃなかった。ゲーム内でリアルネームは良くない……友達がどこにいるか分からないから先に昨日の成果を確認しますか」

 

私はログインして早々に森へ避難していた。昨日と変わらず人が多いんだよ……

楓に関してはそもそも私みたいに見た目を変えているかどうか、プレイヤーネームなんなのかすら分からないので探しようがない。仕方ないので自分のことを優先させてもらおう。

 

私はステータス画面を開いた。

 

ナナ

Lv20

HP 32/32

MP 25/25

 

【STR 0〈+11〉】

【VIT 0〈+6〉】

【AGI 160〈+5〉】

【DEX 0】

【INT 0】

 

装備

頭 【空欄】

体 【空欄】

右手 【初心者の短剣】

左手 【空欄】

足 【空欄】

靴 【初心者の魔法靴】

装飾品 【フォレストクインビーの指輪】

    【空欄】

    【空欄】

スキル

【大物喰らい】(ジャイアントキリング)【急所突き】【跳躍Ⅹ】

【短剣の心得Ⅶ】【連撃強化中】【縮地】

【超速機動】【暗殺の極意】【殺戮者

 

「色々増えてる……沢山あるしとりあえず気になるやつを見ていくか」

 

【縮地】

予備動作無しで目標まで一瞬で移動する

取得条件

【跳躍Ⅹ】の習得、AGI150以上の状態でモンスターの懐に飛び込んで攻撃を五十回連続で成功させること

 

「これかなり便利なやつ……これに頼る事は多くなりそう」

 

【超速機動】

このスキルの所有者のAGIを二倍にする。【STR】【VIT】【INT】のステータスを上げるために必要なポイントが通常の三倍になる。

取得条件

魔法、スキルを使わずにモンスターが反応できない速度を保ったままで一時間移動し続けること

 

「ステータス永続上昇系ね……【大物喰らい】と合わせて四倍になるのか」

 

【暗殺の極意】

気配を完全に消せる。また不意打ち時の攻撃が確定でクリティカルになる。不意打ちに失敗すると3秒間その場で硬直状態になる。

取得条件

魔法、スキルを使わずに30分以内に不意打ちを三十回成功させその不意打ちでモンスターを討伐すること

 

「これもいいね。失敗時のデメリットがあるけど、それでも【急所突き】で威力二倍になるしこれもよく使いそう」

 

殺戮者

ユニークスキル。

このスキル所有者による全ての攻撃に〈ダメージを与えた時に出血状態にする効果〉を付与。クリティカル攻撃の時に超低確率で対象を即死させる。また一度討伐したモンスターやプレイヤーに遭遇した際に対象を怯え状態にする。

このスキル所有者の持つスキルの全てのデメリット効果が二倍になる。

取得条件

デメリット効果のあるスキルを二つ以上持っていること。また魔法、スキルを使用せずにモンスターを百体討伐し、初ログイン時からそれまで一度もダメージを受けていないこと。

 

「ユニークスキル……!?知らない状態異常が二つに超低確率とはいえクリティカル時に即死って……と、とりあえずこの状態異常がどんなものか確認しないと」

 

出血状態

この状態異常になった者が行動を起こすたびに目眩や体力の減少を引き起こす。その者の行動によって効果の大きさが変動する。

この状態で毒状態になると毒による体力減少速度が二倍になる。

 

怯え状態

この状態異常になっている者のAGIを一時的に0にする。また魔法、スキルの発動に失敗するようになる。

 

「え……この二つの状態異常に即死付き……デメリットありとはいえそれでもお釣りが来るくらいの壊れスキル……」

 

とりあえず今日はスキルを色々試してみよう。もちろん、楓を見つける事も並行してやっていこう。

そう思って私は設定画面を開いてパッシブスキルをオンにして発動させる。

 

「これでAGIが二倍、戦闘時は【大物喰らい】も合わさって四倍。つまり今の私のAGIは660……!これ、どこまで速くなるんだろ、いずれ時間が止まるくらい速くなるのかな……」

 

それでは早速、軽く走ってみ——

 

 

…………これコントロール難しい。いきなり二倍になられると感覚がまるで違う。これ戦闘時は四倍なんだよなぁ……頑張って慣れるかぁ……

 

そうしてしばらく走り回って何とかコントロール出来てきた辺りで次のスキルを試す。

 

「【縮地】」

 

私がそう言うと次の瞬間、目の前にいた兎のモンスターとの距離が詰まる。

そのまま短剣で切り裂くと兎のモンスターは光となって消えた。

 

「なるほど、こんな感じか……」

 

今使ってみた感じ、速さは通常よりも少し速いかなくらいではあるが、これはおそらく私がどんな態勢だろうと移動することができる。ともすれば今の私には隙がない、ということになる。

 

「これ強い。これでデメリット無しなのヤバい」

 

【暗殺の極意】は試さなくても分かるのでいいとして、続いて試すのは問題のこのユニークスキル。

 

「と言ってもさっきから私と出会ったモンスターの動きが鈍いからこれが怯え状態……後は出血状態だけど……」

 

そう言って目の前のムカデのモンスターを殺さないように攻撃して様子を見る。

モンスターが歩くたびに少しずつ体力が減っている。そしてめっちゃフラフラしてる。

 

……これ危険だ。NWOの情報掲示板にも一切情報がなかった状態異常でここまで強いとなると、確実に注目を浴びることになる。絶対に目立ちたくないのにこんなのが知れ渡ったら終わる……!

 

やはりパッシブスキルは封印しよう……使うのはいざって時だけでいい。それに【縮地】とか、パッシブスキル以外は普通に使えるし、何とかなるはず。

 

そんな事を考えているとふと悲鳴が聞こえてきた。

 

「この声、まさか……!」

 

間違いない、この声は確実に楓だ!

急いで悲鳴がしたところに行くと大量のモンスターに囲まれた楓が短刀を振り回している姿があった。モンスターから攻撃を受けているがダメージが入ってる様子はない。とにかく手助けしてあげようと私が姿を現すと私に気づいたモンスターが次々と怯え状態になって動きが鈍る。

 

「スキル封印前で良かった。これ以上ないアシスト出来た」

 

そうして楓がモンスターの群れを倒し切るのを待った。

 

「はぁ……焦ったけど、新しいスキルが手に入ったからまぁいっか……」

 

「お疲れ様」

 

「あ、その声は……!やっぱりれい——」

 

「ちょっと待って!ここでの私はナナだから。そう呼んで」

 

「ナナだね、覚えたよ!私はメイプルっていうんだ」

 

「分かった……それでメイプル、何があったの?」

 

「それが……」

 

そうして私はメイプルから事の顛末を聞いた。

 

「VIT極振り……そっか、そうなるんだ……」

 

私がいなくてもおかしな方向に育っちゃったよ……

 

「だって痛いのは嫌だから……」

 

そうだよね。これはこれでメイプルらしい……

 

「何だか安心した……ゲームの中でもメイプルはメイプルだね」

 

この時私は久々にほんの少しだけだけど笑顔になれた気がする。

 

「ちょっと!それってどういう意味〜!」

 

「そのまんまの意味」

 

そうしてメイプルと他愛のない会話をして……そして

 

「あ、そういえば忘れてた!」

 

メイプルが突然そんなことを言う

 

「何を?」

 

「今日、助けてくれてありがとう。モンスターの動きが鈍くなったのってナナのおかげなんでしょ?だからありがとう!」

 

「あーでも、メイプルにダメージ入らないなら結局いらなかった気がする……」

 

「そんな事ないよ!あれがなかったらもっと時間掛かってたよ絶対!」

 

「そうかな……まぁでも力になれたのなら良かった」

 

そして、また明日!って言いながらログアウトしたのだった。

 

 

******

 

 

〜運営達の部屋にて〜

 

「う、嘘だろ!!そんなバカな!」

 

「どうした!一体何があった!?」

 

「ユニークスキルの殺戮者を取ったプレイヤーがいるぞ!!」

 

「はぁ!?あのスキルの取得条件はデメリット効果を持つスキル二つ以上だろ?そしてデメリット効果を持つスキルはパッシブ系のスキルが殆どだ!それを持っている時点でスキルを使用せずにの条件を達成出来ないはずじゃなかったのか!?」

 

「それが……設定でスキルをオフにしたようだ」

 

「あ……あんな探さなきゃ見つからないような小さな所に気づいたのか……というかわざわざスキルオフにするような物好きがいるとは」

 

「ちなみにそのプレイヤーは誰だ?」

 

「ナナという名前のプレイヤーだったな。昨日の映像が残ってる。こいつだ」

 

表示されたのはナナがモンスターを百体狩っていた時の映像。

 

「えぇ……(困惑)何あの動き……あ、あんなスキルあったか?」

 

「残念ながらPS(プレイヤースキル)だ……」

 

「ほう……あの無表情でクールな感じ、そして胸は大きくも小さくもない程よい大きさで——じゃなかった。人間離れした動きだな、これがPSだなんて信じられないな」

 

「確かに、人間離れした美少女だな」

 

「お前ら、頼むから一旦見た目から離れてくれ」

 

「殺戮者は極めて特殊なスキル効果を持つ。このゲームで唯一の即死効果持ちで今のところ治す手段が存在しない出血と怯えの特殊な状態異常。デメリットがあるとはいえここまで高度な事が出来るプレイヤーの手に渡ったとなるとゲームバランスが崩壊しかねない……とりあえずは要警戒対象として見守っていこう。問題があればその都度対処する!」

 

「「「了解」」」

 

「何かあった時の事を考えて今から対応手段を考えておかないとな……」

 

「誰だよ、絶対取られないからってこんなスキル実装したのは……いやまぁ俺ら全員の総意だったんだけどさ」

 

「絶対に取られないなんて、その気になっていた俺らの姿はお笑いだったぜ」

 

「お願いだからこれ以上は妙な事が起きてくれるなよ……!」

 

運営達の仕事はまだまだ続く。

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