なるべく他プレイヤーと関わりたくないので逃げる為に速さに極振りします! 作:夢幻人.
「うわ……よく食べれるね、それ」
今私とメイプルは第一回イベントに向けて特訓中。
「だってこれで色々スキルを取得出来るかもだし、ナナもやったらいいのに……」
メイプルは現在、爆発するテントウムシを食べている。スキル取得の為だとしても私はやりたくない。
「いや、いい。私は私のやり方でスキル取るよ」
というか私の欲しいスキルはもう取れたから、イベントを待つだけなんだけどね。
現在の私はステータスはこんな感じだ。
ナナ
Lv28
HP 32/32
MP 25/25〈+40〉
【STR 0〈+20〉】
【VIT 0〈+6〉】
【AGI 180〈+70〉】
【DEX 0】
【INT 0】
装備
頭 【幻想のローブ】
体 【神秘の衣】
右手 【破邪の刃】
左手 【封印されし籠手】
足 【空欄】
靴 【白夜のブーツ】
装飾品 【フォレストクインビーの指輪】
【空欄】
【空欄】
スキル
【短剣の心得Ⅹ】【連撃強化中】【縮地】
【超速機動】【暗殺の極意】【殺戮者】
【MP強化小】【MPカット小】【体術Ⅴ】【韋駄天】
影魔法と破邪でMPを消費してしまう為MP強化とカットを取り、近接戦で短剣以外の戦闘手段として体術を取り、その最中で取れた嬉しい誤算が韋駄天というスキル。
【韋駄天】
一時的にAGI値を50%上昇させ、五回攻撃する。
このスキルの攻撃はAGI値に依存する。
取得条件
【超速機動】と【縮地】を取得した上で一定時間以内にに百回以上、通常攻撃を当てること
AGI極振りに持たせていいスキルではない。これもしかしたらメイプルの体力を減らせるのでは……?
現在、パッシブスキルの四倍によってAGIが1000あるし、そこから韋駄天で1500。つまり実質的にSTR1500の攻撃が五回繰り出されることになる。
これだけあれば減らせそうだけど、どうなんだろう?
「やったー!嬉しい誤算きたー!」
突然メイプルがそう言った。
気になって見てみると……
「えぇ……何このスキル……」
私の目に入ってきたのは悪食というスキル。
【悪食】
あらゆる者を飲み込み糧に変える力。
魔法さえ喰い荒らし自分のMPに変換することが出来る。容量オーバーの魔力は魔力結晶として体内に蓄えられる。
取得条件
致死性の劇物を一定量経口摂取すること。
運営さーん!!今すぐにナーフしようよ、こんなスキル!書いてある事がイカれてるよ!殺戮者が可愛く見えてくるね!
「これでデメリットないんだもん……運営の考えが分からない……」
「ほら!頑張って食べた甲斐があったでしょ!?」
「うん……そうだね……」
これで自身の強さを自覚出来てないメイプルは確実に大物になれるよ。
******
そんなこんなでイベント当日の日がやってきた。
「よし、準備万端。ダメージ受けないといいなぁ……」
「メイプルの防御力なら全然大丈夫だと思う……トッププレイヤーが相手だと分からないけど」
トッププレイヤーなら何かしらスキルを持っててもおかしくはないだろうしね。
「ていうか、すごい震えてるけど大丈夫!?」
「大丈夫じゃない、人混み怖い……」
早く始まってください!お願いします!
「ガオー!それでは、NWO第一回イベントを開始するドラ!制限時間は3時間!ステージは、イベント専用マップ!ちなみに僕は、このゲームのマスコットドラぞう!初めての人は、以後よろしくドラ!」
やっと始まる……今回の私の目標はとにかく目立たない程度に頑張ること!目指せ十位!
「それではカウントダウン!3! 2! 1! 0ー!みんな頑張って!ガオー!」
******
私が転移したのは森の中だった。
私はすごく運が良い。森の中は私の庭と言っても過言ではないからだ……早速準備をしよう。
私は【幻想】を使って周囲の風景に溶け込み、【暗殺の極意】で気配を完全に消す。最後に影の魔物を大量に召喚してプレイヤーを探させる。離れていても影の魔物の位置を捉える事が出来るので、迷いなくプレイヤーを狩る事が可能になるのだ。これで準備が出来た。
「さて、やるか……!」
このイベントで自分がどの程度の強さなのかが分かる。目立たない程度に頑張るとは言ったが、やはり色んな人と競う事というのは私をどうしようもなく奮い立たせる。
……今まではそう言った事が出来た事がなかったから、余計にワクワクしていた。
木を足場にして森中を駆け回る。その時に見かけたプレイヤーを次から次へと斬っていく……もちろん、一撃で倒せない者もいるので連撃して戦闘態勢に入らせずに倒す。
ここまではモンスター狩りと変わらない。だが、たまに現れるのだ。強いプレイヤーが……
「次の相手発見……!」
見た目はハーフツインの赤みがかった茶髪の女性プレイヤー。背は私よりも少しだけ高そう。
そして弓使い——
「そこ!」
「……!!」
私は飛んできた矢を掴んで放り投げる。
私のところへ正確に撃ってきた。見えないし、気配も消してるはずなんだけどな……まぁでも弓程度の速度じゃ余裕で掴めちゃうから問題はない
私は速度を緩める事なく距離を詰める。
「……!」
矢が放り投げられたのを見て弓使いは即座に自身の背後へ弓を構える。
「……私の勝ちよ」
そう弓使いは言う。
私の目の前には矢があり、今にもゼロ距離で撃たれそうだ。
お見事としか言いようがない。何かしらのスキルで気づいたのだろうか。それともPSか……おそらく後者だろう。スキルにしては背後へ振り向くタイミングが早すぎた。
私は【幻想】を解いて姿を見せる。
そしてそれと同時に左手でやっていた操作が終わる。設定を変えてパッシブスキルをオンにした。
流石にゼロ距離はパッシブないと躱せないからね。
「何もさせない……!」
「【縮地】」
言うのと同時に矢が放たれる。
「……!消えた……って嘘でしょ……?」
「油断大敵……撃つの遅い」
私は彼女の背後から首に短剣を突き立てていた。そしてそのまま斬る。
一撃で終わる気がしなかったので流れるように背中に短剣を突き刺した。
「……強かった」
無事に終わった。
正直なところ振り向いた瞬間に撃たれていたら私は負けていた。彼女はいずれ強敵になるかもしれない……
いや影の魔物が近くに控えてたし、それ使えばもっと楽に勝ててたのでは……?
そう思いながら私はパッシブスキルをオフに戻してまた敵を探しに向かったのだった。
******
【NWO】第一回イベント観戦席
240名前:名無しの観戦者
優勝はペインかなって予想してたけど何かとんでもねぇダークホース出てきたな
241名前:名無しの観戦者
あれはやばい
開始30分足らずで四百人キルしてるw
このナナってプレイヤー何者よ
242名前:名無しの観戦者
でも未だにスクリーンにそれっぽいプレイヤーが映らないんだよな
なぜか森エリアで突然倒れだすプレイヤーが映るんだが、これは関係ないよな……?
243名前:名無しの観戦者
あ、姿見えた
244名前:名無しの観戦者
姿を消すスキルとかあるのかよ
245名前:名無しの観戦者
ていうか、こいつあれじゃね?
前に少しだけ話題になった立体機動する白い美少女
246名前:名無しの観戦者
納得
どうりで既視感あるなと思った
247名前:名無しの観戦者
暫定成績ランキング
メイプルっていう大盾
百二十人潰して被ダメなんとゼロ
そして既に語られてるがナナっていう短剣
既に五百人潰してこちらも被ダメゼロ
248名前:名無しの観戦者
ふぁっ!?
249名前:名無しの観戦者
チート?いや…無いか
250名前:名無しの観戦者
短剣の方は既に映ったけど、大盾もそんだけ暴れてたらそろそろスクリーンに映るんじゃね
251名前:名無しの観戦者
こいつか?今映ってる
251名前:名無しの観戦者
盾がw剣食ってるw
何これw
252名前:名無しの観戦者
可愛い顔してやることえぐすぎんよー
状態異常とあの大盾で殆ど無抵抗のまま潰してる
253名前:名無しの観戦者
でも動き遅くね?
さっきからカウンターばっかり
254名前:名無しの観戦者
確かにあの立ち回りならダメージ貰って普通だよな
ほら言ってるそばから…は?
255名前:名無しの観戦者
は?
256名前:名無しの観戦者
は?
257名前:名無しの観戦者
あいつ何で頭に振り下ろされた大剣頭で弾き返してんの?
258名前:名無しの観戦者
え?真面目な話そんなことできんの?
259名前:名無しの観戦者
出来たら皆やるわ
260名前:名無しの観戦者
大盾よりも状態異常よりも本体の方が謎すぎてやばい件について
261名前:名無しの観戦者
大盾の子も短剣の子もやばいわ
短剣の子なんて姿見えないし何もさせてくれないからな
262名前:名無しの観戦者
短剣の子、死神呼ばわりされてるw
263名前:名無しの観戦者
森から逃げ出す奴ばかり映ってて笑う
******
あっという間に残り一時間ちょっとになってしまった……
あれからプレイヤーを狩っていたけど途中から皆逃げちゃって森エリアに誰もいなくなっちゃったんだよね……ていうか逃げる時に死神呼ばわりしたやついたな?まったく、失礼なやつだ。
そしてその後、この平和な森でスヤスヤ眠ってしまったわけだ。おかげで十位以内は絶望的。でも目立ちたくはなかったし、これはこれで……良くないな。全然良くない。めっちゃつまんない事してる気がする。
「目立たないのは怖くないっていう安心感がある……でも楽しくはない」
ゲームは楽しむものだ。ゲームに関心がなかったあの本条楓が今はメイプルとしてこのゲームを全力で楽しんでいる。それを見てるとこのままでいいとは思わない。
すると突然、アナウンスが流れた。
「さあ、残りは一時間!現在の一位はペインさん!二位はドレッドさん!三位はメイプルさんドラ!これからは上位三名を倒した際、得点の三割が譲り渡されるよ。三人の位置はマップに表示されるドラ!」
「え?メイプル三位……?」
上位に入れるだろうとは思っていたけどまさかトップ3に入ってくるとは……
「うん、決めた……!」
おそらく未来の私は後悔するだろうけど、やっぱり私は楽しい事をしたい。
目立つのは怖い……怖いけど、つまんないのはもっと嫌だから。それにメイプルにボロ負けってのは、ないわー。そんなの私は許せない!
「久々の……本気だ……!!」
目指せメイプル超え!!