なるべく他プレイヤーと関わりたくないので逃げる為に速さに極振りします! 作:夢幻人.
私はパッシブスキルをオンにして第一位、ペインのところへ向かっていた。
今の私が順位を上げるにはやはり第一位のポイントの三割をいただくのが一番手っ取り早いからだ。
「にしても、人が沢山集まってる……」
さすが第一位、大人気のようだ。まぁ私からしたら……狩り放題キタコレ!って感じなんですけどね。全員私の糧となれ!
そうして私はかつてない速さで狩っていったのだった。
******
【NWO】第一回イベント観戦席
295名前:名無しの観戦者
化けもんすぎんだろ
296名前:名無しの観戦者
おかしい所
特にスキル発動してる様子もないので素のAGI値で目で追いきれないくらいの速さを出している
それでいて正確無比な攻撃で魔法でも何でも切り裂いてくる
あいつのステどーなってんの?
297名前:名無しの観戦者
魔法とかを切り裂いてるのはスキルの効果だと思うけどそれにしたって精密過ぎるな
DEXにも相当振っているのかな
298名前:名無しの観戦者
誰だよ、眠れる死神を起こしたのは……
もっと寝顔見せろ
299名前:名無しの観戦者
眠れる死神w
300名前:名無しの観戦者
明らかに序盤よりもハイペースで倒していってるな
これ万が一ペイン倒せたら三位以内あり得るな
301名前:名無しの観戦者
五百人ちょいから既に千人潰してるから確かにあり得なくはない
でもあのペインを倒せるとは思えん
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周囲にいたプレイヤーを倒しきったのでペインのところへ向かった。
「周りが急に静かになったのは……君の仕業かな」
「貴方も倒させてもらう……【韋駄天】」
「……!」
私が今出せる最速最高火力の五連撃。だが、まだ【韋駄天】のスピードに慣れておらず最初の一発以外外れてしまった。そしてその最初の一発は彼が持つ剣で完璧にガードされてしまった。
「はぁ……勘が鋭い」
「今のは危なかったな……防げたのは奇跡みたいなものだ。俺もまだまだだな」
それでもペインの体力は三割削れていた。
(なんて威力のスキルだ。ガードしてもこのダメージとは……しかもバフまで剥がされている)
ペインは目の前のプレイヤーをどう倒すか考える。
そして私は——
まずい……出来れば今ので決めておきたかった。私の耐久力じゃあの人の攻撃掠っただけでも終わる可能性あるのに……!
ていうか、なんで初見であれをガード出来るの?思った以上にヤバい人じゃん、この人……
でも【破邪】を使ってバフを解除したから多少マシにはなった。後は少しでも隙を作れれば【韋駄天】で倒せる。次は外さない……!
「【縮地】」
私は一気に距離を詰めて四方八方からひたすらに攻撃する。ペインはそれを凌いでいるのみで反撃する様子はない。
これでペインが少しでも反撃しようものならその際に生じるほんの一瞬の隙を【韋駄天】で攻撃出来るのだが……流石にそんな簡単にはいかないか。
このままじゃジリ貧だな、恥ずかしいから使いたくなかったんだけど使うかぁ……
一方でペインは悩んでいた。
(少しでも攻撃しようものなら、彼女はその隙を確実に狙ってくるだろう……彼女の速さを前に対抗手段が一個も思いつかないとはな)
何をしようにもやる前にやられてしまうのでは意味がない。そしてナナにはそれを成せるだけの強さがあった。
「ここまで防戦一方な戦いは初めてだ……」
ペインは覚悟を決めて最後の意地を見せることにした。
私はペインから距離を取る。
そして詠唱を始めた。
《この場に存在する全ての影よ、一つとなりて凶悪なる魔物と化せ——》
(詠唱……この状態なら……!)
ペインはこの隙に攻撃しようと動こうとするが……影に拘束されてしまう。
「これは一体……!?この黒い魔物の仕業か!一体どこから」
影魔法の一つ、【シャドウバインド】
影の魔物に予め発動させるように命令しておく事で自動的に魔法を行使してくれるのだ。しかも影の魔物は隠密性が高く、たとえ【気配察知】のスキルがあっても意識しなければ気づけないだろう。今回は私の詠唱中に邪魔しようとする敵を狙うように指示をした。
とは言っても私のMPが少ないためほんの少ししか拘束出来ないが、詠唱を完了させるには充分足りるはず……!
《——神をも喰らう怪狼よ!今ここに顕現せよ!》
【召喚ー
詠唱完了と同時に私の後ろで黒く巨大な狼が姿を現した。
これは私がダンジョンで戦ったあの巨大狼だ。随分と弱体化してるし、MPが少ないので攻撃一発分しか撃てないが隙を作るには何の問題もない。
「私のなけなしの魔力、全部持っていって!」
私がそう言うと巨大狼は口からビームを放った。
ペインはそれと同時に拘束が解けた。直前で跳躍して直撃を避けるがビームによる爆風に巻き込まれてしまった。
その隙を逃す私ではない。
「【韋駄天】!」
今度は五連撃全て直撃した。これで終わりだとそう思っていた……
だが、ペインは既にスキルを発動させていたのだ。
「……!!」
「【断罪ノ聖剣】!!」
私は咄嗟に避けて直撃は免れたもののほんの少しだけ間に合わず、掠ってしまった。
それは私の体力を減らし切るには充分な威力だった。
「相打ち狙いで……」
「君を倒すにはこれしかなかった……完敗だよ。今の俺では君には勝てなかった。またリベンジさせてもらうよ」
そう言って一足先にペインが光になって消えた。
「はぁ……負けを認めつつも相打ちで終わらせるって……これがゲーマーの意地ってやつなのかなぁ……」
そう言って私は光に包まれて……
気づけば森の中にいた。リスポーンしたのかな……?
するとアナウンスが聞こえてきた。
「ペインさんがナナさんに倒されて、ペインさんのポイントの三割がナナさんに譲渡されたドラ!よって順位が変動!一位ドレッドさん!二位メイプルさん!三位ペインさんドラ!残りは三十分!みんな最後まで頑張って!ガオー!」
うん?ポイントの三割が譲渡されてもペイン三位なの?どんだけポイント稼いでんだあの人……
とにかくラストスパートだ……狩りまくるぞ……!
そしてあっという間に三十分経過して——
「ガオー!終了!最後にペインさんがメイプルさんとドレッドさんを追い抜いて一位になったドラ!結果、一位ペインさん!二位ドレッドさん!三位メイプルさんドラ!」
えぇ……あの人残り三十分で順位を元に戻したの?やばぁ……
「それでは、3位から順にインタビューしていくよ!メイプルさん、振り返ってみてどうだったドラ?」
「えっあっえっ?えっと、その、一杯耐えれてよかったでしゅ・・・」
「ガオー!おめでとう!それでは、記念のメダルをどうぞ!」
「あ、ありがとうございましっ・・・やだぁもう、恥ずかしいよ〜!」
メイプル可愛いな……これはメイプルの順位を追い抜かなくて正解だったかもしれない。
ちなみに私は四位だったらしい。メイプルとの得点の差はなんと一点差のみ。
撃破数的にはペインの三割含めるとメイプルより上だったらしいけどやはり一回デスしてしまったのが良くなかった。あそこで最後まで油断してなければ回避出来たのに……!
そうしてイベントは無事に終了した。
******
〜とあるネットの掲示板にて〜
【NWO】美少女二人の謎【考察】
1名前:名無しの槍使い
スレ立てたぞっと
2名前:名無しの大剣使い
おう
議題は我らがメイプルちゃんとナナちゃんのことだ
3名前:名無しの魔法使い
正直ペインよりもやばいと思った
実際、一人はペインに相打ちとはいえ勝ってるし
何で三位と四位なん?
4名前:名無しの槍使い
メイプルちゃんは序盤廃墟でお絵描きしてたから
ナナちゃんは中盤森でお昼寝してたから
5名前:名無しの弓使い
可愛すぎかよw
6名前:名無しの大盾使い
あれ本当に大盾なのか不安になるわ
あっ因みに俺は九位でした
7名前:名無しの槍使い
流石
大盾でそこまでいくとは
(メイプルから目を逸らしつつ)
8名前:名無しの大剣使い
それでは今回のメイプルちゃんまとめだ
第一回イベント
メイプル三位
死亡回数0
被ダメージ0
撃破数2028
装備は敵を飲み込む謎の大盾とアホみたいな状態異常魔法を発生させる短刀と黒い鎧。
黒い鎧は異常性能を発揮していないように思われる
異常なまでの防御力で魔法使い四十人からの集中砲火をノーダメで受けきる
9名前:名無しの魔法使い
もう本当何回見ても頭おかしいとしか…
10名前:名無しの大盾使い
大盾→まあそういう装備もあるかもな…うん
短刀→まああるかもしれんな
メイプルちゃん本体→は?
本体のステとスキル構成が一番の謎
メイプルちゃんのVITいくつよ…
11名前:名無しの大剣使い
マジで歩く要塞だったからな
マジで
12名前:名無しの弓使い
単純にVIT値で受けてるっぽいんだよなぁ
っていうかメイプルちゃんの持ってるスキルに心当たりある奴いんの?
魔法攻撃受けてる時とかなんかキラキラ光ってたし何かしらスキル使ってるのは確定
13名前:名無しの大盾使い
状態異常→分からん
防御力アップ→そんな硬くなるスキルがあれば取ってる
大盾→知らん
14名前:名無しの魔法使い
これ
メイプルちゃんの持ちスキルが一個も分からん流石に基本的な奴は持ってるだろうけど
メイプルちゃん固有のやつが本当分からん
15名前:名無しの弓使い
タイマン最強じゃない?
16名前:名無しの魔法使い
マジであり得る
あの広範囲の状態異常攻撃を何とかしないとまあまず勝てん
致死毒とか言ってたし相当高位の魔法
それで疑問なんだがMPどうなってるん?
あんなポンポン魔法使って、しかも多分VIT極振りだろ?
MP足りないだろ普通
17名前:名無しの大剣使い
あれなー…多分大盾が魔力タンクになってる
喰ったものを魔力にして溜め込む感じ
18名前:名無しの槍使い
じゃああの赤い結晶がそうか
確かに魔法使う度に割れてたしな
19名前:名無しの大剣使い
つまりメイプルちゃんは
自分自身はあり得ない程の高防御であらゆるダメージをゼロにし
その装甲を抜こうとした攻撃やプレイヤーをMPに変換し
状態異常で叩きのめす
とこういう訳だな
20名前:名無しの槍使い
何そのラスボス
21名前:名無しの弓使い
ええ…鬼畜すぎんよ〜
22名前:名無しの大盾使い
しかもまだ隠し持ってるスキルがあるかもしれないという
今回はダメージ与えた奴がいないから分からんがHP回復するかもしれんぞ
23名前:名無しの魔法使い
ラスボスのHP回復は禁止って昔から言ってるだろォ!?
24名前:名無しの大剣使い
自分でも文字に起こすと変な笑いでたわ
しかもまだ始めたところ
大型新人過ぎる
25名前:名無しの魔法使い
次のイベントでは鎧も異常仕様に!
はいこれ
26名前:名無しの弓使い
実際既にトッププレイヤーなんだよなぁ…
あれヤベェわ
可愛くて強いとか最高かよ
27名前:名無しの槍使い
さて、次はナナちゃんだな
こちらはメイプルちゃんよりも分かりやすいけど
それ故にナナちゃんの異常なまでの強さがハッキリと分かってしまう
28名前:名無しの大剣使い
そうだな
というわけでこちらが今回のナナちゃんまとめだ
第一回イベント
ナナ四位
死亡回数1
被ダメージ32
撃破数1559(+ペインの三割)
装備は魔法もスキルも何でも切り裂く謎の短剣と姿を消す真っ白な衣服
姿を消した状態で攻撃してきて相手は何が何だか分からないままキルされる
たとえ姿が見えていても目で追いきれないほどの圧倒的な速さで魔法もスキルもプレイヤーも何もかもを切り裂いて蹂躙する
あと詠唱して巨大な狼を召喚する……あれ何?
29名前:名無しの弓使い
ラスト一時間で1000キル(ペインを含む)したからな…
これは死神ですわ
30名前:名無しの魔法使い
そのペインを含むが何よりもやべえ……
あとその狼召喚に関しては全く分からんな
どこでそんな魔法取得してきたんだ?
31名前:名無しの槍使い
被ダメ32で1デスって事は体力32しかないんかw
ステ振りはAGIとDEXにやってるのかな
32名前:名無しの大盾使い
だとするとあのペインを倒した時の火力がおかしくないか?
スキル使ってたからそれの効果があったとしても
STRにもそれなりに振ってないとペインがあそこまであっさり倒されるとは思えないんだよな
33名前:名無しの大剣使い
そのスキルの効果が分からないから何とも
けど確かに火力はヤバかった
34:名無しの弓使い
そのスキルでメイプルちゃんにダメージ通せたりするのかな
35:名無しの槍使い
だとしたら最強のアタッカーじゃねぇか!
メイプルちゃんとナナちゃんの対決見てぇ……!
36:名無しの大盾使い
あの二人、得点一点差だったらしいしめちゃくちゃいい勝負しそうだな
37:名無しの魔法使い
あのペインを防戦一方にしていた時点で既に最強のアタッカーなんだよなぁ…
最強のアタッカー対最強のディフェンサー
どっちが勝つと思う?
38:名無しの槍使い
おい、やめろ
そんな究極の二択…選べるわけないだろ…!
39:名無しの大剣使い
ダメージ通せるならナナちゃんだろうけど…
メイプルちゃんにダメージ通る姿が想像できないんだよな
40:名無しの弓使い
かといってナナちゃんは魔法を斬って無効化出来るからメイプルちゃんも手出しできない
あれ?これ勝負つかなくね?
41:名無しの槍使い
さすが最強同士…俺らでは決着を想像する事が出来ない
掲示板はこの二人の話題で大いに盛り上がったのだった