黒磁のマエストロ~ガッシュ・アナザーワールド~   作:クォーターシェル

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第3話 邂逅、猫に砂

山道は徐々に狭くなり、枝葉が絡み合って薄暗くなっている。そしてもう少しだけ山道を進むと、

 

「《ニャルド》!」

 

そんな声が聞こえたので2人は身構えた。だが、前方で木が倒れる音がしたがこちらには何も起こらない。2人は怪訝そうな顔を見合わせると、更に先に進む。すると山中の開けた場所で、

 

「あれは……」

 

蓮が声を潜めて指さした先には、銀髪の猫耳メイドが立っていた。彼女の横には眼鏡をかけた青年が佇み、こちらに気づいていない様子で何かを話している。

 

「確かケルト……」

 

マエストロが低い声で呟いた。どうやら魔物の名前らしい。

 

「知ってるのか?」

 

「魔界に居た頃に遠目で見たことはある。そこそこ才覚のある魔物だった筈だ」

 

「そうなんだ?」

 

ケルトと呼ばれた猫の少女は華奢な体格だが、全身から溢れる緊張感は並ではない。一方で眼鏡の青年は知的な雰囲気を漂わせながらも警戒を怠っていない。

 

「どうする?」マエストロが尋ねた。「交渉か戦いか」

 

「いや、まずは様子を見よう」蓮は判断した。「彼らが何を企んでいるのか探るべきだ」

 

二人は茂みに身を隠しながら接近した。距離十メートルの位置で息を潜める。

 

「ご主人様」

 

ケルトが恭しく頭を下げた。

 

「そろそろ休息をお取りください」

 

「まだ早いだろう?あと数時間は訓練すべきだ」

 

本の持ち主……焦夜の口調は冷静だ。しかし息は上がっているようだ。

 

「王への道は長く険しいんだ。こんな山中で躓いていては到底辿り着けない」

 

「承知しました」

 

ケルトは従順に答えたが、その瞳には不安が浮かんでいる。

 

「ですがお身体が……」

 

「大丈夫さ」

 

焦夜は自分の魔本を開きながら言った。

 

「確かに俺はこの戦いが始まるまで運動嫌いだった。しかし、ケルトの傍に立つならこれくらいは耐えなければならない」

 

「……ありがたく存じます」

 

会話を盗み聞きながら蓮は感心した。パートナーのことを第一に考える焦夜と、献身的に支えるケルト。その姿には清々しささえ感じる。

 

「マエストロ」

 

「どうした?」

 

「あいつら……本当に王を目指してるみたいだな」

 

「当然だろう」

 

マエストロは簡潔に応じたが、その声には微妙な誇りが滲んでいた。

 

「こんなところに私以外にも本物の志を持つ者が居るとはな」

 

「ということは……」

 

「ああ」

 

マエストロは低く唸った。

 

「この戦いで相手にするに値する存在だ」

 

二人が覗いている間にも焦夜は厳しい訓練を続けている。魔法の使用ではないようだが、体力を鍛えるための基礎的な運動が中心だ。しかし技術と精神の集中力は本物だと蓮は感じた。

 

「もう姿を現すべきだな」

 

マエストロが立ち上がりかけた。

 

「そういえばマエストロ。パートナーの方の能力について何かわかる?」

 

「どうやら知性と忍耐力が高い人物らしいな。ケルトの補佐として理想的ではある」

 

「なるほど……。だったら相手にとって不足なしって感じだな」

 

蓮も腰を上げた。

 

「行くか」

 

「うむ」

 

二人が茂みから姿を現すと、焦夜とケルトは同時にこちらを振り向いた。

 

「誰だ!」

 

焦夜が声を荒げたが、手にした魔本は閉じたままだ。

 

「私たちも修行を積んでいる者たちだ」

 

マエストロは堂々と言い放った。

 

「ここで何をしている?」

 

「私も同じだ。自らを鍛えるために来た」

 

ケルトが前へ進み出た。その瞳は冷静にこちらを評価している。

 

「あなたがたも王を目指す魔物ですのね?」

 

「そうだ」

 

マエストロは答えた。

 

「であれば」

 

ケルトの爪が僅かに光った。

 

「どちらかがここで消えることになりますわね」

 

緊張が走る。

 

「待て!」

 

蓮が一歩前へ出た。

 

「俺たちも修行の最中だ。ここで潰し合うのは得策じゃないだろ?」

 

「……ふむ」

 

焦夜が眼鏡の縁を押さえた。

 

「確かに無益な戦いは避けるべきか」

 

「同意いただけるのですか?」

 

ケルトが少し意外そうに聞いた。

 

「無論だ」

 

焦夜は冷静に言った。

 

「俺は鹿立焦夜(すだちしょうや)、こっちはケルトだ。そちらの名前は?」

 

「私はマエストロだ。そしてパートナーは蓮」

 

「よろしく」

 

焦夜は短く挨拶した。

 

「それで、どちらにせよ魔物同士が偶然にも鉢合わせした場合はパートナー同士が話し合って争わないという形で決まる場合も多々あると聞く」

 

「我々の戦いの歴史を紐解けばそうだな」

 

マエストロが肯定する。どうやらそれがこの戦いにおける暗黙の了解らしい。

 

「そちらはどうする?」

 

焦夜は腕を組んだ。

 

「戦うのかそれとも休戦するのか?」

 

蓮とマエストロは互いを見た。そして頷く。

 

「休戦だ」

 

蓮が宣言した。

 

「俺たちはもっと強くなってからもう一度会おう」

 

焦夜とケルトは顔を見合わせた。やがて焦夜が小さく頷いた。

 

「賢明な判断だ」

 

「ありがたく存じます」

 

ケルトが丁寧に頭を下げる。

 

四人は緊張した雰囲気のまま山中で邂逅した。これが将来のライバルとなるであろう仲間との初めての出会いだった。

 

〜夜〜

 

我が家に戻った蓮はベッドに横たわりながら今日の出来事を振り返っていた。

 

「まさかこんな早くに他の魔物と会うとは……」

 

天井を見つめながら呟く。

 

「しかも凄い奴らだった」

 

マエストロは庭で夜空を見上げている。

 

「しかし、家は結構離れているっぽいけどまさか鹿立さんも同じ市に住んでたなんてな。マエストロが自分に備わっている魔物の探知能力をもっと向上させたいと言うのも分かるけど……」

 

蓮は枕に顔を埋めた。

 

「なぁマエストロ」

 

「なんだ?」

 

「あいつらと俺たちって、どっちが強いと思う?」

 

「現時点では私達の方が少し上だろう」

 

マエストロの声は真摯だった。

 

「だが今後の努力次第では逆転もあり得る」

 

「そうか……」

 

蓮は目を閉じた。今日の焦夜とケルトの姿が脳裏に浮かぶ。彼らもまた必死で戦いの準備をしている。自分たちだって負けてはいられない。

 

「よし」

 

蓮は勢いよく起き上がった。

 

「明日からもっと頑張ろう」

 

「その意気だ」

 

マエストロの笑みが浮かぶ。

 

「私とて修行を怠ってはおらんぞ」

 

「頼むぜ」

 

〜翌日〜

 

蓮はマエストロと共に昨日と同じ山の別区画で修行を行う予定だったが、母・香織に頼まれて買い物をすべく山とは別方向に向かっていた。

 

「すまんな蓮。重い荷物を持たせてしまって」

 

「いいって。俺も力仕事くらいは役に立ちたいし」

 

蓮は米袋を抱えながら母・香織に頼まれた品々を運んでいた。隣にはマエストロが立っているが、その巨体のせいでスーパーから出てきた人々が驚愕の表情を浮かべている。

 

「よし、銀行に行こう」

 

「そうだな」

 

マエストロが頷く。香織から預かった振込依頼書があり、銀行に行く必要があった。

 

二人が街中を進むと、前方からパトカーのサイレン音が響いてきた。

 

「なんだ?事故でも起きたか」

 

「いや……違う」

 

マエストロの表情が一変した。

 

「これは魔物の気配だ」

 

「マジで?」

 

「ああ。それも強い悪意を持った者だ」

 

二人は急ぎ足で音のする方へ向かった。

 

銀行の前では既に警察官たちがバリケードを築いていた。建物の窓からは煙が立ち上り、内部は混乱しているようだ。

 

「中に人質がいるらしい!」

 

通行人が叫んだ。

 

「犯人は武装していて……」

 

「待て」

 

マエストロが耳を澄ました。

 

「どうやらこの先に居る魔物、砂の術を使うようだ」

 

「分かるのか?」

 

「よく見ろ、周囲に砂地が無いはずなのにあんなに砂埃が舞っている。あれはただの事故ではない」

 

蓮が改めて見ると、確かに銀行周辺には不自然な砂の粒子が漂っていた。

 

「人質は無事か?」

 

「わからない。だがこれ以上の犠牲は避けねばならん」

 

マエストロの目に決意の色が宿った。

 

「行こう」

 

銀行の入口へ近づくと、中から男の声が響いた。

 

「金を全部出せ!一分以内に!」

 

「くそっ……!」

 

行員たちの困惑する声が聞こえる。

 

「チャング様!もっと要求しましょう!」

 

別の声が続いた。若い男の声だ。

 

「人質の命を保証したければ全ての資金を提供するよう命じるのだ!」

 

「よし」

 

チャングと呼ばれた声の主が笑った。

 

「我らの力があればなんでも可能だ」

 

蓮とマエストロは入口に隠れた。

 

「あれが犯人か?」

 

「恐らく」

 

マエストロは答えた。

 

銀行内部を覗き込むと、そこにいたのは一見人間の子供に見えるがよく見ると岩のような肌をした魔物と魔本を持った痩せた男だった。彼らが恐らくチャングと呼ばれた魔物とそのパートナーだ。

 

「世木よ。どうだ俺の力は?金儲けなど簡単だろう?」

 

チャングがパートナーである世木に尋ねると、世木は脂汗をかきながらも、

 

「あぁ!あぁ!もっと奪えチャング様!俺の想像通りの力だ!俺が支配者になれるんだ!この国を……世界を俺が手に入れるんだ……!」

 

と世木は涎を垂らしながら言う。だが、蓮は気づいた。世木の目は虚ろで正気を失っているように見える。

 

「あの男……何かおかしいな」

 

「欲望の心を利用されているのだろう」

 

マエストロが説明した。

 

「心の力とは諸刃の剣だ。邪な欲望を糧にすれば相応の力を得られる」

 

「じゃあ……」

 

「そう」

 

マエストロは厳しく言った。

 

「あの者は既に操られている。チャングの術に囚われている」

 

「なんとか助けられないか?」

 

「可能かもしれん。だがまずは状況把握が必要だ」

 

マエストロは銀行の壁に耳を当てた。

 

「中には客五人、行員三人。チャングと世木の他に共犯者はいないようだ」

 

「よし」

 

蓮は決意した。

 

「行こう」

 

二人は物陰から飛び出し、入口へ向かった。

 

「おい!」

 

警官が制止しようとするがマエストロの一睨みで身を引いた。

 

「助太刀させてもらうぞ」

 

マエストロが堂々と名乗りを上げた。

 

「助太刀だと?」

 

チャングが顔を上げた。その目は鋭く光り、異様な威圧感を放っている。

 

「貴様は何者だ?」

 

「私はマエストロ。魔王候補の一柱だ」

 

「ほう?」

 

チャングは不敵に笑った。

 

「ならばちょうどいい。お前も利用させてもらおう」

 

「お断りだ」

 

マエストロが一歩前に出た。

 

「だが人質には罪はない。解放してもらえんか?」

 

「それは断る」

 

「《デズル》!」

 

世木の詠唱と共にチャングの指先から砂塵が噴き出した。

 

「この戦いは既に始まっているのだ。貴様も巻き込まれるべきだ!」

 

周囲の砂埃が一斉に舞い上がり、視界が遮られた。蓮は本能的に目を覆った。

 

「まずい!」

 

マエストロが警告する。

 

「ハハハ!俺が何処に居るか分かるまい!」

 

それと共にチャングは死角からマエストロに殴りかかる。マエストロは辛うじて回避するも完全に捉える事が出来ずにいた。

 

「逃がさん!《デズルガ》!」

 

世木の詠唱と共にチャングの手から砂のエネルギー波が放たれる。

 

「ぐおっ!」

 

「マエストロ!?」

 

マエストロは背後からデズルガを貰ってしまう。焦る蓮だが、

 

「この程度で倒れる私ではない!だが蓮、ここは場所が悪い!戦いの場を変えるぞ!」

 

そう言いながらマエストロは腕を振るって銀行の壁を破壊する。蓮とマエストロはそのまま人の気が無い場所へ向かうのだった。

 

「けっ、逃がすが!世木、金は後だ奴らを追うぞ!」

 

「言われずとも!」

 

2組は戦う場所を変えるのだった。

 

~5分後~

 

蓮とマエストロ、そしてチャングと世木は銀行から少し離れた河原で対峙していた。人々の喧騒から離れたこの場所は戦うにはうってつけの場所だった。

 

「さて」

 

チャングは砂に覆われた両腕を掲げた。

 

「逃げ切れたと思ったか?」

 

マエストロは眉間に皺を寄せた。

 

「やはり追ってきたか」

 

「当然だ」

 

チャングは腕をマエストロに向ける。

 

「《デズルガ》!」

 

「またあの術か!蓮!」

 

マエストロの意を汲んだ蓮は防御呪文を唱える。

 

「《マグネシルド》!」

 

マエストロ達の周囲に磁力のバリアが出現し、デズルガを防ぐ。

 

「そろそろ反撃させてもらう!」

 

「《マグネルガ》!」

 

マエストロは手から水色の電撃をチャングに向けて放つが……。

 

「はっ世木!デズルクだ!」

 

「おう、《デズルク》!」

 

すると、その呪文と共にチャングの身体が砂状に変化していきマグネルガは砂の身体に吸い込まれていく。

 

「馬鹿な……?」

 

驚愕するマエストロだがチャングの砂化は解除されない。

 

「ほら見たことか!世木、もっと喰わせてやるんだ!」

 

チャングの言葉で世木の目が血走っていく。

 

「くっ、下がれ蓮!」

 

「ああ、ちょっと下がるよ!」

 

「もろともぶっ飛ばしてやるぜ!」

 

「《ギガノ・デズル》っ!!」

 

世木のその叫びと共にチャングの構えた腕から巨大なピラミッド状のエネルギー波が放たれた。

 

「くっ!《マグネシルド》!!」

 

蓮は心の力を込めて防御呪文を唱える。先ほどの様にマエストロの周囲にバリアが展開される。マエストロはマグネシルドでギガノ・デズルを防ごうとする。

 

「うぐぐっ……!」

 

しかし、マグネシルドにひびが入り少しだけ威力は削がれたもののギガノ・デズルがマグネシルドを突破する。

 

「マエストロっ!」

 

「まだだ!蓮には届かせんっ!!」

 

マエストロはギガノ・デズルをそのまま受け止める。爆発が起こり砂埃が巻き上がる。

 

「蓮!大丈夫か!?」

 

マエストロはダメージを受けつつもなんとか蓮の前に立っていた。

 

「俺は大丈夫だけど……。マエストロの方が……」

 

「心配ない」

 

マエストロは強がりながらも傷を負っていた。

 

「だが……確かにあのデズルクというものがある限り近接攻撃が通用せんな。それにさっきのエネルギー波の威力も相当なものだ。私の防御呪文で抑え切れなかった」

 

「だが蓮よ。私はこの戦いに負ける訳にはいかんのだ。それにあんな下衆な手を使う男を王にする気は無い」

 

「そうだな。俺達がやるしかないんだ」

 

蓮はパートナーの言葉に頷き、決意を新たにした。その時、蓮の持つ菫色の魔本が光を放つ。

 

「これは!」

 

蓮が魔本を開くとそこには新たに2つの呪文が読めるようになっていた。

 

「新しい術か!」

 

「はっはっはっー!俺に勝てる訳がねえ!世木、とどめだ!この戦いに勝てばお前は更なる金を手に入れられるぞ!」

 

「俺は……、俺は金持ちになるんだ!《ギガノ・デズル》!」

 

チャングは再びギガノ・デズルを放つ。ピラミッド状エネルギー波が蓮とマエストロ目掛けて突っ込んでいく。

 

「頼むぞ新呪文!《ギガノ・マグネシルド》ッー!」

 

すると、青と赤のエネルギーがサッカーボールのように混じり合い、2人の周囲に巨大な球状の磁力バリアが形成された。爆発が起こる。そして、

 

「やった!」

 

蓮とマエストロはギガノ・マグネシルドによりダメージを受けなかった。マエストロの新術はチャングの最大術を防ぎ切ったのだった。

 

「ば…、馬鹿な!?(やべえ!世木の心の力はもうねえぞ!)」

 

「うう……!」

 

世木は最大呪文を連続で唱えたことで消耗し、足がふらついている。

 

「形勢逆転のようだな。蓮」

 

「ああ!第5の術、《ガンズ・マグネシルガ》!」

 

マエストロはチャングペアに向かって、右手の人差し指と中指を立て、黒い小さな弾丸を連射する。

 

「ぐああっ!?」

 

チャングと世木はガンズ・マグネシルガを喰らってダメージを受け、そのままガンズ・マグネシルガの1発が世木の持つ魔本に命中し、チャングの魔本が燃え始めた。

 

「よし!」

 

「ぐおおっ……」

 

チャングの身体が消えていく。燃える魔本から放たれるエネルギーが彼の姿を歪ませていく。

 

「やった……!」

 

蓮は安堵の息を吐いた。

 

しかし次の瞬間——

 

「くそっ……!マエストロォ!!」

 

瀕死のチャングが突如激しく怒鳴った。その声には憎悪が満ちていた。

 

「貴様……!次に会った時は絶対に……絶対に……!」

 

言葉が途切れる。チャングの身体はそのまま魔界へと送還されたのだった。

 

「……」

 

マエストロは静かにその場に立っていた。かつての敵だった者への哀悼とも取れる沈黙だった。

 

「マエストロ……?」

 

蓮が不安そうに声をかける。マエストロはゆっくりと振り返った。

 

「気にするな」

 

マエストロの表情は厳格だが穏やかだった。

 

「奴のような者たちは必ず現れる。だが我々は負けん」

 

河原に風が吹き抜ける。散らばった砂が空へと舞い上がっていった。

 

 

◇  ◇  ◇

 

 

「あああっ……!」

 

世木は突然我に返ったように呻いた。先ほどまでの狂気じみた表情は消え、ただの疲れ果てた青年の顔に戻っていた。

 

「俺は……一体……?」

 

膝をつきながら呟く世木の元へ警察官たちが駆けつけてくる。彼は抵抗することなく逮捕された。

 

「終わったな」

 

マエストロが低く呟いた。

 

「いや……」

 

蓮は空を見上げた。

 

「始まったばかりかもしれない」

 

事件の後始末を終え、夕暮れの帰路につく二人。

 

「今日は色々あったな」

 

蓮はため息をついた。

 

「ああ」マエストロも同意する。

 

「だが一つ学んだことがある」

 

「何を?」

 

「心の力が弱い者は魔物に容易に操られてしまうということだ」

 

「そうかもな」

 

二人はしばらく黙って歩いた。やがて蓮が口を開いた。

 

「なあマエストロ」

 

「なんだ?」

 

「もし俺が同じようになったら……お前はどうする?」

 

マエストロはしばらく考えてから答えた。

 

「その時は全力でお前を取り戻す。たとえどれだけ時間がかかろうとも」

 

「ありがとう」

 

蓮は微笑んだ。胸の中で何かが暖かくなるのを感じた。

 




駄文閲覧ありがとうございました。ご感想等お待ちしております。

マエストロのオリジナル術
『ガンズ・マグネシルガ』
第5の術。アニメのマグネシルガとほぼ同じ。
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