ジャンケットバンク-もう1戦のハーフライフ-   作:鴉未

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 経常利益日本第三位の市銀「カラス銀行」その地下深く。あるギャンブラーがまた一人、鏡の中に魅入られていった──。

※本作品は、田中一行先生原作「ジャンケットバンク」の二次創作です。とあるギャンブラー(オリキャラ)が、1/2のオリジナルゲームで真経津晨と闘うという内容になります。キャラ崩壊には極力気を付けていますが、イメージにそぐわない描写などありましたら申し訳ございません。

※時系列としては、天堂戦(ブルーテンバランス)と眞鍋戦(シヴァリング・ファイア)の間。真経津晨ワンヘッド昇格に、もう1戦分の残高が必要であった世界線としています。


1・もう1戦のハーフライフ(パラレル)

 カラス銀行。特別業務部、特4の行員である僕、御手洗暉(ミタライアキラ)は、真経津(マフツ)さんの自宅へ、次の試合と対戦相手が決まったことの連絡に向かった。

 

 天堂戦『ブルー・テンバランス』では敵として相対した真経津さんのもとへ、久しぶりに赴くことになる。扉の前に立って、チャイムを鳴らした。

 

「ハーイ。……あ 御手洗くん。久しぶりー!」

 

 扉をあけて出てきたのは、いつものとおり飄々とした笑顔を浮かべたギャンブラー。真経津晨。僕も笑みを浮かべて、挨拶を返す。

 

「ご無沙汰してます。只今戻りました。本日は次のゲームのお話で参りました。」

 

 

───

 

 

「ふーん…。なるほど。それでボクがもう1回ハーフライフで戦う必要があるわけだ。」

 

僕は、真経津さんに言われるがまま、メイクの実験台にされている。どうやら最近新たな遊びとしてハマっているらしい。とはいえ、いつものように思いつきで始めただけのようで、下地もままならず、ほぼ子どもの落書きのようだ。……いけない、説明を続けなければ。

 

「はい。真経津さんは伊藤班との解任戦の宇佐美班代表ギャンブラーに指名されました。解任戦はワンヘッドで行われるため、真経津さんには"ワンヘッド"に昇格してもらうべく、ハーフライフでもう1度戦ってもらうことになります。」

 

 伊藤班との解任戦。常に「完璧」を求める伊藤吉兆は、自班の確実な勝利のために、最強の怪物である、ワンヘッドのギャンブラーを真経津晨にぶつけたいと考えていた。

 しかし、天堂戦を終えても、真経津さんの残高はごくごくわずかにワンヘッド昇格に足りなかった。そこで、そのような状況を見た"(僕、御手洗を利用した)キャリアのインフレに乗り遅れた他の班"が、この機会をチャンスにと、キャリアを稼ぐため真経津さん&宇佐美班に勝負を依頼してきたのである。

 

「まあ難しいことはいいよ。次の勝負に勝てば、ボクはもっと強い人たちと遊べるようになるってことだよね?」

 

 "負ければ確実に命を落とす死地へ向かう"ことを、真経津さんは、まるで小学生が遊園地に向かうかのように、心から楽しみそうに聞いてきた。

 それに呼応するように、僕も屈託のない笑みを浮かべる。

 

「はい。そういうことになります。ワンヘッドへの前哨戦とはいえ油断は禁物に。真経津さんは、いつも通り戦って、いつも通り勝ってください。」

 

「もちろんだよ。ボクは遊びには絶対に手は抜かない。銀行の人たちの都合なんか気にせず、ボクは楽しく遊ばせてもらうよ。」

 

 最後の笑みには、感情の一切読めない様々な感情が含まれているようにも感じられる。その雰囲気のまま、真経津さんは僕に質問を投げかけた。

 

「次の相手は誰?」

 

 

───

 

 

場面は変わって…

 

「あの、すみません!!私の恋の行方について占ってもらいたくて…!!」

 

「仕事で大きなミスをしてしまいまして…。今後の身の振り方をどうしようかと…。」

 

「このままでは立ち行かなく、とある重大な決断をしようと考えています。その日付はいつが良いでしょうか。」

 

「人を殺しました。どこに埋めればよいですか?」

 

繁華街の一角にぽつんと存在した占い店。そこでは、玉石混交の様々なお悩みが相談される。

その店の占い師である天城久遠(アマギ クオン)は、その一つ一つに、真摯に耳を傾けていた。

 

「タロットによると、次の満月の日の夜。大きな木の近くで恋の気持ちを伝えるでべきでしょう。」

 

「ふむ。そのミスの原因についてもお聞きしたい。ほう。喋りたくない?」

 

「そうですか。なるほど。確かに重大な決断のようです。恐らく今から2日後かと…」

 

「ここからこの石を持って歩きなさい。直感的に、ここだと気付ける大木があるはずですよ。」

 

 通常の占い店同様、タロットや手相など、ありきたりな方法で占いを行っているにもかかわらず、彼の客は皆、涙を流し店を後にする。そして的中率、満足度、ともに100%という異常値である。

 

 すべての客を捌いたあと、彼は水晶玉を眺めて独白する。

 

「人は必ず、無意識か意識のうちかに問わず、自分の弱さを、必死に隠している。」

 

「それなのになぜか、オカルトに頼って、自分の弱さを、誰かに克服させてくれと言いやがる。」

 

「俺はそんな弱虫のウソつきどもの"弱さ(みにくさ)"を暴く。運命や神秘じゃない。俺は人間の浅ましさだけを信じている。」

 

水晶に映る顔には笑みが浮かぶ。その目に光はない。人が隠している弱さと、その醜さを見透かすことが、彼の欲求を満たしている。

 

「未来なんて視てねえよ。オレはお前らの醜さを全部視てるだけだ。」

 

月齢12、十三夜のやや欠けた月の光が、天蓋から彼の笑みを照らした。

 

 

その3日後。満月の日の夜。警察に、とある高校生のカップルから、3体の死体を同時に見つけたという通報がなされた。




 ジャンケットバンクにハマり、二次創作に手を出しました。フレンズも敵も全部好きですが、中でも村雨さん、天堂さんが好きです(本作品にはほぼ出てこないけどね!!)
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