旅系配信者、異世界へ行く。〜見知らぬ世界から配信中!〜   作:あま。

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第3話 現地民

 

 

 

【空間転移】について少し検証してみた。

目で見えている範囲には自由に転移可能。

木に印をつけて離れ、見えない位置から転移で戻ることもできた。

 

逆に、1番近い街へ転移や、100メートル先に転移だとかはできなかった。

一度行った、あるいは見た事のある場所という条件がありそうだ。

 

【空間転移】は有用だったが、今すぐに森を抜けられるようなスキルではなかった。

いや、一度空中に転移して空から森を見渡すという使い方もできそうではあるが。

失敗したら一撃落下死。まだ使い慣れていないスキルだ。命をかけるにはちょっとリスクが高い。

 

そこで見つけたのが、同じく【陸送スキル】から分岐したスキルの【座標】だ。

【座標】というスキルは、もしかしたらゲームでいうマップ機能のことじゃないか?

空輸、海運は地図をある程度無視できるが、陸送で荷物を送るのにはナビが必須だ。

そういうスキルに分岐してもおかしくはない。

 

【空間転移】と同じく10ポイントは大きいが、同じくらいの有用性があると信じて選択。

【空間転移】を使った時は適当に思い浮かべるだけで発動したんだよな。

 

「じゃあ早速……【座標】発動!」

 

わざわざ声に出す事はないのだが、テンションが上がって叫んでみる。

するとステータスの時のように新しいウィンドウが開いた。

ステータスのウィンドウと違うのは、それが視界の邪魔にならないように視界の端に出たのと、それが手のひらサイズに小さく丸い事。

そこには地図らしきものが写っているが、範囲全て森七日全部が緑で埋め尽くされている。

中心には如何にも現在位置を示すように三角のマークが。

 

 

 

 

 

 

 

    死の森

 

 

 

何というか。ドラゴンの玉を探すレーダーみたいだな。

マップは助かるが、これじゃ取得した意味ないぞ。

 

ステータスの時のように触って動作ができないかと、丸いウィンドウに手を伸ばす。

すると、丸い地図がぐっと広がり、視界いっぱいに大きな地図に拡大された。

おお。ホントにゲームだなこれは。

 

触ると、マップアプリみたいにピンを刺せた。

刺すのも消すのも直感的に操作できる。

一応、今いる場所にピンを刺しておこう。

地球からこの場所に転移してきたんだ。

逆に、ここから地球へ転移できるかもしれないからな。

 

マップを操作して適当な縮尺にしてみる。

思ったより大きな森だ。無闇に進んでたら完全に詰んでたな。

 

ここはクレナミ共和国という国の端っこ。

死の森という場所だった。名前えげつねぇ!

やっぱ何か化け物でもいんのかこの森!

 

とりあえず森に1番近い町を探す。

ここだ……湖の周りを囲むように家が建っている。

まさに田舎といった感じの集落。

とりあえずはここを目指すことに決定。

 

足を向ける前に、まずは思いついたことを試してみる。

集落へピンを刺して、そこへ転移できないか頭の中で思い浮かべる。

できればこんな物騒な名前の森からは早く脱出したい。そんな一心だった。

 

スキル同士がシナジーを発揮したのか、地図を見てしっかりと想像できたからか。

俺はいつの間にか集落の中へと転移していた。

森の中は薄暗くよくわからなかったが、今の時刻はおそらく昼頃。

地球での記憶は夕暮れだったのだが。時差だろうか。

 

俺は早速異世界人とのコミュニケーションをと人を探してみる。

しかし早く出たいからって転移した瞬間を人に見つかったら騒ぎになったかもしれない。

今更ながらに反省だが、森を抜けられたことに一安心。

 

木と石、そしてモルタルのような建材の家々。

ガラスはなく、木の窓が開いている場所は穴となっている。

ガラスが高級な世界観なのか?

色々と観察しながら歩いていると、枝と紐を組み合わせたような柵に囲われた、小さな畑を世話している男性を発見した。

 

「こんにちは。私は旅をしている者です。少しお話しいいですか?」

「×××××××」

 

あ、小説みたいな言葉がわかるようなご都合設定ない感じなんですね。

詰んだなコレ。

 

「日本語、わかる人、いますか?」

「××××××××××××」

 

結局言葉は伝わらず。

お手上げみたいな意味があるのか小さく片手を上げた後農作業を再開してしまった。

 

うーん困ったな。

何か言語がわかるようなスキルはあるだろうか。

通訳の仕事ってどの分野に分類されるんだ?わからん……

 

しばらくスキルツリーとにらめっこをして見つけたのが【教育・学習支援業】。

【料理スキル】を得たことで食材や料理の知識が増えたなら、人に教える職業なら言語の知識が身につくはずだ。

どうせハズレても消費は1ポイントだ、とスキルツリーを解放した。

現れたのは、【教導スキル】【養育スキル】【知識スキル】。

想像通り、スキルを取得してこの世界の言語や常識を理解した。

 

とりあえず言えるのは、この世界。

魔法とかスキルとか、そういうファンタジーっぽいスキルは存在しないということ。

【空間転移】の瞬間や【空間スキル】に物を仕舞うところを見られたらマズいな。

逆に、ゴブリンやドラゴンなどのモンスターはいるということ。

ついでに言うと、死の森にはドラゴンが棲んでいるということ。

あの森の木々は濃い魔力に晒されていて高く売れること。

森の中で年間100人近くの行方不明者が出ていること。。。

 

スポーン地点もっと優しくして!!

 

それにしても、この【知識スキル】かなり役に立つな。

便利ならもっと上のスキルも取ってみようと考えていたが、コレだけでかなりのことがわかる。

これ以上となるとどんなスキルになるんだよ。

確認してみると、【知識スキル】の先に【アカシックレコード】なんてスキルを見つけた。

……気にはなるが今はそっとしておこう。頭がパンクしても困る。

 

しかし言語どころか常識まで身についてしまった。

ここで情報収集する意味もなくなったな。

 

スキルの知識によると、入国税ならともかく、入街税は基本ないが怪しい人物の取り調べはある。

俺の場合、地球製の綺麗な服を着替えておいた方が揉め事にならなくて済みそうだ。

この集落に服を売ってくれるような店があれば良いんだが。

 

さっきの人に話しかけるとややこしいことになりそうだ。

他に道を歩いていた人を見つけて話しかける。

 

「こんにちは。旅の者なのですが、この辺りで服を売っているお店なんかはありますか?」

「へえ、立派な服だな。どこぞのお偉いさんかい?うちは店はやっとらんでな。たまに行商が回ってくるんだわ」

「そうですか……古着で良いので一枚売ってもらえませんかね?荷物を置いてきてしまいまして」

「売るっつったってそんな綺麗なモンでねぇぞ?半銅貨1枚にもならんな」

 

この世界には、銅貨、鉄貨、銀貨、金貨、白金貨がある。

日本で言うとだいたい、銅貨が百円、鉄貨千円、銀貨一万円、金貨10万円、白金貨百万円くらいだろうか。

 

特殊なもので半銅貨や半鉄貨幣などがある。

これは貨幣を無理矢理半分に切ったものでそれぞれの効果の二分の一ほどの価値となる。

非公式な硬貨なので公式の場や店によっては断られることも多い。

半金貨は稀にあるようだが、白金貨は高級すぎて半分に切るバカはいない。

 

つまり半銅貨は最安の硬貨で、だいたい50円ほど。

 

「では、異国の珍しい硬貨があるんですが、それと交換してもらえませんか?こちらでは使えないものなので持ってても仕方ないんです」

「面白いな。よし、乗った」

 

こうして俺は10円を渡して着古した異世界の服を手に入れた。

10円も銅だから銅貨みたいなもんだろ。

価値は10倍違うが、異世界の貨幣なんてプレミア価格がついてもおかしくないんだからな。

とりあえず身なりはなんとかなったが。

これからどう生活していったものか……

 

 

 

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