イナズマイレブン 闘将と呼ばれた男のヴィクトリーロード   作:ネオニューンゴ

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 英雄達のヴィクトリーロード、面白すぎたので衝動で書きました。レベルファイブ様神ゲー出してくれて本当にありがとうございます。


第1話 お前とやるサッカーつまんないよ

「雨竜、ちょっとマジになりすぎじゃないか?もっとさ、ほら?楽しんでいこうぜ?」

 

「今のはとれねーべ、相手が上手かったんだもん、ドンマイでいいじゃん」

 

「なぁ雨竜⋯⋯確かにお前の熱意は凄いと思うけどさ⋯⋯正直お前とやるサッカーは⋯⋯楽しくねぇよ」

 

 ハッとして周りを見渡すと目に飛びこんで来たのはいつもの教室の風景、またあの頃の夢を見たのかと俺、風凪雨竜は溜息を吐く。

 

(ったく、最近は見なくなったってのに⋯⋯これも笹波の奴がサッカー部なんて復活させたせいか?)

 

 俺の通う中学校南雲原中学にサッカー部は存在しなかった。いやこの言い方は正確ではない、正しくは存在していなかった。それどころかこの学校ではサッカー禁止令なるものがついこの間まで学校の決まりとなっており、この学校におけるサッカーは悪と見なされていた。過去にサッカーをしていた俺はとある出来事を切っ掛けにサッカーを辞め、そして二度としたくもない、まぁ見る程度なら何とも思わないがとにかくそんな俺からしたらこの学校の耳を疑うようなルールは都合の良い存在だった。

 しかしそれは変わってしまった、いや変えられてしまった現在の南雲原にはサッカー部が存在する、通学カバンを手に持ち教室を出て窓の外に目を見やるとそこにはサッカー部がグラウンドで練習している風景が飛び込んでくる。

 

(この学校きっての不良と呼ばれる桜咲先輩に元ダンス部エースの忍原先輩、元野球部エースの柳生先輩、生徒会役員の四川堂先輩、そして何故か居るよく虐められてる古道飼、あとよく分からん笹波の同じクラスの木曽路、それを集めたのが謎の転入生笹波雲明、ホントどういう集まりだよ)

 

 改めて見てもよく分からん、笹波が賄賂でも払ったとか桜咲先輩に脅されたとかそう言われて集まりましたと伝えられても特に違和感を持たない、そんな連中がグラウンドでサッカーの練習をしている、入学したての俺にこの事を話しても決して信じないだろう。

 現在サッカー部が練習で使用しているグラウンドは学校の正面玄関の前に存在しており下校時には嫌でも目に付く。下駄箱に着いた俺は靴を履き替え校門を目指す。グラウンドでは件の笹波が腕を組みながら難しそうな顔をして練習風景を見つめていた。

 俺は帰宅部であり塾にも通っていないので放課後は比較的時間に空きがある、そのため離れた位置にあるベンチに座りサッカー部の練習を眺めるのが最近の放課後のルーティンになりつつあった。

 今はどうやらディフェンスの練習をしているようで特に古道飼の図体からは考えられないような俊敏な動きには目を見張る物がある。動きはまだ初心者感が抜けていないが全員真剣な目をして練習に励んでいた。ベンチに座りながらふと俺は考える、もしかしたら俺もあそこに加わって⋯⋯彼奴等なら真剣にサッカーを取り組んでいる彼奴等となら⋯⋯。

 

「いや、無い無い⋯⋯もうあんな思いをするのはごめんだ」

 

 頭を振りそんな事を未練がましく考える自分に嫌気が差し帰路へと着く。もう俺はサッカーを辞めた、サッカーから逃げたんだ、そんな俺がまたサッカーをするなどちゃんちゃらおかしな話だ。

 いつのまにか夕陽は落ちかけ辺りは暗くなりはじめている。思ったより長居してしまったと頭を掻きながら街頭に照らされた帰路を俺は歩くのだった。

 

雲明side

 

 一方その頃雲明は眉間に皺を寄せながら今のチームの現状を分析していた。

 

(FWには経験者の桜咲先輩、柔軟で俊敏な動きで努力家な忍原先輩、MFには経験者の木曽路と柳生先輩、DFは未経験ながら光るもののある古道飼君、GKにはセンスはあるけど未経験の四川堂先輩⋯⋯)

 

 前衛と中盤の戦力は充実している、現状のままでも中堅レベルのチームに食らいつけるだろう、しかし後衛、DF陣はどうか?逆に弱小どころか下手をすれば小学生のチームにすら負けてしまうかもしれない、それが雲明から見た現在の南雲原中サッカー部の戦力評だった。

 何も雲明は古道飼と四川堂を過小評価している訳ではない、むしろこの2人はしっかりと育てば強豪校にも通用するポテンシャルを秘めている。しかしあくまでポテンシャルを秘めている、これから開催されるフットボールフロンティアはトーナメント制の勝ち抜きの大会だ、有り体言えば時間が足りない。2人の才能が開花するまで大量失点のリスクを抱え続けるのは雲明的には何としても避けたい物だった。勿論雲明としても策も知識もある、しかしDFは特に経験が物を言うポジションだ、やはり南雲原の現状のウィークポイントは守りにあると言っても過言ではないだろう。

 

「ハァ⋯⋯やっぱり欲しいな経験者のDF」

 

 雲明がポツリと心の声を漏らす。するとそれを聞いた最近加入したマネージャーである百地唯奈が衝撃の発言をする。

 

「いるみたいですよ、1年生に経験者のDF」

 

「⋯⋯え」

 

「私もSNSの情報を洗い直して、最近見つけたんですけど笹波君と同じ1年生に」

 

 まさか本当に居るとはと雲明は目を丸くする。だとすれば何としてもその1年生を確保したい。雲明は百地にその1年生の名前を聞くと百地は携帯端末を取り出しその画面を見せながら雲明に説明を始める。

 

「ほら、この記事、3年前の記事ですけど小学生ながら闘将って呼ばれていた注目DF風凪雨竜君、この人調べたらこの学校に在籍してるみたいです」

 

「⋯⋯木曽路!古道飼君!」

 

 早速雲明は練習を止め同じ1年生である2人を呼び出しこの生徒に心当たりがあるか聞いてみる。

 

「いや、流石に別のクラスの奴まではわかんねー」

 

 木曽路ほどうやら名前を聞いてもピンと来ないらしい、交友関係の広い木曽路なら或いはと思った雲明は少し肩を落とす。しかし亀雄は違うようでその名前を聞くと「あっ」と小さく声を漏らす。

 

「風凪君、僕とおんなじクラスだよ、いつも寝てばかりだから話した事はないけど、そっかサッカーやってたんだ、でもそんな話し聞いた事ないよ」

 

「⋯⋯とにかく明日その風凪って生徒の所に行ってみよう、古道飼君、何とかその風凪に接触してみてくれないか?」

 

「えっ⋯⋯でも」

 

 内気な亀雄は声色から拒否の色を覗かせるが雲明としてもここは引く訳にもいかない。 そんな人材がいるなら是が非でも確保したい。結局亀雄は雲明の圧に屈し明日風凪雨竜と話してみると自信なさげに呟く。

 思わぬ戦力がいた事に雲明は胸を躍らせながら件の人物をどう勧誘するべきか思案するのだった。

 

 

雨竜side

 

「という事なんだけど⋯⋯どうかな風凪君」

 

 翌日の朝学校に着いた俺は古道飼に声を掛けられていた。というかサッカー部に誘われていた。展開が急過ぎて驚いた⋯⋯どうやって知ったのかは分からないが俺が過去にサッカーをしていた事もバレたらしい。まぁ本音を言えば恐らく俺はサッカーに未練がある、またやりたいと思うと意外と胸にストンと落ちる物があるのは確かだ。古道飼の頼みを無碍にするのも心苦しいものが無い訳じゃない。だがそんな俺をあの声が待ったを掛ける。

 

(お前とやるサッカー楽しくないよ)

 

「⋯⋯!悪いな古道飼、俺はもうサッカー辞めたんだ、それに俺とサッカーしても面白くねぇよ」

 

 そう言い残すと逃げるように自分の席へと戻っていく。内心ダサいな俺と思いながらも、それでもあの言葉を漏らしたチームメイトの顔が今でも頭にこびりついて離れない。

 内心で再度古道飼に謝りながら俺は授業の準備を始めるのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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