イナズマイレブン 闘将と呼ばれた男のヴィクトリーロード   作:ネオニューンゴ

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 お待たせいたしました、vs西ノ宮中編となります。実はこの対戦カードの試合展開をどうするかかなり悩みました。南雲原にオリ主が加入下事によりどう変化させるかと。賛否あるかもしれませんが作者なりの解釈で試合を進めさせて頂いております。
 


第8話 伝説の子との邂逅

 迎えたフットボールフロンティア地区予選1回戦、西ノ宮中との1戦始まる前に生徒会長である千乃会長と相手マネージャーが会長の妹であり何やら因縁があるとかそんな話もあったのだが、試合開始直前、相手ピッチに現れた2人の選手によってその話すら頭の片隅に追いやられる事件が発生した。

 

「なぁ⋯⋯あれ円堂ハル⋯⋯」

 

 誰ががその言葉を口にし疑念は確信に変わる⋯⋯がだからどうしたという話、何と中学サッカー界の王者と言われている雷門中学校、そのチームのエース格の2人が帰属校だか姉妹校助っ人制度だかなんだか知らないが、そんなよく分からん制度を使用しあの2人を呼び出したというのだ。

 

「ばっ⋯⋯はぁ?マジ!?そんなのありかよ⋯⋯」

 

 円堂ハル、生きる伝説のゴールキーパー円堂守の息子でありその才能を余すことなく引き継いだと言われているスーパーストライカー、付いたあだ名がサッカーモンスター、いや嬉しいか?そのあだ名。まぁとにかくだ⋯⋯何が言いたいかと言うと南雲原中今年のフットボールフロンティア初戦敗退濃厚になってきたという訳だ。

 

「そ、そんな⋯⋯」

 

「まじかよ⋯⋯」

 

 南雲原イレブンは絶望する者、生気を失い呆然とする者、戦意喪失するものまで現れる。だがこの状況でそうなるなという方が無理だろう。しかしだからといって勝利を諦める訳にはいかない、試合開始まで残り僅か、俺はベンチの方へ向かい笹波に前半の方針を聞きに行く。

 

「オイ笹波、こりゃとんでもねぇ事になったぞ⋯⋯前半⋯⋯どうするよ?」

 

 こんな時に他人に頼るというのも我ながら情けない話ではあるがゲームのプランを考えなければ待っているのは雷門の2人による地獄の点取り合戦だ。あの2人の登場によって当初のゲームプランは役に立たなくなってしまった。笹波は難しい表情をしながら口に手を当てて考え込み、結論を出した。

 

「3点」

 

「あ?」

 

「前半何とか失点を3点で収めてくれ、そうすればあるいは⋯⋯少ない可能性だけどそれに賭けるしかない」

 

 そう言って相手ベンチに視線を向ける笹波、俺もそちらの方に目線を向けるとベンチでは悔しそうな表情を浮かべる2人の選手がピッチを睨むように見ていた。成る程、そりゃ雷門から助っ人2人呼べばその分割を喰って出れない奴が出てくる、アイツ等の表情を見るにチームとして納得して助っ人を呼んだという訳ではないようだ。西ノ宮の奴等だってプライドってもんがある筈だ。

 

「⋯⋯わーった、勝てる可能性はある訳だな?死ぬ気で何とかする、ただ後半の俺は使いもんになんねぇかもしれねぇ⋯⋯それでもいいか?」

 

「指揮官としては頷きたくないけど⋯⋯仕方ない、前半で点差をつけられすぎると逆転の芽が無くなるかもしれない、苦しいだろうけど頼む風凪君」

 

「おうよ」

 

 笹波からの指示を受けて俺はピッチへと戻っていく、その際チラリと相手ピッチに立つ雷門の2人を見たがこれから戦う相手の事などまるで気にする素振りもなく談笑している、俺はそれを見て気合いを入れる。まるで勝つことが決定事項だと言わんばかりのその仕草にムカッと来たのだ。

 

「大丈夫なのかよ⋯⋯初戦敗退はロックじゃねぇぞ」

 

 そう俺に声を掛けてきたのは星さんだった、彼女もこの1戦に向けて特訓を重ねてきたのだ、こんな形で負けるのは本意ではないだろう。勿論俺もだが。

 

「大丈夫とは言えんが、勝ちを諦めるつもりはねぇ⋯⋯まぁやれるだけの事はやるぜ」

 

 星さんは不安気な表情を隠せないながらもとりあえず頷いてくれた。両チーム配置に付きキックオフとなる。さぁ来るなら来やがれってんだ。

 

「ハル!」

 

 雷門中もう一人の助っ人月影が円堂にパスを回す、円堂は小さく息を吐くとドリブルを始める、木曽路、星さんがチャージに行くが体を回転させ軽々と躱してこちらのゴールへ一直線に走ってくる。月影は一応ボールを受け取れる位置にはいるが軽く流しながらピッチを走っている、つまり円堂1人で得点する未来を疑っていない、という事だろう。

 

「古道飼!幕下!止めようとすんなコース塞げ!古手打さん、仕掛けるぞ!」

 

「うん!」

 

 サイドの古手打さんを先に仕掛けさせスライディングを敢行するがボールを浮かせ軽々と躱してしまう、しかし俺は着地の瞬間を狙い更にスライディングを仕掛ける⋯⋯が。

 

「んなぁ!?」

 

「⋯⋯遅い」

 

 それすらも躱されシュート体勢に入る円堂、チクショウ!こんなにもコイツと俺との間には差があんのかよ!?だけど、あんま舐めんじゃねぇぞ!

 

「⋯⋯ひとつ⋯⋯!?」

 

「こなくそぉぉぉ!」

 

 スライディングの体勢から瞬時に立て直し再度仕掛けようと思ったが時間が足りない、そのため俺はダッシュしシュートコースに体を挟む。円堂は立ち上がった俺に少し驚いたようだがそのままシュートを打つ、僅差ではあるが狙い通り体でシュートを止めにいくのは成功したが問題はその後だった。

 

「ぐッ⋯⋯おぉぉぉぉ!?」

 

 必殺シュートでもないのに俺の体は浮き、吹き飛ばされる、クソッでたらめな威力だ、どんな足をしてやがるんだあの野郎!?

 その後幕下も俺のように体でシュートを止めに行くがボールが幕下ごとゴールへ突き進み西ノ宮先制ゴールが決まる。あれでは流石にキーパーノーチャンスだ。

 

「クソぉッ!」

 

 自分の不甲斐なさに思わずグラウンドに拳を突き立てる俺、この間5分にも満たない、それなのに西ノ宮⋯⋯いや円堂ハルにゴールを献上してしまった。情けねぇ、何が死ぬ気で何とかする⋯⋯だ、こんなんじゃ少なく見積もっても相手に5点は献上しかねねぇぞ。試合を見に来た観客は円堂ハルのゴールに沸き立ち割れんばかりの歓声が木霊する。

 

「なんだよ⋯⋯これ⋯⋯」

 

「クソ!取られたら取り返すぞ!」

 

 こっちは完全アウェイ、この試合は開始早々円堂ハルに掌握されたと言っても過言じゃないだろう。この状況に木曽路は信じられないように呟くも桜崎先輩が鼓舞しこっちのボールから試合再開。しかし⋯⋯。

 

「『フレイムダンス』」

 

「なに!?」

 

 即座に桜咲先輩から円堂ハルが必殺技を使用しボールを奪取、またもこちらの陣地へ切り込んでくる。一瞬の出来事にチーム全体が動けずにいるがその中で柳生先輩だけが即座に状況を呑み込み円堂ハルへ仕掛けに行く。

 

「くそぉぉぉぉぉ!」

 

 だが柳生先輩も止められない事は百も承知だったのだろう、せめて時間稼ぎをしてやろうとしたのだろうが俺達とアイツとでは基礎スペックが違いすぎる。軽いフェイントで柳生先輩を抜き去るとまたも中央からドリブルをしてこちらのゴールを狙ってくる。

 

「流石に舐めすぎだろ!」

 

「そりゃロックじゃねぇな!」

 

「ま、待て2人共!突っ込み過ぎるな!」

 

 俺は視界の端で後ろから上がって来る月影の姿を捉えていた、さっきと違って流し気味じゃない、攻撃に参加してくるつもりだ。俺の懸念通り円堂は月影にバックパスをする。そして月影はサイドからゴールを脅かそうとしてくる。本当は円堂をフリーにしたくはないが恐らくあの月影という男も相当なレベルのサッカープレイヤーだ、円堂に固執してアイツに得点を許す訳にはいかない。

 

「クソッ!これ以上好きにさせるかよ!」

 

 雨道さんに円堂のマークを任せ俺はサイドを進軍する月影の前に立ちはだかる。

 

「これ以上はやらせねぇ!」

 

「ほぅ⋯⋯出来るならやってみろ」

 

 月影と俺の一対一、予想通りコイツも滅茶苦茶レベルが高い。だが円堂程の理不尽さは感じない⋯⋯感じないんだが⋯⋯!確実に明確な差は存在する。何度も振り切られそうになるがギリギリの所で切り返し月影に張り付く。

 

「クソッいい加減⋯⋯!」

 

「言ったろこれ以上はやらせねぇ!」

 

「くっ⋯⋯『プレストターン』!」

 

 数分の攻防の末遂に月影に必殺技を出す隙を与えてしまい俺は抜かれてしまう。

 

「くっ古道飼!幕下ァ!」

 

 俺は声を出し2人に託すがそれも虚しく2人はこのスタジアムが支配する雰囲気に呑まれたのか動きだしが鈍い。まずい、このままじゃシュートを撃たれる。

 

「『バハムートクラッシュ』!」

 

「これ以上は⋯⋯くっ!あぁぁぁぁぁ!」 

 

 四川堂先輩も何とか必殺シュートに対抗しようと受け止めるが現実は無情だった。ボールは四川堂先輩の手を離れゴールネットに突き刺さる。月影はユニフォームの襟をパタパタとさせ余裕のある表情で呟く。

 

「これで何とか俺も助っ人の面目躍如かな」

 

「ハァハァ⋯ここまでなのかよ⋯⋯王者雷門ってのは⋯⋯どうしろってんだよ⋯⋯」

 

 時計を確認すると経過した時間は十数分、つまり普通にやればあと2.3点は取られる計算だ。このままじゃあ到底前半の失点を3点以内に抑えるなんて不可能だ。このままじゃ笹波に会わす顔がねぇ。項垂れ下を向く俺の目の前に円堂ハルがやって来る。

 

「どうしてそんなに頑張るの?」

 

「あぁ!?」

 

 コイツいきなり話し掛けて来やがってなんだ?どうして頑張るかだと?そんなの⋯⋯そんなのよぉ⋯⋯。

 

「勝ちたいからに決まってんだろ⋯⋯!」

 

「⋯⋯いや、無理でしょ?疲れるだけだし怪我するかもしれないからあんまり頑張りすぎない方がいいよ、それじゃあね」

 

 な、なんだあの野郎ォ、すかしやがって⋯⋯クソ、少し前まで弱気になってた自分が恥ずかしいぜ⋯⋯どうしろってんだよってなんだ、どうにかしてやるよ、サッカーモンスターだかなんだかしらねぇがこっちは闘将と呼ばれてたんだ。食らいつき続けてやろうじゃねぇか!

 そして再び試合再開の笛が鳴る。桜咲先輩からボールを受け取った忍原先輩だが月影のプレスでボールを奪われる。それと同時に俺は円堂ハル目掛けて一直線で走り出した。

 

「ちょっ!?風凪!?」

 

 木曽路が素っ頓狂な声を上げるがこうなったらとにかく円堂ハルに粘着して少しでも時間を稼いでやる、マジで後半俺がどうなろうが構わねぇ!

 

「どうするハル?」

 

「いいですよ蓮さん、俺にボールを回して下さい」

 

「お前⋯⋯なんで笑って」 

 

「いいから早く」

 

 何だあの野郎、急に笑いやがって!お前にボールが渡ったならこっちだって遠慮なしだ!くらいやがれ!

 

「『ストームカット』ォ!」

 

 俺が必殺技であるストームカットを放ち円堂を竜巻が飲み込む⋯⋯が、大きく円堂を後退させる事には成功したがボールは離しておらず何ともなさそうだ。むしろ挑戦的な笑みを浮かべている。それが俺の心に更に火を点けた。

 

「うぉぉぉぉぉぉぉ!」

 

「だから遅いって」

 

 それから何度も何度も俺は円堂からボールを奪うために仕掛け続ける。その度に無様に転んだり膝を着いたりするが気持ちで負ける訳にはいかねぇんだ。

 

「何あの人必死すぎ〜」

 

「円堂ハルからボールなんて取れる訳ないのにな」

 

「あんなに無様に転んで恥ずかしくないのかな?」

 

 段々とスタジアムの観客席から嘲笑の声が聞こえ始める、アイツらからしたら俺は勝てる筈のない円堂に無駄に勝負を仕掛け無様に負けるピエロにしか見えないんだろう、だけどそんな事は関係ない、とにかく少しでも時間を稼ぐため何度も何度も何度も円堂に立ち向かうしかない。俺は俺の役割を全うする、そうしなきゃ勝利への道は開かねぇんだ!そんな俺達の状況に苛立ったのか、それとも観客の声が鬱陶しく感じたのか月影がボールを貰いに来る。

 

「ハル!ボールをこっちに回せ!付き合ってやる必要はない!」

 

「蓮さん今いいとこなんで、よっと、邪魔者しないで貰えます?」

 

「よそ見してるんじゃねぇぞ!」

 

 俺の足がようやくボールに触れた⋯⋯が奪いきれず円堂にボールを足で引き戻され俺は顔面からグラウンドに突っ込み派手に転ぶ。口の中に鉄の味と土の味が広がり非常に不愉快だ、でもそれより一向にボールを奪えない自分の方が腹立たしい!

 

「「「アハハハハハハ!」」」

 

「クソッ何だよ、笑うなよ!」

 

「見てられねぇ!加勢するぞ後輩!」

 

 観客席から漏れる笑い声に木曽路は見てられないと言わんばかりに声を上げ見かねた柳生先輩が加勢してくれるがそれでもボールを奪う事は叶わない。だけどもう一度必殺技を撃つための時間を作ってくれた。残り体力的にも恐らくこれが最後のストームカットだ、ぜってぇ決めてみせる!

 

「うぉぉぉぉ!『ストームカットV2』!」

 

 残る力を最後まで出し尽くし限界以上のストームカットをお見舞いする、既に立ち上がる力も残っておらず無様にそのまま前のめりに倒れる。それでも顔だけ上げボールの行方を確認する⋯⋯がボールは円堂の足元に収まったままだった。そこで俺の意識は薄れていく。最後に聞こえたのは⋯⋯。

 

「面白いねキミ、そこまで言うなら勝ち上がってきなよ?」

 

 そう言って俺の横を駆け抜ける円堂の声だった。

 

 

 

 

 

 

  

 

 

 

 

 

 




 補足という名の言い訳です、実際この試合3点以上差をつけられると逆転はかなり難しかったのでは?というのが作者が感じた事でした、少なくとも同じチームレベルだとするとですが。
 原作との違いはオリ主加入による守備力の向上です、ならば何点取られるか分からない無抵抗という策より逆転可能なギリギリの範囲で失点を抑えるというのが雲明視点で出せる作戦になるかなと思い試合展開をこうさせて頂きました。それでも最強ではあるものの本気を出していない円堂ハル、これにどうオリ主を対抗させるか、パワーバランスをどうするかは非常に迷いました。ご不快に感じる方がいたら申し訳ないです。
 
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