遊戯王 ARC-Ⅴ 揺れる運命 重なる手札   作:月光舞詐称者姫

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今回ユートの過去を捏造しています。ネットで調べたものと二次創作、そして現在一挙放送中の本編が自分の情報ソースですので一部原作と乖離する設定などがあるかもしれません、温かい目で見ていただけると幸いです。

それとオリキャラ達ですが、一部原作キャラにモチーフがないキャラもいます。ご注意ください。

しかしデュエルを3つも詰めたせいで文字数がこんなに……うち1つが回しなれてるデッキ、一つのデュエルはロックで長引くからカットしたとはいえ……疲れた……


エクシーズ次元 part1 足掻くもの 導かれるもの そして己が道を行くもの

『シンクロ次元に行ってくる。』

 

 きっと頼もしい援軍を連れてくるさ。そう言って笑顔で去っていったのが、師匠を最後に見た姿だった。

 連絡もなく、デュエルディスクの反応も追えない。今彼女がどうなってるのかわからない。

 

『ユート、時間だ。様子はどうなっている?』

「あぁ、哨戒の様子は問題ない。予定通りの位置にいる。」

 

 廃墟となったビルの上で、俺は親友でありレジスタンスの仲間の一人でもある黒咲隼と連絡を取りあう。

 ここはハートランド。『アカデミア』と名乗る連中に襲われ、破壊された街。俺たちが見たことない融合召喚という召喚法を使う彼らは質量を持ったソリッドビジョン、リアルソリッドビジョンを使い、俺たちの街を破壊して進軍。

 戦えなかったり、デュエルで負けたもの達は彼らの技術によってカードにされ、封じ込められてしまう。最近になって分かったのは、奴らは異次元からの侵略者であるということ。

 街を破壊され生き残った者達の中で、戦える者がこうして集まり、レジスタンスとして身を寄せ合って抗っている。

 

『分かった.なら……始めるぜ。』

『俺はいつでも準備はできてるぞ。』

『ユート……仲間を頼む。』

 

 覚悟を決めたような物言いは今回の作戦の要、神月アレンの声。準備は出来てる、というもう一人の仲間、才羽(さいば)(りょう)は、まだ若干声が震えているようにも感じる。

 そして、この作戦に一番反対していた隼も、俺に託すような声をかけてくれた.

 

『あぁ、任せてくれ。そしてすまない……仲間を人質に取るような言い方で認めさせてしまって』

『気にするな、仲間を助けるためだ。それにここは戦場だ。』

 

 手段を選んでいられないと、もともと自他共に厳しく誇り高いデュエリストだった隼は、最愛の妹、瑠璃が攫われたことでその厳しさを敵への容赦のなさとして表すようになった。

 どこか危うさを孕むようになってしまったが、今はそんなことは言ってられない。

 俺は顔を隠すためのゴーグルを嵌める

 

「行くぞ。」

 

 義賊だった師匠の真似事をすることになる。目的は、カードにされてしまった仲間達を乗せた、アカデミアの輸送船

 奴らの次元に攫われる前に、たとえカードだとしても仲間達を取り返す。

 

「作戦開始だ。」

 

 

「聞こえたな、アレン!!」

「おう、任せろ!つっても、コレがぶっつけ本番だけどな!」

「おいおい、大丈夫なのかよ!?」

「仕方ねぇだろ?こんなバカでかいソリッドビジョンを展開するわけには行かなかったんだからよ!」

 

 アレンのぶっつけ本番宣言に、今回の作戦に参加した仲間の一人、才羽 亮は目を見開いて問いかけた.

 白を基調とした彼の衣服、特にトレードマークの白コートは戦いの影響で霞んでおり、ギョッとした表情も合わせてどこか弱気な印象を受ける。

 

「さぁ行くぜ、攻撃力をゼロにすることで深夜急行騎士ナイト・エクスプレス・ナイトをリリース無しで召喚!

 さらに弾丸特急バレットライナーを特殊召喚!」

 

 2台の列車がアレンの元に現着する。そのレベルはどちらも10

 

「この二体でオーバーレイ!鉄路の彼方より、地響きともにただいま到着!現れろ、ランク10 超弩級砲塔列車、グスタフ・マックス!」

 

 エクシーズ召喚、同じランクのモンスターを掛け合わせて行うこの召喚方法で、巨大な砲塔を携えた列車が降臨する。

 

「頼むぜグスタフ・マックス……オーバーレイユニットを弾丸として装填、主砲……()ーーーーーーッ!」

 

 盛大な音を立てて、グスタフ・マックスの砲弾が放たれる。それはアカデミア基地の入り口の防壁に向けて着弾。爆発を起こし一角を破壊する。

 

「よし、効果ありだ!」

「アレン!」

「分かってらぁ!このままより高いランクのモンスターへ、グスタフ・マックスをランクアップする!

 大地を砕きただいま到着!歴史に葬り去られし鋼鉄の破壊者、即激怒涛、驚天動地!超弩級砲塔列車ジャガーノート・リーベ!」

 

 現れるのは巨大な移動要塞の如きモンスター。複数の大型の砲塔を携えた超巨大な列車が、警笛をかき鳴らして到着する。

 

「よし、乗れ!」

「RR-バニシング・レイニアス!」

「サイバー・ドラゴン・ドライ!」

 

 黒咲は自身のデッキ、鳥獣族で構成されたRR(レイド・ラプターズ)から、そして才羽も、自身のデッキから機械族のモンスターを召喚する。

 それらが有する飛行能力によってジャガーノート・リーベの上に飛び乗るのを確認したアレンは合図を出す。

 

「行くぜ、出発だ!ジャガーノート・リーベ!目標,アカデミアの拠点!ブッ壊せ、主砲斉射ァ!」

 

 口ではそういうものの、アレンの砲撃は抑えられていた。人のいるような場所は狙わず、極力大型の建物を狙う。

 彼らはデュエリストだ。デュエルモンスターで人殺しはしない。リアルソリッドビジョンの出力を抑え、先ほど破壊して入り口を開けたグスタフ・マックスのような大破壊は控える形となっている。

 砲弾も音と閃光のこけおどしだ。万が一直撃したとしてもしにはしないだろう。なにより、一部のアカデミアの兵士たちが出てきている。

 

「さぁ来たぜ、黒咲、才羽!」

「分かっている!」

「その為に俺たちがいるんだからな!」

 

 こうして二人はデュエルディスクを構えた。

 

 

「始まったか……」

 

 その騒ぎを基地の裏手の茂みから聞き、黒咲達の奮闘を知った俺も、行動を開始する。

 

「なんだなんだ!?」

「エクシーズの奴らが攻めてきたらしいぜ、大型のエクシーズモンスターを使ってな。

 きっと奴らの切り札さ。」

「なるほど……なら安心だ。基地なら司令官や精鋭部隊のオベリスクフォースも何人かいる。俺たちが負けるわけない。」

「あぁ、どんなに強くても数で囲んでやれば終わりさ。」

 

 奴らの戦い方は卑怯だ。基本的に3人で部隊を組むオベリスクフォースは3人がかりで俺たちを取り囲み、バトルロワイヤルルールで勝負を挑んでこちらを集中狙いしてくる。

 多少腕に覚えがあるデュエリスト達も、この戦法によって次々と沈んで行ってしまった。だが弱点はある。俺たち相手に勝てると油断しきっていること。

 現に奴らは、俺という伏兵が近づいているのに会話に気を取られて警戒がおろそかになってしまっている。

 

「がっ!?」

「なっ、お前どこから……ごふっ!?」

 

 素早く近づき一人目の腹に拳を叩きこむ。悶絶しているのをしり目に狼狽える二人目の顎をアッパーで殴りつけ、怯んだところを蹴りで沈める。よし、二人とも気絶しているな。

 

「頼むぞ、幻影騎士団フラジャイルアーマー、クラックヘルム。」

 

 そこで俺が呼び出したのはリアルソリッドビジョンで実体化した俺のデッキ“幻影騎士団(ファントムナイツ)”モンスターの2体。鎧に亡霊が宿ったようなそのモンスター達は、手を組んで踏み台を作ってくれる。

 それを利用して高く飛び上がり塀に腕をかけ乗り越えた。

 

「よし……隼、潜入に成功した。これから奴らの輸送船を目指す。」

『頼むぞ……こちらは出来るだけ敵を引き付ける。』

 

 その後通信が途切れる。どうやらアカデミアの兵士からデュエルを挑まれたらしい。

 時間がない、どんどん増援がやってくれば隼達は劣勢になる。急いで仲間たちのカードを取り返さないといけない。

 その焦りからか、俺は見逃していた。

 

「ほほほ……まさかレジスタンスの皆さんがここまで派手な行動に出るとは思いもしませんでした。

 しかしそれを目にすることができるとは……やはり私、“持って”ますねぇ。」

「…………そうだな。行くぞ。」

 

 中折れ帽がトレードマークの小洒落た男と、ストレートの長髪を紐で一本に縛った切れ長の目の男が、俺のこの動きを眺めているのに気づかなかったことだろう。

 

 

「よくもやってくれたなお前ら!」

「俺たちが相手だ!」

 

 ジャガーノート・リーベの砲撃を、召喚した古代の機械モンスターに装備した装備魔法『古代の機械戦車』に乗り、その機動力で搔い潜ってきた兵士達が出始める。

 

「来たか……」

「やってみな……俺たちが相手になるぜ!」

 

 黒咲と才羽、それぞれのもとに3人ずつ、彼らがデュエルディスクを構えるのに、二人は応じた。

 

 

「「「「決闘!」」」」

 

「(応じたはいいものの、こうして何体もの相手に出てこられると敵わん。)」

「アレン!来る奴の数を抑えてくれ!」

「任せろ!ここが勝負所だぜ!おら追加をくらえ、超巨大空中宮殿ガンガリディア!」

 

 黒咲と才羽の要請に、アレンがさらに大型モンスターを召喚する。

 呼び出された飛行城艦の爆撃が、同様に移動系のモンスターで迫ろうとするもの達を押し返した.

 

「チッ、やるようだな……だが護衛が三人がかりで相手にされれば終わりだ!」

「あっちも三人だからな、さっさと終わらせてやる。」

「そうすりゃ六人がかりでデカブツハントだ。ワクワクするな。」

「まだ倒してもないのに皮算用か?来い!そんな奴らにやられるほど甘い俺ではない!」

 

「「「「決闘ッ!!」」」」

 

「先攻は俺だ!マジックカード、二重召喚を発動!これで俺は2回通常召喚を行える!

 古代の機械砲台と古代の機械飛竜を召喚!

 古代の機械飛竜の効果で手札に加えるのは古代の機械爆弾!」

 

 奴のフィールドに古めかしい機械のモンスター達が召喚されていく。古代の機械(アンティーク・ギア)と名のつくアカデミアの使うカードだ。

 

「古代の機械飛竜が召喚されたことで、「アンティーク・ギア」と名のつくカードを手札に加える。俺が手札に加えるのは古代の機械爆弾!そしてそのまま発動!」

 

 古代の機械専用の融合魔法である古代の機(アンティーク・ギ)械融合(ア・フュージョン)などのカードを加えてこない。そういった動きから、彼らのデッキは精鋭のもの達が支給されるデッキと異なるものだと確信した.

 まだ精鋭部隊が出張ってきていない所を見ると、彼らは様子を伺っているのだろう。自分たちのデッキの内容を把握する為に生贄として捧げているのだ。

 それを確信した黒咲は、このデュエルをさっさと終わらせることを決意。

 

「古代の機械爆弾の効果で古代の機械飛竜を破壊して、その攻撃力の半分のダメージを与えるぜ!」

 

黒咲LP4000→3150

 

「さらに古代の機械砲台をリリースして500ポイントのダメージだ!くらえっ!」

 

黒咲LP3150→2650

 

 古代の機械達が爆発と共に黒咲にダメージを与えるが、彼は動かない。逆に手札の2枚のカードを見せる

 

「2度の効果ダメージを受けたことで、手札のRR-アヴェンジ・ヴァルチャーの効果が発動する。

 ダメージを受けた時に特殊召喚できるこのモンスターを特殊召喚する!

 来い、二体のRR-アヴェンジ・ヴァルチャー!」

「壁モンスターを並べてきたか……ターンエンド。」

「だがそれで俺たちの攻撃を受けられると思うな!俺のターン、ドロー!

 俺は召喚した古代の機械兵士に装備魔法,古代の機械戦車を装備!装備効果で攻撃力は600ポイントアップする!」

 

古代の機械兵士 攻1300→1900

 

「これで攻撃力がアヴェンジ・ヴァルチャーを越えたぜ、RR-アヴェンジ・ヴァルチャーに攻撃!」

 

黒咲LP2650→2450

 

バトルロワイヤルルールは本来ならば全員にターンが回り切るまで攻撃は出来ない。が、彼らは卑怯にも攻撃を行使してくる。そうして仲間達を奪われた事実に奥歯を噛み締めながら、黒咲は相手を睨みつけた。

 

「へっ……他のエクシーズに比べて多少はマシなようだが、所詮は素材モンスターだぜ。カードを一枚伏せてターンエンド。」

「次は俺のターンだ。さぁ、一気に決めてやるぜ!俺は心変わりを発動!仲間の古代の機械兵士のコントロールを、このターンの間俺に移す!

 そして、そいつをリリースしてアドバンス召喚、古代の機械獣!」

「古代の機械戦車は装備モンスターがいなくなったことで破壊される。そして、墓地に送られた古代の機械戦車はお前に600ポイントのダメージを与える!だが俺は永続トラップ古代の機械蘇生を発動!

 墓地に送られた古代の機械兵士を攻撃力を200アップさせ特殊召喚!」

 

黒咲LP2450→1850

 

「バトルだ!RR-アヴェンジ・ヴァルチャーを攻撃!そしてこの瞬間、速攻魔法リミッター解除!古代の機械獣の攻撃力を倍にする!これで終わりだ!」

 

 こちらを睨みつける黒咲の殺気と眼光に一瞬気押されかけるも、自分の勝利を確信して高らかに声を上げるアカデミア生。だが

 

「手札のRR-ブースター・ストリクスを墓地に送り効果を発動する。バトルを無効にし、相手のモンスターを破壊する!砕け散れ、古代の機械獣!」

 

 しかし、攻撃されそうになったアヴェンジ・ヴァルチャーに装着されたブースター・ストリクスが加速。その攻撃を回避してみせる。そのまま古代の機械獣に突っ込み、破壊して見せたことで、アカデミア生の顔に焦りが生じた。

 

「ぐ……ターンエンド……」

 

 黒咲の反撃が始まる。

 

「俺のターン!俺はRR-バニシング・レイニアスを召喚!さらにバニシング・レイニアスの効果で、手札のRRモンスターを特殊召喚する。

 俺が特殊召喚するのはRRトリビュート・レイニアス!その効果で「RR」と名のつくカードを一枚墓地に送る。俺が墓地に送るのは、RRミミクリー・レイニアス!ミミクリー・レイニアスを除外し、効果で永続魔法、RR・ルーストを手札に加えそのまま発動!」

 

 続々と群がってくる反逆の群鳥達。そのレベルはいずれも4

 

「俺はフィールドのアヴェンジ・ヴァルチャーとバニシング・レイニアスで、オーバーレイ!

 冥府の猛禽よ、闇の眼力で真実をあばき、鋭き鉤爪で栄光をもぎ取れ!エクシーズ召喚!

 現れろ、ランク4 RR-フォース・ストリクス!」

 

 召喚されるのは鋼鉄の大型の梟のようなモンスター。

 

「EXデッキからRRモンスターが特殊召喚されたことで、RR-ルーストの効果が発動する。

 デッキからRR魔法・罠を一枚手札に加える。俺が手札に加えるのはRR-ネスト。

 さらにフォース・ストリクスのORU(オーバーレイ・ユニット)を一つ取り除き、効果を発動する。デッキから鳥獣族・レベル4モンスターを手札に加える。

 さらに永続魔法RR-ネストを発動!このカードは、場にRRモンスターが2枚以上表側表示で存在する時、デッキからRRモンスターを手札に加える!

 俺はRRシンギング・レイニアスとRRストラングル・レイニアスを手札に加える。」

 

 次々と集まってくるRR達。だが、フォース・ストリクスの攻撃力は100。どうやらRRモンスターの数により攻撃力が変動する効果を持っているようだが、エクシーズ召喚すればその数自体が減っていく為問題ない。

 やはりエクシーズ召喚など雑魚だと、考えながら笑みを浮かべる。だが、黒咲は止まらない。

 

「俺はRUM(ランクアップマジック)レイド・フォースを発動する!その効果により、ランク4のフォース・ストリクスを、一つ上のランクのモンスターへとランクアップさせる!」

「何っ!?」

「エクシーズモンスターを進化だと!?」

 

 手札のそのマジックカードこそ、黒咲の、RRの真骨頂。より高いランクのモンスターへと進化して、知恵ある猛禽が今飛翔する。

 

「勇壮なる猛禽よ、華麗なる翼で力を掴み、更なる高みへ飛翔せよ!

 ランクアップ・エクシーズ・チェンジ!現れろ、ランク5、RR-ブレイブ・ストリクス!」

 

 現れるのは先ほどのフォース・ストリクスより一際大きな梟

 

「ブレイブ・ストリクスの効果発動。ORUを一つ取り除き、RUM1枚を手札に加える。

 俺は手札に加えたRUMスキップ・フォースを発動!ブレイブ・ストリクスを、さらに2ランクが上のモンスターへとランクアップさせる!」

「ランクアップしたモンスターをさらにランクアップだと!?」

「ふざけるな!?一体どれだけのモンスターを並べるつもりだ!」

 

 ここでようやく彼らは悟る。ランクアップすればそれで終わりではないと。先ほど手札に加わった2枚のRR、そこで佇み続けるトリビュート・レイニアス。黒咲はまだまだ余力を残している。それに焦った男が声を上げる。

 

「ふざけるな?」

 

 だがそれが、黒咲の琴線に触れた.

 

「ふざけるなだと?俺たちから住処を奪い、家族を奪い、遊び感覚で戦争をするお前達に、そのようなことを言う資格はない!

 百戦錬磨の隼よ、その大翼を翻し、同胞と共に戦場を飛び交え!ランクアップ・エクシーズ・チェンジ!ランク7 RR—アーセナル・ファルコン!」

 

 降臨する新たなモンスター。まるで空母のような隼は、その周囲に漂うORUを力に変え、新たなRRを射出する

 

「アーセナル・ファルコンの効果、ORUを1つ使い、デッキからRRモンスターを特殊召喚する。俺が特殊召喚するのは、RRファジー・レイニアス。

 そして、ファジー・レイニアスとトリビュート・レイニアスでオーバーレイ!再び現れよ、RR—フォース・ストリクス!効果でレイダーズ・ウィングを手札に!

 さらにORUとしてファジー・レイニアスが墓地に送られたとき、デッキから新たなファジー・レイニアスを手札に加える!

 このカードは、場に闇属性モンスターが居る時特殊召喚できる!現れろ、RR-ストラングル・レイニアス!そして効果で、墓地のRRを蘇生する!甦れ、RR-バニシング・レイニアス。ただし、この効果で特殊召喚したモンスターの効果は無効化される。」

 

 そんなもの意味ないじゃないか、これからエクシーズ召喚するのだから、と一人が毒づくが気に留めない。

 

「3たび現れろ、RR-フォース・ストリクス!効果で手札に加えるのはRR-ネクロ・ヴァルチャー。だが、このカードを使うまでもない、

 俺はさらに場にRRエクシーズモンスターが居る時特殊召喚が可能なRRシンギング・レイニアスと、場のエクシーズモンスターのORUを一つ取り除き特殊召喚できるレイダーズ・ウィングを特殊召喚し、オーバーレイ!

 現れろ、ランク4 レイダーズ・ナイト!レイダーズ・ナイトは、自身のORUを一つ取り除き、ランクが1つ上か下のモンスターへと進化する!」

「自身の効果でランクアップだと!?」

「まだ見ぬ勇猛なハヤブサよ、猛き翼に秘めし未知なる力、今ここに知らしめよ!ランクアップ・エクシーズ・チェンジ!

 現れろ、ランク5RR-エトランゼ・ファルコン!さらに、場にRRモンスターが居る時、RRファジー・レイニアスは特殊召喚できる!」

 

 並ぶ五体のRR。それこそが、黒咲隼の反逆の翼。

 

「エトランゼ・ファルコンの効果発動!古代の機械兵士を破壊し、貴様にその元々の攻撃力分のダメージを与える!1300ポイントのダメージだ!」

「ぐわあっ!?」

 

 LP4000→2700

 

「そして、2体のフォース・ストリクスはその攻撃力を、自分フィールドの鳥獣族の数×500アップする!これにより、攻撃力は2100となる!そして、墓地のRUMレイド・フォースと手札のネクロ・ヴァルチャーを除外!効果により、手札にRUMスキップ・フォースを手札に加え発動!エトランゼ・ファルコンより進化し現れろ、2体目のRRアーセナル・ファルコン!」

 

 ランク7の大型エクシーズモンスター2体、ランク4のエクシーズモンスターが二体、そして1体のRRモンスター。

 出来上がった盤面に、アカデミア生たちは腰を抜かしていた。

 

「な、なんだ……なんなんだお前は!?」

「逃げろ、こんな奴相手に勝てるわけがねぇ!」

「逃がすか!アーセナル・ファルコンは、ORUとなっているRRの数まで、攻撃ができる!やれ、RR達よ、奴らにダイレクトアタック!」

 

「「「うわああぁぁぁぁぁ!?」」」

 

LP2700→0 ピーッ!

LP4000→1900→0 ピーッ!

LP400→1500→0 ピーッ!

 

 RRの総攻撃に彼らのライフポイントが一気に消し飛んでいったのを確認した黒咲は、構えを解き、倒れ伏した奴らを鋭い目で睨みつけて見せた。

 

 

「俺のターン。先攻は俺だ。俺は手札からサイバー・ダーク・クローを捨てることで、サイバー・ダーク魔法・罠カードを一枚手札に加える。俺が手札に加えるのは、永続魔法サイバー・ダーク・ワールド。

 そして、そのまま発動!効果によりデッキから『サイバー・ダーク』と名のつく、モンスターを手札に加えられる。俺が加えるのはサイバー・ダーク・カノン。

 そして、カノンの効果でカノンを墓地へ送り、サイバー・ダーク・エッジを手札に加える。そして召喚。サイバー・ダーク・エッジ。

 さらに、永続魔法サイバー・ダーク・ワールドは、効果で1ターンに1度サイバー・ダークモンスターを通常召喚とは別に召喚できる。

 来い、二体目のサイバー・ダーク・エッジ。」

 

 アカデミアの古代の機械とはまた異なる形で不気味な機械族のモンスターが二体並ぶ。そして、墓地から現れた武装とドッキングを行い咆哮を上げる。

 

「サイバー・ダーク・エッジは、召喚された時、墓地のレベル3以下のドラゴン族モンスターを装備カードとして装備し、その攻撃力分の攻撃力を得る。

 それぞれが装備したサイバー・ダーク・クローとカノンの攻撃力は1600、よってサイバー・ダーク・エッジ二体の攻撃力は2400へとアップ!」

「攻撃力2400のモンスターが二体……」

「しかも、それらを展開してまだ手札が3枚残ってる……」

「どつやらそれなりにやるようだな。やっぱりこいつらがエクシーズ次元の切り札か!」

 

 彼らは基本的にエクシーズ召喚を舐めている。いや、効果が強力な分、ORUを使用する必要があり回数制なエクシーズモンスターは、こういった多対一の状況に弱いのだ。

 高い火力で連続攻撃のできるアレンの『列車』や何体ものエクシーズを呼び出せる黒咲のRRのような例外なら話は別だが、彼のデッキはそうではない。

 だがむしろ、そのエクシーズ召喚を使わなかったことで、彼らは警戒した.一体何が待ち構えているのかと。

 

「俺はカードを2枚伏せ、ターンエンドだ。」

「なら俺のターン!俺は古代の機械要塞を発動!これで俺たちの『古代の機械』モンスターは効果の対象にならず、破壊されない!」

「それにチェーンして永続トラップ、サイバー・ダーク・インヴェイジョンを発動し効果を使用させてもらう。

 サイバー・ダーク・カノンを墓地に送ることで、その魔法カードを破壊する。」

「なに!?」

「耐性カードを潰してきただと!?」

「そのカードには墓地の『古代の機械』を特殊召喚する効果があるみたいだが……今は使えねぇな?俺は墓地に送られたサイバー・ダーク・カノンの効果で一枚ドローさせてもらう。」

「くっ!だが俺は古代の機械素体を召喚し、手札一枚を捨てることで古代の機械巨人の名が記された魔法・罠カードを手札に加えることができる!

 俺が手札に加えるのは古代の機械融合!」

 

 彼が使うカードから彼のデッキがアカデミアの兵士たちに優等生デッキと呼ばれる上級兵士のデッキであることを察知する。

 つまり彼がこの部隊のリーダーだろうとあたりをつけつつ、

 

「古代の機械融合を発動!手札の古代の機械箱と、古代の機械兵士を融合!現れろ、古代の機械魔神!」

 

 現れるのは高い攻撃力と魔法・罠カードを封じる効果で相手を殴りつける古代の機械モンスターの中では異色な、攻撃力の低さの代償に完全耐性効果を持ったモンスター。

 

「俺は古代の機械魔神の効果発動!お前に1000のダメージを与える!

「ぐっ……」

 

亮LP4000→3000

 

「さらに、古代の機械素体で、装備カードを失ったエッジを攻撃!」

「ぐあっ……」

 

亮LP3000→2200

 

 サイバー・ダーク・エッジが破壊されることで、彼はさらに追い詰められる。

 

「これで俺はターンエンド。」

「次は俺のターンだ!俺は古代の機械飛竜を召喚!コイツは召喚した時に「アンティーク・ギア」カードを……」

「させるか!トラップ発動、無限泡影!古代の機械飛竜の効果を無効にする!」

「なにっ!?」

「さらに、サイバー・ダーク・インヴェイジョンの効果、墓地のサイバー・ダーク・エッジを、攻撃力を1000アップする効果を持つ装備カード扱いでこのカードに装備する!」

「攻撃力3400!?」

「さぁ、突破できるものなら突破してみな!」

「ぐっ……ターンエンド……」

 

 彼のデッキは、黒咲のように連続で召喚したモンスターで全てを薙ぎ倒せる。と言うデッキではなく、罠カードと装備カードとして墓地から力を貸すサイバー・ダークモンスター達で戦場を繋ぎ、切り札を呼び出すスタイル。

 一戦一戦が長引く分、増援などを呼ばれやすく、彼がどれだけ戦えるかはアレンの腕に、そしてユートがどれだけ作戦を早く終わらせられるかにかかっている。

 

「(頼むぜ……ユート……)」

 

 自分の手札がどれだけ相手を止められるか。冷や汗を掻きながら仲間に向けてそう念じた。

 

 

「ここか……」

 

 見張りの男を気絶させ、手に入れたIDカードで潜入した先、輸送船の中には、大きなコンテナがあった.

 デュエルディスクによるハッキングでパスワードを解き、中身を開ける。

 

「これは……」

 

 奥には、通常モンスターのような色合いのカードが並べられていた.そこに写っている人々……カードにされた、ハートランドの住人達。

 

「これほどの数の住人が……カードに……」

「どうやらそれだけではないようですよ。」

「ッ!誰だ!?」

 

 突如声をかけられ、デュエルディスクを構えて振り返る。そこにいたのは、黒の中折れ帽子に赤のラインが入ったジャケットを身につけた男だった。

 

「ご安心を。私は怪しいもの……に見えるでしょうが、あなたの敵ではございません。」

 

 そう言いながら、腕のデュエルディスクを取り外して手を上げる。

 だが、こんな男はエクシーズ次元で見たことがない。

 

「私、スネイクと申します。といっても、融合次元のプロデュエリストとしての通りの様なもので本名ではありませんが……名

 おっと、警戒しないでください。常に珍しいと思うのですが、私、こう見えて所謂カードの精霊というのに懐かれておりまして……」

 

 そう言う男の手元に、マジックの様に徐にカードが現れる。

 

蛇眼の炎燐「きゅっ!」

 

 現れたのは、かわいらしい小動物のようなモンスターが現れる。きゅーきゅーと鳴くそのモンスターは、彼の周りをふよふよと動き回っている。

 リアルソリッドビジョンでも似たように動かすことはできるだろうが……それとは違い半透明、

 しかも単なる映像では説明のつかないような……感情が、そのモンスターにはあるように見えた。

 

「カードの精霊……実在していたのか……」

「ええ……信じていただくためにはこれが一番手っ取り早いかと……

 申し訳ありませんポプルス、出汁に使うような真似をしたことは謝りますので……」

 

 見せびらかされるのを好まないのかきゅーきゅーと抗議の声を上げるそのモンスターに詫びを入れる男。

 

「敵意がないのは理解した……だが融合次元の人間が何故ここにいる?」

「融合次元も一枚岩ではないのですよ。次元戦争に反対するものも大勢います。いや、いました、と言った方が正しいでしょうか。」

 

 アカデミアの連中がプロフェッサーと呼ばれる指導者に従っていることは、こちらも知っている。だが融合次元の知らなかった話と、帽子を深く被り直す彼の様子に、彼らに何があったかを悟った。

 

「私も、そうなるところでした.ですが偶然、このカード達に助けられまして、以来、この精霊達に導かれて、ここまで。」

「ここに、導かれた?」

「えぇ、どうやら、これが原因のようです。」

 

 コンテナの反対側の扉を開けば、そこには奇妙な光景が広がっていた.

 小型の鉄製のケースのようなもの、ちょうどデュエルモンスターズのカードが入りそうな大きさのケースが、所狭しと並べられていたのだ。

 

「厳重なロックで封印が施されている……しかし、」

 

 ふと男……スネイクがケースの一つを手に取れば、ポプルスと呼ばれたモンスターが唸る。

 

「強力なカードの気配……アカデミアは、エクシーズ次元からこれを持ち去ろうと考えていたようですね。

 あの時もポプルス達を集めていた。一体何の目的が……」

「おい、事情は理解したが……どうするんだ?いくら何でもこの数のカードを持ち去ることは出来ないぞ」

「ふむ……では発進してしまいましょか。」

「なに?」

 

 ケースをコンテナに置いた男は、そう口にする。

 

「転移可能な次元は融合とエクシーズだけではありません。チューナーというモンスターを使うシンクロ召喚という召喚方が普及したシンクロ次元、そしてもう一つ、我々がスタンダード次元と呼んでいる次元があるのはご存知ですね?」

「あぁ……」

「そこに行くことができれば、この大量のカードを保管する方法も見つかるはず。少なくとも、私の情報ではスタンダード次元は安全のはずです。」

「駄目だ、仲間を待たせている。いまさら作戦の変更など……」

「では見捨てますか?エクシーズ次元の住人のカードだけでもざっと1000は軽く超えますが……。」

「ぐっ……」

 

 少し悩んだ。悩んで、師匠の顔を思い出す。破天荒で、割とろくでなしで、だけどデュエルとこのハートランドを思う気持ちは人一倍だった師匠。

 あの人なら、どうするか……悩んだ俺は、勝手を承知で、デュエルディスクの通信機能を起動した.

 

 

『隼、聞こえるか?』

「ユート!作戦はどうなった!?」

『それなんだが……思った以上にエクシーズ次元の住人のカードが多すぎる。』

「ユート、それはどういう……」

『俺はこのまま、輸送船の次元転移装置を起動して、スタンダード次元へ行く。そこなら……このカード化された仲間達をうまく隠せる筈だ。』

 

 その作戦は理にかなっている、だが、ユートが遠くへと行ってしまう。その事実が、重くのしかかる。

 

「待て、お前はどうなる!?残された者は……」

『隼、安心しろ、少しの間、スタンダード次元に行くだけだ。』

「レジスタンスにはまだ大勢が残されている!お前が抜けては……」

『大丈夫だ。』

「ッ!」

 

 お前がいる。と続く言葉に、黒咲は奥歯を噛み締める。

 

『俺は必ず帰ってくる。だから、その居場所を守ってくれ、隼。』

 

 見れば、アカデミアの後方で次元転移装置が起動し、開いた穴に入って行こうとする輸送船が目に入った。すでにユートは心を決めている。なら、親友として、その想いに応えよう。

 

「アレン……ジャガーノート・リーベを後退させろ……」

「でもよ、黒咲……」

「分かっている!だが,それが一番、奴の望んでいることだ……」

 

 才羽が反論しようとするも,拳を血が流れそうなほどに固く握りしめそう言う黒咲に、アレンは覚悟を決めた.

 

「分かったぜ。ジャガーノート・リーベ、全速後退……」

「ユート……お前の居場所は必ず守る。そして……お前を必ず迎えに行く!」

『隼……あぁ、』

 

 ジャガーノート・リーベが砲弾を撃ちながら後退を始める。同時に、次第に次元ゲートへと入っていく輸送船。遠ざかっていく姿に黒咲が決意を表明し、

 ユートはその言葉に微笑み、約束だ。そう言おうとした時だった。

 

『ノーブル・ジャスティス!』

 

 声が響き、飛んで行ったレーザーが、転移装置に入ろうとしていた機体を直撃した。

 

「なっ!?」

『ぐうぅ!?』

「ユート!?」

『外部から衝撃……まずい、このままでは正確な座標に転移できません!いやそれどころか機体が耐えられるか……』

『逆に言えばそれほどまでに死守したいもの……なんとしてでも頂いていく!』

「よせユート!最悪次元の狭間を永遠に彷徨い続けることになるぞ!」

 

そばにいる男の声が誰のものか、本来なら気になることもかなぐり捨てて、黒咲は叫んだ。

 

『いや、もう転移シークエンスが完了しつつある。緊急停止プログラムが間に合わない。ならマニュアルで制御を手助けし、成功率を上げる方法が一番助かる確率が高い……!』

「ユート!」

『頼むぞ隼……レジスタンスを……』

 

 そこで,通信が途切れ、ゲートが切れる。闇の向こうに、煙を吐きながら消えていった輸送船を残して。

 

「うおおぉぉぉ!」

 

 それを見て,黒咲は吠えた。

 

「隼!何やってんだやめろ!?」

 

 自身のエースモンスターであるRR-レヴォリューション・ファルコンを召喚し,それに乗って飛び立とうとする黒咲。しかし、それをアレンが羽交い締めにして止める

 

「離せ!ユート……ユートを救出しなければ!」

「ゲートが閉じちまった!もう無理だ!アカデミアの奴らが追ってくるぞ、早く逃げねぇと!」

「だが……」

「ユートに託されたんだろ!」

「ッ!」

 

 なおもしぶり、暴れようとする黒咲は、アレンがそう言うことで動きを止めた。

 

「ユートに仲間を頼むって言われたんだろ!?だったらお前のやる事はなんだ!?

 ここで突っ込んで行って玉砕する事じゃねぇだろ!」

「…………アレン。」

 

 黒咲を掴むアレンの腕も,震えていることに気づく。アレンだって分かっているのだ。ユートの現状を。その上で、黒咲までここで失うわけにはいかない。

 

「分かっている……」

「ならいい。今は引くぞ。」

「残念だがそれは出来ない。」

「「「ッ!?」」」

 

 ズズン!と音を立てて、後退するジャガーノート・リーベの行く手を阻むようにモンスターが現れる。

 巨大な機械仕掛けの黒い装甲を間に纏った巨人。4500という脅威の攻撃力を持つ、アカデミアの最終兵器、その名は古代の機械(アンティーク・ギア)混沌巨人(カオス・ジャイアント)。それが三体並んでいる。

 

「なんのためにこんな攻撃を仕掛けたのかと思えば」

「まさかネズミを入り込ませるためだったとは」

「だがそのネズミは損傷した機体で次元の奥へ」

「「「飛んだ浅知恵だったな!」」」

 

 三人でそう言いながら現れる、青の制服にいかつい仮面の連中。アカデミアの精鋭部隊、彼らをオベリスクフォースと人は呼ぶ。

 

「貴様らァ!」

 

 ユートの意思を愚弄するその姿に、当然黒咲は激昂する。

 

「ふん、我らに挑むというのか?」

「既に我らのフィールドには最強のモンスターである古代の機械混沌巨人が三体!」

「貴様らに勝ち目も,逃げ場もない!」

「そう思うのならーーー」

 

 黒咲のデッキには、エースモンスターであり、このモンスター達を全て破壊できるRR-ライズ・ファルコンが居る。やってやるとデュエルディスクを構えようとしたところで

 

「試してみるか?」

 

ピーッ!乱入ペナルティ 2000ポイント!

 

 そう音が響き、上空から一人の男が飛び降りてきた.

 

「俺のターン、ドロー。」

 

 黒を基調に、ゴールドのラインの入ったジャケット姿の男。

 伸ばしたストレートヘアを紐で縛った鋭い目つきが特徴的な彼は、いかつい見た目に歳を勘違いしそうになるが、実年齢は17歳と言ったところである。

 

「なんだ貴様は……邪魔をするならお前も」

「あの船に乗っていたのはお前の仲間だけじゃねぇ。」

 

 デュエルに割り込まれた黒咲が文句を言おうとするが、その男はそう言う。

 

「スネイク……俺の仲間も乗っていた.お前らに手をかそうとしてな。」

「…………」

「何よりこいつらと因縁があるのもお前らだけじゃねぇ。詳しい事はデュエルで語ってやる。」

「……フン、そういうのなら見ていてやろう。」

 

 誇り高いデュエリストである黒咲は、デュエルで示すと言った男の言葉を尊重した.

 

「何を言うかと思えば、この数を相手にどうやって……」

「相手のフィールドのカードが俺のフィールドのものより多い時、手札の古代の(アンティーク・)機械像(ギア・スタチュー)は特殊召喚ができる。」

「「「「なに!?」」」」

 

 オベリスクフォースだけではなく、黒咲までもが驚いた。古代の機械。彼が使用するのは、オベリスクフォース達と同じカード。

 

「貴様!?なぜそんなカードを使っている!?貴様もアカデミアの仲間か!?」

「仲間なら、信頼させるためにも別のデッキを使うだろうさ。」

 

 そう言いながらも,男は黒咲の方を見ない。今はデュエル中。決闘者(デュエリスト)である彼が見据えるのは、自分の手札と、目の前の相手だけだ。そう示すように。

 

「お前らの敵なら、こうして背中を向けてデュエルしねぇ。俺がこのデッキを使うには理由がある。それはこれからデュエルで語る!

 俺はさらに、永続魔法、古代の機(アンティーク・ギア)械要塞(・フォートレス)を発動する。

 そして、古代の機械像の効果を発動、このカードをリリースする事で、『古代の機械巨人(アンティーク・ギア・ゴーレム)』の名を持つモンスターを手札、デッキから、召喚条件を無視して特殊召喚する、俺が特殊召喚するのは、デッキの古代の機械(アンティーク・ギア)暗黒巨人(ダーク・ゴーレム)!!」

「何!?」

「そんなバカな!?」

「そのカードは……」

 

 彼が宣言した名前に、オベリスクフォース達は驚愕する。

 

「大地を砕き今こそ現れろ、古代の機械(アンティーク・ギア)暗黒巨人(ダーク・ゴーレム)!」

 

 その言葉と共に、地面から巨大な歯車で動く巨人が現れる。古代の機械巨人は、古代の機械の主力となるカード。目の前に立ち上がるそれは、ボロボロだった古代の機械巨人が、新しい装甲を纏い、再び立ち上がったかのようなパワフルな雰囲気を感じられる。

 

「あ、古代の機械最高峰の、伝説のレアカード……」

「あのカードが出て来たという事は、間違いない、あのデッキは……」

「あ、『暗黒の中世』デッキだと!?バカな、あのデッキは失われたはず!!」

「何をそんなに驚いてんだ?」

 

 狼狽えるオベリスクフォース達に、アレンが不思議そうな顔をする。

 

「お前らは、アカデミアの連中が『優等生デッキ』と読んでるあのデッキを組んだ人間が誰か、知ってるか?」

「は?そんなもの……いや、まさか……」

 

 才羽が知る訳ないと言いかけて、気づく。まさかそうなのかと、

 

「そいつはアカデミアに赤馬零王がやって来てアカデミアがこんな風になる前、アカデミアで教師をやってた男だ。

 みみっちくて、偉そうで、落ちこぼれの生徒を見下す野郎で、俺も心底嫌いだった。」

「……………」

 

 目を瞑ってそういう彼の人物評に、黒咲はその男の作ったデッキの使い手(教え子達)がこんななのは妥当じゃないかとツッコミかける。

 

「だが、教師として教え子とデュエルにかける情熱は人一倍だった。そのデッキは、自分の持つ最高級のレアカードを使わなくても、『古代の機械』というデッキを組めるように、

 あの男が寝る間を惜しみ、生徒のことを思って作ったデッキだ。だがプロフェッサー、あの男はそれを、安価で組める強力な兵器としてしか見ていなかったッ!」

「ッ!」

 

 自分が大切に組んだデッキがそんなふうに扱われる……彼らは、その辛さを身に染みて理解している。もし自分たちの故郷を破壊したカードが、列車、RR、サイバーと言った自分たちが強く思い入れのあるカードだったら……とても耐えられないだろう。

 

「このデッキは、奴がカードにされる前に俺が譲り受けたデッキだ!古代の機械(アンティーク・ギア)暗黒巨人(ダーク・ゴーレム)の効果発動!

 このカードの召喚・特殊召喚に成功した時、「アンティーク・ギア」カードか「歯車街」を2枚まで手札に加える。

 俺が手札に加えるのは、古代の機械司令(アンティーク・ギア・コマンダー)古代の機械競闘(アンティーク・ギア・デュエル)

 そして、俺はその代償に手札の『古代の機(アンティーク)械爆弾(・ギア・ボム)』を墓地へと送る。」

「なっ!?」

 

 才羽はそこで、古代の機械暗黒巨人が『伝説のレアカード』と呼ばれる理由を理解した。確かに破格の効果だ。

 見れば古代の機械暗黒巨人には自身を『古代の機械巨人』として扱う効果がある。つまりこのカードを召喚、特殊召喚するだけで、『古代の機械融合』によりデッキからモンスターを融合素材とすることで高レベルの古代の機械融合モンスターを出し放題なのだ。

 

「そして、古代の機械司令(アンティーク・ギア・コマンダー)を通常召喚!」

 

古代の機械司令「ノーネ!」

 

 現れたのは胸元にギターのような大型のパーツをつけた古代の機械。それが指示を下すように指を向ければ、彼のデッキから、一枚のカードが墓地に吸い込まれていく。

 

古代の機械司令(アンティーク・ギア・コマンダー)の効果で、俺はデッキから古代の機械巨人(アンティーク・ギア・ゴーレム)を墓地に送り、古代の機械モンスター一体を召喚する。

 俺はフィールドの古代の機械司令(アンティーク・ギア・コマンダー)古代の機械(アンティーク・ギア)暗黒巨人(ダーク・ゴーレム)を生贄に、もう一体の古代の機械巨人(アンティーク・ギア・ゴーレム)をアドバンス召喚する!」

「なっ!?そんなことをして何の意味が……」

「あるのさ、墓地に送られた古代の機械司令(アンティーク・ギア・コマンダー)をゲームから除外することで、手札から「アンティーク・ギア」永続罠カード一枚を発動できる。」

「手札から……」

「永続トラップだと!?」

「俺が発動するのは、古代の機械競闘(アンティーク・ギア・デュエル)

「また、見たこともねえカードを……」

 

 その展開に、アレンがそう呟く。アカデミアの『古代の機械』は、融合の効果を持つモンスター古代の機(アンティーク・ギア)械猟犬(ハウンドドッグ)をベースに、バーンダメージやダイレクトアタックを駆使して3人がかりでライフを削るデッキ。

 だが、一人で回す為に完成されているのであろうこのデッキの動きは、全く別物のように感じる。

 

古代の機械競闘(アンティーク・ギア・デュエル)の効果発動。このカードは、古代の機械巨人(アンティーク・ギア・ゴーレム)と名のつくモンスター専用のサポートカード。

 フィールドの『古代の機械巨人』を含むフィールド、墓地のモンスターを融合素材として除外し、融合召喚ができる!」

「何!?」

「墓地の「古代の機械」で融合だと!?」

「俺はフィールドの古代の機械巨人(アンティーク・ギア・ゴーレム)と、墓地の古代の機械巨人(アンティーク・ギア・ゴーレム)、そしてフィールド、墓地にある限り古代の機械巨人(アンティーク・ギア・ゴーレム)として扱う、古代の機械(アンティーク・ギア)暗黒巨人(ダーク・ゴーレム)で、融合召喚!」

「古代の機械巨人の」

「三体融合!?」

 

 フィールドに現れた『古代の機械』モンスター達が光の中へと吸い込まれていく。

 

「古の魂と誇り高き魂が、今一つとなって天地を砕く、融合召喚!」

 

 その光を背景にし、逆光の中で黄金色の瞳を輝かせ、彼が二つの手を重ね合わせる。

 

「来い、そして語れ!その背で本当のアカデミアの誇りを!古代の機械(アンティーク・ギア・)究極巨人(アルティメット・ゴーレム)!!」

 

 降臨するのは巨大な歯車の巨人。その下半身は馬のような四足歩行に、そして古代の機械巨人が破損していた片腕には、見るからに攻撃力の高そうな三本爪が装備されている。

 古代の機械混沌巨人とは違う、古代の機械の究極進化系

 

古代の機械究極巨人 ATK4400

 

「この効果で召喚された古代の機械(アンティーク・ギア・)究極巨人(アルティメット・ゴーレム)は、3回攻撃が出来る!」

「攻撃力4400の3回攻撃だと!?」

「慌てるな!攻撃力は4400!攻撃力4500の古代の機械混沌巨人を破壊することは……」

「出来ちまうんだなこれがぁ!バトルだ、古代の機械(アンティーク・ギア・)究極巨人(アルティメット・ゴーレム)でお前らのフィールドの古代の機械簡単巨人を攻撃!

 この瞬間、速攻魔法、リミッター解除発動!自分フィールドの機械族モンスターの攻撃力は、ターン終了時まで倍となる!

 さらに古代の機械究極巨人の効果で、お前達はこのモンスターが攻撃を終了するまで、魔法・罠カードを発動できない!

「「「なんだと!?」」」

 

 発動した魔法により上昇した古代の機械(アンティーク・ギア・)究極巨人(アルティメット・ゴーレム)の攻撃力は……

 

古代の機械究極巨人「オオォォォォォォン!」 ATK4400→8800

 

「行け、古代の機械(アンティーク・ギア・)究極巨人(アルティメット・ゴーレム)!アルティメット・パウンド・バウンド!」

 

「「「ぐああぁぁぁぁぁ!?」」」

 

LP4000→0 ピーッ!

LP4000→0 ピーッ!

LP4000→0 ピーッ!

 

 3人のオベリスクフォースを古代の機械究極巨人はなぎ倒して見せた後に、一度振り返り男の方を向いて、消えた。

 

「これが……真の『古代の機械』……」

「凄ぇ……」

「貴様は……一体何者だ?」

 

 彼の物言いから、彼の話した『真の古代の機械デッキの使い手』ではないのは確実だろう。そう問われると、彼は振り返って名乗った。

 

「俺はゼン。アカデミアの……」

 

 そう言いながら思い出す。説教の時にちょくちょく使われていた彼の言葉を。

 

「ドロップアウトボーイって奴さ。」

 

 

「状況は……どうなってる?」

「お待ちを、私も電子機器に強いわけではないのですよ!」

 

 冷や汗を流しながら、そう言ってスネイクはコンソールに指を走らせる。

 

「エンジンが片方やられていて推力が足りません、もし機体が損傷すれば、我々は次元の狭間に真っ逆さまでしょうね……」

 

 勢い……というよりも、他に選択肢がなかったからこそではあるが、その状況にユートは冷や汗を流した。

 

「リアルソリッドビジョンのモンスターなら、支えることが……」

「出来るかもしれません、私のモンスターの力も……」

 

 しかし、そこまで言おうとしたところで大きな音を立てて船体が揺れた。

 

「ぐっ、次元移動の為のコースからずれていきます……船体下部が損傷……!」

「このままでは……」

 

 自分の戦いが終わってしまう。助けようとして、リスクある手段を、親友を傷つけてまで取ってこの体たらくで、

 

「嫌だ……」

 

 何か手はないかとしきりにこういう場合のマニュアルなどを利用して手段を探る

 

「俺は……」

 

 自分のエースモンスター、ダーク・リベリオン・エクシーズ・ドラゴン。このモンスターの力ならば彼の精霊のカードと力を合わせれば船体を支えられないか。

 無理だ。何より自分たちのカードを危険にさらすことになる。ほかに方法はないかとしきりに頭を回転させる。

 

「こんなところでは終われないッ!」

 

 それに、答えたカードがあった。船体が損傷したことにより、次元の狭間へと投げ出された、封印されたカードの1枚、その機械の封印が、投げ出されることでひび割れ、不完全となったものが、ユートの想いに呼応し、

 機械を破壊し光を放つ。ユートとスネイクは、突如輝きだしたその光に、包まれていった。

 

 

 シンクロ次元、コモンズ達のスラムの中でも、少し入り組んだ場所にある、一部の人間たちから『アジト』と呼ばれている廃ビル。外見はボロボロの廃墟だが、内部は清潔に管理されていた。

 

「シンジにーちゃん!」

「おう、どうした?」

 

 そこを住みかとしているコモンズの青年、シンジ・ウェーバーは、訪れてきた子供に、読んでいた本から目を離して微笑みかける。

 

「大変なんだ!空から変なのが落ちてきた!」

「変なの?」

「これ!俺ん家の屋根を突き破って落ちてきたんだ!」

 

 そう言って手渡されたのは、鋼鉄製のケース。

 

「なんかのケース?トップスどもの廃棄物って訳じゃなさそうだが……」

「中に何か入ってそうなんだけど開かないんだよ。」

「どれ、見せてみろ。」

 

 最近彼はとある人物に弟子入りし、機械いじりの技術なんかを学んでいる。おそらくこの子供もその技術を当てにして来たのだろう。しかし、彼がどうやっても明かなかったというケースのロックは、シンジが手に取った瞬間、あっさりと外れた。

 

「外れた?何が……いや、なんだこのカード?」

 

 そうして手に取った、カードの淵が黒いカード。

 

()()()()()()()()()()な……エラーカードって奴か?なんだってそんなものを……」

 

 ガシガシと頭を掻きながら首をかしげるシンジ。

 

「効果は強そうだし俺のB・Fとも相性良さそうだが……しょうがねぇ。先生に相談してみるか。」

 

 No.3 そう書かれたカードをポケットにしまった彼は、彼の人生観を変えてくれた一人の男に会いに行こうと、子供を連れてDホイールのガレージへと向かうのだった。




オリキャラ一口解説

嘆くもの 才羽 亮

読みかたは さいば りょう

黒咲とは違いコート姿だが胸元を止めず開いている。使うデッキは『サイバー』だが、融合次元とは関係のない、れっきとしたエクシーズ次元の青年。
下級サイバー・ダークと罠カードを用いたロック、汎用ランク4エクシーズモンスターの使用などが基本戦術
切り札は『サイバー・ドラゴン・インフィニティ』
自身の戦術に伸び悩みを感じるなか、エクシーズ次元が侵攻されレジスタンスとして戦うことに。
次第に追い込まれていく自分たち、止まることのないアカデミアの増援に、真綿で首を絞められるような気分だと頭を悩ませている。

〇〇ものみたいなタイトルのあれはオリキャラや主要キャラクター達の二つ名的ななにか。ポケスペの図鑑所有者的なことをやりたかった。

それとアンケートでまた質問させていただきます。今回はOCGカードだけでいろいろやったんですが、変なソリティアになることもちらほら……何より古代の機械双頭猟犬みたいな主要カードがOCG化されてないこともあり、一部アニメ効果のカードやオリカを使わせてほしいんですがよろしいでしょうか?

オリカ、カードのアニメ効果版は

  • あり。
  • ありだがオベフォ戦とかだけで
  • なしで。長くなりそうな雑魚戦はカットで
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