遊戯王 ARC-Ⅴ 揺れる運命 重なる手札   作:月光舞詐称者姫

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今回はデュエル省略の繋ぎ回です。
ごめんなさい。今の所オリキャラが暴れてるだけだしちゃんと原作キャラを活躍させたいのですが難しい。
未だに沢渡さんのキャラクターを掴み兼ねてる現状です。
EMとかDDDとかしっかり回せる気がしない……頑張って展開覚えなきゃ……


第三話 歴史的瞬間の影で

「勝負だ遊矢!ただし、アンティルールでだ!」

「アンティルール?」

「おう、俺が勝ったら、お前の星読みと時読みの魔術師、その二体のペンデュラムモンスターをもらうぜ!」

「なっ!?そんなことをしたって意味は……」

 

 沢渡の提案に、遊矢は驚く。自分はペンデュラム召喚を共有すると宣言したのに。だた、沢渡シンゴには打算があった。

 

「あるぜ。こいつはペンデュラム召喚の開拓者を決める戦いだ。」

 

 笑みを浮かべてそう言う。そう、本来ならば沢渡はおびき寄せた遊矢のカードを奪い、それをもとにレオ・コーポレーションに新たに作ってもらったペンデュラムカードでデッキを組み、ペンデュラム使いとして華々しくデビューする予定だった。

 だが、遊矢は自分がペンデュラム召喚のパイオニアになると言った。なら、

 

「俺が勝てば、お前からペンデュラムカードを奪い、俺がレオ・コーポレーションにそいつを持っていき、新しく作られたペンデュラムカードでペンデュラム召喚の開拓者になる。

 だが遊矢!お前が勝ったら、お前がペンデュラム召喚の開拓者として、勝者として俺にペンデュラムカードをレオ・コーポレーションまで持ってくよう命じやがれ!」

「それじゃあ俺にメリットが……」

「あるぜ。お前がデュエルを受けないってなら、俺様はこのまま帰るだけだ。」

 

 そのデュエルに勝っても自分が最初に願った通りになるだけでメリットがないという遊矢に、その願った通りになるだけで十分なメリットだと沢渡は言う。

 

「見返りもなしにお前の使いっ走りなんざ出来るか!もしペンデュラムカードをレオ・コーポレーションに使って欲しいなら自分でやるんだな!

 お前にそんなコネや金があればの話だけどな!」

「くっ……!」

 

 痛いところを突かれた、と遊矢は顔を歪める。レオ・コーポレーションに新しいカードの作成を依頼すると言うことは遊矢は頼む立場にある。

 つまりレオ・コーポレーションと契約を結ばなければならないのだが……遊勝塾は榊遊勝の汚名のおかげで万年金欠塾だ。

 ペンデュラムカードが生み出す莫大な利益から契約自体は結べるだろうが、対等な契約となればとてもじゃないが厳しいものになる。

 父である榊遊勝と、先代社長の赤馬零王は友人同士だったらしいが、その息子であり、自分たちと変わらぬ年でありながら大企業の社長として支えている赤馬零児と自分に接点はないので、その関係を持ち出すのもまた難しいだろう。

 が、その点沢渡が仲介人となれば話は別だ。市議会議員の息子であり後ろ盾となってくれるだけでも交渉は弾む。

 

「どうする?受けないか?」

「いや、一度受けると言ったデュエルさ。なにより……」

 

 これは沢渡にも自分が有利な形でデビューできるチャンスであり、遊矢からしてもペンデュラムのパイオニアになる為に仲間を作るチャンスである。

 目の前のチャンスにチャレンジしなければ、掴めるものも掴めない。

 

「「決闘ッ!!」」

 

沢渡LP4000 ▯5

遊矢LP4000 ▯5

 

 

 一方、レオ・コーポレーション内部のとある部屋。そこは赤馬零児を含む、ごく一部の人間しか入れない特殊な部屋であり、来る戦いに向け、彼らが暗躍する作戦会議室でもあった。

 

『俺は、スケール1のEMバロックリボーと、スケール5のEMファイア・マフライオをペンデュラムスケールにセッティング!』

 

 遊矢と沢渡、二人のデュエルの映像がLDS内の監視カメラ越しに、この部屋のモニターへと映し出されている。

 それを見ているのは、メガネの少年、赤馬零児、ハットを被り、その周囲にかわいらしい精霊を漂わせる伊達男、スネイク、コートをピシっと身に纏う鋭い猛禽類のような目つきを持つ少年、黒咲隼。

 そして、今目の前の映像でデュエルをしている遊矢にそっくりな二人の少年、ユーゴとユートだった。

 

『これでレベル2~4のモンスターを同時に召喚可能!現れろ、俺のモンスターたち!』

 

 モンスターが包まれた光の柱が現れたかと思えば、宙に浮く振り子が円を描き、その中からモンスターが飛び出してくる。

 

『レベル4 EMロング・フォーン・ブル、EMギッタンバッタ!』

 

 現れるのは電話を模した角を持つ水牛と、シーソーを模した体を持つバッタ。

 

「同時に二体のモンスターを……」

「しかもロング・フォーン・ブルはデッキから新たなEMを呼び寄せ、ギッタンバッタには戦闘破壊を防ぐ効果があります。」

「確かペンデュラムモンスターにはペンデュラムゾーンに置かれてる間の効果もあるのだろう?」

「えぇ、バロックリボーにはバトルフェイズに自身を破壊してステータスにこそ限りがありますがサーチ効果を発動できるようですね。

 ファイア・マフライオは戦闘で自分のモンスターが破壊されれば自身を特殊召喚する効果……

 なるほど……なかなかに固い布陣ですね。ギッタンバッタを突破したいところですが……」

「戦闘破壊耐性がある。ダメージを与える目的でロング・フォーン・ブルを狙えば……」

「ファイア・マフライオが出て来る。それだけじゃない。バロックリボーの効果で、次のペンデュラム召喚に向けたカードを用意することが出来るだろうな。」

 

 エクシーズ次元から来た3人は、目の前の映像に動く遊矢の戦術を冷静に分析している。

 

「しかし、遅いですねぇ、ゼンさんは。」

 

 帽子を抑えてそういうスネイク。

 

「あの男のことだ。またどこかで道草を食っているのだろう。」

「おや、やはりあの方の放浪癖には苦労を?」

 

 笑みを浮かべてそういうスネイクに、黒咲は気に入らなさそうに鼻を鳴らす。

 

「食糧を探しにいくと言って丸三日連絡もなしに戻らなかった。」

「ほほ、それはそれは。」

 

 さぞ迷惑をかけられたことでしょうねと、愉快そうに笑った。すると、ちょうど通信がかかってくる。

 

「ゼンか、今どこに……」

『あぁ、LDSだ。』

「は?」

 

 零児、その言葉に思わず目を見開く

 

『ここに榊遊矢ってやつがいるんだろ?見にいく。』

「待て、勝手な行動は……」

『この次元のユートってのがどんなやつか見てみてぇ。それによ……まだアンタを信用した訳じゃねぇ、分かってるだろ?』

「…………」

 

 メガネの奥で零児の瞳が鋭くなる。

 

『まだシンクロ次元の連中ってのにも会ってねぇしな。ペンデュラムを探りてぇって話だが無理やり手に入れようとしたりってやり方が気に食わねぇ。』

「…………」

『ではどうすればいい?』

 

 そう言えばハッと鼻で笑う声がした後、

 

『簡単だ。俺に指図すんな。』

 

 その言葉と共に切られることで通話が終了した。

 

「相変わらずですねぇ。やると決めたら愚直に歩くそのスタイル。昔を思い出します」

「昔?」

「えぇ、ユートさんには以前お話ししましたかね?私、もともと融合次元でプロをやっていたんですよ。」

 

 そう言って彼は帽子を片手に過去を語る。

 

「融合次元も一枚岩ではありません。赤馬零王は次元戦争を仕掛ける為、世界各国から選りすぐりのデュエリスト達を集めようとしていました。

 しかし デュエルモンスターズを戦争に扱い、侵略戦争を仕掛けるという話に反発するもの達も少なくなかったんです。」

「その人達は……」

「打ち負かされました。デュエルでね。」

 

 その言葉に、ユートは黙祷するように目を伏せ、黒咲はアカデミアの非道は同じ次元の人間にも及んでいたのかと怒りを募らせる。

 

「中には一国の国民が丸々カードにされた国もあったそうです。まぁ、遠い国の戦争の事情など知らず、見せしめに公開ということもなかったので、我々には詳細は分かりませんでしたがね。」

 

 アカデミアという組織の危険度は、私にとってどこか他人事でした。と自分の愚かさを微笑うように帽子を抑え、過去の話を振り返る。

 

「アカデミアに優れたデュエリストを集めるという名目で、我々のようなプロもアカデミアに集められるまでは、の話ですがね。」

「そこで……」

「えぇ、行われたのはドクトルというコードネームの男による人体実験でした。」

 

 眠らされ、デッキを奪われ、気づけば縛られていたという。

 

「なにやら精霊を用いた実験だという話でした。カードと私のように集められた人間が一人ずつ連れられていく。その中で何があったのかは分かりません。

 最後の一人になった私の番として、私とこのカード、蛇眼の炎燐が連れ去られる番となったその時、天井を破壊し、ゼンさんがやって来たのです。」

 

 

『蹴散らせ、▪️▪️▪️▪️▪️・▪️▪️▪️』

 

 彼の背後に控えていた魔人が、そのクローのような装備で自分を捕らえていたオベリスクフォースの二名を吹き飛ばす。

 

『お前、いい奴だな。』

『は?』

 

 そうして開口一番かけて来た声に、思わず唖然としたものだ。

 かぶっていたフードを取り、指を差したのは、いつの間にか彼の足元に転がり込んでいた一枚のカード。蛇眼の炎燐だった。

 見れば、半透明な形で具現化した精霊体が、足元にひっついていた。

 

『こいつらにとっちゃ、自分たちを襲って来た種族(ニンゲン)なんて全部同じに見えるだろうに、こうしてお前に懐いてる。相性がいいんだろうな。』

 

 そう説明されても何が何やら分からなかった.精霊なんていう存在も初めて目にしたのだから。

 

『とにかく来い、お前を逃してやる。』

 

 しかし、そういう背中には、有無を言わずについていきたくなるような、ある種のカリスマを感じられた。

 

 

「説明もなく、自分の決めた道をがむしゃらに突き進む。ですが、放っておかないし、ついていきたくなってしまう。」

 

 だからこそ、融合次元内でグループを作ってアカデミアから脱走することができた.

 

「まぁ、そのグループも彼と、あと1人を除いて囚われ、カードにされてしまったそうなのですが……」

「やはりアカデミアは、融合次元を牛耳っているのか?」

 

 その語りに興味を持ったのは赤馬零児だ。父である赤馬零王が生み出したアカデミアが、どれだけ強大な組織か、恥ずかしながら、エクシーズ次元のレジスタンスも零王の息子である自分も知らない。

 一番さらに詳しいのは、彼とゼン、融合次元の出身者だろう.

 

「えぇ。私のようなプロデュエリストは勿論ですが、いわゆるデュエルギャングや傭兵と言われる裏社会の存在、果ては自ら教育した子ども達……融合次元の世界中から、甲乙問わず様々なデュエリストが集められています。

 今の私ならともかく、かつての私なら成すすべなく負けてしまうような人物も。」

 

 そう言いながら自分のデッキを見つめる。デッキを没収され、精霊である蛇眼の炎燐を主体として組み直した彼のデッキ。カードの精霊の成す技か、自身の実力はかつて握っていたデッキよりも進化しているとは思っている。だがそのデッキですらどこまでやれるか……

 

「特に注意したいのは、セブンスターズとかいう連中だな。」

「なっ!?」

 

 その名前が黒咲の口から出て来たことに、スネイクの顔が青ざめる。

 

「来ているのですか!?彼らが!?」

 

 敵でありながら少々丁寧な彼らという表現。そこには恐れと、一抹の敬意が含まれている。

 

「セブンスターズ?オベリスクフォースという精鋭部隊の話は聞いたが……」

「その名の通り、七席あるデュエル・アカデミアの最高戦力です。プロフェッサーが自ら選抜した選りすぐりのデュエリスト達ですよ。全員がオベリスクフォースの三人一組構成を容易く倒す実力者です。

 スタンダード次元では侵略対策を重ねているということですが……」

「こちらの実力者が何人かやられてる。救いは指揮に専念していて積極的に表に出てこないことだな。

 だが、奴らと互角に戦えるデュエリストが数人いなければ、対アカデミアは話にならん。」

「そのようなデュエリストが七人も……隼、ハートランドは大丈夫なのか?」

 

 黒咲とスネイクの言葉に、自分たちが離れてしまったハートランドを心配するユート。

 

「問題ない。こっちでも、使える人材が何人か増えて来たところだ.」

 

 それに対して黒咲が見せたのは、ユートが起動させた輸送船の中にあった、あの鋼鉄のケースだった。

 

「それは……」

「例の、奇妙なカードが入ったケースか。」

「俺には封印のようにも感じられる。百個ほどあったそれは、俺が目を覚ました時には大半がなくなっていたが、エクシーズ次元にも散らばっていたのか……」

 

 頷いた黒咲は、ケースの蓋を開ける。中に入っていたのは、黒いカード。

 しかし、レベルの欄も、カード名も、効果テキストとカードイラストすらない、空白のカードとでもいうべきカード

 

「レオ・コーポレーションの技術で調査したところ、これらのカードからは強いエクシーズモンスターの反応があった。だが……」

 

 黒咲が起動したデュエルディスクにカードをセットする。だが、激しくサイレンのような音が鳴り、ERRORの文字が表示されるだけ

 

「デュエルディスクで読み込むことはできない。このカードのロックは壊れていたが……まだ目覚めていないと見るべきだろう。逆に」

「目覚めさせた人物がいる。ということか。」

「あぁ。」

 

 黒咲が首を縦に振り肯定する

 

「何人か現れたそいつらが、現状対アカデミアの最前線に立ち、俺をなんとか送り出してくれた。だが、状況は依然として深刻だ。」

『オッドアイズ・ペンデュラム・ドラゴンで、氷帝メビウスを攻撃!EMシルバー・クロウの効果で攻撃力が上昇し、さらにオッドアイズの効果で戦闘ダメージが倍になる!』

 

 丁度、話に夢中で話題が逸れていたデュエルも、ペンデュラムモンスターのペンデュラム効果が永続魔法と同じでその場になければ発動できないことを見抜き、破壊することで封じる沢渡の猛攻を凌ぎ切り、反撃でライフを削り取るところだった。

 

「俺は改めて、一刻も早いエクシーズ次元への救援を提案したい。彼ら……」

 

 沢渡が負け、ペンデュラムの開拓者の決まる歴史的瞬間の影で、

 

「ナンバーズ・ユーザー達がいつまでもつか分からないんだ。」

 

 アカデミアという破滅の運命は、既に動いていた。

 

 

「ふむ、ふむふむ……うむ、人が住んでいた形跡無し、じゃな。」

 

 一方エクシーズ次元。侵略されズタボロのハートランドから遠く離れた国。照りつける日差しをシャットアウトするように、全身をレインコートで包んだ人物が、山奥の自然の中を散策していた。

 

「やれやれ、ここもハズレか。上手くいかんな。」

 

 そうため息をつくのは少女の声、しかし、口調はまるで老人のようだ。

手に持った本から栞を抜き、カバンに入れて地図の現在地に✖️証をつける。

 この国の民族伝承について記された本だが、真実は血の味を覚えた獰猛な獣か野盗の類を警戒してのことだったのだろう。任務で探す遺跡は愚か、彼女の目当てである隠れ里の情報すら存在しなかった。ハズレもハズレ、大ハズレだ。

 

「まったく呑気なもんじゃわい。ま、遠い国で起きとる侵略戦争など他人事か。」

 

 麓の景色を見れば、のどかな自然に囲まれた優雅な街が見える。

 ハートランド壊滅やアカデミアに関する報も上がってはいるが、ハートランドの住人は大丈夫かという心配の声こそ上がるが、ハートランドと同じように、自分たちも攻められるとは夢にも思ってない。

 当然だ。アカデミアの自分ですら、次元全体を狙った多次元からの侵略戦争などという荒唐無稽な話、最初は信じなかった。

 

「ま、その方がいいがの。」

 

 攻め落とすのが楽だから。そんなことを考えていれば彼女の腕についたデュエルディスクからアラームが鳴る。

 

「む、通信、なんじゃ、それも坊主からか。」

 

 起動すれば、そこに現れたのは褐色肌の青年だった。指揮官のものである荘厳な椅子に座り、金の髪飾りが、その中性的な美貌を際立たせている。

 

「おう坊主、そっちはどうじゃ?」

『そういう貴様は見つかったのか?』

 

 頬杖をつき、不服そうにするその姿に、ハートランドの制圧はまだ終わっていないらしいとあたりをつけ、肩をすくめる。

 

「任務開始から見つけた数は3枚じゃ。が、本命は空振りよ。この次元の儂くらいはいても良かったと思うんじゃがのう。」

『いるのか?そのような存在が』

「ユーリにはいたらしい。」

 

 だから自分ももしや、と思い真っ先に当たったのだが、ダメだった。

 

「で、何の用じゃ?わざわざお前が自ら定時連絡などせんじゃろうが……」

『司令が出た。戻ってこい。我はエクシーズ次元を離れる。』

 

 その言葉にむ?と顔を顰める

 

「儂に指揮を取れと?それはまだ先の話ではなかったか?()()()()()()()()()()()()()じゃったと思うが……」

『采配は任せる、とのことだ。プロフェッサー曰くな。』

「ほうほう、これまた大鉈を振るったもんじゃのう。そうまでしてお主はどこへ行く?」

『セレナ様が脱走した。』

「ほほーっ!」

 

 その言葉に少女は目を輝かせる、

 

「あのお転婆、やりおったか。」

『スタンダードかシンクロか、エクシーズか……はたまた噂の隠れ里か。どこに逃げたか分からん。』

「それでユーリと共同戦線か?あのオヤジも好きものじゃのう。」

 

 天下のアカデミア。その最高戦力であるセブンスターズ。()()()()()()をあててまで必死こいて1人の少女を探すアカデミアのトップ。その状況に愉快そうに笑う彼女に、映像の男は不機嫌そうに顔を顰める。

 

『あまりアカデミアを侮辱する言動を取るな、第三席。』

「………ほう?」

 

 自分を睨みつける画面の前の男を、瞳を鋭くして見つめ返す。

 

「序列を持ち出すか?第一席。」

 

 お互いを呼び合うのは、セブンスターズ内の階級の序列だ。

 

『何が悪い?我は』

「セブンスターズ第一席、オベリスクフォースは勿論、各次元攻略の最高責任者にも命令官を持つ、アカデミアでもっとも優れた指揮官。」

 

 立ち上がり名乗ろうとする男の言葉を、彼女が引き継ぐ。

 

「じゃが、それが絶対的な地位でないことは貴様が一番分かっていよう。」

 

 セブンスターズは、アカデミアの最高戦力、それはデュエルの腕だけでなく、他の兵士を操る指揮能力、得意分野でのアカデミアへの貢献度など、様々な理由で決まる。

 ヘマをしたエクシーズ次元方面軍の最高司令官の上に立ち、今やじわじわと真綿で首を絞められるように追い詰められつつあるレジスタンスを見れば、その能力は疑いようもない。

 だがそれは、求められているのは総合能力でありデュエルの強さただ一点が評価の指標でないという意味でもある。

 

「のぅ?お情けの第一席よ。」

『貴様ッ!』

 

 だからこそ、命令違反ばかりでアカデミアへの忠誠心が、ビジネスパートナーとしか思っておらず……いや、ビジネスパートナーとしか思っていないからこそ最低限言われたことは守る彼女よりも、

 圧倒的に低い第七席という席にいるにも関わらず、第一席相手に一度も負けない少年などがいるのだ.

 故に彼が今の席に座っているのはお情けだと、教師陣から揶揄されていることを利用して彼女は男を煽る。

 激昂して青筋を浮かべる男に、さらに控えていた水色の髪の少年が飲み物を差し出して落ち着かせる。

 

『陛下、落ち着いて……』

『むぅ……』

『三席様も、あまり陛下を虐めないであげてください。』

「しかたがないのぅ、ドリ助の頼みじゃ。」

 

 その従者の少年が、2人を宥める。男は興が削がれたと言い、少女の方も肩をすくめた。

 

『三日後、我が出立する。それまでに戻れ。』

「おいおい、儂結構な山奥まで歩みを進めてたんじゃが……」

『何を言う、貴様ならば余裕だろう。ではな。』

「あっおい……最後の最後で命令だけ投げつけて切りおったわ……」

 

 あやつめ、本当に仕方のないやつじゃ。とぶつくさ愚痴を溢しながら,屈伸の体勢をとる。

 

「ちと太陽が眩しいの。やれやれ、日焼け止めクリームがあるとはいえ楽じゃないわい。」

 

 両腕を大きく伸ばしたのち、レインコートのフードを目深に被り、笑みを浮かべる

 

「では、行くか。」

 

 直後、彼女は風になった。凄まじい速度で、パルクールのように森の中を駆け抜けていく。

 

「この儂に指揮を取れと言うのじゃ、楽しめるデュエルの相手でも居ればいいがな!」

 

 彼女の名はエルジェ。エルジェ・バートリ。既に絶滅したと思われていた幻の種族、ヴァンパイアの生き残りにして、セブンスターズ第三席。

 ヴァンパイア一族復興の為の協力をみかえりに、アカデミアに手を貸す融合次元のデュエリストである。




オリキャラ一口解説 エルジェ・バートリ編

 融合次元のヴァンパイア一族の生き残り。かつて、人に紛れ生活を送っていたが化け物として討伐されていったヴァンパイア一族。幼かった彼女は両親が棺に入れて隠すことで難を逃れたものの、彼女の一族は全滅。他のヴァンパイア一族の生き残りを探し続けているが、手がかりは未だなし。

 デュエリストとしても高いタクティクスを持ち、次元への侵略や統合計画、その過程で他次元のヴァンパイア一族の生き残りが見つかるかもしれないと、アカデミアに協力している。
 あくまでビジネスライクな関係だが、ビジネスライクだからこそ、対価のために仕事はきっちりこなす性格。
 元ネタとは違い,人間への復讐は考えていない、むしろ、最悪見つからなければ将来的には人間と結婚して子を成し、ヴァンパイアの血を後世に残したいと考える愉快な人物。

 デッキは当然『ヴァンパイア』だが最強アンデッドデッキ出張モンスターのヴァンパイアサッカーが出せないし切り札はヴァンパイア関係ない。
 ヴァンパイア主体のアンデッド族GSというのが正しいかもしれないデッキ。

バレットのデッキ……どうする?

  • 獣闘機でインチキロックを再現するんだよ!
  • バーンとトラップならメタル化レッドアイズ
  • 機械族融合といえばユニオンがあるだろ!
  • セレナの付き人だからドラゴンメイド
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