純白の稲妻は零気の柱を軽々と相殺し、まるで大きく口を開けた獣のようにレイシを飲み込もうとする。
「ギ、ウ!」
動揺こそしたがソレを回避し、
――すでに目の前にまで接近してきていた優花の、
「ズイッ!?」
目の前で弾ける稲妻。
続けてくるのは二閃目――ではなく、稲妻の蹴り。
「ルゥウウウウ、ガッッッ!」
ジュッ――と焦げた匂いが
そして顔を上げた時、そこには――
「リ、グラ……!!」
飛び跳ねて回避すると、高層ビルに匹敵する大きさの
……前を向けば、剣を上から下へと振り下ろした優花の姿があった。
片手で振り下ろした白銀の剣。
純白の稲妻は彼女の“本来の力”……その
だというのにこの威力……その事実にレイシは、
“
――――狂気の顔に、笑みを浮かべた。
追撃はすぐだった。
開いた距離を一瞬で埋めてくる優花は迫りくるレイシの
放つは掴むように
揺らめくように現出した稲妻は増大し、左手に纏わりつき形を変えた。
――――それは、
……噛み殺せなかったなら次の手段だ。
顎を振り払うように左腕を振るえば、外郭は飛び散り数多の破片となってレイシを貫こうと射出される。
「ガアアアアアアアアアアア!」
叫びと共に零気がレイシを包み込むように展開され、破片の
「――――」
加速し続ける戦いに優花のボルテージが上がる。
次はどう殺しにかかるべきかを
なら――
「ア゛ァ゛――ッ!!」
獣のような気迫と共に
腕を振るったが、命を刈り取るのは“剣”ではない。
ソレは――“
左腕の側面より生えた稲妻の鎌。
突如として生え出た鎌への反応は一瞬遅れ、避けようとしてもなおレイシの右腕が切り飛ばされた。
「チィ……ッ!」
追撃の一閃が来る。
片腕を失い重心が不安定になった体に鞭打ち飛び上がる。
白銀の一閃は先ほどまでレイシがいた空間を両断する。
……攻撃は回避されてしまった。
だが――
「!?」
気づいた時には手遅れだった。
――
優花の
昼間の時とは違う――零気を極限まで圧縮し、剣に纏わせた上での
ソレはレイシの『防具の零装』を
――――
目の前の“コイツ”が放つプレッシャーがもたらした、胸に
彼女の奥底に眠る、
「ジ、グ……!」
「――――」
一閃の次はくるり、と逆手持ちへと変え大地を割る『一撃』を地へと突き刺した。
――なら、
「ゴ、ゲ!?」
レイシの体がくの字に曲がる。
上から突き刺す一撃は背中から腹部へと貫通し、体はそのまま地面へと逆戻り。
「カッ――、……ァ、アァ――ッ!!」
頭を潰そうとする
大地に激突し、四方八方に弾け飛ぶ稲妻を足元に、優花は回避したレイシを見る。
(これだけ
ゆらり、と動く左手には再び稲妻が弾ける。
その輝きは左手がレイシへと向けられるほどに光を増していき、放とうとする意志に呼応するように光の強さは極限にまで達していく。
……その中で、
「フゥゥゥゥゥ――――」
長く、深く……レイシが息を吐いた。
それは意識を集中させる行為……その意図には気づけずとも、周囲の空気が変わるのを優花は感じ取った。
……ドロリ、と。
レイシの内側より並々ならぬ零気が外側へと漏れ出ていく。
無尽蔵なのではと勘違いするほどの零気が――地を這い、宙を汚染し、空を覆う。
「――っ!」
何か……、
――何か不味い事が起きると直感した優花は手のひらの稲妻を解き放とうと頭から信号を飛ばす。
だが、
「イィィィィ、ァア……♪」
――ニタリ、と。
何度目かわからない狂人の笑いと共に……前髪の隙間から優花の瞳を見据えてくる赤き眼光。
「――っ、……ぁ――」
初めて/真っ正面から見据えた狂人の眼光。
まるで血液のようなアカグロい瞳で見据えられ……初めて、レイシに対して『恐怖』を抱いてしまう。
蛇に睨まれた
この瞬間――優花の敗北は決定してしまった。
「――ルゥラアァァァアアアアアアアアアッ!!」
天を裂き、
裂帛の気合いは放たれようとしていた優花の稲妻を霧散させるほど。
束縛から開放された体は雄叫びに気圧され倒れないように堪えることしかできず、
「これ、は――っ!?」
レイシの内側より発生し、瞬く間にレイシを呑み込んだ『半透明の球体』が地を削りながら迫り、優花をも呑み込まんとし、
「――――あ」
――ズブンッ、と。
小さな体は誰の目に止まることもなく取り込まれた。
◆
――取り込まれた先は
世界の大きさは半径一〇〇メートルはある。
足場も、丸みを帯びた
いや、墨一色というのは
正確には、墨のように塗り潰されほとんどが黒くなっている。
……元々は白かったのか、塗り残しのように残っている白の部分が墨のような世界に光を与えていた。
――だが、
「うっ! ……ぐ……、」
――バチンッ! と。
急ぎ取り込まれた壁から外に出ようと思っても、強力な静電気が発生したような感覚と共に弾かれる。
「出れない……ッ――」
壁は断じて優花を逃がそうとはしなかった。
お前はここで死ぬと告げるように、取り込まれた時点で終わりだと嘲笑うように。
何度壁に挑もうと体は感電したかのような痺れを味わう。
「……っ、え――?」
それだけではない。
感電とは別に……体から、力が抜けていく――?
遂には立っていられなくなり、墨色の床に膝をついてしまう。
「どう、して……力が……」
厳密に言えば力ではなく、何かを
……ここはそういう
本来の形ではないが、この世界の効果が発揮されている。
ここにいる以上、優花は何かを成し遂げる事はできない。
戦うことも、抗うことも、離れることも……。
それは即ち、
「――――グ、エェアッッッ!?」
「ギヒ、ヒハハハハ――!」
これから始まる虐殺。
その
一撃で内臓を損傷する。
まるでサッカーボールのように蹴り飛ばされた体は斜め上へと……向かう先は黒い壁。
当然――、
「ガ――ア、エッ!?」
触れようとする者を感電させる壁に背骨を殴られる。
逃げ場のない
「……ぇ……ぅ――」
それでも、……まだ、剣を握ろうとして……、
――するり、と。
……気力を奪われた体は、意志を汲み取ってくれなかった。
「――ゴエ、ア……ッ!?」
髪を鷲掴みに
「――ア゛! ゴ、ォ――ッ」
首を掴まれ拳が
「ォ、エ――ァ、――ア、――アァ■aA■■aぁ■ァaアAa■■AあA■aaアぁA■Aアァaa■■Aァア■Aa■aアッッッ!?」
首を締め上げられ、