シンクロンが入寮し、数日が過ぎた。
「…選抜レースってもしかして、何走るか自分で選んで走るの…?」
シンクロンは自室で、渡されたプリントを見て戦慄した
「そんなのわからないよ…知る機会なかったもん…」
シンクロンは膝から崩れ落ちた
「…いや、逆に考えろ…これはチャンスだ」
シンクロンは立ち上がった
「これは自分の脚質を知るためのチャンスだ!やってやる!」
シンクロンは決意した
〜〜〜
「ねぇルドルフちゃん、聞いたかしら?」
「?どうしたんだいマルゼンスキー、そんなに慌てて』
「今年入ってきた1年生で、全部の脚質の選抜レースを走る娘がいるんですって!どんな娘か気にならないかしら?」
「全ての・・・確かに少し気にはなるな」
「でしょ!?せっかくだし見に行きましょうよ!ルドルフちゃんもこのあと暇でしょ?」
「む…ま、まぁ、そうだな。たまにはいいだろう」
「決まりね!それじゃあ…レッツラゴーよ!」
2人は、選抜レースを見に行った
ざわざわ…
「あら、もう始まってるみたいね?」
「みたいだな…だが、少々騒がしくないか?」
「…そうねぇ。なんだか少し、騒がしい…?」
「お、おい!次のレースが始まるぞ!」
「馬鹿な…!?短距離、マイル、中距離ときて、次は長距離だぞ!?」
「しかもあの娘、ダートも走る予定らしい…!」
「はぁ!?足を壊す気か!?」
「・・・噂になってるみたいね」
「そうだな…」
2人はグラウンドに目を向けた
「・・・彼女か?」
2人は、首からカードホルダーを下げているウマ娘を見た
「・・・ホルダー?」
「・・・?」
その後、すぐにゲートが開き、ホルダーを首から下げているウマ娘が戦闘に躍り出た
「始まっ・・・た・・・え」
「あれは…そんな馬鹿な」
マルゼンスキーとシンボリルドルフは、そのウマ娘を見て驚愕した
「「はやすぎる…!」」
「おいおい…!またあのスピードを出してやがる!」
「遠距離ほど加速して、新入生の娘たちじゃあ手が出せない…!」
(あのスピードを、3回もだって!?)
ルドルフは、周りのトレーナーのこれを聞いて唖然とした
2人含むトレーナーたちがレースを見ていると、新入生たちと圧倒的な差をつけてゴールした
「・・・信じられない。今目の前で起こってるの夢なんじゃないかってくらいよ」
「私もだ…あんなウマ娘がいるとは…」
そのウマ娘は一足先にグラウンドの端に戻っていった
「話を聞きに行ってみましょうよ!」
「お、おいマルゼンスキー!」
駆け出したマルゼンスキーを追うような形で、シンボリルドルフは駆け出した
〜〜〜
長距離を走り終えたスターシンクロンは、グラウンドの端によって一息ついていた
「ふぅ…案外走れるものだな、私…まぁ、これもそれも全部君たちがいるからなんだけどね…」
スターシンクロンは首から下げていたホルダーを撫でた
「さて、次は何を…」
「ねぇ、ちょっといいかしら?」
スターシンクロンは声をかけられた方を見ると、1人のウマ娘が立っていた
「マルゼンスキー、そう無闇に声をかけるべきじゃ…遅かったか…」
「あの…あなたたちは?」
「ああ、そうね。自己紹介がまだだったわ。私はマルゼンスキー、トレセン学園中等部2年生よ」
「私はシンボリルドルフ。マルゼンスキーと同じ、この学園の中等部2年生だ」
「あ、先輩方でしたか。私はスターシンクロンです、今年からトレセン学園に入りました」
シンクロンは立ち上がり、ルドルフ達の方に向き直った
「や〜ねぇ、そんなに畏まら方もいいわよ。たった一つしか違わないんだから、ねぇ?」
「そ、そうだな…うん」
「…?」
「そ、それより…スターシンクロン君」
「シンクロンでいいですよ」
「ならシンクロン君。先ほどの選抜レース、みさせてもらったよ。実に素晴らしい走りだった」
「はぁ…どうも」
「周囲の話を聞く限り、これまでのレースも先ほどのような走りを?」
「そうですね」
「その…一つ心配事なのだが、足の方は大丈夫なのか?」
「足ですか?」
「ああ。ましてや次はダートを走るそうじゃないか。これまでの4回のレース、本番では無いにしろ、君の足にはかなりの負荷がかかっているのでは無いのかな?」
「負荷…つかれって事ですか?」
「簡単に言えばそういう事だ」
「うーん…?多分、大丈夫です」
「本当に大丈夫なのかい?」
「はい、だって彼らがいますから」
そう言ってスターシンクロンは、首から下げているホルダーを持ち上げた
「…その中に入っているのは?」
「『ジャンド』です」
「じゃん…?何かな、それは…?」
「初動に『ジャンク・シンクロン』と『ドッペル・ウォリアー』が必要なのでそうなづけました。相手に妨害がなければ最大で5〜6妨害立てることができ、どっちかが引けなくても『調律』で『ジャンク・シンクロン』は確定でサーチができて、『ドッペル・ウォリアー』もワンチャン墓地に叩き落とすことができます。デッキには『増援』や『シンクロ・オーバーテイク』、『ドッペル・ウォリアー』が来なかった時にも『シンクロン・キャリアー』で擬似的なムーブもでき…」
「わ、わかった。わかったから…」
「ジャンク?おーばー…?」
「ああもう、マルゼンスキーが混乱してしまっている…」
「ご、ごめんなさい!ちょっと歯止めが効かなくて…」
(ちょっと…これで『ちょっと』なのか…?)
「…あっ」
スターシンクロンがふと時計を見ると、最終走…『ダート』の順番が来ようとしていた
「時間だ、かえないと…」
「ちょっ、シンクロン君?」
「すみません話しかけないでください。…よし、ホルダーの中を変えて…うん。選抜レースの時間なのでこれで失礼します、では」
スターシンクロンはホルダーの中身を変え、荷物を持ってその場を去った
「…行ってしまった…」
シンボリルドルフは、その場を去ったスターシンクロンの背中を見ていた
「…」
「あら?あの娘の落とし物かしら…」
マルゼンスキーは、1枚のカードを拾い上げた
「…『スターダスト・ドラゴン』?ねぇルドルフ、このカード見たことある?」
「…いや、見たことのないデザインだな…裏の模様も見たことがない…」
「あの娘の落とし物かしらね?」
「おそらくな…私が後で返しに行くよ」
「あら、そう?ならお願いしようかしら」
マルゼンスキーは、シンボリルドルフにカードを手渡した
「…確かに、それじゃあ彼女のレースを見届けようか」
「ええ、そうね」
そう言い、シンボリルドルフとマルゼンスキーはその場を後にした
その後、カードが見つからず、シンクロンは寝ずにカードを探すことになった・・・