血・鉄・権謀   作:帝国軍司令部付研究監査群

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           To be, or not to be

    
            シェイクスピア 
          ハムレットの一節より


I Dreamed a Dream

「えっと……話したこと、ありましたかしら」

「初めてでございますフロイライン。前回のパーティーにはいらっしゃらなかった、そうでしょう? だから、お話する機会をずっとお待ちしておりました」

 

 一方的に知られているというのはあまり愉快ではない。

 しかし、アマーリエが同じパーティーの出席者の名前を把握していないという無礼を働いたのも事実だ。

 目の前の男は柔らかく微笑んで、グラスをこちらに近づけた。

 

「エーバーハルト・フォン・ベルヒェルトと申します。私とも乾杯して頂けますか?フロイラインアマーリエ」

「……悪いのですけれど、あいにく先約がございますの。またの機会がありましたら」

「ルードヴィヒ伯の席はしばらく空かないかと思われますよ?」

「貴方には関係ないでしょう。……どいてくださる?」

 

 アマーリエの記憶にある限りベルヒェルト家はたかが子爵家,しかも当主ですら無いというのにエーバーハルトは微笑んだまま、しかし道を譲ろうとはしなかった。

 

「随分とお急ぎのご様子。一つ、お力になって差し上げられるかもしれません」

「貴方が私の役に立てるとしたら、それは今すぐそこをどくことでしてよ」

「本当にそれだけでございますか?」

 

 

一瞬、エーバーハルトの目が細められた。アマーリエはその瞳に見つめられると、心臓をつかまれたような底知れない感覚に襲われた。

 

「いかがです、フロイラインアマーリエ。今日はあるご提案をお持ちしたのですが,一つお聞き下さる事は出来ますでしょうか?」

「………話を聞かせてもらいましょう」

「フロイラインアマーリエにおかれましてはペルセポネを演じて頂けないかと,そしてミネルヴァはそれを望むと」

 

 

 後ろでヴィルヘミーネが小さく息を呑んだ。

 ミネルヴァの象徴は梟ーーそして梟を家紋とする家は一つ。

 

 

 

「ミネルヴァ……姉上,もしやハイドリヒ侯爵家が…」

エーバーハルトはにこり,と困ったように笑って、それからちらりとヴィルヘミーネを見た。

「……ペルセポネ。そう,かの女神様は柘榴を食したわたくし達に何を与えるおつもりでして?」

 

 

 

ハイドリヒ侯爵家は統一帝国初代皇帝ヴィルヘルム3世と共に統一帝国成立の歴史の中で中心的役割を果たした宮中二十八家に名を連ねる名門貴族家だ。

侯爵家に仕えている分家含め三桁に上る従士家を抱え持ち,過去、そして現在までに,統一帝国秘密警察長官にして本家当主エレオノーレ・エリザベート・フォン・ハイドリヒ保安大将を筆頭に数多の秘密警察高官,高級軍人や官僚、元老議会議員や州知事を輩出してきた。

かつては皇室より直系の姫を迎え入れ,彼女の母は宮中28家に数えられるカルステン公爵家出身、祖母も同じく宮中28家に名を連ねるライヒェナウ伯爵家であり,統一帝国秘密警察に限っても本家,分家,従士家,従属する貴族家出身の現役幹部をダース単位で持ち,ハイドリヒ侯爵本家といえば暗部御三家の一角である。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…このような席で話すには少々込み入った話になりますがまず,一番簡単なのはミネルヴァが動き,ルードヴィヒ伯がベルトルト様に口利きすることでしょう。

しかしながら、大前提として誰の口利きがあろうと、あなたたちが彼の伯爵の手によって救われることはございません」

 

「ッ、何を根拠に」

 

 声を荒げそうになったアマーリエに、エーバーハルトはそっと手を差し向けた。

 鼻腔に香る清らかで透明感の中に青々しさが残った香水が、アマーリエの苛立ちを,心をじわりと包みこんでいく。

 アマーリエの手を優雅に引き、その身を引き寄せたエーバーハルトがアマーリエの耳許で囁いた。

 

「落ち着いて。見られていますよ」

 

 はっと周囲を見渡すと、少し離れたテーブルに見知った影があった。

 ベルトルト・フォン・ヴァルソイルがこちらを見ている。冷ややか笑みを浮かべながら、微かに嘲笑を感じさせるように。

 

「場所を移しませんか?フロイラインアマーリエ,妹君もご一緒に」

 

 返事を待たず、エーバーハルトは屋敷の使用人を呼び止めた。

 

「少し疲れてしまってね。こちらのおふたりとチェスを指したいのだが,部屋を用意してもらえるかな?」

「もちろんでございます お客様方,ただちにお部屋へご案内いたします」

 

 エーバーハルトは用済みの一口分も減っていないグラスを使用人のトレイの上に置き、左手をアマーリエとヴィルヘミーネに差し伸べた。

 信じていいのだろうか。

 ルードヴィヒ閥のパーティーに出席しながらも、未だ子爵家本家の当主ですら無い筈のエーバーハルト・フォン・ベルヒェルト。その背後の主人に期待できるのだとしたら、あるいは。

 アマーリエはヴィルヘミーネの目を見て、それから貴公子の手を取った。

開かれた扉へ,まるで火に誘われる虫のように、二人はふらりと足を踏み入れた。

 

「それでは、プライベート・ルームへご案内致します」

 

使用人に案内されながら三人は無言で仄暗い廊下を歩き,三人は屋敷の奥、来賓用のプライベート・ルームに通されていた。

重厚な樫の扉を潜り抜けた先には暖炉にはすでに火が焚かれ、カウチソファの前にはロカイユ装飾の彫り込まれた純銀製のウォーターゴブレットとフルーツウォーター。

マイセンの皿の上にはドラジェが盛られている。

 

使用人が恭しく頭を下げ,樫の扉を静かに閉める。

 

 エーバーハルトは黒檀のローテーブルの上に鎮座するクリスタルガラス製の美しいチェス盤の前に腰掛けて、対面を指し示した。

 

「どうぞ、フロイラインアマーリエ」

「……私は貴方の話を聞きに来た。遊んでる場合ではありませんの」

「それはお家再興のために?」

 

 アマーリエは思わずエーバーハルトに掴みかかった。

 エーバーハルトは優しくその手をピタリと止める。

エーバーハルトの袖口,そこには傷一つ無く輝く純銀の台座に埋め込まれ、艶やかな黒を見せつけるカフスがアマーリエの眼前にあった。暖炉の火を浴びてちらちらと輝くそれは、まるでアマーリエの怒りを反射しているようだった。

 

眼を見つめるアマーリエの視線には、絶望と諦観,そして憎々しい怒りが宿っているようにエーバーハルトは思えた。

「知ったような口を利くな!」

「長女であらせられるフロイラインアマーリエが婿を迎え、フロイラインヴィルヘミーネが嫁に行くことで他家とのつながりを強めるのヴァルソイル伯爵家の道筋でした。

ベルトルト・フォン・ヴァルソイルはその道を崩そうとしている。違いましたでしょうか?」

 

 どこまで知っているのか。

 かなりの情報網を持った者,ハイドリヒ家が敵方にいる。

とはいえ何もかもがわからない不気味さに、アマーリエは相手への警戒を強めた。

 

「それにしてもベルトルト様も随分と残酷なことをお考えになさっている様ですね。

嫁にと求められているのはフロイラインアマーリエではなくフロイラインヴィルヘミーネ、そうでしょう?」

 

 憎いベルトルトの顔が浮かんで、アマーリエのはらわたは煮えくり返るようだった。

 まだ幼いヴァルソイル伯爵家姉妹に、ベルトルト・フォン・ヴァルソイルは残酷な選択を突きつけた。『生活』の支援をするかわりに、貴族院卒業後はヴィルヘミーネがベルトルトと結婚する。そして、アマーリエは他家に嫁に行く。

 これによって、正統性を得たベルトルトがヴァイソルフ家唯一の当主となるわけだ。

爵位継承権を巡るライバルであったアマーリエを自らの勢力拡大に用いる政略結婚の手駒にするというおまけ付きで。

 

「お前に、何が……!」

 

叫んだ後で、恥いるように表情を険しくすると膝の上で手を握り、目を伏せた。

震えながら息をする,その息は小さく、必死に冷静さを装っていた。

 

それでも部屋には満ちていた。

帝国貴族達の長きに渡る歴史が紡いだ気品と澱みが。

いかにも貴族らしい端正な白い顔の裏側に隠れていた黒くどろどろとした何かが。

 

 

アマーリエの手の力が緩むと、エーバーハルトは手早く服の乱れを整えた。

 暖炉の火の前で、エーバーハルトは息ひとつ乱していなかった。

 

「申し訳ありませんが侯爵閣下の遣い風情には何とも」

 

エーバーハルトの変わらぬ態度にアマーリエは激憤した黒い物を押し込めて返答した。

 

「……その通りでしてよ。叔父上が脳の病で急死し,爵位を継承した父上は私にヴァルソイル家を任せると言ってくださった。

ベルトルトは叔父上の子であり本家の血筋とはいえ(穢れた血)混じり物,分家の人間であるベルトルトが爵位を継ぐことは無い、お前達は配偶を迎えるがヴァルソイル本家の一族としての矜持を捨ててはならないと」

 

「ところが、不慮の病によりお父上がお亡くなりになった。お悔やみ申し上げます,フロイライン」

 

 

「……ベルトルト フォン ヴァルソイル。奴さえいなければ父上は……!」

 

残されたのは、重厚なカーテンに閉ざされた異様なまでの静寂。聞こえるのはパチパチと薪の爆ぜる不気味な音と、薄い胸を上下させるアマーリエの、あまりに頼りない呼吸音。

 

 

 

偶然か陰謀かはともかく当主の立て続けの急死を前にして、ヴァルソイル家はふたつに割れた。

 ヴァルソイル家の大多数はどちらの陣営にもつかなかった。

分家の当主であるが,父はヴァルソイル本家の前々当主,母を有力な従士家であるゴルバン従士家に持つベルトルト。

対して一部の本家に忠誠を誓う従士家が担ぎ上げた前当主の姉妹の長姉アマーリエ。

 

どちらが勝ってもおかしくない。

大多数の人間は跡目争いの後を見据えて、旗色を鮮明にすべきではないという判断を下したのだ。

 それに対し、ベルトルトを筆頭とする分家筋は次期ヴァルソイル伯爵候補としてルードヴィヒ伯爵の傘下に加わった。

 そして、兄と同様にヴァルソイルの分家に養子に出されていたヨーゼフは実の兄であるベルトルトの呼びかけに応じて当主ヨハンの死を契機に本家を離反。

ヴァルソイルの姉妹の預かり知らぬことだが,姉妹の父にして本家当主であるヨハンに微弱な毒を少しずつ仕込んでいた。

遅効性の微弱な毒に体を蝕まれていき,昨年ついにヨハンは他界した。

 当主を失い,分家の多くが反旗を翻した事によりヴァルソイルの本家は没落した。

今や本家に仕える使用人達は,零落し,没落した本家に忠誠を尽くす者はヨハン死後に半分を割り込み,神輿であるアマーリエが貴族学院に行かねばならないが故に内部の統制すら取れていない。

 

今や、ベルトルトとヨーゼフの分家こそが本家かのように扱われているほどだ。

事実,今日のパーティーでも席次はベルトルトとヨーゼフのほうが上だった。

 

「姉上……」

 

 ヴィルヘミーネがそっとアマーリエの手を握る。

 この際、アマーリエが苦しい目に遭うのはいい。社交界で冷遇されようとも、夫のなり手がいなくとも、帝国貴族ならば自身の栄達をもって見返してやればいいのだ。

 しかし、ヴィルヘミーネが苦しむことだけは避けねばならない。父ヨハン及びその姉妹に悪感情を抱くベルトルトがよい夫になるはずがないのだ。

死よりも酷い残酷な扱いを受け、塗炭の苦しみを味わい、希望すら抱けない日々を過ごすことになるだろう。

 

「いかがです?フロイラインアマーリエ,一つ賭けをすると言うのは?」

「賭け?」

「えぇ,下々の民の集う野卑な酒場を賑わせる程度のつまらない物ですが。

フロイラインアマーリエが勝った暁にはフロイラインアマーリエをハイドリヒ閥に引き込んで差し上げましょう。

ですがもしフロイラインアマーリエが負けた場合にはチェスに付き合っていただきたいのです」

 

 

 

「……………いいでしょう」

エーバーハルトはチェス盤の自らの駒からポーンの駒を一つ取り出し,そして三杯のウォーターゴブレットの一つに駒を被せ,逆さにしたゴブレット合計三杯を机に置いた。

 「ここには三杯のゴブレットがあります。駒が入ったゴブレットに注目して」

 

エーバーハルトはゆっくりと三杯のひっくり返したゴブレットを混ぜた。

「フロイラインアマーリエ,駒の入ったゴブレットを指名していただいても?」 

 

「右手のゴブレットですわ」

 

中は空だった。

 

目を見開いたアマーリエ取り出したヴィルヘミーネを尻目にエーバーハルトは真ん中のゴブレットを持ち上げた。

中は空だった。

 

そして,最後に残った左手のゴブレットを持ち上げた。

 

そこにはデザートダイアモンドと銀で作られた煌びやかなポーンがキラキラと光り輝いていた。

 

 

「友人がいないのは左手がないようなものだが、利がないのは両手がないようなものだ」

 

「……一体何を仰りたいのです?」

「ユダヤの格言ですよ。ユダヤはお嫌いでしたか?」

 

「貴方,何を仰りたいの?」

「いえいえ,他意など何も御座いませんよ」

エーバーハルトは優雅に肩をすくめた。

 少年はゆったりとチェス盤の前に腰掛けて、対面を指し示した。

 

「フロイラインアマーリエがお勝ちになれば、私があなたをハイドリヒ閥に引き込んで差し上げます」

「……私が負けたら?」

細く白い指先でポーンの駒を摘む。

美しい駒達に囲まれた中で、ちっぽけなポーンの駒は一際大きく見えた。

「そうですね……次の舞踏会にて私にお供させていただける光栄を,願わくば赤薔薇を捧ぐ栄誉を授けていただけますか?フロイラインアマーリエ」

 

 手のひらを上に向け,差し出す。

あっけらかんとそう言い放つ姿は、つい先程までアマーリエを追い込んでいた男と同一人物とは思えないほどあどけなかった。

 虚を突かれて、アマーリエは目を瞬かせた。

 

彼が恋を差し出すその意味を、少女はまだ知らない。

 高揚すると薄青にも見える、淡いグレーの双眸が、まっすぐに少女を見つめている。

 

「……姉上、乗ってみては」

「でも,ヴィルヘミーネ」

「私たちがルードヴィヒ伯爵に相手にされていないのは事実です。……手は、多いに越したことはありません」

 

 少し悩んで、結局アマーリエはエーバーハルトの対面に座った。

 

 

    ————————

 

チェスは、エーバーハルトの趣味のひとつだった。

 

 彼は別に駒遊びなど少々得意な程度で好きでもなんでもなかったが、少なくともそう言っておくことにしている。

 

 趣味のチェスに集中しているふりをすれば、面倒な相手の相手をする時に何かと便利だからだ。

 

 

使者として没落貴族の令嬢一人を相手に、今日も彼は話半分に駒遊びに興じていた。

 

周囲がどう思っているかはともかく,

 彼が「チェスの友人」と呼ぶ相手はじっくりと腰を据えて話す必要があるか,常日頃からあまり関わりたくもない社交相手のどちらかだ。

 

「……先ほど、ルードヴィヒの手によって私たちが救われることはない、と仰いましたね」

アマーリエはナイトを跳ねさせながら、鋭い視線を投げかけた。

「ええ、その通りです」

エーバーハルトは視線も動かさず、流れるような手つきでビショップを斜めに滑らせる。

「ルードヴィヒ伯が求めているのは、帝国における自派閥の拡大と、来るべき『次』への備え……。

伯爵にとってヴァルソイル伯爵家は、手駒として機能すれば分家だろうと本家だろうと構わないのでは?

そして、現時点でより利用価値が高いのは、資産と人を動かせるベルトルト様です。

フロイランアマーリエの期待するように,ルードヴィヒ伯爵は純血への愛が深いお方であらせられるようです。

しかし,同時に実利を尊ばれるお方でもあります故に」

 

アマーリエは黙殺を持って返答としたが,その態度は雄弁に彼女の心情をあらわしている。

 

 

図星だった。

ルードヴィヒ伯の冷淡な態度の理由は、まさにそこにある。

ヴィルヘミーネがアマーリエの椅子の後ろで、じっと拳を握りしめているのが気配で分かった。

妹をベルトルトという男の毒牙にかけるわけにはいかない。

 その一心だけで、アマーリエは思考を研ぎ澄ます。

「それにしても」

エーバーハルトが、笑みを浮かべた。

「お父上のヨハン様は、実にお労しい最期でございました。

不慮の病、ですか。

……人間の身体というものは、”不思議なほど”脆いものですね」

その言葉に、アマーリエの手がピタリと止まった。

背筋に冷たいものが走る。

「……何故、それを」

父ヨハンの死因が毒。そんなことは、本家の人間である自分たちすら確証を持てていない,しかし確信的な疑念だ。

 

身内の事情としてただの不慮の病として処理された,いやされてしまったはずの疑惑に、この男は事も無げに触れてみせた。

「ご存じでしょう、ミネルヴァは全てを見届けていると」

エーバーハルトの淡いグレーの瞳が、いたずらが成功した子供のように細められる。

「誰が毒を盛り、誰がそれを指示したのか。その証拠がどこにあるのか。侯爵閣下の手にかかれば………という事です,フロイラインアマーリエ」

カチリ、とエーバーハルトのルークが盤面を叩いた。

チェック。

アマーリエは息を呑み、盤面に視線を落とす。いつの間にか、自分のキングは退路を断たれつつあった。

 

 

 

「次の舞踏会で私に赤薔薇を捧げる栄誉をくださるか。それとも……」

エーバーハルトは上目遣いにアマーリエを見つめ、そっと自らのクイーンに指を添えた。

その袖口で、先ほどアマーリエの目を引いた艶やかな黒いカフスが、暖炉の炎を吸い込んで妖しく光る。

「あるいは、その頑なな矜持を持って穢れた血の軍門に降るか」

 

 

浮かべた笑みは静かで、優雅に美しい少年の顔を彩る。

  だからこそアマーリエはエーバーハルトが恐ろしかった。

 

「私と手を組みましょう、フロイランアマーリエ?」

 

 

その笑みは万人を引き付けるが、決して内面に踏み込ませない仮面のような笑顔。

 

 

 

  彼の指先が、王の駒を弾いた。

 

 

 

 




エーバーハルトはマジック(イカサマともいう)を使ってアマーリエをチェスの座に着かせました。


チェスにおいて、”自分”の負けを認めるとき(リタイアするとき)に、”自分”のキング(王)の駒を横に倒す、あるいは盤外へ弾くという作法があります。

エーバーハルトが弾いた駒はアマーリエの駒です。
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