導師の孫〜魔巧師エイアスの冒険〜   作:rOOd

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閑話 古代ノ亡霊 肆

     【陽春 夕暮れ】

   [ブルースフィア帝国 帝都]

 

「すんなりとアホ皇帝の息子になれた・・・・・・・・・

 が――もう嫌だぁぁぁ~~~!?」

 

 俺は自室のベッドへダイブし、腹の底から愚痴

を吐き出した。

 

「なんなんだよ、ここは。・・・・・・クズしかいねぇ

 ホントに気分わりー」

 

 帝都の検問を催眠魔法で難なく突破した俺は

次の目的である「皇帝の親族に成りすます」とい

うミッションを実行した。

 

「能力のおかげで、楽に皇太子様になれたのは良

 かったけどよ・・・・・・・・・」

 

 城へ潜入し、騎士や使用人に次々と催眠をかけ

ていった。

 そして最後は皇帝本人にたどり着き、あっさり

洗脳成功。

 こうして俺は、晴れてこの国の"皇太子もどき"

となった。

「つーかよ・・・・・・ここの連中、全員バカだろ」

 

 成りすまして数日。

 皇帝はもちろん、長年仕えてきた帝国貴族ども

まで、何の疑いもなく俺に頭を下げてくる。

 その姿を見て、逆にドン引きした。

 

「少しは疑えよ! 皇帝と顔がまったく違うし

 体形だって、クズは超デブ豚! 

 一方、俺は細マッチョの競走馬だぞ!」

 

 催眠魔法による洗脳とはいえ・・・・・・・・・。

 ここまで効果が絶大とは思わなかった。

 帝国を支配する貴族どもは、人を見下す選民主

義に染まりきり、自分の頭で考えることすらやめ

ている。

 

「ホント、この国は腐りきってるわ」

 その反面、やることがエグすぎたわ。

 

「地方視察の時なんて最悪だった…・・・・・・。あれ

 じゃ誰だって帝国なんか滅んでくれって憎むわ

 けだ!」

 

 ちょうど皇帝が地方視察へ向かう時期だったた

め、皇太子として同行することになった。

 だが――行かなければよかった。

 

 平民街を馬車で通るたび、住民たちは絶望と憎

悪が入り混じった視線をこちらへ向けてくる。

 

「あんな居心地の悪さ、生まれて初めてだ」

 

 そんな空気など気にもせず、皇帝は高笑いしな

がら優雅にワインを飲んでいた。

 窓の外に広がる街並みを見れば、この帝国の圧

政がどれほど酷いか嫌でも理解できる。

 家や店はあちこち壊れ、地面には乾いた血痕が

残り、平民たちは皆、傷だらけの身体でうつむい

て歩いていた。

 

「おまけに帝国貴族の屋敷で見せられた余興なん

 て・・・・・・何度トイレへ駆け込みそうになったこ

 とか」

 

 晩餐会の余興として始まったのは、歯向かった

平民の兄弟によるバトルロワイヤル。

 しかも、その兄弟の様子は明らかに正常ではな

かった。

 口からはよだれを垂れ流し、焦点の合わない目

で奇声を上げ続けている。

 

「あれは薬物中毒だ・・・・・・。無理やり大量の薬を

 飲まされたんだな」

 

 与えられた武器も、錆びつき刃こぼれした粗悪

な剣だけ。

 そんな剣では簡単には死ねない。

 骨を砕き、肉を裂き、長く苦しませるためだけ

の道具だった。

 

「趣味悪すぎだろ・・・・・・」

 

 俺をこんな潜入任務に送り込んだヤツの目的は

わからない。

 だが、これ以上精神を削られるのは勘弁してほ

しい。

 

「クソ・・・・・・・・・田舎でスローライフしてぇ~~」

 

 そう愚痴をこぼした俺は、天井を見上げた。

 

「おい、聞いてるんだろ? そろそろ何か言えよ」

 

 俺は頭の中で語りかけてくる謎の声へ話しかけ

る。

 ――しかし、返事はなかった。

 

「・・・・・・・・・チッ。またダンマリかよ」

 

 俺はそのまま、ベッドに横になり、目を閉じた 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

      【??????】

   [ブルースフィア帝国 活火山]

 

 人形たちは話し合いの末、目的を果たすために

は、ある程度の戦力を揃える必要があるとの結論

に至った。

 しかし、自分たちがいるのは採掘施設だ。

 

 施設内をくまなく探し回り、ようやく見つかっ

た兵器に転用できそうなものは――。

 

「結局、兵器に転用できそうなのは・・・・・・・・・・・・

 オンボロのこいつらだけか・・・・・・・・・」

 

 ガラクタをじっと見つめたレッドは、がっくり

と肩を落とした。

 

「大型ではあるが、超旧式の工事ロボットが三台

 ・・・・・・・・・・・・・・・」

 

 資料を見ながら、ブルーは頭を抱える。

 

「致し方あるまい。無いよりはマシだ」

 

 あのブラックですら、ため息しか出なかった。

 

 目の前に並ぶ巨大ロボットは、あまりにも間の

抜けた外見をしており、見ているだけで脱力感を

覚える。

 

「これって漫画のキャラだよな? ブルー」

「ああ、レッド。しかも相当古いデザインだ。

 ・・・・・・・・・・・・はっきり言ってダサい」

「うむ。なぜこんなくだらないロボットを作る必

 要があったのだ?」

 

 人形たちは、自分たちの素性こそ思い出せない

ものの、趣味や得意分野だけは鮮明に覚えていた

 

 目の前のロボットも、記憶が正しければ、漫画

史に名を残す巨匠が描いた『芋掘りロボット』

である。

 

「なんかさぁ・・・・・・これ見てると、やる気なくす

 んだよなぁ・・・・・・・・・・・・」

「しかし、愚痴ばかり言っていても始まらん。

 レッド、この機体のパイロットはお前に任せる

 !」

 

 突然パイロットに指名されたレッドは、ぎょっ

としてブラックを見た。

 

「はいっ!?」

「お主、言っておっただろう。ロボットパイロッ

 トの経験があると」

「おいおい! 確かに断片的な記憶で蘇ったのは

 それしかないけどよ! このオンボロに乗って

 戦えってのか、ブラック!!」

「それ以外に選択肢があるか、レッド!!」 

 

 ロボットを見上げたレッドは、うーんと唸りな

がら、ゆっくりと首を縦に振った。

「・・・・・・・・・ありません」

 

 ブラックは、すぐさまブルーへ整備を命じる。

 

「待て待て! 二千年以上も放置されていたんだ

 ぞ! 動くかどうかも――」

「確かにブルーの言うとおりだ。ブラック、今さ

 らだけどよ・・・・・・これ、本当に動くのか?」

「おそらく、付与魔法によって現状維持されたま

 まだろう」

 

 ブラックがそう推測すると、レッドは工場へ視

線を向けた。

 

「あっちの工場はどう使うんだ?」

「簡易AIを搭載した量産型作業ロボットを生産さ

 せる」

「そんなもん作ってどうするんだよ?」

「ワシらは人手・・・・・・いや、人形が足りん。手駒

 を増やすしかあるまい」 

 

 ブラックの考えに二人は納得したものの、この

先どう動くつもりなのかまでは想像できなかった

 ブルーが静かに問いかける。

 

「ブラック・・・・・・・・・そろそろ、あんたの計画を

 教えてくれないか?」

「そうだよ! 俺たちを『呪いから解放する』

 って話だ。全部聞かせてくれ!」 

 

 ブラックは静かに目を閉じる。

 しばらく沈黙したあと、ゆっくりと目を開き、

静かに告げた。

 

「……そうだな。すべてを話そう」

 

 ブラックは、静かに頷いた。

 

 

ーto be continuedー

 

 

 




次回
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