【??????】
[時空間トンネル]
「あわわわっ!!?た、助けてくれナリ〜〜!」
急に『航時機』が壊れたナリ〜!?
暴れまわる『航時機』にしがみつくのが精一杯
で操縦できないナリよ〜〜!
「ひええぇ〜!うあぁ〜!!?」
な、なんか『航時機』がさっきより速く飛んで
るナリ〜!
「あ、あれは!!?」
な、なんで!?あんな大きな穴が時空間トンネ
ルに〜〜!!
ヤバいナリ!『航時機』ごと引き寄れられてい
るナリ〜!
「キテレツ〜〜!?キテレツ斎さま〜〜!?」
・・・・・・もうダメナリか?
身動きが取れないうえに『航時機』がどんどん
と加速して穴へと吸い寄せていくナリ。
キテレツ、みよちゃん、ブタゴリラ、トンガリ
・・・・・・みんなに会いたかったナリ。
「みんな、来世で会いたいナリよ・・・・・・」
『航時機』はそのまま巨大な次元ゲートに吸い
込まれていった・・・・・・。
この時、コロ助は知る由もない。
この先に全人類の存亡をかけた戦いが待ち受け
ていることに・・・・・・。
そして、敬愛する人の願いと想いを踏みにじる
者との対立があることも・・・・・・。
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【陽春 早朝】
[エルス自由商業連合国 首都]
「さて、朝食はできたと・・・・・・あとは」
たくっ。うちの寝坊助は!
今日はマーリンの家に出発する日だよ。
どんな時でもマイペースな孫に呆れるよ。
そう思いながら、階段をズカズカと足音を立て
ながら上がる。
そして、寝坊助の部屋のドアをドンドンと叩き
大声で起こすのが私の日常だ。
「エイアス!エイアス!!起きな!」
また、夜更かしをしたね。
まったく、製作に夢中になるのはいいけどね。
もう少し規則正しい生活をしな。
「エイアス!「も〜、ドンドン叩かないでよ〜
起きたから〜」」
そう言うとエイアスがドアを開けた。
「ふぁ〜!?おはようバァちゃん」
「何が“おはよう”だい。今日は出発の日だろ」
僕は肩まで伸ばした銀髪をガシガシと掻きなが
ら、ファア〜と拳が入るほど口を開けて愚痴った
「あのさ〜、ジィちゃん家まで六泊七日の長旅だ
よ?遅かろうが早かろうが変わらないよ」
「アンタね〜、久しぶりの親戚に早く会おうと思
わないのかい?」
「大丈夫だよ。ジィちゃんもシンも元気にやって
るよ。慌てない慌てない」
「はぁ〜。なら、さっさと着替えて朝ご飯を食べ
な!」
「ふぁ〜い!」
バァちゃんは呆れながら、一階に下りていく。
僕も着替えて早足で階段を下りてダイニングに
椅子に座り、朝ご飯を食べる。
「いただきます」
「召し上がれ」
バァちゃんの小言わ聞きながら朝ご飯を食べる
のが僕の日常だ。
「朝ご飯を食べたら、さっさと旅支度しな」
「だから、焦らない焦らない」
「たくっ、アンタ緊張感がないね。一体誰に似た
のか・・・・・・」
「ジィちゃんでしょ?」
「おバカ」
僕は食べ終えると荷物を取りに自室へ戻る。
「ごちそうさまでした」
「旅支度は済ませてあるんだろうね」
「バッチリだよ」
「なら、早くしな。置いていくよ」
「は〜い」
バァちゃんのカミナリを落ちないように自室ま
で階段を駆け上がり、旅行カバンを持ち上げる。
僕は階段を駆け下りて玄関前の馬車に乗り込み
バァちゃんが家の鍵を閉めたを確認したら、馬車
に乗り込んで出発の声を上げた。
「ヨシ、出発だよ」
馬車はゆっくりと動き出して街中を進み、検問
を通り過ぎて首都の外に出た時、僕は質問した。
「そうだ、今回は僕たち以外誰か来るの?」
「ミッシェルとトムが来る予定だよ」
「おじさんたちも?」
「ミッシェルはアンタと一戦交えたいと言ってい
るそうだよ」
「え~、たかが5歳児に何を期待してるのさ〜」
僕がそう言うと大きくため息を吐くバァちゃん
は憐れみの目線を向けてこう断言した。
「そりゃ、世界中探してもあの剣バカと戦りあえ
るのはアンタだけだよ」
「こっちからすれば迷惑だよ」
「たくっ、シンもそうだけどね、アンタも規格外
なところは自覚しな」
失敬な。シンは野生児で僕は都会人だよ。
しかし、何かと理由をつけてジィちゃん家へ泊
まりに行くぐらいなら一緒に住めばいいんだよ。
なんせ、バァちゃんたちは元夫婦でしょ。
まぁ、あの悲劇さえなければ今でもジィちゃん
と一緒だったんだろうな。
でもさ、いい年こいて思春期のラブコメみたい
なことをしないでよ。
遠くから見ている孫の僕たちが恥ずかしい。
「私に文句があるのかい?エイアス」
「何もありません」
相変わらず、恐ろしい勘の鋭さだ。
そう、バァちゃんはこの洞察力と直感力により
魔導具師として成功し、『導師』と呼ばれている
魔法が主流の世界で科学の概念を組み込んだ魔
導具を作るバァちゃんはすごいと感心している。
そんなことを考えていると僕をジーッと見てく
るバァちゃんは呟く。
「シンとアンタは別の世界から来たんじゃないの
かい?ときどきね、そう思ってしまう時がある
んだよ」
ビンゴッ!!?ビンゴだよ、バァちゃん!
僕もシンも科学が進んだ世界から転生したよ。
まあ、シンと違って僕は自分の意志でこっちの
世界に来たんだけどね。
僕は前世で偶然、転生の仮説を見つけた。
しかし、転生は運頼みに等しいなので僕とシン
は運がいいよ。
さらに僕たちは転生直後の境遇も最悪だったけ
ど、捨て子の僕はバァちゃんに救われて何不自由
なく育ててくれてる。
魔物から生きのびたシンもジィちゃんに拾われ
て愛情を注がれている。
だから、ジィちゃんバァちゃんにはホント感謝
してる。
それにバァちゃんの魔導具に対する願いは“あの
人”と同じ・・・・・・だからこそ誰よりも尊敬してる。
外を眺めながら、ふと今までを振り返った。
エイアス=ボーウェンに転生し、もう5年は経
つのか。
僕が分の悪い賭けの転生した目的は二つ・・・・・・
一つ目はコロ助を見つけること。
けど、未だに手掛かりが一つもない。
まぁ、そう簡単にはいかないと思っているよ。
前世であらゆる手段を用いて導いた可能性・・・
・・・・・・一縷の望みだ。
砂漠の中から一粒の砂金。
闇に包まれた洞窟での一筋の光。
かすかな希望に縋るしかない。
それでも必ず君を見つけるよ、コロ助。
そのために僕はここにいるんだ。
二つ目はヤツの野望を打ち砕くこと。
優しかったあの人の願いを踏みにじる存在!?
カラクリ斎!!
ヤツは奇天烈斎様の意志を捻じ曲げて暗躍する
のならば僕が叩き潰す!!
「ッ!?」
ふとエイアスの顔を見た私はビクッとした。
エイアス、ときどき見れるアンタのその顔。
マーリンが友を止めるために戦うと決めた・・・
あの時の顔だよ。
そう、一緒に暮らしているからこそわかる。
エイアスは明確な目的がある。
死をも恐れぬ信念がエイアスの生きる糧。
それが私の不安のもと・・・・・・けど、エイアス
もシンも何者あろうとどうでもいいよ。
二人とも私たちの孫・・・・・・。
ただ、それだけでいい。
そうして私たちの馬車はゆらゆらと進む。
ーto be continuedー
次回 矜持