導師の孫〜魔巧師エイアスの冒険〜   作:rOOd

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閑話 古代ノ亡霊

       【??????】

       [??????]

 

『・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・』

 

 ここはどこだ?  

 真っ暗で、何も見えない・・・・・・・・・。  

 か、体が動かない・・・・・・・・・。  

 声も出せない・・・・・・・・・。

 

 な、なんだ?  

 頭の中で音が・・・・・・いや、声が聞こえる。

 

 ――世界を。  

 

 ――人の世を。

 

 ――滅ぼせ。

 

 神託・・・・・・いや、違う。  

 これは悪魔の囁きだ。

 

 この時、理解できたことは一つだけだった。

 現状すらわからないまま、俺は運命に翻弄され

ようとしている――。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

      【??????】

    [ブルースフィア帝国 活火山]

 

 ピッ、ピッ、ピッ、ピッ、ピッ、ピッ――。

 

 火山の地底にある地下研究施設。  静まり返っ

た研究室に、規則正しいアラーム音が響き渡る。

 

 ピッ、ピッ、ピッ、ピッ、ピッ、ピッ――。

 

 室内に円形に配置された八基の楕円形コールド

スリープカプセルが、一斉に蒸気を噴き上げた。

 

プシューッ――。

 

 上部ハッチがゆっくりと開き、中から八体の日

本人形の姿をした者たちが目を覚ます。

 

「・・・・・・ううっ」

「アアッー」

「あう!? あたたっ!」

「・・・・・・・・・」

「うーん・・・・・・」

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

「・・・・・・あっ、どこ?」

「なんじゃい、ここは?」

 

 カプセルから出た人形たちは、戸惑いながら周

囲を見回した。

 その中で、青色の人形だけが起動したままのパ

ソコンに気づく。

 椅子によじ登って腰を下ろし、素早くキーボー

ドを操作し始めた。

 しばらくして、待ちきれなくなった赤色の人形

が声を荒らげる。

 

「おい! 状況を説明しろ!」

「…………」

 

 青色の人形から返事がない。

 

「何かわかったんだろ!? 説明しろ!」

「…………」

「おい!」

「……何もわからない」

 

 赤色の人形の言葉を遮るように、青色の人形は

静かに椅子の方向を皆のほうへ向き直った。

 

「何もわからないんだよ」

「アアッ!?」

「正確に言えば、わかるのは場所と時間だけだ」

「場所と時間?」

 

 青色の人形は小さく頷き、説明を続ける。

 

「現在の場所は、火山地帯にある採掘施設」

「火山地帯? 採掘施設?」

「そして現時間は――俺たちが生きていた時間か

 ら、およそ二千年以上が経過している・・・・・・」

 

 その言葉を聞いた瞬間、この場にいた全員が言

葉を失った。

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

       【??????】

       [崩壊した世界]

 

「自分の時代へ帰るナリよ、スレイン」

 

 壊れかけた身体のコロ助は傷だらけのスレイン

を強引にタイムマシンへ乗せようとしていた。

 

「な、何言ってんだよ、コロ助!?」

 

 早くしなければならない。  

 もうすぐ放射能を帯びた吹雪が、この場所を飲

み込む。

 その前に――。

 

「だったら、コロ助も一緒に来るんだ!」

 

 スレインは必死に叫ぶ。

 しかし、コロ助は静かに首を横へ振った。

 

「……ワガハイは行けないナリ」

 

 スレインは目を見開き、愕然とした。

 

「な、なんでだよ・・・・・・!コロ助も一緒に来るん

 だ!」

 

 震える声で叫び、首を何度も横に振る。

 

「コロ助も・・・・・・家族だろ!?」

 

 俺の言葉に、コロ助は静かに目を閉じた。

 そして、頬を一筋の涙が伝う。

 

「・・・・・・ありがとうナリ」

 

 かすれた声でそう呟くと、ゆっくりと目を開く

 

「でも、ワガハイには・・・・・・まだ、やることがあ

 るナリよ」

 

 ボロボロの身体を震わせながら、ワガハイは最

後に残された力を振り絞る。

 

「生きるナリ・・・・・・スレイン!」

 

 ドンッ――!!

 

「コロ助ッ!!」

 

 コロ助はスレインをタイムマシンの中へ押し込

んだ。

 それと同時に、コロ助は手に握ったリモコンで

タイムマシンは起動させた。

 

ゴゴゴゴゴゴゴ・・・・・・。

 

 タイムマシンはゆっくりと宙へ浮かび上がる。

 その機体を包み込むように、淡い光の球体バリ

アが展開された。

 

「コロ助! やめろッ!!」

 

 スレインは必死にバリアを拳で叩く。

 

「開けろッ!コロ助!!イヤだ、お前も一緒に来

 るんだ!!」

 

 ガンッ! ガンッ! ガンッ!! 

 

 何度叩いても、光のバリアは微動だにしない。

 

「頼む・・・・・・開いてくれぇぇぇぇッ!!」

 

 タイムマシンは眩い光を放ち始めた。

 その輝きは次第に強さを増し、機体全体を白銀

の光が包み込んでいく。

 

「コロ助――ッ!!」

 

 スレインは涙を流しながら叫び続ける。

 

 コロ助は穏やかな笑みを浮かべながら、ゆっく

りとスレインへ手を振った。

 

「この世界で出会えて嬉しかったナリよ・・・・・・

 スレイン」

 その姿は光の中へ溶けるように霞んでいき、タ

イムマシンは眩い閃光とともに、この時代から姿

を消した。

 

 ワガハイは歩き出したナリ。

 いつ、動けなくなる身体を引きずりながら、か

つての友の元に・・・・・・。

 

 目的地へ向かう途中――。

 

 ワガハイの目に飛び込んできたのは、無残に倒

壊したビル群だったナリ。

 

 崩れ落ちた瓦礫に押し潰された車。

 逃げる間もなく下敷きとなり、息絶えた無数の

人々の死体。

 その亡骸のあちこちから炎が立ち上り、黒煙が

空を覆っている。

 

「……間違ってないナリよ」

 

 胸を締めつけるような光景に、コロ助は静かに

目を伏せた。

 

 それでも立ち止まることはない。

 

 一歩、また一歩と、残された力を振り絞りなが

ら、歩くことを止めないコロ助。

 

「奇天烈斎さまの託した願いは・・・・・・」

 

 視界が掠れても、滅びゆく世界を歩き続けた。

 

「キテレツが受け継いだ想いは・・・・・・」

 

 ワガハイは信じているナリ。

 奇天烈斎さまが遺した誇りが、新たな未来を切

り拓いてくれることを――。

 

ーto be continuedー

 

 

 

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