私には特別な力(オーラ)がある。
他人のオーラの違いを見たり、使ったりできるのだけど、使うと傷やケガ等をたちどころに回復させてしまう。自分のオーラで自分の傷を治せるのだけど、誰かの傷を治す場合、相手に触れるとその人のオーラを利用して治すことができる。
物心つく頃にはそのような力があることに気付いて、でもお母さんにも似たような力があったから、人というのは皆同じ様な力があるのだと思ってた。けれどそんな人は世の中にはいなくて、その事について正直いうと、ちょっと人としてはかなりヤバイことなのではと思ったりもして怖く感じた。
怖いといっても素敵な力でもあるのだけど…
私が怖いと思ったのは、私の家系は代々この力を利用して人々を癒していたとかそういう事ではないらしいこと。
大昔にはその力が崇められて王に成れたりしたのだろうけど、今ではその力を持つことを隠して生きなければならないという。
不思議な力を持つことがバレることの危険性について、親たちは誘拐されるだの戦争に利用されるだの人体実験に利用されるだの言っているけど、こんな素敵な力を人前で使ってはいけないなんて、とても自由を束縛されているな気分で…
この力の本当に凄いところは、オーラによって治療された人は自身のオーラについて感じるようになって、オーラを利用できるようになること。
私のように誰かを癒せるようになるのではなくて、自らの回復速度を高めたり、丈夫で強い体質へと変化していくことだったり。
そのことを知ってしまったのは、実は私が人にその力をつかったからで…
私には特別な護衛がいる。
私はその人を親しみを込めて『お姉ちゃん』と呼んでいるのだけど、そのお姉ちゃんが、私の護衛の最中に大怪我を負ったことがある。
力を使ってはいけないとされて、たけど、私はどうしてもお姉ちゃんを助けたくて力を使ってしまい、力の秘密がバレてしまう。お姉ちゃんはこの秘密を決して誰にも言わないと約束してくれたけど、その後のお姉ちゃんはケガの回復が早くなったり、ケガを負いにくなったりと、体質が変化していって…
でもその変化について、お姉ちゃんだけの変化なのか判らなかった私は確認の為に病気の何人かに試した。
私の行動はきっと当家が監視しているのだと思う。私が力を使ったことがいつの間にかバレてて、私の親や関係する人(この国大臣等)から説教を受けてしまった。
人を強化してしまう力だからこそ、尚更利用される恐れがあるのだと教え込まれた私は、あれほど素敵だと信じていた力が怖くなっていき。
いつしか隠し事をしている事そのものが怖くなっていて友達とも上手く付き合えなくなっていって…
その頃の私は、心が病んでたんだと思う。
お姉ちゃんに対して「助けるんじゃなかった!」とか言ってみたり、わんわん泣いたりして困らせしまって、秘密を共有してくれる年の近い人は、お姉ちゃんしかいないのに、私はその事をすっかり忘れて、お姉ちゃんから逃げるように走っていって…
その日は建国千年に関する祭ということで記念すべき日でもあった。みんな楽しそうにしていて、人とは違う私は、無性に寂しくて、だから見知らぬ男の子にぶつかってしまって…
そこからの私は、どういう訳がその男の子をナンパして祭りに誘っていて、お姉ちゃんが割り込みにくい空気を作っていた。
男を女がナンパすること、いわゆる逆ナンについて、夢に観たことはあったかもしれないが、まさか自分がやってしまうとは…
私が気付いた時にはナンパに手慣れた遊び人の女キャラを演じていて、私は妙にテンションの高いノリのいい女のように、男の子をエスコートさせていた。
その間お姉ちゃんは私を遠くから見守ってくれていたのだと思けど、私はこの妙な明るいキャラをどこで抜け出したらいいのか、軽く迷子になっていた…
どうかしていると思うのは、その明るいキャラに引っ張られように心が染まっていったこと。
見知らぬ男の子と知り合ってバカみたいに何も考えないで遊んでいることが本当に楽しくて仕方なくて…
多分、生まれてはじめて知ったかもな解放された感覚。
私はその男の子の名前を知るなり、いきなり呼び捨てにしていて。
クロノー!
クロノ!
クロノ!
時に関する不思議な名前を茶化すように笑っていた。
笑う私について、見下されたと思ったのか、クロノは私を友達が作ったというロボットブースへと連れていった。
◆
ルッカの発明品のゴンザレス(AI自立歩行型セキュリティロボット)のブース。
会場へは武器類は持ち込めないが、弱い武器をここで借りられるらしく、シナイ、玩具のボウガンや弓、痛くないエアガン等を使ってゴンザレスに戦いを挑める。
ゴンザレスは攻撃ダメージを集計し、一定を越えるとポイントを発行していて、ポイントは他のブースでの買い物に利用したりイベントに利用できる
クロノは剣道の心得があるのか、ポイントを多く獲得していた。
シナイとはいえ、人の全力の力を受けても倒れない。
バッテリー可動式の自立ロボットをここまで戦闘向きに仕上げることができるルッカの技術力に感服していると、そのルッカがまさかのクロノの幼なじみという。しかも、これから始まる開演前のデモンストレーションに誘われたのである。
有名人ルッカが今だ秘密にしている世紀の発明品。その正体が判らないまま祭典の目玉イベントなっているルッカのブースについて、開演前の一部関係者しか参加できないとされるデモンストレーション(被験者テスト)に参加できるというのは、とても運に恵まれている。
テレポット(テレポートを左右同時にもできる
)を発明していたルッカ。まさに世紀の発明である。
この場にマスコミがいたら今頃世の中は大パニックになっているだろう。ともすればマスコミでなくともカメラや携帯で撮影されてSNS等にあげられるところだがデモレーター達はそのような事はしていない。参加者達な皆、熱心なルッカのファンのようで、言わずもかな実は私も彼女のファンである。
特設ブースなので、多分お姉ちゃんは入れないと思う。そう思うと、ちょっと不安になってくる自分に気付いた。
いつも護衛は私の視界にいたから安心できていた。
妙なテンションですっかりその事を忘れてしまっていたが、私はそもそも王族なのであり、色々と、わきまえなきゃならない存在。
でもどうしよう。もうノリのいいキャラでやってるし、どこでこのキャラの引き際を作っていいか判らない。
私はそんなキャラだったので人体実験のデモンストレーションに率先して、真っ先に手を上げてしまった。
それもこれも クロノがルッカの幼なじみという事もあって、先に実験台になって安全性を証明してしまうからで…
不安である。
私も別に全てを安心しきってた訳じゃない。でもまさか空間に歪みのようなものが発生して、そこに吸い込まれるなんて思う訳ないじゃない。
全くの想定外。
楽しかった今日の思い出含めて全部穴に吸い込まれるような気分で私は穴を中で流されていく…
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https://note.com/msyaan/n/nef0cb9bd31c8
◆
あとがき
部下「ヤクラ様、調査の結果、噂どおりに本物でした。リーネは我々の擬態を瞬時に見破ったうえに、誰が誰に擬態しているかも当ててきます。また当初ヤクラ様が危惧されていたリーネの正体ですが、その背後に敵国の魔族の関与もなければ魔族がリーネに擬態している痕跡もなく…」
ヤクラ「つまりリーネは単なる人間…。まさか人間なんぞに魔族が所持していない力が存在しているとは…。この事実を認めざる負えないのか…
~ヤクラとリーネの会話~
ヤクラ「私に仕える気はないか?リーネよ。」
リーネ「仕える? 」
ヤクラ「我々の属する魔界も一枚岩ではないのでな。スパイを探し出すのにお前の力が役に立ちそうなのだ。」
リーネ「王族である私が国を裏切ると思いますか?」
ヤクラ「身近な人間が死んでもいいというのか?
猿ぐつわで喋れなくなっている大臣
ヤクラ「これから大臣に擬態して王宮へ戻り王を殺す事も簡単なのだがなぁ…」
リーネ「大臣も王も、民に仕える身。たとえ無慈悲に殺されようともそれが私達の定めであるというなら…」
大臣に変身するヤクラ
「判ってないのだなリーネよ…。この姿になる私が王や大臣のみを人質にとった等を思うのか? 王族だけではない。今や私はこの身体に成り済まし、すべての人間に害を与えることかできるたろう。全てのガルディアの民を人質にしたようなものなのだよ…。
さあ…この世(人間世界)に別れを告げなさい…そして私と共に魔王城へ向かおうではないか…。
部下「大変ですヤクラ様!」
ヤクラ「王宮で何かあったか?」
部下「実は…」
ヤクラ「王妃が帰ってきただと!?」
(どういう事だ? 本物の王妃はここにいるはず。もしやこの期に乗じて西側魔族が王族に成り済ましガルディアを手に入れようと…)
~クロノ~
現代人の服装(2025年の服装)にて目立っていたクロノ、城への入場証を持たずに門番へ話しかけた。リーネに似ている金髪の少女が兵士と一緒に馬車でこちらの方角にやってきたという話を街で聞いて探しにやってきた。。少女の名前をマールで門番に知らないだろうかと聞いたが、とりあって貰えない。
この道すがらに見た事を思い出したクロノ。志願兵募集の立て看板を目にしたクロノは志願兵として名乗りを出て王宮への入城を求めた。
「お前さん嘘ついてはいけないよ。今さっき女に会う為にここに来たと言ったであろう。兵士になりたいだなんて不謹慎な嘘、もしばれたら今のご時世処刑されねないぞ」
今の時勢というのは何のことだろう?
「そうか…。お前さんは異国人だったな…。なら知らなくても当然ということか…。だったら教えてやろう。この国は今は南部魔王軍との戦時下にある。」
南部魔王? 戦争? 全く意味が判らない。
リーネがいた時代に戦争なんてあっただろうか?
「どこで戦争しているかって?そりゃ南東の砂漠、魔界との国境付近だよ。お前さん、まさかそんな事も知らずに入国したというのか? まあいい、きっと観光業界にでも騙されたんだろうな。このご時世だし…」
クロノは魔王軍についても聞いてみた
「まさか魔王も知らんとは…。そこまで無知だとそりゃカモされるわな…。 しかも武器すら携帯していないではないか! 殆どの魔物は我々が排除しているとはいえ、武器を持たずにこの国をウロウロしているとは…。警戒心が無さすぎる!」
クロノにこんこんと説教をはじめた門番。
門番は懐から短剣を取り出してクロノに渡した。
「じゃあ、気を付けて帰るんだな」
そういって門番は話を終わらせようとした。
短剣手にしたクロノはこの世界が治安の悪い大昔なのだとつぶさに実感した。
だからといってマールを返して貰うのを諦める訳にはいかない。
志願兵であることを信じて貰うべく、目の前にいる門番に鍛えられた筋肉を見せつけた。
力こぶ、あるようでないスリムなボディー
門番は嘲笑った。
少し悲しくなったクロノは剣道の動きをして魅せる
異国にて伝わる刀の作法について、門番は少し興味を抱いた。思えば門番は強い武人に憧れ、切磋琢磨していた時代があった。けれど実力の身の程を知ったり、死のリスクの高い戦場に行く勇気まではなかった。門番にとって今の仕事は、打算の上にやっているに過ぎない。勿論使命感をもって職務を全うしているが、若い頃に抱いた強さの憧れは心の中で燻っていた。
「もうすぐ、昼の時間か…。お前さん、もし良かったら、剣道の腕(立ち会い)を魅せてくれないか? もうすぐ交代の時間だから、もしそこでお前さんに戦いの才能があるなら、志願兵として私が推してやろう。城にも入れるようにしてやる。どうだ?やってみるか?」
勝てるかどうかは判らない。
だがクロノがこの門番と戦わなければ城門は通れなさそう。
城の外にある兵士の詰所、訓練場でクロノが木剣を振るっていると、そこにリーネ王妃が現れる。
一同の兵士が膝ずく。
王妃は無言のままクロノの手をとり、兵士の詰所からでて城に入っていく。
状況が理解できないクロノが何かを言うが王妃は無反応。
連れて行かれた先で二人きりになると、リーネ王妃は自身がマールである、ただ演じているのだと言った。
どうして人違いされたところから演じることになるのか。詳しい話を聞きたがったが、聞く前にマールが消滅した。
訳が判らない状態に陥ったクロノ。放心状態にゆらゆらと部屋をでて、頭を冷やすべく風当たりのよい場所を探していたら、ルッカを発見する。
どうやって入場したのだろう。まさか志願兵として認められたのか?
「まあ、そんなとこよ。それよりあの娘はどうなったの? 私のファンの子よ。私、町の人の噂を聞いてここにやってきたの。連れてこられたんでしょ?ここにあの子がいるんでしょう?」