無下限、六眼持って転生したけどサイタマが居ない   作:一般通過ドブカス

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12話

 「あ。爆発した」

 

 「きた! 落ちるか!?」

 

 タツマキがそう呟き、クロビカリが盛り上がってる。

 タツマキやジェノス、クロビカリが見守るなか、次々に爆発を起こしているボロスの宇宙船が浮力を失い地へと落ちた。

 

 

 

 

 「(は!? 先生は無事なのか!?)」

 

 S級ヒーロー達が船の残骸から生き延びていた怪人の残党を捕まえ、イケメン仮面アマイマスクがその残党を皆殺しにするのを眺めていたジェノスだったが、ふと五条が船へと乗り込んでいたことを思い出した。

 

 「(いや、先生のあの力ならば問題はないか)」

 

 一瞬心配したジェノスだったが、五条に攻撃が届かないことを実感していたため、船の落下に巻き込まれた程度では何の問題もないと結論付けていた。

 

 「お、やっと外か」

 

 ジェノスがそんなことを考えていると、船の残骸が一部殴り飛ばされ、そこから五条が顔を出した。

 

 「なんでアンタが宇宙船の中から出てくるのよ」

 

 五条が顔を出した場所はクロビカリとタツマキの前だったため、クロビカリは驚き、タツマキはふよふよと浮きながら冷静に五条に問いかけていた。

 それに対し五条は、目の前にタツマキが居たことによって焦っており返事を返すどころではなかった。

 

 「先生! やはり無事でしたか」

 

 「ジェノス、いい所に! ちょっと服───」

 

 そして、丁度いいタイミングで現れたジェノスに頼みごとをしようとしていたが、五条の言葉はタツマキが荒らげた声によってかき消された。

 

 「む、無視!? ちょっとアンタ! どうやったか知らないけど単独で乗り込んでたの? なに勝手なことやってるの? B級の分際ででしゃばるんじゃないわよ! それに、いつまで顔だけ出してるのよ! 舐めてるの? さっと出てきなさいよ!」

 

 「あ」

 

 タツマキが、苛立ちを発散するように五条の体を隠していた瓦礫を粉砕する。そして、五条の全身が露になった。

 

 「───ななななっ、なんで何もはいてないのよ!!!」

 

 タツマキが放った念動力を甘んじて受け入れた五条は、岩に叩きつけられその全身をめり込ませた。

 

 「先生!?」

 

 「……ジェノス。すまんが服か何か身にまとえるものを探してきてくれないか」

 

 五条が岩から頭を出してジェノスへと頼む。五条の服は領域崩壊後の術式が焼き切れている間に船の爆発に巻き込まれ、完全に焼け落ちてしまっていた。

 

 「まだ生きているの!? しぶといわね!」

 

 タツマキがさらに追撃を加えようとしたとき、バングが制止の声をかけた。

 

 「よさんかタツマキ! 五条君はこれを使うといい」

 

 「うっ……。ふん!」

 

 タツマキは自分が瓦礫を砕いたせいでもあるのを思い出したのか、気まずそうな顔をして飛び去って行った。

 五条はタツマキが去っていったので岩を砕いて脱出し、バングから破けた上着を受け取り腰に巻いた。

 

 「バング、感謝するよ」

 

 「気にせんでええわい。その様子じゃと、敵はかなり強かったようじゃな」

 

 全身の傷はとっくに反転術式で再生しているとはいえ、五条の顔や雰囲気から疲れを感じ取ったのかシルバーファングがそう尋ねた。

 

 「ああ、強かったよ。何か一つでも違っていたら、負けていたのは僕だった」

 

 「なんと、それほどとは……」

 

 「先生がそこまで言うほどですか!?」

 

 五条が真剣な表情で告げた言葉に対し、バングとジェノスは驚愕した。

 ジェノスはもとより、バングから見ても隕石を砕く力を持ち、かつ強靭な肉体を持つ五条の強さは抜きんでてていた。そんな五条が負ける可能性があるほどの相手というのは、もはや想像がつかないレベルの話であった。

 

 「……なるほど、では、先生がいなかったら本当に予言通り地球が滅亡していた可能性がありますね」

 

 ジェノスは考え込むようにそう呟いていたが、五条からするとサイタマがいないこの世界では十分にあり得ると感じさせる可能性だった。

 

 「ま、そういう訳で、ちょっと本気で鍛えたいんだ。バング、道場に行く頻度を増やしてもいいかな?」

 

 「なるほどの。勿論じゃよ。流水岩砕拳をみっちり叩き込んじゃるわ」

 

 五条は、これまでも強くなることを怠ったことはなかった。しかし、ボロス戦を経てこれからはより一層上を目指して己を鍛え上げることを決意していた。

 そしてそのために、呪術に関する探究と流水岩砕拳等による武術の技巧を磨くことに重点を置くことにした。

 

 「それはありがたい。それじゃ、近いうちに顔を出させて貰うよ。帰ろうか、ジェノス」

 

 その場に集っていたヒーローたちは次第に解散していき、宇宙船を回収するために作業するメタルナイトのロボットだけが残された。

 

 ───この日、A市は地図からなくなった。しかし、ヒーロー協会がメタルナイトに工事を依頼したことにより、僅か7日間で、各町へと伸びる道路と鉄壁の要塞と化したヒーロー協会本部が建設された。

 

 

 

 

 

 

 

 

数日後

────流水岩砕拳

 

 バングの腕が流れるように動き五条へ向けて無数の打撃が放たれるが、その全ては五条の体に触れる寸前で停止しており五条に届くことはない。

 

 「……ふむ。これは恐らく流水岩砕拳、というよりは純粋な武術での突破は不可能じゃな」

 

 この日、五条とジェノスはバングの道場に訪れており、流水岩砕拳の修行を行う休憩時間に五条はバングに対して無下限呪術を披露していた。

 

 「バングでも突破できないなら安心したよ」

 

 「隕石を破壊できる上に、そもそも触れることすら出来んとは。全く、おぬしはどうなっとるんじゃ」

 

 この世界において、確実に最高峰の武術の腕前を持つバングの技術を持ってしても無限の壁を突破できないことを確認した五条は、超常の武術に対しても無下限呪術が有効であることが分かって改めて無下限呪術の性能の高さを実感していた。

 下手をすれば謎の理屈で無下限を突破される可能性もあったため、バングのお墨付きを得られたのは五条にとって今後の方針を考えるうえでとても重要なことだった。

 

 「まぁ、自分でもなかなか理不尽な力だとは思うよ。でも、武術に関してはまだまだバングには敵わないから、今後もよろしくね」

 

 先ほどまで五条、バング、ジェノスの三人は五条が呪力を使わない状態で組み手をしていたが、その状態ではバングの圧倒的な技量により、五条とジェノスはバングに一撃すら与えることが出来なかった。

 

 「錆を落としたかったから丁度ええわい。五条君とジェノス君は筋がいい。それに、五条君は既に流水岩砕拳が形になっておる。この調子で鍛え続ければ、早いうちに儂ともまともに打ち合えるようになるじゃろ」

 

 そう言って笑ったバングだったが、自身の手を見つめたのち、何かを考えるように黙り込んでしまった。

 ガロウのことを考えているのだと察した五条は、ジェノスに話を振ることにした。

 

 「ジェノスはどうだ? 流水岩砕拳を学んでみて」

 

 「そうですね。まだ習得には至っていませんが、現段階でも戦闘時のエネルギー効率がかなり向上しています。まさか、動き方だけでこれほど変わるとは思ってもいませんでした」

 

 ジェノスは得意の焼却砲やエネルギーの噴出を使用していない状態なため、組み手に置いても加減された状態で攻防するのが精いっぱいだったが、それでも武術による戦闘能力の向上を実感しているようだった。

 

 「そっか、それはよかったよ。でも、ジェノスは焼却砲の火力とかがメインだから、今度また広いところにいって流水岩砕拳を交えた上での全力の組手でもしよっか。僕には焼却砲は効かないけど、戦闘の組み立ての練習にはなるしね。それに僕も試したいことがあるし」

 

 「はい、先生! ありがとうございます!」

 

 五条とジェノスの話が終わったタイミングで丁度良く道場の扉が開かれ、バングの一番弟子となったチャランコが入ってきた。

 

 「バング先生~! 買ってきましたよ野菜!」

 

 「お、丁度ええな。兄が送ってきた大量のイセエビがあってな。今から鍋にするから食っていかんか?」

 

 そう言ってバングが出してきたのは、思っていたより遥かに多い数のイセエビだった。

 

 「いいのか? せっかくだからご馳走になるが。……多いな」

 

 「兄が元居た弟子たちに行き渡る数を送ってきたせいでな、百匹はおるわい」

 

 そう言いながらも、バングは次々とイセエビの入った箱を積み上げていく。

 

 「マジか! そんなにあるなら鍋だけじゃなくて刺身でも食いたいな。ジェノス、伊勢海老剝いたことある?」

 

 「ありませんが、やってみましょう」

 

 五条は生の伊勢海老を食べたことが無かったためジェノスにやり方を聞こうとしたが、ジェノスは五条の手を煩わせるわけにはいかないと五条の分まで殻を剥こうとしていた。しかし、そこに待ったの声をかけた者がいた。

 

 「お二人とも、ここはこのチャランコにお任せを! どうぞどうぞ、バング先生も! 座ってお待ちください!!」

 

 鍋の用意をしながら話を聞いていたチャランコが、まるで舎弟のような態度で率先して準備を申し出た。

 午前に行われていた五条とジェノスとバングによる訓練は、流水岩砕拳の型の練習をするチャランコの横で行われていた。二人の別次元の強さを間近で見たチャランコは、虎の威を借る狐となるべく二人の舎弟ムーブを遂行することを決めていた。

 

 「そろそろよさそうじゃの。それでは」

 

 「「「「いただきます!」」」」

 

 一通りの準備を終えて4人がいざ食事を始めようとしたまさにその時、道場の扉が勢いよく開かれた。

 

 「たのもう!!!」

 

 黒い道着を着た十数人の男たちが土足で道場へと押し入る。

 

 「我ら酷道流! 本日は道場破りに参った!!!」

 

 そんな男たちに対して真っ先に動いたのはチャランコだった。

 

 「なんだお前らは! 道場破りなど許さん!! ……先生! お二方! やっちまって下さい!!!」

 

 チャランコは立ち上がり男たちに声を荒らげると、流れるように五条達三人の後ろに移動した。

 

 「……全く、仕方ないのう」

 

 「先生、ここは俺にお任せを!」

 

 「早く食いたいし僕もやるよ。ジェノス、埃を立てないようにね」

 

 酷道流の男たちはこの道場を訪れたことを心底後悔することとなった。




今後の戦闘描写のハードルが上がった気がしないでもありませんが、全力で書いたボロス戦が好評で嬉しい限りです。それにしても、漫画の描画上仕方ないけどボロスの打撃とエネルギーの放出耐えてるサイタマの服は頑丈すぎる。




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