無下限、六眼持って転生したけどサイタマが居ない   作:一般通過ドブカス

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阿修羅カブトまで一気に書いたら10000字近くになったので分割しました。早くボロス戦にたどり着きたい…


3話

 「師匠!」

 

 五条がいつも通りテレビを見ながら家でくつろいでいると、外からジェノスが呼びかける声が聞こえてきた。玄関の扉を開けると、そこには昨日大破したはずのジェノスが立っていた。

 

 「もう来たのか……、ジェノス」

 

 「覚えていただき恐縮です、五条師匠!!」

 

 非常に真剣な表情でそう言い放つジェノスに対して、五条はジェノスに押しかけられたときのサイタマの気持ちが少しわかった気がした。

 

 「……その、師匠っていうのはやめようか」

 

 「先生!」

 

 「……まだそっちの方がマシだな」

 

 五条は、五条師匠よりは五条先生と呼ばれる方がしっくりきたためとりあえず呼び方については妥協し、ジェノスを部屋に招き入れることにした。

 部屋に入ったところで、ジェノスにお茶を出して机を挟んで向かい合うように座った。

 

 「それで、僕の弟子になりたいんだっけ」

 

 「はい!」

 

 非常にいい返事をしたジェノスに対し、五条は真剣な顔をして話を続けた。

 

 「単独で正義活動をしているという事は、ヒーロー名簿には登録していないのか?」

 

 「はい。俺には必要ありません」

 

 「そっか。僕は申請とか試験が面倒で登録してなかったんだけど、せっかくだし登録しない? 一緒に登録してくれるなら弟子にしてあげるからさ」

 

 「―――いきましょう!」

 

 ジェノスは清々しい顔で即決した。その返事を聞いた五条は、多少強引ではあるがジェノスを弟子にしつつヒーロー協会に所属させる流れに持っていくことが出来て一安心していた。

 

 「高速接近反応……来る…」

 

 話を終えた直後、ジェノスは自身の元に接近してくる何かに気がつき、廊下に出ると駆け出すような構えを取った。五条はその様子から進化の家からの刺客が来ることを悟ったが、残念ながらその気配等を察知することは出来なかった。

 この世界には五条以外には呪力を持つ者がいないため、六眼を持っていても残念ながら索敵等には役に立たない。周囲に呪力を放出すれば限定的な範囲なら近しいことは出来るだろうが、五条はそれをするつもりはなかった。

 

 天井が勢いよく崩れ、頭部が透明なカプセルとなり脳みそが丸見えで、両腕がカマキリのようなカマになっている怪人が部屋へと飛び込んできた。

 

 「ケーケケケ、俺の名は―――あがッ!?」

 

 着地し、口を開いた瞬間に振り抜かれた五条の拳によって頭部を陥没させられた怪人は、名前を名乗ることもできずに崩れ落ちる。

 

 「外にもいるようだな」

 

 「……行くか」

 

 五条とジェノスが玄関から外に出ると、刀を腹巻に指しているカエルの怪人と、二足歩行のナメクジのような怪人が困惑したような顔をして立っていた。

 

 「先生、ここは俺が……」

 

 「蒼」

 

 ジェノスはそう言いながら後ろにいた五条を見たが、既に五条は二体の怪人を蒼で圧し潰していた。

 

 ジェノスが警戒のために道路へ歩きだした直後、五条が立ってた地面に亀裂が走る。そして、地面から突き出された何者かの腕が五条の片足を掴んだ。

 実際には無限の壁に阻まれて足を掴めていない腕は、五条を地面に引きずり込むような動きを見せたが動かすことが出来なかった。それでも、地面から突き出た腕の主は五条を地中に引き込むことを諦めず、もう一方の腕も地面から出すと、五条の両足を掴んだ。

 

 「せ、先生!」

 

 ジェノスは両足を拘束された五条を心配して戻ろうとするが、背後で起きた爆発に足を止めて振り向いた。

 

 「高エネルギー反応アリ。オ前モサイボーグナノカ?」

 

 建物の外壁を突き破りながら現れたのは、全身を鋼鉄の鎧に身を包んだサイボーグであった。そして、五条の前方からは、筋骨隆々な二足歩行のライオンの怪人が高笑いしながら現れた。

 

 「がははははは! グランドドラゴン、さっさとその男を地中に引きずり込んでやれ!」

 

 「先―――」

 

 ジェノスは、五条が拘束された状態で新手が現れたと判断して五条を助けようと駆け出すが、全身鎧のサイボーグに妨害されそのまま戦闘を開始した。

 その様子を確認したライオンの怪人は、五条の両足を掴んでいるにもかかわらず一向に地面に引きずり込まないグランドドラゴンに苛立ちを感じていた。

 

 「おい! グランドドラゴン! さっとやれ!」

 

 そう怒鳴りつけるも、一向に五条が地面に引きずり込まれる様子はない。辺りに何とも言えない空気が立ち込める中、五条の足を掴む手だけがもぞもぞと動いていた。

 そして、少したってから地中にいたグランドドラゴンの困惑した声が響いた。

 

 「さっきからやってるが、こ、こいつ、全く動かない! というか、掴めない!?」

 

 その声を聞いたライオンの怪人は、腕を持ち上げると同時に鋭い爪が生えた手に力を込めた。

 

 「ほう、なかなかやるようだな。だが、俺の前では無力! この獣王の力見せてやる!」

 

――――獅子斬!

 

 鋭い爪による斬撃が五条に向けて振り払われると、五条の背後にあった民家が容易く両断された。

 

 「オオオオオオオオッ」

 

 獣王は何度も腕を振り下ろし、瞬く間に辺りが破壊されていくほどの無数の斬撃が繰り出されていたが、その斬撃の雨の中で五条は涼しい顔をして立っていた。

 

 「……おいおい、あれで無傷なのか」

 

 獣王から少し離れた場所に、胴体に土竜と書いたモグラのような怪人が姿を現した。グランドドラゴンは、獣王の攻撃が地面にも及びだした時から、身の危険を感じて五条の足から手を放し距離を取っていたのだ。そして、獣王の斬撃の中にあっても無傷である五条を見て驚きを隠せなかった。

 

 「ぐははは! やるじゃないか、超能力者か? だが、これで終わりだ! ア゛オ゛オ゛……!」

 

 獣王は斬撃を放つのを止め、雄たけびをあげながら全身へ力を滾らせた。次の瞬間、ただでさえ鍛え抜かれていた上半身が、身に着けていた服や鎖を弾き飛ばすほどに膨張した。

 獣王は、五条は超能力か何かで斬撃を防いでいると考えていた。そして、その手の防御は、その防御力を打ち破る威力の攻撃をすれば問題ないことを経験から知っていた。

 

――――獅子斬流星群

 

 一つ一つの斬撃が先ほどより遥かに強く、先ほどとは比べられないほどの密度の斬撃が五条を襲った。しかし、どれほど威力を増したところでその斬撃が無限の壁を超えることはない。すべてを棒立ちのまま防いでいる五条は、涼しい顔のまま獣王へと手を向けた。

 

 「蒼」

 

 「グオオオオオッ!?」

 

 最大出力で放たれた蒼は、獣王を飲み込みその体を限界を超えて圧縮していく。そして、体を球のように圧縮され、それでもなおも続く強烈な圧力に獣王の肉体は耐え切れず、ブチュっという音が鳴り小さな肉片となって潰れてしまった。

 その様子を見ていたグランドドラゴンは、自分が見た光景が信じられず放心していた。しかし、ふと振り返った五条と目が合うと、全身の毛が逆立つほどの恐怖に襲われ、ものすごい勢いで地中を掘って逃げ出した。

 

 「(あ、あんなの、聞いてない! ここは退散して……)」

 

 「蒼」

 

 自慢の爪で地面を掘り進めることでその場を離脱しようとしていたグランドドラゴンだったが、妙な浮遊感があることに気がついた。

 

 「(な、なんだ!? 進まない、いや進めない!?)」

 

 グランドドラゴンは必死に爪で地面を掻くが、なかなか体は下に進んでいかない。それどころか、次第にその爪は宙を掻くだけとなっていった。

 五条がグランドドラゴンを追うように穴へ放った蒼が、グランドドラゴンの背に追いついたのだ。

 

 「(嘘だろぉおおおぉぉぉおお)」

 

 蒼の出力が高まると、グランドドラゴンは必死に手をばたつかせるも蒼に引きずられるように吸い込まれていき、そのまま土とともに圧縮され力尽きた。

 

 戦闘とも呼べない戦いを終えた五条は、周囲を見渡すとジェノスと壁にめり込んでいるサイボーグのゴリラを見つけた。

 

 「質問に答えるかこのまま消滅するか選べ」

 

 四肢を破壊され壁にめり込んでいるゴリラに対し、ジェノスは右手の焼却砲を突き付けながら選択を迫ったが、ゴリラは未だに不敵な表情を浮かべていた。

 その様子を見ていた五条は、小さくなってしまった獣王の肉片を無下限呪術を用いて触れずに持ち上げると、ジェノスの元へと合流する。

 

 「あの……、すいません全部話しますんで勘弁してください」

 

 見るも無残な姿となった獣王を見て、ゴリラは流暢に謝罪をした。

 

 

 

 

 

 

 

 「―――話が長い! 要点だけを言え!」

 

 全面降伏をしたサイボーグのゴリラ、アーマードゴリラは進化の家の成り立ちなど自分たちを作り上げたジーナスについての説明をしていたが、五条とジェノスによって中断させられていた。そして、ジェノスに突き付けられた焼却砲におびえながら、何とか簡潔にまとめて説明をした。

 

 「す、すいません。え~、つまりですね。我々のボスがあなたの力に興味を持ったようです」

 

 「へ~、そんなに気になることか?」

 

 五条は、モスキート娘をサイタマがはたいたのと同じように吹き飛ばしたため、原作同様に刺客は来るだろうなとは思っていた。しかし、自身が原作のサイタマほど理不尽な力を有していない上に、超能力者が普通にいる世界であるため、そこまで興味を持たれるものかと少しだけ疑問に思っていた。一方でアーマードゴリラが発言した内容に、ジェノスは非常に納得した様子であった。

 

 「なるほど、先生の人知を超えたエネルギーを進化の研究に利用しようと企んでいるようです。放っておけば、おそらくまた刺客を送ってきますよ。野放しにするわけにもいかないし、今度はこっちから攻め込みましょう!!」

 

 「よし、行くか!」

 

 「はい……、え、今!?」

 

 ジェノスは、自分の提案を聞いて直ぐに歩き出した五条を見て思わず驚きの声をあげた。

 

 「ああ、めんどくさいからパパっと終わらせるぞ」

 

 「(マズいぞ。博士に報告を……)」

 

 歩き出した五条とその背を追うジェノスを見たアーマードゴリラは、自動で頭をぱかりと開くと、小さなパラボラアンテナが飛び出し基地との通信を開始した。

 

 

 

 

 進化の家へと向かう最中、五条はジェノスの発言で気になったことに関して質問していた。

 

 「ジェノス、そういえばさっき、僕の力を人知を超えたエネルギーって言ってたけど、どういう事? 超能力者が使っているエネルギーとは違うってことか?」

 

 「はい! そうですね、俺はこれまでの活動の中で、様々な力を使う敵と戦ってきました。怪人であろうと、超能力者であろうと、サイボーグであろうと、その力を使うためにはエネルギーを必要とします。そして、クセーノ博士によって作成された俺の感覚器官は、熱や粒子の動きなど様々な要素を観測することで、理論上現存するどのようなエネルギーであろうと知覚することができます。どんなに制御が上手い超能力者等でも、何らかの事象を発生させる際には使用するエネルギーを観測することができますが、あれほどの出力の衝撃を発生させた先生からは何のエネルギーも観測することが出来ませんでした。無論、観測できないといっても、実際に現象は起きているのだから、そこに何らかのエネルギーがあることは明白です。あれほどの力を何の予兆もなく生み出せるエネルギーにはクセーノ博士も非常に驚いていました。これはまさに、人知を超えたエネルギーと称する他ありません。このエネルギーについてクセーノ博士はいくつかの仮説を立てていました。それは――――――」

 

 「あ、うん。そうなんだ」

 

 呪力が前世の科学レベルよりも遥かに高い技術を持つ科学者ですら一切観測できないという事実に驚いた五条だったが、一度話を始めると止まらなくなったジェノスを見て、悟ったような表情をして相槌を打つだけのマシンと化した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 進化の家の創始者ジーナスは、精鋭戦力の全滅というアーマードゴリラからの信じがたい通信内容を見て絶句していた。そして、ジーナスの後ろに立っていた幾人もの彼のクローンに向けて苦渋の末、一つの決断を下した。

 

 「切り札を使う……しか。

  ―――阿修羅カブトを解き放つ準備をしておけ……」

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