無下限、六眼持って転生したけどサイタマが居ない   作:一般通過ドブカス

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なんかヌルっと日間ランキング33位にいるの見つけて三度見くらいしました。自力で見つけるしか気がつく方法ないのか…?


4話

一時間後

 「もう少し先ですね。おそらくあの山を越えた先かと」

 

 五条は、ジェノスを脇に抱えたまま山林の遥か上空に浮かんでいた。そして、目的地が近づいたこともありジェノスが示す位置へゆっくりと飛んで近づいていく。

 

 「それにしても、さすがですね先生。俺を抱えたままあれほどの速度で空を飛べるとは」

 

五条はジェノスが壊れないように加減していたが、それでもジェノスが走って4時間かかる距離を一時間程度で移動することが出来るほどの速度で飛んでいた。

 

 「ま、あれくらいならね。ジェノスは飛べないの?」

 

 「そうですね……、博士に相談してみます」

 

 五条は、原作でジェノスがオロチと融合したサイコスを相手する際に飛んでいたことを知っていたため、飛べないのが意外くらいの気持ちでそう言ったが、現時点でジェノスには飛行能力はなく、ジェノスは少し思案した後にクセーノ博士に提案することを決めた。

 そうして飛んでいるうちに、森の中の不自然に開けた場所に立つ巨大な建物が見えてきた。

 

 「あそこです。ゴリラの言っていたポイントとも一致します」

 

 五条は進化の家の入口付近に着地し、抱えていたジェノスを下ろした。

 

 「ここが進化の家……!」

 

 そう呟いたジェノスは次の瞬間、足を開き上半身を丸め込みながら両腕に力を籠めると両腕から焼却砲を放ち、山林に響き渡る爆発音と共に進化の家の建物を瓦礫の山へと変えた。

 

 「あーあ、かわいそ」

 

 「はい? これが一番効率よく一網打尽にできると判断したのですが」

 

 展開を知っていてもその容赦の無さに思わず引いた五条だったが、ジェノスはきょとんとした顔をしていた。

 

 「まあ、そうなんだけどね。それにしても、敵さんも色々準備してただろうに……」

 

 そんなやり取りをしていると次第に舞い上がった粉塵が晴れていき、建物があった中心部付近に地下へと通じるような扉が見えた。

 

 「お、地下への入口っぽいな」

 

 五条は、取っ手が無い蓋のような扉を引っ張って開けようとしたが、意外と頑丈に閉じられており突起を摘まんで引っ張った程度ではびくともしなかった。

 

 「面倒くさいな。蒼」

 

 五条が放った蒼によって、鋼鉄の扉はひしゃげて呆気なく引きちぎられた。

 

 「おー、思ってたより全然広いな!」

 

 五条とジェノスが、地上の建物からは想像できない広さの地下通路を並んで歩く。周りを見ながら、五条が呑気に感想を述べる中、ジェノスは高機能のセンサーにて生体反応を捉えていた。

 

 「この奥に生体反応……同じ反応? クローン人間か。

  ―――! 先生! 二体ほどこちらに近づいてきます」

 

 五条とジェノスは足を止め、通路の先を見据えた。バン、バンと音が響き、通路の奥から順に電気が消えていく。そして、闇が近づいてくるにつれて、こちらに接近してくるものの輪郭が浮かび上がってきた。

 その輪郭は、巨大なカブトムシのように見えた。しかし、さらに距離が近づくと、その異様が露になる。それは、二足歩行であり、まるで外骨格にも見える筋肉質な肉体を持ち、頭と背中からカブトムシの角を生やした巨大な怪物であった。そんな怪物が、通過するだけで天井のライトが破裂するほどの衝撃が発生する速度で走っていた。

 こちらに高速で接近した怪物はそのままの勢いでジェノスを拳の一撃で壁にめり込ませ、五条の背後に滑り込むように回り込んだ。

 

 「俺は阿修羅カブトってんだ。戦闘実験用ルームがあるからよぉ、そこでやろうぜ~」

 

 「いいぞ。さぁ、案内してくれよ」

 

 五条が阿修羅カブトの後に続き通路を歩いていくと、地下にある空間とは思えないほどの広大な広場へたどり着いた。

 

 「広いだろ~~~。この施設で一番でけぇ場所だ。戦力として使えるかどうかここで戦わせて実験してんだ」

 

 阿修羅カブトと五条はそれぞれ向かい合うように位置取り、その足を止めた。

 

 「んじゃ、殺し合いますか―――おっ」

 

 阿修羅カブトが戦いの開始を告げた瞬間、その姿が炎に飲み込まれる。阿修羅カブトが炎の先を見ると、そこには頭部を破損しながらも焼却砲を構えるジェノスがあった。

 ジェノスは地面が弾けるほどの踏み込みを行い、左右に軌道を乱しながら高速で阿修羅カブトに肉薄した。そして、阿修羅カブトへ高速の連撃を叩きつける。

 

 「ブァ~~~~~~カ」

 

――――マシンガンブロー

 

 ジェノスの両腕から繰り出される無数の連撃が阿修羅カブトの全身を襲った。硬質な物質がぶつかり合う音が響く中、ジェノスの放つ打撃の雨を突き破るように阿修羅カブトの拳が振り抜かれた。

 

 「がッ!?」

 

 ジェノスは地面に叩きつけられ、その反動で五条の元まで吹き飛ばされた。口から煙を吐き、左目の部分が完全に破損するほどのダメージを受けたジェノスだったが、五条に抱えられて何とかその上体を持ち上げた。その一方で、ジェノスから無数の連撃を食らったはずの阿修羅カブトには傷一つついていない様子だった。

 

 「不覚……あいつは……俺が」

 

 「……ジェノス、そこで見てな」

 

 五条は通用しないであろう焼却砲を放とうとするジェノスを止め、阿修羅カブトへ向けて歩き出す。

 

 「お、わかる……わかる!! おめー強えなあ」

 

 「さあ、始めようか」

 

 五条を指差し、そう口元を愉快そうに歪めた阿修羅カブトに対し、五条もまた不敵な笑みを浮かべて答えた。

 阿修羅カブトがその巨躯に見合わない、ジェノスでは捉えきれないほどの速度で五条の背後に移動すると同時に、その拳を振り抜いた。

 

 「なにッ!?」

 

 阿修羅カブトの自身の籠った一撃は、即座に振り返った五条が放ったパンチにより相殺されていた。

 

 「ん~、なかなかやるね」

 

 「なかなか、だぁ? なら、少しだけ本気を見せてやるよ!!」

 

 五条の言葉に苛立った阿修羅カブトは、全身に青筋を浮かべ先ほどまでの速度が児戯のように思えるほどの速度でもって五条へと襲い掛かった。 

 阿修羅カブトが放った連打は無造作に放たれているように見えたが、その実、五条の急所を巧妙に狙う技巧が織り交ぜられたものだった。しかし、五条はその連打を平然と防ぎ、受け流し、的確にカウンターまでして見せた。

 

 「ぐッ。なら、これならどうだぁ!?」

 

 阿修羅カブトは足を止めた打ち合いをやめると、地面を滑るように蛇行し五条の周囲を高速で動き回り始めた。五条を翻弄するように動き回る阿修羅カブトは、五条へ急接近と離脱を繰り返しながら不規則なタイミングで打撃と蹴撃を繰り出した。

 

 「僕の肉体もかなり強くなったな」

 

 この世界に転生した直後の五条であったら、純粋な肉弾戦では阿修羅カブトに瞬殺されていただろう。だが、現在では強靭な肉体と高い知性からくる技巧を十全に発揮している阿修羅カブトを余裕をもって捌くことが出来るほどになっていた。

 その理由として、五条にとっては与り知らぬことだが、彼が転生したときに無下限呪術、六眼だけではなく、高い戦闘センスも手に入れていたのだ。

 

 さらには、転生から約一年半は無下限呪術の制御の練習に追われていた五条だったが、無下限呪術を十全に扱えるようになってからは、時には無下限バリアを解除した状態で怪人と戦い、格闘での戦闘能力の向上にも努めてきた。

 それは無下限バリアを突破してくる可能性がある敵、主にガロウに殺されることを恐れてのことだったが、反転術式が使えるとはいえ、自身の傷を顧みず鍛えてきた肉体はもはや阿修羅カブトでは相手にならなかった。

 

 「お前相手じゃ鍛錬にもならないな。もう、終わろうか」

 

 五条は阿修羅カブトの攻撃を捌きながらそう告げると、()()()()()()()()()()

 

 ―――ゾワッ

 

 全身に悪寒が走った阿修羅カブトは、構えていた攻撃を中断して瞬時に背後にあった壁まで飛びのいた。

 

 「へぇ、わかるんだ」

 

 「(今! 手を出せば! 殺られていた!)」

 

 阿修羅カブトは冷や汗が止まらず、その頭には鼓動がうるさいほどに鳴り響いていた。五条は、その様子を興味深そうに見ていた。ジェノスは呪力を観測できないと言っていたが、観測できずとも強者の直感には引っかかるようだった。

 

 「(なんだこいつは! 何も変わっていないはずなのに! 俺の直感が大音量で危険信号を発している!)」

 

 そう、五条は先ほどまで呪力強化すらしていなかった。その状態で阿修羅カブトを圧倒していたのだ。

 これは、転生したのがワンパンマンの世界だからこそ出来たことだ。この世界では、前世に比べて人間の肉体の限界値がありえないほどに高い。リミッターを外したサイタマは例外としても、S級ヒーローどころかA級ヒーロー最下位で有名なスネックですら、前世の世界なら余裕で無敵の格闘技のチャンピオンになれるだろう。

 この三年間、闘いの日々を送っていた五条の肉体は、既に前世の人間の限界を大幅に超え、この世界でも上澄みと言える領域にまで到達していた。

 

 そして六眼を用いた高精度の呪力強化は、肉体としては人間の範囲に収まる本来の持ち主である某現代最強に、人知を超えた身体能力を与えるほどの強化率を誇る。この世界において上澄みの肉体に呪力による強化が乗ったとき、五条の身体能力は阿修羅カブトでは計り知れないほどに向上していた。

 

 「貴様ァアアそれほどまでの力!! 一体どうやって手に入れたんだよォォォ!」

 

 「残念ながら俺も必死なんでね。教えてあげるつもりはないよ」

 

 五条の目的はこの世界で生き残ることである。そのためにも、馬鹿正直に手の内を晒すつもりはない。

 

 「そーかい」

 

 阿修羅カブトが纏う雰囲気が変わった。

 

 「秘密を教える気がねえなら構わねえぜぇ!! どうせ俺よか強くはねぇんだ!!」

 

 阿修羅カブトが全身に激しく力を入れると、その体が次第に隆起してゆく。全身が三倍ほどにまで膨れ上がると同時に、その体に緑色の光が巡る。

 阿修羅カブトに生えていたカブトムシのような角もまた巨大化し、まるでヘラクレスオオカブトの角のような形に変化した。その足を踏みしめるだけで地面が陥没するほどの巨躯となった阿修羅カブトは叫ぶ。

 

 「ふぅううう……こうなるともう丸一週間は理性が飛んで闘争本能が鎮まることはない。お前を殺した後は街へ降りて来週の土曜までは大量殺戮が止まらねぇぜ! 強いヒーローだったら俺を止めてみろ! ふぅうううおおおおおおおおおおおおおおおッ!」

 

 次の瞬間、五条の頭に迫る阿修羅カブトの拳の前に腕が差し込まれた。五条の足元が陥没し、地面に無数の亀裂が走る。

 阿修羅カブトは後方に一瞬で飛び退くと、着地するや否や地面が陥没するほどの踏み込みで五条へ向けて鋭い角による突進を繰り出した。

 

 「ほいっと!」

 

 五条によって軽い調子で放たれた蹴りが、阿修羅カブトの体を跳ね上げる。

 阿修羅カブトは空中で一回転することで体勢を整えると、先ほどまでの技巧は何処にも感じられない代わりに、速さと威力が格段に上昇した連撃を放った。

 

 「死死死死死死死死死死死死死ィィッ!!!!」

 

 阿修羅カブトが放つ豪雨のような拳撃の嵐の中、五条の一撃が先ほどの阿修羅カブトとジェノスのやり取りの焼き増しのように放たれた。

 

 「―――あグッ!?」

 

 腹部へ一撃を受けた阿修羅カブトは、腹を抱えながら力なく膝をつく。その様子を見た五条は、サイタマと自分のパンチ力の絶望的なまでの差を改めて感じたが、それでも着実に強くなっていると強く実感できて嬉しかった。

 

 「位相 波羅蜜 光の柱」

 

――――術式反転「赫」

 

 赤い奔流が阿修羅カブトを飲み込んだ。

 舞い上がった粉塵がゆっくりと晴れたとき、阿修羅カブトの上半身は消滅しており、残された下半身がゆっくりと崩れ落ちた。




書いてて勝ち筋を見いだせなかったため主人公くんのスペックを盛らせて頂きます。全部ボロスとガロウとかいうふざけた強さしてる奴らのせいなんだ……
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