無下限、六眼持って転生したけどサイタマが居ない   作:一般通過ドブカス

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日間ランキング3位!?こんな感じの話を読みたいという自己満足の為に書き始めたものが想定以上の人に読まれることになって震えてます。読者の皆様には感謝感激雨あられです!


6話

 五条とジェノスはZ市郊外にある、既に放棄された採掘場跡地に来ていた。

 五条と向き合うように立っていたジェノスは、ガラケーを操作してヒーロー名簿を確認していた。

 

 「ヒーロー名簿……俺はS級ランキングで先生はC級ランキングでそれぞれ最下位になってます。今はジェノス、五条と名前がそのまま記載されていますが、しばらく活動すると”ヒーローネーム”とやらが付くようです」

 

 「ヒーローネームか。僕はこの目以外は全然特徴無いんだよなぁ……、どうなるんだろ」

 

 五条の容姿は十分整っているとはいえこの世界では平凡なものであり、六眼以外には特徴的なものが無いのでヒーローネームがどうなるのか気になっていた。ダサい名前じゃなければいいなと考えていると、ジェノスが真剣な表情となり、ゆっくりと距離を取り始めた。

 

 「まぁ、そんな話はどうでもいいとして。今日は無理な頼みを聞いてくれて、ありがとうございます」

 

 「一緒に試験受けたら弟子にするって約束だったからね。手合わせくらい構わないさ。とりあえず、ジェノスがどの程度の強さなのか見なきゃね」

 

 ジェノスは、戦闘を始めるのに十分な距離を取ると立ち止まり腰を落として構えを取ると、全開戦闘用の動力を起動し、放熱機関から蒸気が発生するほどのエネルギーを体に巡らせた。

 

 

 「……先生の本気を引き出せるようぶつかっていきます。お願いします」

 

 ジェノスは両肩の後方にある放出孔から爆発的にエネルギーを放出することで急加速し、一条の線となり五条へと飛び蹴りを放った、そして、この蹴りが五条に半身になって避けられたことを確認すると、進行方向に両腕からエネルギーを放出することで急停止し、五条の背後からかかと落としを放った。

 

 「んー、そこそこ速いね」

 

 五条が振り返って振り下ろされた足を受け止めると、その衝撃で地面が陥没して蜘蛛の巣状に亀裂が走った。

 攻撃を受け止められたジェノスだったが、その程度は想定しており、流れるように片手で焼却砲を放つ。

 

 「おっと」

 

 ジェノスの焼却砲は、五条が優しくジェノスの腕を押したことによって明後日の方向に飛んでいった。直後、着地したジェノスは後方へ飛びのいて距離を取った。

 

 「(ダメだ。こんなスピードでは―――)」

 

 ジェノスは全身の稼働率を引き上げ、自身に負荷がかかり続けるレベルでの駆動を行うことを決めた。

 

 ジェノスが五条へ向けて再び飛び掛かった瞬間、空気が破裂したような乾いた音が響き、ジェノスは容易に音速の壁を突破した。ジェノスはそのままのスピードを維持しながら、五条へと拳による連撃を放つ。

 ジェノスから放たれる攻撃をその場で捌いていた五条だったが、ふと思いついたのか、ジェノスと同程度の速度で周囲を駆け回り始めた。

 

 「おお、やるね」

 

 鋭く動き回る五条に対し、ジェノスはエネルギーの放出による急加速や急停止を利用して食らいつき、近接戦闘を継続していた。そして、五条が切り返した瞬間を狙ってジェノスが動いた。

 ジェノスは初めに見せたように両肩の放出孔から爆発的にエネルギーを放出すると、五条が切り返した先に滑り込むように先回りし、五条へ向けて両腕の焼却砲を解き放った。

 

 「(完全に捉えた。これで先生も少しは本気に……)」

 

 そう思ったのも束の間、ジェノスは背後から軽く小突かれた。

 

 「後ろ!?」

 

 ジェノスは即座に振り向き腕を振るったが、既にそこに五条はいなかった。

 ジェノスは、少し離れたところに立つ五条へ問い掛ける。

 

 「先生、この手合わせのルールを忘れたのですか? 回避可能な攻撃はちゃんと回避すること。手を抜かず真面目にやること。俺に気を使わないこと。俺が戦闘不能になるまで続けること。そして……先生の()を見せること。以上!」

 

 「わかったよ、見せてあげるって言ったしね」

 

 改めて臨戦態勢へと入ったジェノスを見て、五条は無下限呪術を発動した。

 

 ジェノスが右腕を構えると、その手が焼却砲の発射に特化した複数の噴出孔のある姿へと変形した。

 ジェノスの手から、収束されレーザーのようになった焼却砲が放たれる。それに対して五条は、自身を飲み込まんと迫る焼却砲を前にしてもポケットに手を入れたまま動かなかった。

 

 「先生!?」

 

 ジェノスの放った焼却砲は呆気なく五条を飲み込んだ。防ぐ素振りすら見せない五条に思わず焦ったジェノスだったが、ゆらめく炎と舞い上がった粉塵の中、無傷で佇んでいる五条に気がついた。

 

 「(無傷どころか、服や足元の地面にすらも破壊痕が無い!?)」

 

 ジェノスが動揺で動きを止めたのは一瞬だけだった。すぐに気持ちを持ち直し、五条に超高速で近接戦闘を仕掛ける。しかし、ジェノスが振るった拳は五条へ届くことはなかった。

 

 「(な……に…?)」

 

 ジェノスの拳は、棒立ちの五条の眼前で停止していた。その不可解な現象に目を見開いたジェノスだったが、すぐさま次の攻撃へと移る。

 ジェノスは苦笑を浮かべたまま動かない五条の周囲を高速で動き回りながら、両腕による連打や渾身の蹴りなどの自身が放てる全ての攻撃を全方位から五条に浴びせた。しかし、どれだけ攻撃しようと、一撃たりとも五条に届くことはなかった。

 

 「ならば、これなら……!」

 

 ジェノスは五条の懐に潜り込むと、その腹部に両腕を押し当てるように構え、自爆を除けば今放てる最大出力で焼却砲を解き放った。

 

 「バカな……」

 

 至近距離での焼却砲ですら五条には届かなかった。最大出力で放った焼却砲の反動で体が硬直したジェノスに対して、五条はゆっくりとその腕を動かした。

 

 「悪いね。僕、基本的に物理無効なんだ。ほら、防御防御」

 

 ジェノスは反動から立ち直ると、即座にゆるりと迫る五条の手に対して自身の両腕を割り込ませるが、五条の手はジェノスの腕を押し退けて胴体まで到達する。次の瞬間、ジェノスは数十メートル後方まで吹き飛ばされていた。

 エネルギーを放出することで勢いを殺して着地したジェノスは、視界の先で五条が一歩踏み出した瞬間、その姿を見失った。

 

 「(速い!!)」

 

 ジェノスは背後に気配を感じると同時に、血の気が引くような死の予感を感じ取り背後を振り返った。

 

 「赫」

 

 ジェノスの顔の横に収束した赤い光から、ジェノスが死を確信するほどの威力を持つ衝撃が放たれた。

 

 「よしっ、飯でも行くか。そこで今の手合わせについて軽く話そうか」

 

 「………………行きましょう」

 

 ジェノスが自身の背後を確認すると、舞い上がる砂塵の向こうにくり抜かれたような大穴が開いた崖が見えた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 五条がプロヒーローとしてデビューしてから6日が経った日の朝、五条はヒーローとしての衣装を着て外出する準備を整えた状態で部屋でくつろいでいた。そんな中、ジェノスが大荷物を背負って訪ねてきたことで、五条にはこの後の展開がどうなるか読めていた。

 

 「ここに住んでもいいですか?」

 

 「空いてる部屋を適当に使えばいいよ」

 

 「ありがとうございます。部屋代払います」

 

 「マジか……」

 

 ジェノスが同じアパートに住むことは全然問題なかったため五条は軽い調子で了承する。そして、その直後に差し出された札束のあまりの分厚さに絶句したが、せっかくだからと受け取った。

 

 「さっきから何書いてるんだ?」

 

 「日記です。先生の教えや修行内容を記しておこうかと」

 

 ジェノスはそう言いながら色々と書き残していたが、五条はジェノスが行うべき良い修行内容が思い浮かばずにいた。何度も組み手を行っても良いが、ジェノスはサイボーグ故に、戦闘が上手くはなっても根本的に強くなることはない。

 そこまで考えたところで、ジェノスは割とすぐ大破しているイメージがあるため、火力面はまだ見ぬクセーノ博士に丸投げして、自分との訓練ではすぐに破壊されないように戦闘技術を磨かせる方針でも別に良いんじゃないかと思った。

 

 「そういえば、セミナーの話だとC級ヒーローの場合、一週間ヒーロー活動しなかった場合はヒーロー名簿から除外されるって言ってましたが、先生は大丈夫なんですか?」

 

 「大丈夫。今日、賞金首を捕まえる予定があるからね」

 

 五条はセミナーを聞き流していたが、さすがに全く聞いていない訳ではなかった。さらには、五条には原作知識がある。

 期限の最終日である今日、街中を散策していれば因縁を作っておいたソニックが襲いに来てくれるはずである。

 

 「そうでしたか、さすがは先生です!」

 

 「っていうことで、ちょっと早いかもだけど行ってこようかな」

 

 「行きますか」

 

 五条がそう言って立ち上がると、ジェノスもまた立ち上がりついて行こうとしたが、五条はそれを止めた。

 

 「いや、今回捕まえるのは手練れの部類だから、S級のジェノスと一緒に行くと協会がジェノスの手柄だと判断する可能性が高い。だから、僕一人で行ってくるよ」

 

 「そうですか……。しかし、弟子として……」

 

 それでも食い下がるジェノスに対して、五条はサイタマと同じ試練を課すことにした。

 

 「あー、ジェノス。君は僕の弟子となった訳だが、僕では君を物理的に強くすることは出来ない。何せ、僕はサイボーグの体を弄る技術は持ってないからね。だから、火力以外で君に足りないものを補おうと思う。それは、技術と精神だ。技術に関しては、サイボーグ故に短期間で性能が変化するから仕方ない部分もあるけど、全力を出した時の動きの粗が多いし、攻め手が単調になっている。これは、僕との組み手を繰り返すことで改善できるだろう。そして、精神に関してだが、初めて会った時や阿修羅カブトの時に思ったけど、割と油断や慢心からの被弾が多いし、彼我の戦力差を見誤りがちだ。これでは、強力な怪人相手には負ける可能性の方が高い」

 

 「―――ってことで、一先ずの目標として、S級10位くらいを目指して冷静に戦力分析をしながら怪人を狩っていこうか。勿論、空いてる時は僕が組み手に付き合うけど、それが当面の目標ってことで」

 

 五条は勢いに任せて一息に捲し立てると、これで納得してくれと祈りながらジェノスの様子を窺う。

 

 「なるほど……。やってみます!」

 

 ジェノスは嬉しそうに気合を入れてそう宣言すると、高速でノートにメモを書き始めた。

 その様子を見て安堵した五条は、自分が言い連ねた言葉をメモされることを気恥ずかしく思いながらも、ソニックを確保するためにその場を後にした。

 

 

 

 

 五条はソニックが来るのを待ちながら街の中を呑気に歩いていた。そして、街を徘徊して2時間ほど経った時、ついに自身に迫る苦無に気がつき、待ちわびたそれを掴み取った。

 

 「随分と物騒な挨拶だね。音速のソニック君?」

 

 そこには、五条が待ち侘びたソニックが私服姿で佇んでいた。

 

 「五条……今日は貴様を……殺す!」

 

――――爆裂手裏剣!!

 

 ソニックが投げた手裏剣が五条に殺到し、無限の壁に阻まれながらも爆発を起こした。

 突如起こった爆発に対して通行人の悲鳴があがる。そんな中、逃げ惑う人々の中を掻き分けて虎柄のタンクトップを着たガタイのいい男が姿を現した。

 

 「ヒーロー、タンクトップタイガー参上!」

 

――――爆裂手裏剣

 

 タンクトップタイガーは即座に爆発に飲まれ、煙を上げながら力無く倒れ込んだ。

 

 「あらら、可哀想に」

 

 「邪魔だったから寝てもらったまでだ。……行くぞ!」

 

 ソニックが三度放った手裏剣はこれまでと同じく五条に迫ると、その体に当たる直前で軌道を変え、五条の足下で爆発することでその視界を奪う。

 そして、一瞬にして五条の背後に回り込み、その後頭部に刀を突き刺さんとするソニックだったが、さらにその背後に回り込んだ五条の一撃によって地面に叩き落とされてあっさりと意識を手放した。

 

 「……よかった。何も言ってこなかったし、股間は大丈夫そうだな…」

 

 後日、ソニックはプリプリプリズナーのいる監獄へ収監された。

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